『安全地帯II』四曲目、「マスカレード」です。
これは「ワインレッドの心」「真夜中すぎの恋」に続く、このアルバム三つ目のシングル曲でもあります。アルバム発売後に出ましたので、いわゆるシングルカットってやつです。
シングルのほうは……前奏が短いですね。間奏の「ハーレスカ〜マスカレード〜」のところが違うような気もします。なんだか、それだけな気もするんですが……これで十分違うのかもしれませんけど、曲の印象が変わるほどのものではないように思います。よく聴き込んだ方なら何か違いが見えるのかもしれません。こっそり教えてください。「ワインレッドの心」で一気に忙しすぎるスケジュールに巻き込まれた安全地帯が、大幅に録音しなおしするとは、ちょっと思えないんです。カップリングの「置き手紙」も隠れ名曲であることは確かなのですが、このアルバムに入るべきではない曲であることに、さしあたりの異論はないものと思われます。そもそも、このシングルはファンサービス的なものであり、かつ、アルバム(当時でもLPは2800円しました)にちょっと手の伸びない人へのサービスというか宣伝というか……そういう位置づけであったと思われます。
しかしどうでしょう、この曲の雰囲気といったら!
「ワインレッドの心」「真夜中すぎの恋」で描かれてきた男女像にピタリ! 同じ映画の、別のシーンを観ているかのような心もちにさせられます(ずいぶん切迫したシーンにはなっていますが)。作詞は井上陽水さんでなく松井五郎さんなのに!
「そして、まずはじめに、そのせつない旋律を、ぼくは選んだ」(松井五郎『Friend』より)
松井五郎さんが最初に手掛けた曲が、シングルカットされたわけです。シングルカットされるような曲だからこそ、松井さんも最初に気になっただけであるような気もするのですが、ともあれ「玉置慣れ」の最も浅い状態で作られた曲であることは確かでしょう。
なんせ、「揺れるあなたの瞳」「肩をもてあまし」の二つと「風に消されて」「闇の素顔に」の二つとで、やや節回しが違う(といっても、八分音符が入る入らないの違いだけですが)だけという、おそろしく正確な譜割です。玉置さんも、さぞ歌いやすかったことでしょう。
さて、アレンジですが、なんといっても武沢さんのギターと六土さんのベースのコンビネーションこそが聴きどころです。歌の裏で、武沢さんがキレのいい八分で拍の表を叩き、六土さんが八分と十六分のコンビネーションで表と裏の両方を叩いています。田中さんはひたすら八分で刻んでいますので、六土さんが最も細かく刻んでいて、武沢さんがそれに釣られず八分で「切り取って」いるような感覚を味わわせてくれます。おかしな言い方になりますが、正確に16等分できるように目印を付けたヨウカンを、走りながらナイフで正確にスパスパッと切って三番目、五番目、七番目だけ取って持っていくかのような……めちゃくちゃな喩えですが、そんな神業をみる思いです。いやー、スタジオ盤ならできないわけないんですが、おそろしいことに彼らはライブでもこれを完全にやってのけるんですね。
サビでは八分で刻むだけですので(これが一体感を出すんですけれども)、アレンジの変化的には一息つけるところですが、この何でもないプレイが、前奏Aメロでの切り取りショーとの変化を際立たせるという、ニクい構成になっています。これは「エイジ」ですでに使われたパターンではあるのですが、「ワインレッドの心」的なアオリのギター(矢萩さん担当)を融合させるという進化を遂げています。付記するならば、田中さんのドラムは、「エイジ」のほうがやや複雑です(田中さんほどの凄腕には、そんな意識があるはずがないくらい、「やや」ですけども)。
わたくしもこの曲、ギターとベースをコピーしましたが、バンドでキッチリ合わせる自信がありません。少なくとも、毎週かそれ以上集まれるメンバーで、それなりに時間をとってリハーサルしないとグチャグチャになるでしょう。アイアン・メイデン「Ace's High」の前奏ツインギターが合っていない学生バンド並みの惨状です。それにしても、ギターソロでなくて歌の伴奏部分を合わせるのが一番難しいという、BOOWYコピーバンドブーム以降の初心者はお断りレベルです。
……いつか、安全地帯のコピーバンドを、思う存分やってみたいものです。合うまで頑張ろうと同じくらい強く思ってくれるメンバーがあと三人と、とてつもなく歌のうまい人が一人必要ですが。
そんなわけで、この「マスカレード」は、『リメンバー・トゥ・リメンバー』時代の安全地帯が、新しい武器をいくつか得て、新しい時代に突入したことを示すシンボルのような曲でした。
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そして、やっと去年の録画を観たんですが……「玉置浩二ショー」と「安全地帯40周年記念コンサート」……玉置さんが「田中のいない安全地帯って考えられない」とおっしゃった気持ちがよくわかるのです……。コピーだけなら巧いひといくらでもいるんですけど、そうじゃないんですよね……。武沢さんのいない安全地帯を少しの間でもやったことのある玉置さんは、その意味をよく知ってるんだと思います。
すると、ポイントは実は武沢さんの8ビートと六土さんの16ビートの正確なコンビネーションだったんですね。たしかにリズミカルかつメロディアスなベースはハッキリ聴こえるのですが、まだ武沢さんの刻みは聴き取れずです。
何より好物なのが(エレキ)ギターの旋律なので、そこはやっぱり矢萩さんの音ばかり入ってきてしまいます。この件はもっと書きたいのですが帰ってからにしようかと思います。
しかし何より驚いたのが、トバさんが安全地帯のコピーバンドを目指しておられたこと。なんか他人事ながら嬉しいお話です。この記事が2016年ですが、つい数週間前についにメンバーを募ってらしたのを見つけて更に嬉しくなりました。いいですねぇ、ロマンですねぇ…
郡山ですか、実は結構行ったことありますよ。国道沿いのラーメン屋コタン(まだあるのかな?)でよく味噌ラーメン食べてました。泊まるときはかならずワシントンホテル、お土産は薄皮饅頭でした。懐かしい……。
そうそう、「ブルーに泣いてる」のアウトロ、あのライドが悶絶モノなんですよね。わたくしもオリジナル曲で散々マネしました。誰も気づいてくれないんですが。いいんです、あれがカッコいいんですから。
お父様がお気に入りだったこの曲、田中さんのドラミングとともに、輝きは永遠です……。
マスカレードは、ライヴ盤エンドレスのオープニング曲で、僕は中学の頃に田中裕二さんにあこがれ、ドラム叩いていたので部屋の雨戸を閉めて毎日一生懸命コピーした思い出の曲です。また、死んだ親父が一番好きな曲でもありました。
知り合いから戴いた夢のつづきツアー郡山では、オープニング瞳をとじて、Yのテンションのあと、エンディング切らさずに、そのままマスカレードへなだれ込み、「うわー」と衝撃を受けました。
ライヴ盤エンドレスも、恋の予感が聴きたくて僕は最初4000円のカセットテープをお年玉で買いましたがらうちのオーディオ環境のせいか、ドラムの音が良くなくて、中二でCD💿に買い換えるとドラムのハイハットやスネア、おかずやベース、ギターの音までよりクリアに聴こえてきて、いまでも安全地帯8太陽まで完コピに近く叩けると思います(恐らく自己満足。口ドラムのほうが上手い笑)
安全地帯を普通に叩けたので、高校時代はバンド掛け持ちし、何処行っても重宝がられました。
特に、ライヴ盤のブルーにないてる、エンディングのライドシンバルは、すさまじくかっこいいです。
ユーチューブでも、このマスカレードや真夜中過ぎで夜ヒットに出た時の映像が見られてとても幸せです。作詞家の松井五郎さんは、マスカレードの歌詞を最初に書いたそうですね。