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安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
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2017年01月05日

彼女は何かを知っている


安全地帯IV』八曲目、「彼女は何かを知っている」です。

これはもう、初っ端のリフを中心に作られた曲でしょう。キラキラの武沢トーンで「ジャーンジャジャーン、ジャッジャジャジャーン!」そしてツインギターのハモリで歌へと導く……ああハードロックの様式美がステキ過ぎる!

ちなみに「ツインギターのハモリで」は、『ONE NIGHT THEATER』バージョンのことです。こっちのほうがずっといいと思うんですが、スタジオ盤では、何かやけに控えめなフレーズに替わっています。

横浜スタジアムでのライブは1985年8月31日、9月1日、

シングル「碧い瞳のエリス」は同年10月1日、

アルバム『安全地帯IV』は同年11月24日の発売です。

すると、『ONE NIGHT THEATER』における「彼女は何かを知っている」で聴くことのできたツインギターのハモリ導入フレーズは、言ってみればプロトタイプの一つだった、と考えることができます。うーん、わたくしこっちのほうが好きなんですが(まだ言ってる)。レコーディングにあたって、川島さんのシンセを導入してアレンジを一部再考したのでしょうね。スタジオ版の前奏ではシンセがずいぶん効いていますから、ギターをやや控えめにしたほうが曲全体のクオリティが上がるという判断をしたものと思われます。ギタリスト的にはここは絶対ツインのハモリだ!と思っていても、ギタリスト以外にとっては案外そうでもないものです。

この曲は、田中さんの踏むバスドラに、六土さんのベースがほぼピッタリとリズムを合わせて、タイトに曲を締めます。そうそう、わたしのイメージするリズム隊ってこうなんですよ。わたしにとってはこれがほとんど唯一のイメージですが、安全地帯にとっては、それはオプションの一つに過ぎないわけです。このブログを始めてからというもの、田中・六土コンビの引き出しの多さを思い知ってやっぱり凄いなあ、と感激してきたわけですが、この『安全地帯IV』ではとくにそう感じる機会が増えたような気がします。

余談になりますが、いいベーシストといいドラマーは、ゴールデンコンビになりやすいものでして、高校や大学のサークル等でも、あのバンドもこのバンドもこの二人、みたいなシーンが散見されます。玉置さんのソロ活動でも、結局この二人がリズム隊になっているシーンをよくみるのは、単に二人が仲良しだから、縁があるから、以上の理由があるように思われます。

さて、これまたずいぶん思わせぶりな歌詞のことですが(笑)、

「探偵みたい」「偽名のペン」「まるで女優」……猜疑心の塊みたいになっていて、お互いに綱渡りな感覚でハラハラしてるんだけど、それでもシャツは脱いじゃう(笑)、という、なんだかとても分かりやすい二人の情景なんですが、これ、当人たちにとっては、わりとたまったもんじゃないですよね。もうそういう時期を乗り越えてきたオトナからすれば、「ああー、そんな気分だったかもしれないなあ、言われてみれば。でももう忘れちゃったねえ」なんですけど、当時は必死な気分だったはずです。いまリアルタイムでこういう気分になっている若い人もいっぱいいるでしょうけど、大丈夫です、どんなに傷ついても、いつまでもそんなのは続きませんから、などと先輩風を吹かせているうちは、きっとまだまだなのでしょう(笑)。

しかし、松井さんが「こういう気分」を見事に切り取り、言葉に直してくれていたこと、そして玉置さんの歌声で、いってみれば永遠に、「こういう気分」が保存されていることに、感謝したいです。そうでなければ、きっとすっかり忘れていたでしょうから。

「魅惑」「疑惑」「孤独」「誘惑」、ぜんぶ「〜く」なんですけど、「魅惑」だけ「みわく」と読んで、あとはそれぞれ「うたがい」「ひとり」「なれあい」と読ませます。遊んでますね松井さん!歌詞カードを見て初めて気がつく仕掛けを用意しているわけです。こういうのを「粋だねえ」っていうんじゃないでしょうか。

この曲、これまでの安全地帯の曲の、どれにも立ち位置が似ていないように思われます。しいて言えば『安全地帯U』では「真夏のマリア」、『安全地帯III 抱きしめたい』では「Kissから」かなあ、とは思うんですが、曲順も、担う役割も違います。B面の最初に「消えない夜」をもってきた、その直後に大ヒット曲「悲しみにさよなら」をもってきた、という構成自体が、毎度のこととはいえ新しい試みであったでしょうから、もうこの時点では『安全地帯II』の様式をあまり意識していないということが分かるように思われます。「悲しみにさよなら」の後、「彼女は何かを知っている」「ガラスのささやき」と、ミドルテンポ二連発によって、聴くほうからすれば息継ぎしないで泳いでいるような感覚に陥ります。これが、緊張感のある恋物語をクライマックスに向かって怒涛の展開で進められているような印象を与えているのでしょう。

この曲は、さあ、ここから一気に行くよ、この恋物語、心の準備はいいかな?それー!という、クライマックス前段にあたる曲だと思われます。この曲だけ切り取って聴くような感じじゃないですけど、この名盤のクライマックスの一翼を担う名曲(名場面)であるといえるでしょう。

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感想(14件)


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この記事へのコメント
MIYAVIさまはじめまして。「彼女は何かを知っている」で検索なさるとは、かなりディープなリスナーであるとお見受けします。とはいえ、「悲しみにさよなら」とかで検索しても、当ブログはきっとかなり後ろに出てくるでしょうから、「彼女は何かを知っている」くらいでないと出会うことは叶わなかったでしょう。ですから、本当にようこそおいでくださいました!

玉置さんは天才ですとも!どの曲も、どの歌唱も、こんな人が世の中にはいるんですね、と強烈に思わさせます。

そして、現代の流行曲が当時の流行曲に負けている、というのは、おおむねおっしゃる通りだと思います。とはいえ、今も昔もしょーもない流行歌は山ほどありますから、あくまで「おおむね」ではございますが……。ただ、わたしの聴く限り、当時の安全地帯のレベルに達しているバンドは、90年代以降なかったように思われます。制作側に実力があったとしても、聴く側に合わせてレベルを落としていると名言してるような状況ですからね……なんで若い人たち怒らないのかな?と不思議に思います。
Posted by トバ at 2019年02月14日 07:47
toba2016 様

はじめまして。40代後半会社員のMIYAVIです。安全地帯の彼女は何かを知っているで、ググってここに来ました。
今さらですが、玉置浩二は音楽に関しては天才ということを再認識しているのですが、toba様も同意見でしょうか?
昔の曲でも全然、今の流行の音楽に負けていない(現在の曲が負けている)と私は思うのですが、いかがでしょう?(自分が年食ったからかな〜)。
安全地帯のFANのたわごとでした。失礼しました。
MIYAVI
Posted by MIYAVI at 2019年02月13日 21:49
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