横浜スタジアムライヴ〜ONE NIGHT THEATER 1985 [ 安全地帯 ] 価格:2,945円 |
安全地帯ライブアルバム『ONE NIGHT THEATER 1985』です。LDやVHSでのリリースはずいぶん前に行われていましたが、CDでのリリースは1998年8月、DVDは2000年12月でした。本記事はCDリリース時をなんとなく基準にしていましたもので、このタイミングでのご紹介とあいなりました。歌詞カードには横浜球場にて1985年8月31日9月1日にレコーディングが行われたとの記載があります。大洋ホエールズもこの間は遠征中だったのでしょう。確かこの年はいつものごとく夏場に調子を落とし、例年と違って秋に驚異的な上位いじめで四位に食い込んだ年でした。安全地帯の御利益か?なお2019年の阪神は三位でした。
ジュリー率いるタイガースが後楽園ライブを敢行して以降多くの名だたるミュージシャンがスタジアムライブを行ってきたのですが、渋谷公会堂等のホールクラスを制覇し武道館・大阪城ホール公演をも楽々と成し遂げた安全地帯も、とうとうその域に達したわけです。当時日本にはそれ以上の会場は基本的にありません。メンバー、スタッフその他関係者は万感の思いだったことでしょう。
さて、先行して発売されていたVHSおよびLDをもう失ってしまいましたので日付の詳しいことはわからないのですが、CD版とは若干収録されている音源が異なります。このことは、CD版にはMCが収録されているという点のみならず、Inst.#1のギター音、そしてドラムソロの音色が明らかに異なりますのでわかります。少なくともここだけは8/31と9/1の違いがあって、収録された音源が異なるわけです。ただもちろん買って聴いてみるまではそんなことはわかりませんでしたし、わたしからすればVHSでよく知っているライブであって収録曲にも変化はないようでしたので(なによりビンボーなので)、発売日に待ちかねて買うって感じではありませんでした。ただ、このCD二枚組リリースの衝撃は1998年当時でもそれなりのものでした。「最強のアンサンブル」「伝説のライブ」等々の触れ込みで、あれ安全地帯ってこんなに評価されてたっけとちょっと戸惑うくらいではありました。なにより安全地帯名義でのCDリリースはかなり久しぶりでしたのでうれしかったです。しかし実際に手に入れて音源の違いに気づいたのは(おもに金銭的な理由で)少し後のことになってしまいました。
さてCD版では、一曲目「Lazy Daisy」に最初「エンドレス」のSEがまるまる一曲入っていて、安全地帯に詳しい人でないとこれを「Lazy Daisy」だと勘違いしてしまうかもしれないというちょっとした不親切が起こります。映像だとスタジアムの照明が落とされていく光景から一気に「Lazy Daisy」ですからそんなことは起こらないんですけども。そして一気に「We're alive」と畳みかけ、CD版では「最近やってなかったんですけど」というMCが入って「萠黄色のスナップ」でひと段落という感じです。
そして「風」、映像だとほんとに風が強そうで、玉置さんのあの趣向のよくわからない衣装が風になびきます。いま微妙にクサした衣装ですけど(笑)、祭りの半纏のように見えます。この日の舞台は遊園地やお祭りの趣向で装飾されており、もしかして玉置さんの衣装もそれを反映させたものなのかもしれません。ほかのメンバーはそんなこと知ったこっちゃないよという感じの衣装でしたが。ライブは「Kissから」へと進み、相変わらずマーベラスな演奏です。渋谷公会堂や武道館の音源に比べて、野外ですからやはり音が拡散している印象はありますが、総じて録音状態は良好です。
ここで一息、矢萩さん作曲のインスト曲が二曲流れます。詳細は曲個別の記事に譲りますが、わたくしこれらがとても好きです。なんならしばらくこればっかり聴いていてもいいです(笑)。玉置さんの抜きのインストが収録されたのは少なくとも当時はこれだけでした。映像作品ですと、これまた趣向のよくわからないアニメが挿入されて驚きました。なんというか、少女趣味というか男が想像する少女の像というか、たぶん現代の若者がみたら軽くショックで一秒くらい呼吸が止まって真剣な顔をしたから星屑ロンリネスって感じになるんじゃないかと思います。まあ、当時は意味はよく分からんがなんだかロマンチックだ!詩的だ!くらいな感じではありました。そしてインスト二曲目終わりにも映像作品ですとまた演出がありまして、ここもビックリな小芝居が挿入されていましたが、それはまた今度の記事でということにさせていただきたいと思います。
さてその小芝居と大いに関連がある曲「ワインレッドの心」でライブは前半部クライマックスの盛り上がりを迎えます。ここに「ワインレッドの心」を投入してもよいくらい、当時の安全地帯には余裕があったのです。「Yのテンション」「瞳を閉じて」「エクスタシー」と『安全地帯III』の佳曲を惜しげもなく投入し、一枚目は終了しいつのまにか二枚目に入っています。偶然かどうかわかりませんけども、二枚目一曲目「エクスタシー」からBaNAnaがステージに登場したような気がするんで、一枚目は安全地帯のみ、二枚目はBaNAnaを入れた編成でのライブというように前後半を分けていたのかもしれません。
「ノーコメント」、これは「悲しみにさよなら」カップリングですが、玉置さんと石原さんのスキャンダルを執拗に追いかけるマスコミをからかうような曲で、安全地帯ストーリーの異様な熱気と盛り上がりを示すものでした。以前にもわたくし書いたのですが、当時安全地帯はとんでもないレベルの曲と演奏、歌、そしてスキャンダル、そのすべてを劇場的に展開する大きなノンフィクションラブストーリーのストーリーテラーだったのです。そのスケールはまさに空前絶後、後にも先にもこんなアーティストは現れていないと思います。スキャンダルうんぬんは本人たちが仕掛けたことではなかったでしょうけども、結果としてたんなるロックバンドの域をはるかに超えた芸術的表現を放っていたのです。それは、やはり意図的にそうなったわけではない玉置さんの復活物語とリンクする90年代の玉置ソロと構造的によく似ています。
そして曲は「彼女は何かを知っている」「マスカレード」「碧い瞳のエリス」とだんだん深刻な感じの曲、いやぜんぶ深刻なんですけど、恋愛のダウナーサイド方面を強調する曲が固めて演奏されます。「マスカレード」以降はもうほぼシングル曲ですから(「あなたに」を除く)、ヒットパレードの意味合いもあったことでしょう。「碧い瞳のエリス」から「恋の予感」「あなたに」とスロー気味な曲から、このあと「熱視線」「真夜中すぎの恋」「悲しみにさよなら」とアッパーサイド方面の曲をたて続けに演奏して会場をこれでもかと沸かせてライブは終わります。なお、「あなたに」には曲の後にオーケストレーションが流れ、ここでライブが終わりであったことを示唆しています。つまりこの後の曲はアンコール扱いになるわけですが、1985のライブで「悲しみにさよなら」を残したまま終わっちゃたまらないですから(笑)、もちろんこれは想定されたアンコールということになります。
「ありがとう!さよなら!」と玉置さんの挨拶、歓声、そしてまたもやSE「エンドレス」……この「エンドレス」にはひときわ歓声が大きくなる箇所があるのですが、よく聴くとここはボーカルが重ねられていますから、玉置さんが出てきて歌ったんじゃないかと思います。これはみなさん嬉しかったでしょうね。
収録曲は以下になります(SE「エンドレス」除く)
1.Lazy Daisy
2.We're alive
3.萠黄色のスナップ
4.風
5.Kissから
6.Inst.#1
7.Inst.#2
8.ワインレッドの心
9.Yのテンション
10.瞳を閉じて
11.エクスタシー
12.ノーコメント
13.彼女は何かを知っている
14.マスカレード
15.碧い瞳のエリス
16.恋の予感
17.あなたに
18.熱視線
19.真夜中すぎの恋
20.悲しみにさよなら
では、次回以降、インスト二曲の記事を順にお届けしたいと思います。インストの記事書くの久しぶりなのでちょっと緊張しております。
ONE NIGHT THEATER〜横浜スタジアムライヴ〜 [ 安全地帯 ] 価格:3,439円 |
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1985/8/31@横浜スタジアム
SE : Endless 1.Lazy Daisy 2.真夏のマリア 3.We're alive 4.萠黄色のスナップ 5.風 6.ラン・オブ・ラック 7.ダンサー 8.Kissから 9.La-La-La 10.Inst.#1 11.Inst.#2 12.ワインレッドの心 13.Yのテンション 14.エクスタシー 15.ノーコメント 16.クレラ(その後、タイトルは「彼女は何かを知っている」に。) 17.瞳を閉じて 18.Happiness 19.マスカレード 20.眠れない隣人 21.ラスベガス・タイフーン 22.碧い瞳のエリス 23.恋の予感 24.あなたに (Encore) 25.熱視線 26.真夜中すぎの恋 27.悲しみにさよなら SE : Endless