手順は、以下のとおり、いたってシンプルです。
@ 日英のプロジェクトを作り、言語方向が同じ日英メモリを AnyTM として追加する。
A 英日のプロジェクトを作り、 @で使った日英メモリを AnyTM として追加する。
ポイントは、@のステップでも AnyTM を使うことです。言語方向の同じメモリを追加するので通常のメモリとしても追加できてしまいますが、AnyTM として追加します。日英と英日の両方のプロジェクトでメモリが AnyTM として設定されている状態を作ります。こうすることによって、両方のプロジェクトで同一のメモリを更新し、参照できるようになります。
AnyTM の仕組み
メモリを AnyTM として追加すると、以下のように 「anytmreverse」と付いたメモリが自動的に作成されます。Trados がやってくれる処理は単純で、この AnyTM メモリと元のメモリを常に同期するというものです。つまり、元のメモリに訳文を入力すると、自動的に AnyTM メモリにも訳文が追加され、同様に AnyTM メモリに訳文を追加しても、元のメモリにも訳文が追加されます。
@ 日英プロジェクトに、日英メモリを AnyTM として追加する
まず、日英プロジェクトに、言語方向が同じ日英メモリを AnyTM として追加します。追加する方法は簡単です。[使用] メニューから「AnyTM」と表示があるものを選ぶだけです。
ここで、1 つ注意する点があります。言語方向が同じメモリは AnyTM として追加はできますが、追加しても「anytmreverse」メモリは作成されません。言語方向が同じなので確かに不要なのですが、この状態で翻訳作業をしても普通に日英メモリに訳文が貯まっていくだけで、AnyTM メモリは作られません。
A 英日プロジェクトに、日英メモリを AnyTM として追加する
英日プロジェクトに、@で追加した同じ日英メモリを AnyTM として追加します。今度は、プロジェクトの言語方向とメモリの言語方向が違うので、追加した時点で AnyTM メモリが自動的に作成されます。AnyTM メモリが作成されれば、準備は完了です。
試してみます
では、少しだけ試してみましょう。
日英プロジェクトで以下の文を訳して、メモリに登録したとします。
原文: 日本語 設定ファイルを作成してください。
訳文: 英語 Create the setting file.
その後、英日プロジェクトで「I heard the request "Create the setting file".」という文を訳そうとしてメモリを検索すると、「Create the setting file」の対訳がメモリに見つかります。便利です!!
反対の方向も同様に機能します。英日プロジェクトで以下の文を訳して、メモリに登録したとします。
原文: 英語 Delete the temporary folder.
訳文: 日本語 一時フォルダーを削除してください。
日英プロジェクトに移動して、「一時フォルダーを削除する件、OK です。」という文を訳そうとすると、「一時フォルダーを削除してください」の対訳が表示されてきます。
今回は以上です。英日と日英の双方向で訳したい場合は、実はもう 1 つ「多言語構成の原文の翻訳」という機能もあります。上で説明した方法は、英日と日英でファイルが分かれていることが前提ですが、同一のファイルに英日と日英が混在する場合は、こちらの方が便利です。詳しくは、また次回!
タグ:AnyTM 多言語構成の原文の翻訳
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