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安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
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2016年12月17日

合言葉


安全地帯IV』四曲目、「合言葉」です。

この曲は、すぐに気づくことではありますが、前奏〜Aメロが、二小節を単位としたリフで出来ています。

この「二小節を単位とした」というのは、一小節めに2.5回、二小節目に2.5回であわせて五回になるように作っている……一小節目の最後と二小節目の最初をくっつけて小節の切れ目を分かりにくくしている……すみません、分かりにくいですね。わたくしこの手法を昔から「ジミー・ペイジ風リフ」と呼んでいるのですが、どうしてそう呼んでいるのか、自分でも分かりません。きっと昔に聴いていたツェッペリンの曲にそんなのがあったのをたまたま発見して、通ぶってそう呼ぶことにしたのか、たんに立ち読みした教則本か何かにそう書いてあったから、ツェッペリンの音源を聴いて確かめることもせずにそのままそう呼んでいるのかのどっちかだと思います。どっちにしても、我ながら心がけが悪すぎて話になりません(笑)。

玉置さんの歌でいえば「涙の深さに沈」までが二小節なんですが、「なみだの ふ」「か さにしず」といったように、「深さ」が分かれていて、小節のつなぎ目が分かりにくくなるよう工夫されている、ということですね。なんだ、最初からこう説明すればわかりやすかったんだ(笑)。

ともあれ、その「ジミー・ペイジ風」リフをバンド全体で演奏することによって、一瞬変拍子か何かなんじゃないか、と思わせるリズムを聴くものに感じさせます。

Bメロ〜サビは、ふつうの四拍子(Aメロもふつうの四拍子なんですが)ですので、迷うことなく聴くことができます、いや、意図的にそう構成されていて、サビの疾走感に快く身をゆだねることができるわけです。しかしここでニクイのは、毎小節同じギターのリフ(おそらく矢萩さん)と六土さんの八分のルート刻み組は一小節単位、ギターのカッティング(おそらく武沢さん)、ドラムは相変わらず二小節単位、といったように、ある意味二チームに分かれてフレーズを奏でていることによって、その疾走感を演出しているということです。

玉置さんは「といかけた」の「か」「け」「た」が全音符、その後の「甘く危なくあなたをふるわす合言」まで、八分音符、といったように、長短を巧みに組み合わせることによって、疾走感を最高度に高めています。いや、疾走感、なんて言葉の使い方は、ヘビメタ音楽雑誌のレビューに毒されすぎですね。「碧い瞳のエリス」で使った(ような気がする)言葉をもう一度使ってみれば、「どこまでも二人で堕ちてゆく」感覚です。いってみれば「落下感」「堕天感」といったところでしょうか。うん、われながら言葉のセンスが悪い(笑)。

これも、バンドでコピーするとしたら、かなりリハーサルしないとちゃんとコピーできそうもない曲ですね。バンドのなかで二チームに分かれてキチンと合わせるなんて、どんな神業だよ!中国雑技団かよ!こんど何かのはずみでバンドメンバーを募集するときは、この曲を課題曲にしたいくらいです。自分ではできる自信はないですが(笑)。でも、このくらいはできないと、安全地帯バンドなんてできません。

さて、歌詞の内容ですが、「合言葉」というのは、もちろん「山」「川」とかそういうのではないですね(笑)。きっと、ふたりだけにわかる、ふたりだけのエピソードにおいて重要なタームです。

出会ったダンスホールで飲んでいたカクテルがトムコリンズで、「何、飲んでいるの?」「これかい? トムコリンズっていうんだけど……飲んでみる?」「苦…い」「あっはっは、ジンだからね、無理しなくていいんだよ、あれ、この曲…?」「…ニジンスキーね」「わかるの?」「子どものころ踊っていたの」

……とかなんとか!歯の浮くような!そんなエピソードがあったら!「トムコリンズ」と「ニジンスキー」が「合言葉」になるってわけですよ!

すみません、無理してるのが丸わかりです(笑)。トムコリンズなんて気取って飲むやついないよ!それになんだよニジンスキーって、アングラ舞踊かよ!女の子がそんなの「むかし踊ってた」わけないだろ!ニジンスキーなんてダービースタリオンに出てくるノーザンダンサー系の種牡馬としか思わないよ!

そんなこんなで、ブログ執筆者がない経験を雑巾を絞るように捏造してまで解説してみたわけですが、その「合言葉」を「熱い痛み」とか「迷い」とか「嘆き」のあるとき、簡単にいえば痴情のもつれがあって修羅場になっているときに(笑)言ってみる、それに相手が反応してその頃のことを思い出してくれるかどうかを試す、というのが「問いかけた」「あなたをふるわす」という歌詞の意味なのだと、わたくしは思うわけです、はい。

「このままで時をかさねて……何になる」「遠くへ流れてく…遠くへ…」というのが、この修羅場でどうにでもなってしまえという気分になりがちなときでも、それでも「合言葉」に反応してくれる相手への愛おしさをくるおしいほどに表現していますね。ここを乗り越えられるかどうか、乗り越えたほうがいいのかどうかは、この「ふたり」にしかわからないですが、ちょっと遠く離れたところから優しい気持ちで見守るようなポジションにいたいものです(笑)。いや、ちょっとはこういう思いに身も心も焦がしてみたいなあ〜という思いも、一ピコグラムくらいはないではないのですが、やっぱ、いいです(笑)。

「もう、松井さんたら、イジワル!」な、若い恋人たちの心を見透かすような歌詞が、この頃の安全地帯のカラーを決定づけていたのがよくわかる曲ですね。わたくし、『安全地帯IV』ではこの曲が一番好きかもしれません。リズムと歌詞によって演出されるこのイジワルな感じがスリルを味わわせてくれます。

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感想(14件)


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この記事へのコメント
不倫は民法に引っかかる、ん?フジテレビとかでやってなかったっけ?とか考えたバカチンです(笑)。不倫相手が家族と過ごす様子を見て、自分との絶望的な差を感じるというのは、よくある演出ではあるのでしょうけども、本人からすればたまったものじゃないでしょうね。いいところどりは許さん!と神に命じられたかのような残酷さです。

テレサ・テンはいいですね……スナックのママさんとかが歌っていると、あーこの人もいろいろあったんだろうなーという雰囲気がやたら醸し出されます。もちろん、いろいろはあったのですが(小学校のとき運動会で一等とったとか)、テレサ・テンの歌が描くような世界のいろいろだとは限らないわけです。もう、いまのママさんも90年代以降に20-30代を過ごした年代が多いでしょうから、そんな思わせぶり演出も過去のものかもわかりませんね。

ニジンスキー、ないですよね(笑)。
Posted by トバ at 2019年06月08日 07:46
玉置さんの歌を使った解説、めっちゃ分かりやすかったです〜。
そっか、そーいうことかと。
ギターの解説面白い。
後、ニジンスキーのくだり、笑いました。
(それはないわー、って、ねえ?)

私はこれ、修羅場説、賛成ですー。
既婚者の女性と、不倫相手の歌かな、と。
歌い手が、不倫相手の彼。
(いや、こんな歌歌ってたらやっぱイメージが。
そういや、不倫の歌の女性歌手ってテレサ・テンぐらいしか思い付きません)

彼女は、旦那と彼の間で揺れてます。
彼とのお付き合いもかなり長くなってます。

合言葉=secret word 秘密の言葉なので、
きっと彼女の心に忍び込むキーワードを
彼は熟知してるのでしょう。
でも、彼女の本心はわからない。

優しさは 知らず知らずに
貴女を他人に変えるだけ

きっと彼女の旦那さんは優しい男性です。
不倫してる後ろめたさから、
彼女は旦那さんに優しくするはずです。
旦那さんと一緒にいる彼女は
他人のようなのでしょう。
きっと彼には悲しい顔しか見せてくれないのでしょう。

嫉妬もするし辛いし、でもこの関係から抜け出せなくて
彼女の気持ちもわかんなくて
自分の気持ちも見せたくなくて
もうどうにでも、いきつくところまで、
遠くへ 遠くへ。

……すごい泥沼やなあ。まるで、昼メロか海外ドラマですね。
と、ついつい想像してしまいました。笑

恋はいいけど、不倫は民法に引っ掛かります。
Posted by でみ at 2019年06月08日 00:27
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