2016年09月06日
『安全地帯III 抱きしめたい』
安全地帯のサードアルバム、『安全地帯III 抱きしめたい』です。
「抱きしめたい」などと、サブタイトルのようなものを付けていますね。なんだかなー、と思ったら、サブタイトルのないもののほうが少ないのかも?と、ちょっと思い起こしてみました。
I 『リメンバー・トゥ・リメンバー』
II (サブタイトルなし)
III 『抱きしめたい』
IV (サブタイトルなし)
V (サブタイトルなし、ただしバラ売り版は『Friend』『好きさ』『Harmony』)
VI 『月に濡れたふたり』
VII 『夢の都』
VIII 『太陽』
IX (サブタイトルなし)
X 『雨のち晴れ』
XI 『STARTS 「またね…。」』
XII (サブタイトルなし、ただしジャケットに「清く 正しく 美しく」の大書きアリ)
XIII 『JUNK』
XIVI『The Saltmoderate Show』
サブタイトルなしは少数派でした! ああー、80‐90年代のレコードショップでの印象が強すぎですね。あのころは、『月に濡れたふたり』がわりと最新版で、サブタイトルなしのものが半分くらいあったものですから、安全地帯がサブタイトルを付けるときは何か特別な意味があるんだろう、なんて思っていたわけです。その後『夢の都』『太陽』がリリースされ、それを味わっているうちにいつのまにか10年くらい待たされることになったので、サブタイトルなしが多いという印象が残ったままだったのです。サブタイトルなしのローマ数字って、なんかカッコいいと思ってましたが、別に安全地帯にとっては特に意味がなく、サブタイトルが思いつかなかったから、くらいの理由なのかもしれません。あれま。
さて、三枚目のこの『抱きしめたい』は、難産だった『II』に比べて、かなりあっさりできてしまったそうです。リリース時期だけ見ても、『II』が1984年5月なんですが、『抱きしめたい』は同年の12月です。半年ちょっとしか経っていません。それなのに粗製乱造にならないのが物凄いところです。リリースまでの期間が短すぎて、シングル曲が「恋の予感」しかない(カップリング「Happiness」をいれても二曲)のも物凄いです。いかに当時の安全地帯に勢いがあったかがわかりますね。
安全地帯のターゲットは20代だったと考えれば、一年に二枚のアルバムでも売れるとスタッフは踏んだのかもしれません。そしてそれ以上に、安全地帯の生産能力が高くないといけません。これは奇跡的なことでしょう。安全地帯は、アイドル歌手のように、複数の作詞作曲者を抱えるチームではないのです。玉置さんの作曲能力、松井さん井上陽水さんの作詞能力、安全地帯と星勝さんのアレンジ能力、スタッフワークのパフォーマンスのすべてが高くなければ、こうはいかないはずです。
「ワインレッドの心」と「悲しみにさよなら」の狭間にあり、「熱視線」も収録されていない(時期的にムリそうですが、曲調的にもこのアルバムには入りにくい曲でもあります)このアルバム、ヒット曲は「恋の予感」のみ、そしてジャケットがなんだか怖い(笑)このアルバムは、もしかしたら後追いファンだとなかなか手が出ないアルバムかもしれませんね。でも断言しましょう、それは恐ろしくもったいないです。どんな順番で聴くのもOKですから、もちろんこのアルバムを最初に聴いてもいいと思いますよ!
さてさて、ここで、曲目へのショートコメントをして、次回以降、一曲ずつ語っていくことにしたいと思います。
1.yのテンション イントロ〜Aメロの、Dmのアルペジオ、サビでのボーカルとコーラスの掛け合いが印象的な曲です。暗くて「「シン!」と張り詰めた緊張感がたまりません。その緊張感を「テンション」と呼んでいるのかもしれません。
2.Lazy Daisy これまたイントロが、ツインギターでバトルをするかのようなフレーズで、印象的な曲です。「抱きしめたい」はこの曲の歌詞から取られたのかもしれませんね。
3.Happiness 「恋の予感」のカップリング曲です。「眠れない隣人」的なことば遊びで楽しませてくれますが、このアルバム全体の雰囲気にマッチしているところが不思議です。こんなに楽しい曲なのにどこかシリアス。
4.ブルーに泣いてる 「エイジ」「真夜中すぎの恋」の系譜上にある「エレキギターバリバリ」のシリアスなロックです。全然「バリバリ」に聴こえないのは、武沢さんがギターシンセを駆使しているからでしょう。
5.恋の予感 シングル曲のバラードです。「ワインレッドの心」的なものを期待した人は、この曲で「やっと来た!」と喜んだかもしれません。一度聴いたら耳から離れないメロディーと玉置さんの歌いっぷりです。
6.Kissから B面一曲目の、勢いあるロックナンバーです。「真夏のマリア」的な位置づけでしょうか。いい意味で、ちっとも気分が明るくなりません(笑)。これはノリノリになる曲でなく、浸る曲でしょう。
7.風 「あなたに」に匹敵する名バラードなんですが、知名度は高くないでしょうね。「…ふたり…」を超える難易度で繰り出されるツインギターのアルペジオが、「見事!」の一言です。
8.アトリエ どうしてこういう曲を、「風」みたいなナイスバラードの後に持ってくるんでしょう。これまたナイスすぎて、「風」を聴いた後にかならず続けて聞いてしまいます。「あなたに」後の「…ふたり…」と同じ手口です。
9.エクスタシー このアルバム随一のハードナンバーです。「ダンサー」の位置づけそのままなんですが、「こんなのライブでできるわけないじゃん」レベルの演奏能力をたっぷり披露してくれます。ちなみに安全地帯はサラッとライブで演奏してくれていました。恐るべし。
10.瞳を閉じて ソフトな、かわいらしいバラードです。「La-La-La」が「大作!」「有終の美!」みたいな感じだったのに対し、こちらはあくまで小品といった趣きです。個人的には「ゆびきり」「夢のポケット」的な曲の始祖にあたるのでは……いやいや「ENDLESS」が先というべきか……?と悩む曲でもあります。
……と、このように、全十曲、バラエティに富んだ構成になっています。それなのに、(当たり前ですが)すべて安全地帯!の色としか言えないものに完全に染まっています。その色さえも、前作、前々作とは違うのですが、それでも「安全地帯色」としかいえない色です。なんというか、初期クイーンズライクのように(安全地帯のほうがやや先輩ですが)、アルバムごとにはっきり違う色が楽しめるのに、同じ色が根底にあるのがはっきりわかる……わけのわからない話なんですが、わたくしの力量ではそうとしか言いようがなくて申し訳ない限りの話なんです。
「もっと音楽的に評価されたかった」武沢さんは、このアルバムの出来には満足できたのでしょうか。武沢さんビイキのわたくしには、これ以上できないくらいの力の入れ具合が武沢トーンに載って聴こえてくるようです。ただ、それが「評価」されるかされないかは、結局はリスナーの勝手ですので、きっと苦しかったのではないかと思います。
安全地帯こそが英米のベテランバンドと並び立つことのできる、数少ない日本のバンドだと、わたくしは信じております。次回以降、そんな彼らの入魂のアルバム『抱きしめたい』を一曲ずつ語りたいと思います!
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安全地帯の映画ですか。誰か演じるかが大問題ですが、できたら是非観たいですねえ。クイーンの映画で若い人がだいぶファンになったようで、わたくしにもクイーンのことを訊いてくる人まであったくらいです。安全地帯の映画なんかできたら、わたくし質問攻めかもわかりません(笑)。ハッハッハまあきみたち落ち着きたまえ、とか言いながらテキトーなことをしゃべくるに違いないのです。
川村さんというのはケンさんのことですかね。あの人すごいですよねえ、ホントに当時のような音とテンションで曲を再現してくれるので、安全地帯の世界に違和感なくハマりこむことができます。ああいう人こそが名プレイヤーというべきなんだろうなと思います。
『安全地帯III』はどれだけ聴いたかわからないくらい、もう完成してるじゃんと思わされるんですが、次の『安全地帯IV』を完成というならたしかに途中です。でもギターバンドとしてはこっちのほうが好きですねえ。
安全地帯Bは、本当に私も大好きなアルバムで、玉置さんはレコーディング期日まで残り1週間でハッピネス、恋の予感以外の曲のアイデアが一気に湧いて、まとめたそうです。恐るべし集中力と作曲家玉置浩二。
このアルバムとライヴエンドレスが一番ドラムを練習したかも知れないくらい、聴きまくったアルバムです。声もドラムもアンサンブルも皆、頂上に向かう丁度6〜7合目辺りの景色?勢い、艶、人気が爆発する手前の頃だったと思います。そういえばベースの六土さんや、サポートキーボードの川村さんも推してました。先ほど、お墓参りに行く車の中でも久しぶりに大音量で聴きましたが全然色あせてません。
日没に合わせて「夕暮れ」なんていいですねー。「あの頃へ」で雪が舞うなんて、これ以上ない演出です。そして甲子園に大雪山が映し出された!わたくし普段はすっかり忘れている道産子としての郷土愛をくすぐられています。道産子は甲子園で普段悔しい思いをすることが多いものですから(笑)、なんだか不思議な感覚です。
生のライブは本当に、音圧がビリビリ来て痺れますよね。安全地帯のサウンドが全身を打つあの感覚は、人を夢の世界に誘います。こればかりはCDやDVDではどうにも再現できません。人生であと何回味わえるのか……あー、どうしても行きたくなってきました。
ネットのレポートも少し拝読しました。あまり知らなかったのに涙が出た、虜になったとお書きになる方がいらして、そうだろうそうだろう、さあキミもこっちの世界に来るんだと先輩風の暴風を吹かしたくなって仕方がありません。でもあんた甲子園行ってないじゃんと言われて凹みそうなので自重しなくてはなりません(笑)。
もう3日経ちますが、何だか身体がフワフワして(笑)、あれが現実だったのか夢だったのか、よく分かりません(現実なんですけど)。そんな感覚に陥ったライブでした。開演時間が少し遅れ、待っている間にすでに込み上げてくるものがありました。やっとこの場に来れたんだ!って。
もう曲のリストがネットのニュースに出てるので詳しくは書きませんが、生で聴くと凄いですね。迫力を肌で感じられて映像とは全く違う。
昼間、暑く感じられた太陽が徐々に傾き、ちょうど甲子園のアルプススタンドに隠れた夕方に武沢さんの『夕暮れ』が! これも、生で聴けるなんてもう最高です。(大型モニターに映った、武沢さんの滑らかな運指をうっとりと見ていました)
炎が立ちのぼり、白い風船が一斉に空に放たれ、大型モニターに映し出される美しい青空や雪の風景。そして雄大な大雪山が映し出されたあとに『あの頃へ』。この時、会場に雪が舞ったのです。素晴らしいライブでした。そして、田中さんは確かにいました!そう思わせてくれたラストでした。
それにしてもこの人達の曲は、玉置さんの歌は、どうしてこれ程までに人の心を揺さぶるのでしょうね。
しかし安全地帯、こんなにライブがウケる時代がまた来るとは……うれしいです。わたくし安全地帯でないのにうれしいです。ジャニーズの大物を、少年の頃から応援していたマダムたちの気分でしょうか(笑)。
ロッドはいいです……ほんとうにいいです。せっかく一番高い席を買ったのに、同じフロアなだけでかなり遠かったりもしましたが、それでも好きです(笑)。セクシーに腰を振る頃より後に聴き始めましたが、うまい具合に枯れていってくれたので、ちょうどわたくしの成長具合にフィットするころでした。例によって同級生は誰も聴いてませんでしたが、それでも、一人だけ好きでした。
関西でありましたね!
Tシャツ持ってます、黒字にロッドの写真がプリントされてる青っぽい絵柄の。
I'm sexyめっちゃ好きです。
玉置さんじゃないけど明日死ぬかも?て思ったら
楽しいことが、昔より好きになりますね〜。
私、玉置さんソロの、いいかおで の、病気になっても遊ぼ♪って歌詞がすごい好きです。
ご病気されたのですね。どうかお大事になさってください。大病したことがないものですから、どんなお気持ちで安全地帯をお楽しみなのかは想像するしかございませんが、ぜひ今後も楽しく聴いてまいりましょう。
関西は安全地帯だけ聴きにいくのはちょっともったいないくらい、よりどりみどりの面白スポットがありますね。さすがにわたくし高速バスは体力的にやや厳しいトシになりつつありますが(笑)、若い方で、新幹線代を節約されてでもいろいろ楽しもうとお考えの方にはオススメですね。また、今もあるのかわかりませんが、大きくグルッと回れば安くなる切符を使って、新幹線と在来線を織り交ぜたコースでコンサートに出かけたものです。安全地帯でなくて、アイアンメイデンとかロッドスチュアートとかですが。
甲子園は伝説になる予感がぷんぷんしますね。
一昨年、病でちょっと倒れたので、
明日死んでも後悔しないように
やりたいことは、やっとこうと思いました!
(と言う感じで、関西でやるコンサートはいけるだけ
ガンバります。)
病気じゃなくて事故で死ぬかもしれないし……
安全地帯の活動状況からは、コンサートは
無理かなあ、て、おもっていたら、やることに
なったので、
めちゃくちゃ嬉しい…。
抽選〜。お願いあたって〜。
関東からだったら、高速夜行バスとかで往復したら、
費用も安く押さえられます。
神戸行きとか、大阪行きとかたくさんありますし。
興味があれば、USJなどもついでに楽しまれても良いかも。
ぜひご検討くださいませ!
冗談抜きで、スタジアムライブはもうないかもわかりませんしねー。2000人ホールがベストと信じるわたしでも、悩むくらいです。
ずいぶんコンサート行かれるんですね。これはすぐ常連さんになりそうです。いつかどこかの会場ですれ違うかもわかりませんね。甲子園、あんなに大きいのに抽選になるんですか、それは予想してませんでした。球児として行くより難しかったりしたら驚きです。
もうお気づきかもわかりませんが、あのドラキュラ的な人は、玉置さんです。「誰だ」「ともだちだよ」なんて、とんだ茶番なんですが、それさえも何か暗示たっぷりの雰囲気を醸し出しているんですから、勢いがあるってすごいことですね。
歌声で船乗りを惑わす水の精。
まあ、銀河鉄道の全てを飲み込む暗黒系もあながち……
ふふふ。甲子園、まさに地元っ!
嬉しすぎます!
がんばって抽選に申し込みます!
なんか、タイトルのさよならゲームって最後みたい?って
思いましたが違うみたいなので安心しました。
今月はロマーシカがあるし、年末までソロ二回、ワタユタケもチケット押さえましたし…
さすがに追加公演は諦めましたが。
甲子園、行けたら、わが生涯に一点の曇りなしぃぃ!状態かも。
One Nightのビデオのなかで、
ドラキュラ?が出てくるあたり、意味深でしたね。
ドレスのせいばかりじゃないだろうが (?)
当時の玉置さんの心情かなあ。
孔雀の羽をつけられたカラスのような。
ストレスきつそうって感じがします。
その中であれだけ 大役 を演じられるなんて
本当にすごい。
ワーカホリックに仕事を死守するサラリーマンみたいです。
安全地帯は神業バンドでしたので、ライブはもちろんテレビでもバッチリでした。ただ、玉置さん以外はカラオケに併せてエアが多かったように記憶しています。そりゃー、忙しい中、スタジオでのリハもろくにできないでしょうから、当然といえば当然ですけども……。
One Night Theaterご覧になったのですね。肩パットはもちろん定番でしたね。今みると玉置さんガンダムみたいです。
ギターとドラム、は、インストゥルメンタル1ですね。あれは珍しい映像です。玉置さんは袖で何かお飲みになられているのでしょう。玉置さんだけ観たい人には要らないコーナーですが、わたくし大好物です。インストゥルメンタル2も、アニメと寸劇を混じえたよくわからない演出がありつつも、雰囲気たっぷりです。
そうそう、今度、甲子園でスタジアムライブをするそうですよ!陽水さんとの神宮以来だと思いますから、もし関西にお住まいならおでかけになられてはいかがでしょうか。これを逃すとスタジアムはもうない可能性がありますので、わたくしも苦悩中です(笑)。
Youtubeでたまに切り取ったのがありましたが
通しで見るとビジュアルインパクト、すごいですね。
ジョジョの黄金の風みたい。
あの服のセンスはスゴいです。
体型が細すぎる感じもあるので、あーゆーパッドいりの服でごまかしてるのかな。
客席に男性の方も割といたのが意外でした。
観覧車のライトがクルクルするところの、
ギターとドラム、迫力ですた〜。
最近は、演奏ずれないように、みんなイヤホンで
音を拾うですが、
この当時はなかったですね。
ライブだと、音がずれたり微妙にはずれたりする歌い手さんが多かったはずですが、
耳になんも入れてないのに、録音されてるものと変わらないレベルで演奏されて歌ってる。
これはすごいと思います。
歌声もやばいです。
玉置さん、男版 サイレンの魔女ですねぇ。
次はアンプラグド ライヴを狙おうかと思います。
これにしとけの一枚かも〜。
このアルバム、好きです。