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安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
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2017年01月15日

ガラスのささやき


安全地帯IV』九曲目、「ガラスのささやき」です。

20年以上昔のことですが、どこかのカラオケ屋でこの曲がリスト本(当時は分厚い本が二冊ずつ各部屋にありました)に入っているのを見つけて、驚いたことがあります。安全地帯のカラオケ曲といえば、『安全地帯BEST〜I Love Youからはじめよう〜』に入っているような曲しかなかったからです。ああ、当時はまだ「あの頃へ」がCMで流れているような時代でしたね。どんな理屈でこの曲がカラオケ曲入りしたのかは謎です。わたくしの知る限り、喜んでいるのはわたくしだけでしたので、歌いませんでした(笑)。だって、ねえ……「DA・YO・NE〜」とか歌っている人たちの仲間になりたくないじゃないですか。わたくしはひたすらニコニコしながら酒を飲むだけです(ワリカン要員?)。

カラオケで歌い惜しみしたごときで、こんなことを語るのも口幅ったいのですが、この曲は知る人ぞ知る秘密の名曲、という位置づけにしておきたかったのです。レンタルや又貸しなどを含めると、一体どれだけの人がこの『安全地帯IV』を聴きとおしたのかはわかりませんが、そのうち、どれくらいの人がこの曲の魅力に気がついたことでしょう。気がつかずスルーし「ありふれないで」を聴き終えて「ああ〜聴いた聴いた、まあ「碧い瞳のエリス」はやっぱいい曲だね」くらいでこのアルバムを聴いたことにした人は、「ガラスのささやき」の物凄さに気がつくことはありません。マルクスの『共産党宣言』を最後の一行「万国の労働者よ団結せよ」だけ読んで、一丁前の顔して学生運動に加わっていた70年代の大学生なみの豪快さです(笑)。わたくし貧乏性なのか、そんなもったいない聴き方はできず、一曲一曲かみしめるように聴きましたもので、さいわい気がつくことができました。

「ひとり傷つき噓つきながら」

しかし、松井さんは、こういうギリギリの綱渡りが、神業級に巧いですね。「それは君の中身の問題だろ、いったい何を悩むことがあるんだ」というオトナ側からの、冷静で、若い人にとっては冷酷なメッセージが明確に含まれています。「ひとり傷つく」って、別に誰も傷つけちゃいないのに、勝手に痛がっているってことですものね。それなのに、そんな冷酷さを少しも感じさせずに、わかるよ君の気持ち、痛いんだろう?ほら、ぼくもさ……いまは、このままでいいんだよ……きっと、すべてはうまくいくさ、と、まるで若い人の心に寄り添い、少しだけ安心させる第二の恋人、とは言わないまでも、憧れの人(少し年上)からの愛情あふれるメッセージであるかのように思わせる、あたたかささえ感じられます。冷酷さとあたたかさの綱渡り、これが玉置さんの声で歌われるのですから、そりゃーたまりませんよ(笑)。

「胸に隠したナイフのままの昨日」

わけがわからない、と切って捨てるのは冷酷なオトナです(笑)。これは、愛と憎しみが入り混じって混乱した感情が、昨日は憎しみのほうに大きく振れて、攻撃的な気持ちになった、そしてそのことを一日たってもなんとなく覚えていて、気持ちがうまく整理できていない、ということでしょう。ああ、こうして言葉で説明するのは、なんて野暮なんだ。でも、こう説明しないと、松井さんの描こうとしていたものが説明できそうもないのだから、仕方ありません。漫画とかで説明できれば話は別なんですが、わたくしにはそんな絵心はございません。ああ、よかった(笑)。ともかく、この曲は、説明しきれないくらいこういう秀逸な表現が多く含まれており、歌詞カードを見ながらじっくり思いを巡らすのが何とも楽しい曲でもあります。

さて、アレンジのことですが……

この曲、ごく簡単なコードストロークのギターの音がとても聴きやすい音量で収録されています。わたくし、これはおもに矢萩さんだと考えています。

しかし、武沢さんの「シャリーン」も時折聴こえます。では、武沢さんは「シャリーン」要員だったのか?いえいえ、おそらくですが、イントロ〜Aメロに流れ続けている、三連の細かいフレーズが、武沢さんの奏でたものなのでしょう。かるーくオーバードライブをかけ、適宜ミュートしながら弾いた音が、ちょうどこんな音になるはずです。運指的にも、巷によくあるギターのハノンフレーズ集には必ずありそうな運指です。しかし、例によってわたくしには再現できそうもありません。なんでこんなにいい音が出るんですか武沢さん……一にも二にも練習ですよね……わかっているんですが、この調子だと、還暦までに到達できそうもありません(笑)。

安易にキーボードに任せず、ギターで出来るところはできるだけギターで弾く、というのが安全地帯のサウンドづくりの根底にある精神だと思います。というより、生粋のギターバンドですから、はじめからキーボードに弾かせる、という発想がそもそもほとんどないんじゃないか、とも考えられます。「そんじょそこらのバンドならキーボードに任せるかもしれないんだけど、俺たちをそんな奴らと一緒にするなよ、ククク…よく見ておけ…」とかは少しも考えておらず、「え?ああ?ギターで普通に弾いたけど……それが何か?」というくらい自然なのだと思われます。

さて、この曲も「デリカシー」と似た思想で、リズム隊が躍動しています。ドラムとベースがぴったり同じリズムを奏でるのではなく、二人が合わせて一つのリズムを作る、という考え方のようです。田中さんが「ツッタッ(ウン)ツタッ」を繰り返しているところで六土さんが「ボ・ボ・(ン)・ボ」「ボ・(ン)ボ・ボ・ボボボ」弾くといったように、言葉だけ見るとズレているんですが、合わせて聴くと見事に一つのリズムになっているように聴こえる、というものです。これは狙ってそうしたというより、ふたりの長年のコンビネーションにより可能になるものではないかと考えられます。

「秘密の名曲」なのに、ずいぶん語ってしまいました。しかし、そもそも「碧い瞳のエリス」と「悲しみにさよなら」しか印象に残らないような人は、このページをそもそも読みませんので(笑)、ある意味安心です。秘密は守られます。

この曲単体でもわたくしにとって「秘密の名曲」の座は揺るぎありませんが、アルバム全体における役割においても、クライマックス後編という重大な位置につけています。機動戦士ガンダムでいえば、アムロとシャアの白兵戦です(笑)。この曲がなければ、ガンダムもジオング撃墜でいきなりエンディングになるようなもので、「え?どうなったの?シャアは?ジオン軍は?」と、打ち切り感満点な理不尽アニメになること請け合いです。この曲は、このアルバムにおいて張り巡らされた、恋物語のすべての伏線を回収する役割があるのです。

「夢のつづき」で安らかなふたりの日々は、どのような悶着の代償として得られたものか?
「消えない夜」のふたりは、あの冬以降、どうなったのか?
「碧い瞳のエリス」の少女は、成長してどのような恋をしたのか?
「悲しみにさよなら」のふたりは、あのままハッピーエンディングを迎えられたのか?

などなど、書ききれない伏線が、言葉に直せばそれだけ野暮になるから書かないままにすべきだったかもしれない伏線が、この曲ですべて回収されているように、わたくしには感じられるのです。

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感想(14件)


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この記事へのコメント
かわりに何かを得ているでしょうから、あながちソンばかりでもないと思いますよ!歌番組には、くだらない時間も多かったですし。そんなに悲観したものじゃありません。大丈夫です、いまお聴きになってるじゃないですか。
Posted by トバ at 2019年06月15日 06:57
リアルタイムで安全地帯の全盛期を知っていても
おかしくないのに、
歌謡番組は見せてもらえなかった環境が災いして
ワインレッドの心を流行歌として
通りすがりに耳にした程度でした。
(アイドルグループだと思ってたし)
すごい損をして生きてきた。
Posted by でみ at 2019年06月14日 23:44
筋肉少女帯!また懐かしい名前が……あのころ、20代だったらよかったのにな、とわたくし今でも思っております。わたくし20代の頃は、コギャルとPHSと、キムタクとロン毛と……そしてビーイング系と小室でした。わずか10年で世の中がひっくり返ってしまったような気がしてなりませんでした。
Posted by トバ at 2019年06月14日 21:22
笑 私は筋少のケンちゃんと同年代です。
Posted by でみ at 2019年06月13日 20:48
わたくしいい加減なことこの上ないですね。なんとなくこいつよりは上だなーと思っていただけだったようです。高橋かおりちゃんと同い年だなーとも思っていたのですが、それもあやしくなってきました(笑)。
Posted by トバ at 2019年06月13日 07:46
あれ?高橋かおりさんと同い年では?
ゲンドウだと、かおりさんプラス6になっちまいますよ?
Posted by でみ at 2019年06月12日 21:43
うーむ、小僧だということがバレてしまった……。碇司令と同じか、もう少し上のはずではあるのですが。
Posted by トバ at 2019年06月12日 07:18
確かにお若いです。
もっと年配の方かと思ってました 笑
Posted by でみ at 2019年06月11日 22:49
スピンオフが作られるくらいの作品であればなんとかなるのですが、ジオング撃墜で打ち切られるようなアニメに、はたしてそんな目があるか……エヴァとはまた懐かしい……と思いましたが、ガンダムのほうがはるかに懐かしいですね。やたら深刻ぶってたアニメだったなあ、という印象があります。逃げちゃだめだ!あんたバカあ?おめでとう!、と、セリフの力がやけに強かったですが、前後をまるで覚えていません(笑)。

この歌はもちろん聴くのがつらいです。坊やですから(笑)。許してあげたい人を目の前にして何も言えないのですから、つらいです、キャーぼくちん器が極小よー!
Posted by トバ at 2019年06月10日 22:05
大丈夫、ジオング撃墜されて終わっても
スピンオフでなんとかなります。
エヴァよりはましな終わり方になるはず。

は、さておき。

この歌は聴いていてつらいです。
恋人がいて、きっと何かすれ違いがあって
可愛さ余って憎さ百倍、
許したいのに許せない、優しくできない
でも、そんな風な自分が嫌でしようがない。

っていうか…
そんなに悩むのって……
坊やだからさ。
としか言い様ないですね。
Posted by でみ at 2019年06月09日 23:44
ウードも何かわかりませんでしたので(笑)、調べてみました。ああ、アラブのリュートなんですね。ライブにもいろいろなライブがあるものです。40分!40分か……。現代日本のロックやポップスに慣れた人だと、かなり気合を入れないと楽しめないですね。わたくしクラシックでも結構辛いことがあります。ぜひ、仕事で疲れてない夕べに楽しみたいものです。

お仕事お疲れ様です。なんだか、企業戦士ってノリですね……。わたくし、誰にも何にも言わず消えるというワザを会得して(笑)、帰宅の天才の名をほしいままにしております。といいつつ最近はちょっとすることが多く、土曜なのにわたくしも午前中は仕事しておりました。最近、やっとこのガンバリズムにも慣れてきましたが、こんなの私じゃない、と思っております。もうハゲる!し!か!ない!とか歌いながら仕事しております。
Posted by トバ at 2017年08月26日 13:40
そうなんです。
ダラブッカはトルコやエジプト、中近東で広く使われている太鼓なんです。
以前ウードとダラブッカのライブで、一曲が40分って大曲があったのですが、
私、寝てしまいました・・・・(笑)。

例の上司が帰り際にややこしい仕事を振るもんだから、帰って食事してシャワー浴びたらこんな時間。明日も午後から行かないと・・・。
ホンマにもーー ハゲちゃえーー!!!
Posted by pukupuku at 2017年08月26日 02:32
「ダラブッカ」って何だろう?と思って調べてみたら、トルコの太鼓なんですね。YouTubeで音を聴いてみると、まさに「きみは眠る」のイントロにドンピシャっぽい音です。おお!これはありがとうございます。また新しい楽器のことを知ることができました。

寝る前に「ガラスのささやき」や「きみは眠る」って、一見ムチャな気がするのですが、わたくしもよくやってしまいます。なんでしょうね、就寝前にはああいう気分になりやすいのかもしれませんね(笑)。

田村正和さん、当たり前ですけど若かったですよね。わたくし、勝手に若林豪の後継者だと思っていました(笑)。そのドラマは、わたくし当時サッカーにハマっておりまして昼から夕方は走り回っておりましたから、とても起きていられる時間ではありませんでしたので観ておりませんでした。無念です。Gメン75はしっかり観てたんですがねー(笑)。

そんなそんなブログのコメント欄とかで、反省も何も!じゃんじゃん酔っぱらって安全地帯をお聴きになって、お書きください!ただ、くれぐれもお体をお大事になさってくださいね。

Posted by トバ at 2017年08月24日 16:05
トバさん、ごめんなさい!!
間違えました。
ダラブッカのイントロは『きみは眠る』でした。
最近、こちらにもハマってまして・・・・。
『ガラスのささやき』を散々聴いたあとに、『きみは眠る』のイントロの太鼓、多分ダラブッカだろなぁと思って何度も聴いていたのです。

ちゃんと推敲しないといけませんね。反省。
酔って書くのもいけませんね・・・これも反省。
未熟者でまだまだ修行(笑)が足りません。お許しくださいませ。

ドラマ「女は男をどう変える」の正和さんは40代ですかね。聴いていたはずのEDのこの曲を当時の私は何も思わなかったのに、何故30年後の今になって大好きになったのか不思議に思います。
今日はゆっくりして、修行に励みます(笑)。
Posted by pukupuku at 2017年08月24日 13:00
度々のコメント、ごめんなさい!
この曲が好き過ぎて、どうコメントを書いたらいいか分からなくて、書くつもりは無かったのですが・・・・

なんてドラマチックな曲なんでしょう。
イントロのダラブッカ(多分)の音から引き込まれます。
初めて聴いた時に心を鷲掴みされました。

これがEDで使われたドラマは覚えているのに、この曲のことは当時何も知らなかった。
勿体ないことをしたなぁ。
これを聴いてから眠ろうと思ったのに、眠れなくなりそうです(笑)。




Posted by pukupuku at 2017年08月24日 01:28
ああー、そうかー、タイアップかもしれないですね、カラオケに入っていた理由は!いや、わたくし、すっかり失念しておりました。ドラマは見ていないのですが、そういうタイトルのドラマでこの曲が使われていたということは知っていたんですよ。忘れていただけで(知っていたうちに入らない)。

ビートルズはシングル曲をアルバムに入れない方針だった、だから『パスト・マスターズ』のようなシングル集を後から出した、と何かで読んだことがあります。安全地帯もこの方針だったとしたら、三曲目と七曲目は入らないことになりますが、そんなビッグな度胸はビートルズ以外のどのアーティストも持ち合わせていませんでしたね(笑)。もしそうなら私どものようなファンは、同じ曲に何度もお金をつぎ込まなくて済みましたし、いちいちプログラム再生する手間も省けたのですが。

「白い炎」!これまた懐かしいですね。ドラマをあまり見ないわたくしですから、「浅香唯って誰?」と発言して唖然とされたことがあります。当時は斉藤由貴もNHKの朝ドラの人としか思っていませんでしたので、当然に「白い炎」もわかりませんでした。後追いで(ですから「悲しみよこんにちは」と同時になります)聴いて、ああ、玉置さんの曲なんだ、どおりで……と思ったことを覚えています。
Posted by トバ at 2017年01月16日 07:00
フジテレビで86年ぐらいに放送された「女は男をどう変える」のEDで流れていましたね。
木曜日の10時枠のドラマで田村正和主演

安全地帯VIと言えば「デリカシー」と「ガラスのささやき」なのです。
私は、この2曲のためにLP(CD)を買ったのですから(レンタル嫌なので)

ベタなファンは「碧い瞳のエリス」や「悲しみにさようなら」がいいのでしょうが
私は3曲目と7曲目は不要と感じていたので毎度飛ばしでしたから
♪ 玉置さんの多重コーラスも職人技で素晴らしいです。

この頃の玉置さんのインスピレーションには、ただただ驚かされますね
中森明菜のLP用に提供したり奥田圭子「夢ください」、斉藤由貴「白い炎」など
これいい曲だなと感じ作曲者見ると玉置浩二とあり、やはりそうかと思う事数知れず。

Posted by タコ at 2017年01月16日 00:39
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