『安全地帯III 抱きしめたい』三曲目、「Happiness」です。
この曲は、フェイドアウトでなく、きっちり終わりまで演奏してますね……って、いきなり終わりの箇所から始めるのは変な話なんですが、個人的に、フェイドアウト嫌いなんです。もっと聴かせて!まだ納得できない!と思いますんで。だから、全曲きっちり終わらせてくれるライブ盤のほうが好きなんです。
さてこの曲は……アルバム紹介でも書かせていただきましたが、「眠れない隣人」的ポジションの楽し気な曲のはずなんです。
「8分」「Happiness」「発奮」と、ことば遊びも絶好調ですし、
「Happiness Happiness」というノリのいいサビも覚えやすいですし
田中さんもハンドクラップなんて使っちゃってますし
……でもぜんぜん楽しげじゃないんですよね、この曲。「おおー!」「いえーい!」「ひゃっほー!」という気分には全くなれない曲です。せいぜい「……フフッ」ですよね。哀愁さえ感じさせる、爽快感とは無縁の感慨が抑えきれません。
そして、おそらくこれは意図的に爽快感を削ぎ落としています。この曲は、「眠れない隣人」的なポジションにありながら、「眠れない隣人」的な役割をぜんぜん担わせようとしていないところに、新しいアルバムにおける挑戦がみてとれるようです。あれほどの成功を収めた『安全地帯II』と同じようなアルバムを作っておけばいいのに!セールス的には!安全地帯はそんな楽な道を選ばなかった、もしかしたら眼中にすらなかったのかもしれません。
松井五郎さんの『Friend』には、このアルバム制作時の、玉置さんの私生活に関することがいろいろと記されています。もちろん、そうした私生活上のあれやこれやが曲作りやサウンドに影響したと考えることもできるでしょう。むしろ、まったく影響がないと考えるほうが不自然でもあります。そうしたことさえも音楽の凄さという形で表現できてしまう玉置さん、安全地帯というバンド、といったほうがいいのかもしれません。
…と、曲以外の話はたいがいにして、
この曲も、たいがいに難しいですね…中学生や高校生のバンドにコピーさせる気はさらさら感じられません(笑)。ひとつひとつが難しいわけじゃないんですが、合わせて演奏するのが難しいんです。
イントロやAメロBメロは、玉置さんがささやき声っぽく歌ってるほかは、よくある安全地帯です。つまり、役割分担の練り込まれたツインギター、ひたすら堅実で、20代にしてすでに老獪ささえ感じさせるリズム隊で構成される見事なアンサンブルです。
サビに入ると、バラード以外ではあまりみなかった、ツインギターによるアルペジオ……いや、この何とも言えない、リズムのアクセントが小節の枠を超えて移動していく感じ…のフレーズを、ツインで披露してくれます。玉置さんが歌うサビという、ある意味ギターのフレーズがぜんぜん目立たないところで(やたら音が追いづらいところで)。ここ、いまだにちゃんとコピーできません。矢萩さんと武沢さんがどんな音程で弾いているのか、どうやったらこんな音になるのか、とても謎です。それっぽくは弾けるんですが、あくまでそれっぽいだけです。コピーの苦労はさておき、玉置さんの歌と、このツインギターのフレーズが、わたくしにとってたまらない聴きどころになっているんです。ぜひ、サビ時のギターに耳を澄ませてお聴きになってみてください!
さらに矢萩さんは、とてつもないハードなソロをぶちかましてくれます。コード進行が単純ですから、もう、ここで弾いちゃうぜ!というあたりのポジションでひたすらトリル、ひたすらハンマリングです(笑)。よくまあ、こんな過激な音で過激なフレーズを、こういう曲に合わせてきますね……このセンスには、まさに脱帽です! 後からいろいろな音楽を少しずつ聴くようになってから、安全地帯はけっして普通じゃないんだということを知ったわたくしですが、安全地帯ばかり聴いていると、こういうソロがあることにも驚かなくなってしまいます。それは危険です(笑)。武沢さんがおっしゃる「画期的」の意味が分からなくなってしまうのです。
ところで、「ジキルに戻れないハイド」は、とても辛い運命を背負っています。凶暴で残酷なハイドと、自分の中の暗い衝動に葛藤する紳士のジキル博士の物語は、やがてハイドになりたい自分となりたくない自分、なってはいけないと思いつつハイドになってしまうジキルの苦悩を描き出します。
この歌で「Happiness」が、甘美な響きでありつつも、禁断の果実的に扱われているのは、「ハイドとなって思う存分、悪に染まる快感」に近い恍惚がイメージされるからかもしれません。
価格:1,545円 |
パロディーですか……そんな国民的って感じではなかったように思いますけど、そんなふうに描かれることがあったのですね。ちらっと見てみたいです。
見た場合、田中さんがダントツ好みです。
玉置さんは、きっと男女関係なく、当時はえげつなくヤバい感じがします。
お年を召して、すこし枯れた(めっちゃ失礼ですが)
今ぐらいが丁度、フレンドリーかも。
話変わりますが、すごい古い織田裕二さんのコメディ映画(卒業旅行 日本からきました)で、安全地帯のパクりだろう、という歌手が、国民的人気グループという設定でした。
パロディになるくらい人気あったんですねぇ。
田中さんがシェーカーを振っているなんて、それはわたくし泣いちゃいますよ!(笑)。
時間制限厳しそうな危ない恋。
で、割りと真面目そうな俺(ジキル)?と、
誘惑するしされてしまう俺(ハイド)を
行ったり来たり時計の振り子。
浮気の相手は、古いレディ、
以前は、レディ(淑女)だったけど、
堕ちちゃったレディかな……なんてね〜。
両方とも既婚者。
煙たい暗いバーの片隅で。
何故か田中さん 笑 が、シェーカー振っていて、
handclapぽい音がします。
というイメージで聞いてました。
ライブのほうが、お茶目な感じがしますね。