『安全地帯IV』三曲目、「碧い瞳のエリス」です。
「またね…。」が「夢のつづき」の再来だとしたら、この「碧い瞳のエリス」の再来は「オレンジ」なのかもしれません。単に曲順が同じで、シングル曲だという共通点があるにすぎませんが(追記:あとから間違いに気づきましたが、曲順は同じではありませんでした。お詫びいたします)。ちなみにこの「碧い瞳のエリス」のカップリングは、「彼女は何かを知っている」でした。
さてこの曲、グランドピアノとアコースティック・ギターをユニゾンで弾くという荒業によって、独特の音色を初っ端から放っています。うーむ、ピアノとユニゾンで弾くのは難しいんですよ、安全地帯はさらっとこなしてますけど。それにエレキギターのクリーン・トーンで、アルペジオの一番高い音によって構成されたフレーズをなぞっている……んだと思います。思いますというのは、そう聴こえるだけで、演奏シーンを見たことがないからです。唯一映像で見られるのが『ONE NIGHT THEATER』なんですが、なんと玉置さんだけにピンスポットが当たり、ほかのメンバーはほぼ暗闇の中です。ひどい話です。いったいどうやって演奏したんでしょう。
こんな有様ですから推測するしかありませんが、『ONE NIGHT THEATER』は、オープニングで横浜スタジアムの照明が消され、二台のギターがギタースタンドにセッティングされたシーンから始まります。この二台のうち、手前のギターがどうみてもアコースティック・ギターなんです。ちなみに奥のギターは、おそらくギターシンセ用でしょう。
ですから、武沢さんが、ターナーを肩に下げたまま、ギタースタンドのアコースティック・ギターを弾いたのではないか?と思われます。あの暗闇の中でよくぞ!ワタクシなら転んでギターを倒してしまうでしょう(笑)。武沢さん、ステージアクションも神業なんですね……。
さてこの曲は、そのアコギ・ピアノユニゾン音色を基調に、AメロBメロと、わざとそうなるように書いたとしか思えない、石原真理子さんのふわっとした透明感(当時)によく似合うリリカルな歌詞に導かれ、やがて大げさにストリングスの入ったサビへと突入します。
徳永さんの「風のエオリア」なみに、商品名が露骨に出た歌詞のサビなんですけど(笑)、そんなこと知らぬわたくし(もう当時はあまりテレビをみなかったので、「エリス」が商品名だとわかりませんでした)、きっと『舞姫』の「エリス」みたいな悲しい運命を背負った少女の名前なんだろう、その少女の面影を「あなたの瞳」のなかに見たのだ……!よくわからないけど、なんて悲しいんだ!とかなんとか、すっかりこの美しい旋律、アレンジ、歌詞に圧倒されました。「エリス」という商品を知らないで、本当によかった!ついでにいうと、「風のエオリア」も「エオリア」がエアコンだと知りませんでしたので、ずいぶん楽しめました(笑)。徳永さんは嫌いだそうですね、「風のエオリア」。綺麗でいい曲だと思うんですけど。
二番、間奏、半音上がって三番と、メンバー的にはあまり変わりのない演奏を繰り返すんですが、ストリングスによる演出がだんだん大仰になっていくことによって、なんだか二人だけの世界にどこまでも堕ちてゆく、といった感覚を生み出しているように思えます。そう、この曲は、もう五人だけではできないのです。後になって玉置さんがシンプル路線をしばらく歩み続けたのは、この時代の、五人だけではできない感が辛かったからなのでしょう。自分が生み出す音楽の世界と、期待される音像の大きさと、強力な周囲の音楽家たちによる惜しみない好意と助力、どこまでも一緒に並走してくれるメンバーたちのゆるぎない友情と確固たる実力、こういったものを調整すると、どうしてもこのような大仰な音楽になるのでしょう。この「碧い瞳のエリス」は、玉置さんの、そしてメンバーの望みや思惑と、結果として作り出される音楽との違いが大きくなりはじめた時期の、しかしそれゆえの、おそらくはもうないであろう輝きのなかで生まれた曲なのだと思います。
さて、この曲は、他の人と感想を話したことのある数少ない曲の一つでもあります。まあ有名な曲ですしね。話しやすい曲であることに間違いはありません。
話した内容は、この曲の主人公は男か女か?というものです。「少女でいれば叱られない」のところを、「私は」この「宝石箱」を開いているいまだけは「少女」に戻っているんだから、誰かに咎められるなんてことはないのよ、だから辛いことなんてない、泣かなくていいの……と読むならば主人公は女性だろう、いやいや、その様子を見守って、キミはその「宝石箱」を開いて思い出に浸っているいまだけは、誰にも咎められることのない少女なんだよ、だから安心していいんだ、泣くことなんてないんだよ……とかなんとか、「私」が歯の浮くようなことを思っているのだとすれば主人公は男性だろう、という、興味のない人には非常にどっちでもいい話をしました(笑)。しかし、わたしは嬉しかったのです。そのような話をすることができて。ある程度以上聴き込んでいないと、そもそもこういう話ができるくらいには歌詞が頭に浮かんできませんから。ああ、仲間だ、という安堵感を感じていました。その人とは、結局それだけしか話しませんでしたけども。いいですね、底が知れなくて。奥ゆかしいとはこういうことなのでしょう。少なくとも、ワタクシみたいに話したりなくてブログでガンガン書いちゃうような人種とはわけが違います(笑)。
これは、わたくしが家にあったガットギターで一生懸命に似た雰囲気を出そうとしてボロンボロン弾いていた曲でもあります。安全地帯初コピー曲といえるかもしれません。結局あまり似ませんでしたけど。のちの90年代に、手に入る値段でシーケンサーが出回り始めたころに、シーケンサー、ギター、ベース、ボーカルを四トラックのマルチレコーダーに録音して、一人コピーをしました。自分の歌が酷くて聴いていられないのですぐ聴かなくなりましたけど、録音中は、夢見心地でした。たぶん、100時間くらいはかけたんじゃないでしょうか。それなのに、歌が下手なだけですべて台無しです。いや、この曲で歌がダメなら全部ダメなのは当然なんですけど(笑)。
そんなわけで、かなり久しぶりに出版された安全地帯のスコアにはとても注目しておりました。昔もなくはなかったんですけど、買い逃しているうちに市場からなくなり(これは予想してませんでした。だってBOOWYのスコアとかいつまでも新品で売ってますし)、いつのまにかヤフオクでは高価で取引されている有様でした。そんな高いの買えないよ!皆様も、安全地帯のスコアはいつなくなるかわかりませんので、少しでも心に引っかかるのであれば迷わず買い!がおススメです。ジェイル大橋さんが聖飢魔IIのスコアを見るとヒドイものでガッカリした、というエピソードもあるくらい、市販のスコアには精度の低いものが含まれているのは事実なのですが、このスコアは…メンバーからみたらどんな評価になるんでしょう?とりあえず私は、「ああ、なるほど!」と、知りたかったことが知れたから満足いたしました(笑)。
さらなる余談で、しかも、また変換ネタで恐縮なのですが、わたくしのPCは「あおい」と打つと「碧い」が最初に出てきてしまいます。これは「みどり」って読むんだよ!とか怒っても仕方ありません。わたくしが辞書に追加したのをPCは忠実に履行しているだけですから。
価格:1,545円 |
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クレジットが英語表記多いのは昔からですよね。何なんでしょう?ぜんぶ日本語でも差し支えないと思うんですが……よくわかりません。もしかして、遠い未来にクレジットを見た英米のミュージシャンからオファーがあるかも?という希望がこめられてるのかもしれません。当時はほぼありえませんけど、現代ではちょっと気にしたほうがいいかもです。YouTube一発でビックリなオファーがありうる時代ですから。キャッチーな曲がなければそもそも広がらないのは今も昔も同じですが、もうデモテープとか送らなくていいのは便利です。
クレジット読むと演奏が誰とか見れて確かに面白いです。安全地帯Dはやはり、全演奏がメンバーとはいかなかったみたいで、歌詞カードを見るとドラム、ベースは他のミュージシャンの名があります。
そういえば、日本の邦楽というジャンルでも、歌詞カードに書いてある文字は日本語の歌詞以外のレコーディング記録だったりが英語なのは、やはり英語圏のマーケットだからですか?
夏にあわてないで、あれ、ひそかにギターが松本孝弘なんですよ。ワインレッドはもう出てましたけど、ちょうどヒット中だった気がしますね。玉置さんは売出し中の最中でした。松本さんも、太田貴子さんも、玉置さんも、もちろん来生えつこさんも、みんなの若いパワーが詰まってました。
私はあまり他人に提供した曲を追い求めることがあまり無かった中学生だったようです。そこまで余裕か興味がなかったのか、はたまた知らなかっただけか。安全地帯、井上陽水、ビートルズ、レベッカを少々。サウンドオブミュージックのアルバムレコードは自分で買いました。
中1の夏休みに例年行く鎌倉の由比ヶ浜にて、夜鎌倉駅まで路面電車で家族で出かけるのが楽しかったのですが、ぶらりと入った中古レコード屋で、シングル盤が半額以下で売っていたので、ワインレッドと、マスカレードのシングル盤を買った記憶があります。ウイアーライヴのレコード盤は回転も速い感じがして(45回転)そのせいではないでしょうけど、うちのレコード盤は毎回毎回針を乗せなくてはならないので、その瞬間のスピーカーから聞こえてくる「ぱちぱち」の音がまたなんともたまらなかったです。
ああー、GAOさんっていましたね!懐かしい名前です。カウントダウンTVで流れてました。あの頃、夜中にコンビに行ってカップ焼きそば買ってきて食いながら観るともなく観てた覚えがあります。「タモリ倶楽部」とか「北野ファンクラブ」とか、夜中は見逃せない番組だらけ!
安全地帯が10周年で活動休止に入る頃に、玉置そんのソングライティング魂が爆発して、凄い数の曲を提供していた時期のちょっとあとで発売されてましたかね。
加山雄三さんの40周年トリビュートアルバムや、陽水さんのトリビュートアルバムみたいに、玉置浩二安全地帯トリビュートアルバムを是非企画すれば凄い良いのが出来そうですが。
恋の予感は、さすが陽水さんのバージョンは陽水節に、また山本順子さんの恋の予感も痺れました!ありがとうございます。
玉置さんの歌を他の歌手がどのくらい歌いこなすのか……?だいぶ前にドリカムの歌をいろんな若手が歌うアルバムあったんで買ってみたんですけども、自分の歌として歌えてるように聴こえたのは声優さん(水樹奈々さん?)だけでしたね。あとはモノマネかカラオケでした。ちょっと期待した人もダメでした。なんというか、途中から諦めてモノマネになる感じなんですよ。もっと辛抱して頑張ればいいのに。相手(吉田美和さん)が悪かった!玉置さんのそういうアルバムが出たらどんなことになるのか……?
安全地帯ロスは、今私がまさにそうです。
なんか私テレビばかり観てるようですが、昨日カバーズというNHKの歌番組で、斉藤和義さんが唱っていて、井上陽水さんや沢田研二さんはカバーされてますが、玉置浩二安全地帯はまだみたいで。また、物竹原ピストルさんはカリント工場の熱唱良かった。奥田民生さんはユニコーンで売れる以前安全地帯好きだったそうで、某有名音楽評論家から趣味悪い!と言われたとか。その評論家が本気で言っていたなら、売れた人へは妬みや中傷はあっても、当時の日本はリスペクトする意識が皆無でしたね、だいぶ今は変わってきましたが。
誰か頑張って安全地帯やってほしいです。
抱きしめたい、田園地帯。
今日の男たちの旅路の
ラスト、ゴダイゴが出てきました!
高校生の娘はゴダイゴの公開放送を見に行っていたようです。娘は家に戻ってきて、父親に抱きしめられて泣いたでしょう。
「一人前でない子供は叱ってやらなあかん!抱きしめてあげなければならない」とその父親を叱った鶴田浩二カッコいい!ジーンときちゃいました。
しかも、鶴田浩二と玉置浩二は名前が一緒でした。でも、玉置さんは名前を聞かれた時には、「浩宮さまの浩に、鶴田浩二の二」と答えていたそうで、初めから鶴田浩二の浩二と言えば良いのに!と笑っていました。
話がいつもながらあっちこっち飛んでしまい、すみませんでした。飛んで飛んで飛んで(笑)
回って回って回って目が回りました。
おやすみ野菜。
そうでした、ちょうどその頃わたくし中三だったと思います。「I'm Dandy」と黒画用紙に白文字で書いて自分の写真を白黒キャビネ判で貼り付けてた痛い思い出が!(笑)。安全地帯ロスに陥ってたナイーブ少年の心は暴走していたのでした。
その映画が公開するちょっと前のクラブチッタ川崎ソロライブの一部(1992年までは一部二部がありました)を当日券で学ランのまま観に行き、帰りが遅くなる旨を家に電話しないで23時頃帰宅し親父がカンカンに激怒(笑)電車の乗り継ぎにおそらく失敗したんだと思います。ライヴは19時には終わってました。
反省文を書かされました高1の夏の思い出です。
ライヴは、一曲目キツい、二曲目センデンフォー、三曲目アイムこぶ平(笑)
ちなみに、歌はそれ程好きなのにこの映画もプルシアンブルーの肖像も、本は買いましたが観に行きませんでした私。
あなたに逢うためだけに
やさしくなれる(3番)
涙はこぶ平の風がぁ。
涙は、こぶその風が、教えてくれるよ、ですか。なんか林家こぶ平を思い出させて困っちゃいますねえ。
悲しみにさよなら、碧い瞳のエリス、このころは安全地帯が一位とか二位とかでしたねえ。年齢的なものなんですかね、当時周囲では全く話題になってなくて……サッカーにハマってたからそういう周囲じゃなかったんだとは思います。よしさん年齢そんなに変わんないのに、どうしてこう安全地帯人気に差があるのか……イワナとヤマメの境界みたいになってるんですかね、わたしの学年。
毎日ここのところスティックを30分は持って素振りやスナップを早く連動するように、鏡みながら行っています。剣道を三段までやったのでそのお陰でたぶんその振りはドラムに生きてルと思います。素振りの「音」で切ってるかたるんでるか判断します。あと足ですね。足は踏むというより、私はおろす意識でバスドラは踏みます。あと、
まあいかにタイムを長く、一泊を長く取れるか?
そこを意識して頑張ります。
碧い瞳のエリスですが、恋の予感、フレンドと並んで三大名バラード!
特に、やはりこの碧い瞳の人気は、本当によく耳にします。悲しみのあとのナンバー1ソングでしたので私は悲しみ派でしたが、まわりには碧い瞳派が多かった気がします。
しかも、この曲は3番があって、テレビのランキング番組では1番のあと3番へ行ってました。
それで、だいぶ先になって2番の
「涙はこぶその」の、「はこぶ」は、
私はずっと「こぶその風」という
風がずっとあるのかなぁ?笑と
不思議に思ってましたが、ある日歌詞をみながら
「ん?」運ぶ風かぁ!
とひとりごちたのでした!おそまつさまでした。
引き続き
田園地帯!我こそと言う方
ベース、ギター、キーボードご応募
お待ちしてます!
よっしーでした。
いやー、女性ふたりの歌、というのも、わたくし想像だにしてませんでした。玉置さんが主人公のうちの一人だという強烈なイメージがありますもので、まさか、玉置さんがストーリーテラー的な役割をこなすなどとは……当然ですが、玉置さんが自分以外のことを歌ってはならないと命ずる安全地帯大法廷があるわけではありませんので、十分にありうるのです。広大な解釈の余地が生じました。これは、ドルトンが原子説をとなえたなみのターニングポイントかもわかりません。
私、これも女性二人の歌かと思ってました。
エリスは、女性用商品の商品名だそうですが、
それだとは思わずに、
ギリシャ神話の不和の女神だと信じてました。
双子の姉妹がいて
丁度、大人になりかけで
どちらかが異性に恋をして
もしかしたら、同じ人を好きになってたり
…
でも私に秘密は無しにしてね
何でも話してね
貴女を一番わかるのは私
でも彼女の瞳には、不和の女神がいる…みたいな
イメージでした。
女の子は、キャリーに出ていたシシー・スペイシクで。
玉置さんの声って、時々、男性が歌ってることを忘れてしまう語部みたいに聞こえる時がありますー。
ただ、特定商品と結びつけると、
ああ、体調が悪くて気分がすぐれないのだ、
こんな行事、無ければ楽なのに、昔に戻りたい。
というあられもない歌に聞こえないこともないです。