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夜汽車にゆられてふるさとへ

 私がDoc Watsonを聴いていたのは、多分90年代初め頃だと思います。
 もう20年が経ったわけですが、実感はありません。

 このアルバムは、当時、よく聴いていたものの1枚です。
 当時の私が特に気に入っていたのは、ヴァンガード盤では"Good Deal! Doc Watson In Nashville"、シュガーヒル盤では"My Dear Old Southern Home"と、このアルバムでした。

 
Riding The Midnight Train
Doc Watson

1. I'm Going Back To The Old Home (C.Stanley)
2. Greenville Trestle High (Trad.)
3. Highway Of Sorrow (P.Pyle, B.Monroe)
4. Fill My Way With Love (arr. Doc Watson)
5. We'll Meet Again Sweetheart (L.Flatt, E.Scruggs)
6. Riding That Midnight Train (R.Stanley)
7. Stone's Rag (arr. Doc Watson)
8. Ramshackle Shack (W.Mainer)
9. Midnight On The Stormy Deep (arr. Doc Watson)
10. Baby Blue Eyes (J.Evanes)
11. What Does The Deep Sea Say (J.Mainer)
12. Let The Church Roll On (A.P.Carter)
13. Sweet Heaven When I Die (C.Grant)

 このアルバムは、86年にリリースされたもので、レコーディング・メンバーは以下のとおりです。

Doc Watson : guitar & vocals
Merle Watson : guitar & clowhammer banjo
T.Michael Coleman : bass & harmony vocals
Sam Bush : mandlin
Mark O'Conner : fiddle
Bela Fleck : banjo
Alan O'Bryant : guitar & harmony vocals

 Doc Watsonは、ブルーグラスのギタリスト(当時の)に大きな影響を与えたのは間違いないですが、自身ではブルーグラスに特化して取り組んだアルバムは、当時あまりありませんでした。

 Docといえば、私には、フォーク・ブルース、マウンテン・バラッド、セイクレッド・ソングなどのイメージが強いです。
 
 そんな中、このアルバムは、新しい波ともいうべき奏者たちとともに、初めてブルーグラスに真正面から向き合ったアルバムだったのだと思います。

 レコーディング・メンバーは、当時でも既に一流の評価を得ていた人たちだと思いますが、現在は相当ビッグ・ネームになっているのではないでしょうか。

 私は、ブルーグラスに詳しくないですが、ベラ・フレックの名前は、近年よく目にします。
 マーク・オコーナーは、当時から最高のフィドラーであり、ギタリストだと思っていました。

 サム・ブッシュは、今どうしているんでしょう。
 エミルー・ハリスと一緒にやっていた時期があったように記憶していますが、それももう10年以上前かも知れません。
 また、ここには名前がないですが、ドブロのマイク・オールドリッジも懐かしいです。

 私は、気に入った曲の原曲を探すのが好きですが、ブルーグラスはさほど追っかけてはいません。
 ここでは、スタンレー・ブラザーズや、ビル・モンローなど大御所の曲が演奏されています。
 また、全ての原点ともいうべき、カーター・ファミリーの曲もあります。

 でも、私が初めて本作を聴いたとき、真っ先に夢中になったのは、"We'll Meet Again Sweetheart"でした。
 Flatt & Scruggsの名作です。

 私は、すぐにフラット & スクラッグスのマーキュリー音源を入手したように思います。
 個人的には、この曲は、"Someday We'll Meet Again Sweetheart"という表記で呼びたいです。

 いつかまた ぼくたちは巡り合う
 そして 二度と離れることはないんだ
 だから 泣かないで
 今はお別れだけど ブルーにならないで
 どうか ぼくの言葉を忘れないで
 夜ごとぼくは祈る 恋人よ
 いつかまた、ぼくたちは巡り合う

 最高の演奏と、最高の歌唱がここにあると思います。
 私は、オリジナルより遥かに好きです。

 ドック・ワトソンの新作を追わなくなって、相当たちました。
 最後に買ったのは、"Docabilly"だったと思います。
 調べたところ、何と95年リリースでした。

 おそらくは、きっかけさえあれば、またドック熱がぶり返すのは間違いないと思います。
 今回、本作を聴き返して、胸騒ぎを感じています。

 やはり、「いいものはいつまでもいい」のでした。


Riding The Midnight Trainです。




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ドックが好き



ロックン・カントリー

 このジャケットはインパクトありますね。
 70年代のabc-Dot時代のアルバムの中では一番でしょう。
 手に取らずにはいられない、そんな秘めた魔力を感じます。


Rock'N'Country
Freddy Fender

Side 1
1. Vaya con Dios (Inez James, Buddy Pepper, Larry Russell)
2. You'll Lose a Good Thing (Huey P.Meaux, Barbara Lynn Ozen)
3. I Need You So (Mclain)
4. Mathilda (George Khoury, Huey Thierry)
5. My Happiness (Borney Bergantine, Betty Peterson)
6. Just Out of Reach of My Two Open Arms (Virgil F.Stewar)
Side 2
1. The Rains Came (Huey P.Meaux)
2. Take Her a Message (Huerta)
3. Since I Met You Baby (Ivory Joe Hunter) 
4. Big Boss Man (Luther Dixon, Al Smith)
5. I Can't Help It If I'm Still in Love With You (Hank Williams)

 これは、Freddy Fenderにとって、メジャー3枚目のアルバムになります。
 76年にリリースされたもので、Freddy Fenderの絶頂期、キャリアを代表する1枚でしょう。

 事実、後々まで彼の重要なレパートリーになる曲が、収録されています。
 まず、Barbara Lynnの"You'll Lose a Good Thing"(涙の片思い)と、Cookie & his Cupcakesの"Mathilda"です。

 Ivory Joe Hunterの"Since I Met You Baby"もありますね。
 この曲は、60年代にも吹き込んでいますから、Freddyのお気に入りなのでしょう。

 いずれもこの後、繰り返し録音することになる定番曲ですが、やはり、ここに収録されたバージョンが決定打だと言いたいです。
 とにかく、キャッチーな伴奏が素晴らしく、最高のポップ・ソングだと思います。

 先の2作に続き、Huey P.Meauxの制作です。
 バックは、Mickey Moodyおじさんを中心とする、お馴染みのシュガーヒル・スタジオの職人たちです。

 すべてが素晴らしいですが、Side1では、まず冒頭の"Vaya con Dios"の魅力に惹きこまれます。
 原曲は、古いポピュラー・ソングだと思われますが、50年代始めのLes Paul & Mary Fordのデュオ・ヒットが知られています。

 Freddy盤は、スペイン語での歌唱が最高に決まっていて、イントロから女性のバック・コーラスが始まる瞬間、何度聴いても期待で胸が一杯になります。
 日常を離れた夢の世界への誘いです。
 これはもう、70年代アメリカン・ポップスの宝と言ってしまいたいです。

 その後、有名曲が続き、踏み入った夢の中を、更に深く分け行らずにはいられません。
 哀愁のスワンプ・ポップ・バラード、"Mathilda"では、からっと明るい、だけど声に泣きを秘めた、Freddy独特の世界観が素晴らしく、これは多くの後輩シンガーたちのお手本になったはずです。
 ちなみに、作者の一人Huey Thierryは、Cookie & CupcakesのCookieの本名です。

 デビュー前のエルヴィスが、母へのプレゼントに吹き込んだ"My Happiness"を経て、Side1のラストは、"Just Out of Reach of My Two Open Arms"へと続きます。
 ここでは、それまでのオーソドックスな王道ポップス路線から少し舵を切って、軽く冒険を試みています。

 ソロモン・バークもジェントルに歌ったスタンダードですが、ここでは、「ンチャ、ンチャ」とレゲエ・ビートに乗せて、ウォーキング・テンポで歌っています。
 執拗にビートを刻むサイド・ギターに、もう1本のギターとドラムスのコンビが、ねちっこく絡むグルーヴが面白いです。

 さて、Side2は、Heuy P.Meaux作の"The Rains Came"でスタートします。
 歯切れのいいテンポで、明るくはずむようにFreddyが歌います。
 蕩けるようなフレーズで寄り添うスチールが、まるでデュエットの相方のようによく唄っています。

 この曲は、Doug SahmもSir Douglas Quintetでやっていました。
 ほんわかリズムのCralence 'Frogman' Henry盤もあります。

 ポップなFreddy盤もいいですが、ガッツが感じられるQuintet盤もいいです。
 ところで、昔から気になっていることがあるのですが、この曲のオリジネイターは誰でしょう。
 やはり、Big Samboとかいうシングル・オンリーの人でしょうか。

 かつて、Ivory Joe Hunterの日本盤で、Big SamboをおまけでいれていたCDがあったはずですが、買い逃しました。


 続くFreddyの自作、"Take Her a Message"がまたいい曲で、この時期は何をやってもいい感じです。
 
 そして最後は、Jimmy ReedとHank Williamsで締めです。
 "Big Boss Man"では、Jimmy Reed盤よりもテンポを上げて快調に飛ばします。

 Jimmy Reedは、John LeeやMuddy以上に、ルイジアナ・ブルースに影響を与えた存在でした。
 FreddyもJimmy Reedが好きに違いありません。
 モダンなピアノとブルージーなギターに、フィドルが混ざるさまがケイジャンぽいです。

 ラストの"I Can't Help It If I'm Still in Love With You"では、自分とは別の人を選んだ恋人へのつらい気持ちをしっとりと歌い上げます。
 手垢のついた素材ですが、ポップでありながらも、コマーシャルすぎない仕上がりは、この時期ならではのクオリティの高さだと思います。

 前作の流れをくみつつも、新しい試みへのチャレンジにも取り組んだ、素晴らしい1枚だと改めて感じました。



The Rains Cameです。




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テキサスの腕利き野郎ども

 とても良かったです。
 この人を聴くのは初めてですが、長く活動していたシンガーのようです。
 このアルバムは、Asleep At The WheelのRay Bensonともう一人の制作で、96年にリリースされました。


Texas Top Hand
Don Walser

1. Texas Top Hand (Ray Benson, Don Walser)
2. Tumbling Tumbleweeds (Bob Nowlin)
3. Whose Heart Are You Breaking Now (Floyd Jenkins)
4. Wine Me Up (Faron Young, Billy Deaton)
5. Weary Blues From Waiting (Hank Williams)
6. Signposts Of Life (Don Walser)
7. You Walk By (Don Walser)
8. Divorce Me C.O.D. (Merle Travis)
9. Whispering Pines (Mahlon Merrick)
10. Mexicali Rose (Jack Tenney, Helen Stone)
11. Big Blue Diamonds (Earl 'Kit' Carson) 
12. Danny Boy (Trditional)

 ジャンル分けすれば、ウエスタン・スイングになると思いますが、このDon Walserという人には、他のシンガーと違う大きな特徴があります。
 それは、彼がJimmie Rodgersのような、ブルー・ヨーデラーだということです。

 ボーカルは、テナー〜バリトンですが、カントリーによくある鼻にかかった歌い方は控えめで、朴訥とした、何ともオールドタイミーな雰囲気を持った歌いくちが魅力的な人です。

 やっているレパートリーのせいもあるのでしょうが、私は、ドック・ワトソンを連想しました。
 また、伝統的なホンキートンク・ナンバーでの歌声からは、Johnny Bushを思い出します。

 本作は、95年にオースティンで録音されました。
 主要なレコーディング・メンバーは以下のとおりです。

Don Walser : Vocals
Johnny Gimble : Fiddle
Jason Roberts : Fiddle
Cindy Cashdollar : Lap Steel, Weissenborn
Lucky Oceans : Pedal Steel
Ray Benson : Guitar
Rick Mcree : Guitar
Floyd Domino : Piano
Tim Alexander : Accordion
Michael Francis : Saxophone
Bob Meyer : Trumpet
David Sanger : Drums
David Miller : Bass, Guitarron  

 私が知っている名前をチョイスして書き出したせいもありますが、ほとんどがRay Benson人脈の人たちです。

 フィドルのJason Roberts、ドラムスのDavid Sangerは、Asleep At The Wheelの現メンバーで、Jasonは、ときにRay Bensonに代わってリード・ボーカルもとるバンドの主要メンバーです。
 また、David Sangerは、Asleepの要ともいうべき、ベテラン・ドラマーで、数年前に加入した女性ボーカルのElizabeth McQueenの夫でもあります。

 スチール・ギターのCindy Cashdoller、Lucky Ocean、ピアノのFioyd Dominoは、Asleepの元メンバーで、CindyとFloydの二人は、脱退後も、しばしばRay Bensonの仕事にゲスト参加しています。
 Lucky Oceanは、Asleepを作った人といってよく、バンドの初期にはRay Bensonよりも中心人物だった人です。

 そして、Jonhny Gimbleは、元Bob Wills & his Texas Playboysのメンバーで、Asleep At The Wheelの立ち上げのころから、頻繁に活動を共にしている、テキサス・フィドルの第一人者です。

 さて、アルバムは、Asleep勢の協力のもと、快調なウエスタン・スイング調でスタートします。

 冒頭の"Texas Top Hand"は、Don Walserからの「Good Yodel Songが欲しい」という願いを受けて、Ray Bensonがアイデアの大半を出し、Don Walserが味付けをして出来上がった曲だそうです。

 定番のサウンドでスタートしますが、中盤でDonの最大の見せ場、聴かせ場があります。
 この曲では、得意のメランコリックなヨーデルをたっぷりと聴かせてくれます。

 "Whose Heart Are You Breaking Now"は、私はすぐに思い出せないのですが、Donのライナーによれば、Bob Wills Songだとのことです。
 ビッグ・バンド・ジャズのサウンドに乗せて、最高にスイングするカントリー・ソングが演奏されます。
 オールドタイムな雰囲気も素晴らしいです。

 "Wine Me Up"、"Weary Blues From Waiting"は、いずれもホンキートンクの古典曲で、Asleep勢が最高のアンサンブルを聴かせます。
 このあたりの選曲は、Donがやりたいと主張したのでしょう。
 私の好みでは、フロイド・ティルマンの軽快な"Wine Me Up"が特に好きです。

 Donのオリジナルは、曲調は違っても、いずれも伝統的なホンキートンク・スタイルで、スモール・コンボ的な抑えたサウンドの中、Dave Sangerの乾いたドラムの音が印象に残りました。
 
 続く"Divorce Me C.O.D."は、マール・トラヴィスのナンバーです。
 気持ちよく歌うDonのボーカルにのせて、フィドル、スチール、ピアノが素晴らしいハーモニーを奏でます。
 特段、トラヴィス風ピッキングが強調されていないのが唯一さびしいです。

 そして、ジョニー・ホートンの美しいバラード、"Whispering Pines"を経て、本作で最もトラッドな雰囲気を醸し出している、"Mexicali Rose"へと続きます。

 この曲は、作者名がクレジットされていますが、限りなく伝承歌に近い曲ではないかと思います。
 多数のシンガーがやっている曲ですが、私が、このバージョンを聴いてすぐに連想したのは、ジミー・ロジャースの「マイ・キャロライナ・サン・シャイン・ガール」でした。

 のどかなビートにのせて、Donがろうろうと歌う、美しいワルツです。
 アコーディオンとトランペットが、最高に雰囲気を盛り上げています。
 デキシーランド・ヒルビリーとでも呼びたいです。

 次の"Big Blue Diamonds"は、50年頃に書かれたカントリー・ソングらしいですが、私は、Clint Westというスワンプ・ポップ・シンガーで親しんできた曲です。

 50年代から、幾人かのヒルビリー・シンガーに歌われてきたようですが、どうも、63年のGene Summersというロカビリー・シンガーのバージョンで広く知られるようになったようで、ほぼ同じころに、R&BのLittle Willie Johnが吹き込んでいます。

 ジーン・サマーズのバージョンは、そのままClint Westに引き継がれたといってよく、ロカビリーぽさは微塵もない、感傷的なバラードに仕上がっていました。

 この曲は、たくさんの人がやっていますが、近年では、伝統的なカントリー・アレンジでやった、ヴァン・モリソン盤が聴きものです。 
 本作では、明るいアレンジで、Donが勢いよく歌い飛ばしています。
 やはり、Sangerの乾いたドラムの音が印象に残ります。 
 
 そして、ラストは、トラッドの"Danny Boy"です。
 この曲は、どうもDonの親族の個人的な境遇を思いながら歌っているらしく、優しく語りかけるように歌うDonの歌声が、しみじみと胸に迫ります。
 
 Don Walserは、写真での印象より、ずっと若々しい力強い歌声が魅力の人だと感じました。

 Don Walserは、34年生まれ、50年代から活動していたようですが、最初のアルバムが出たのは90年代のようで、06年に72歳で天に召されました。


Shotgun Boogieです。





セオドア・テイラー、もう一回

 先だって、英Kentからリリースされた、Ted Taylorのレア音源集は、なかなか楽しめました。
 そのアルバムを聴く前に、一応既発CDで予習していたのですが、予習の候補にしながらも、結局スルーして聴き返さなかったアルバムがありました。

 今回は、そんな1枚を改めて聴いてみたのですが、予習するなら、こちらにすべきだったと強く思いました。


An Introduction To Ted Taylor
Ted Taylor

1. Days Are Dark (Taylor)'65 Jewel 748
2. Everywhere I Go (Taylor)'66 Jewel 774 
3. Without a Woman (Quin Ivy, Drew Miller, Dan Penn)'67 Ronn 25 
4. Strangest Feeling (Spooner Oldham, Dan Penn)'69 Ronn 29
5. I'm Gonna Send You Back to Oklahoma (Taylor)'69 Ronn 33
6. Long Ago (Buddy Killen, Dan Penn)'69 Ronn 33
7. The Road of Love (Clarence Carter)'69 Ronn 34 
8. It's Too Late (Chuck Willis)'69 Ronn 34 R&B#30
9. I Feel a Chill (Maxwell Davis, Day)'69 Ronn 40
10. Something Strange Is Goin' on in My House (McQueen, Williams)'70 Ronn 44 R&B#26
11. It's a Funky Situation (McQueen, Williams)'70 Ronn 46
12. How's Your Love Life Baby (Miles Grayson, Bobby Lexing)'71 Ronn 52 R&B#44
13. Only the Lonely Knows (Taylor)'71 Ronn 57
14. What a Fool (Taylor)'73 Ronn 72 R&B#93 
15. Be Ever Wonderful (Malone, Mtyka,Scott)'77 Ronn 112 

 この編集盤は、米Fuelからリリースされたもので、Jewel、Ronnのシングルからチョイスした内容になっています。
 先に触れた英Kentのレア・リイシュー盤とは関連が深そうです。

 収録曲は、リリース年だけで判断する限り、10年間くらいに渡っていて、多分、様々なスタジオで録音されたものだと思われますが、作者クレジットを見ると、かなり興味深い内容のように思います。

 まず、改めて通して聴いて思ったことは、ブルースの印象が強いことです。
 例えば、冒頭の"Days Are Dark"は、Ted Taylorの自作ですが、まるでJunior Parkerのデューク録音かと思わせるような曲で、アグレッシヴに駆け回るギターもそれ風で、雰囲気満点です。

 "Strangest Feeling"、"How's Your Love Life Baby"、"What a Fool"などは、ひとくくりには出来ませんが、それぞれ聴かせるブルースだと思いました。
 "Strangest Feeling"は、Spooner Oldham、Dan Pennというサザン・ソウルの名ライター・コンビの作品です。

 サザン・ソウルといえば、他にも、作者クレジットだけでそそられる名前が散見しています。
 "Without a Woman"は、作者がQuin Ivy、Drew Miller、Dan Pennとなっていて、色々とディープ・ソウル・シンガーの名前を連想させるメンツです。
 
 "Without a Woman"は、何といっても、Kip Andersonのチェッカー盤が強烈に印象に残っています。
 あのバージョンを収録したP-VineのLPはどこへしまったのでしょう?
 猛烈に聴きたくなりました。
 作者の一人、Drew Millerは、Drew Bakerの別名で、James Carrの"Pouring Water On A Drowing Man"を書いたソングライターの一人らしいです。
 
 "Long Ago"は、Buddy Killen、Dan Pennのコンビが書いたサザン・ソウル・バラードで、ハートワーミングな雰囲気が良く、和まされます。
 Buddy Killenは、ナッシュビル・カントリーの大物です。

 "It's Too Late"は、Chuck Willis作の大有名曲で、多くのカバーがあります。
 ロック・ファンには、デレク&ドミノス盤でしょう。
 私は、洋楽を聴き始めたころに聴いた、バディ・ホリー盤が印象に残っています。
 ソウル・ファンには、Otis Redding盤でしょうか。
 Ted Taylorは、Okeh時代にも、"Don't Deceive Me"とか、Chuck Willisのカバーを好んでやっていました。

 "Something Strange Is Goin' on in My House"は、シカゴっぽい雰囲気に聴こえる曲ですが、モータウンのフォー・トップスがやりそうな曲で好きな曲です。

 ラストの"Be Ever Wonderful"は、Okeh時代にも吹き込んでいる曲ですが、作者がMalone、Mtyka、Scottとなっています。
 Maloneは、デドリック・マローンのことで、Dukeのオーナー、ドン・ロビーの変名です。 
 この曲は、Dukeのシンガーのカバーでしょうか。
 それとも、Ted Taylorには、Okehの前にDuke録音があるのでしょうか?
 ちなみにOkeh盤は、シカゴ録音らしいです。

 というわけで(?)、やはりTed Taylorは、この頃の吹き込みが特によいと改めて思いました。


Days Are Darkです。



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失われた時を求めて
甲高いだけぢゃない



ジョー・ジャマの音楽と人生

 今回は、Joe Jamaのソロ・アルバムを聴きました。
 多分、この人のことをご存じの方は少ないのではないかと思います。
 私は、この人の曲をあるバンドのカバーで知り、それからずっと本人のフル・アルバムが聴きたいと思っていました。

 流通が少ないのが残念ですが、テキサス、ルイジアナの音楽がお好きな方には推薦したい、最近の私の一押しです。


My Life
Joe Jama

1. Night Train (Jimmy Forest, Oscar Washington)
2. Hopeless Case (Louie Prima)
3. My Life (Joe Perales)
4. What's Goin' On (Marvin Gaye, Al Cleveland, Reynaldo Benson)
5. Ooh Pooh Pah-Doo (Jesse Hill)
6. When Something Is Wrong With My Baby (Issac Hays, David Porter)
7. Come And Get Your Love (Lorry Vegas)
8. Mustang Sally (Bonny Rice)
9. What Does It Take (To Win Your Love) (Johnny Bristol, Vernon Bullock, Harvey Fuqua)
10. Sleep Late My Lady Friend  (Harry Edward Nillson)

 私がJoe Jamaの名前を初めて知ったのは、それほど前のことではありません。
 サンアントニオのテキサス、ルイジアナ音楽大好きバンド、Larry Lange and his Lonely Knightsの、10年リリースの最近作"San Antonio Selenade"で、Joe Jama作の"My Life"のカバーを聴いたのが最初です。

 この"San Antonio Selenade"というアルバムは、Larry Langeが尊敬する先達への抑えきれない愛情を発露した、ファン・レター的なアルバムでした。
 そこでは、彼がリスペクトする先輩チカーノ・シンガーや、メキシコのバンド・リーダーたちへの愛情に溢れるカバーが「ぎゅっ」と詰め込まれていたのです。

 Larry Langeのペンによるライナーには、各曲への想いを綴った短いコメントが記されていて、私は初めて知る名前に、わくわくしながら文章を眼で追ったのでした。

 そんな中に、Larry Langeが"Classic San Antonio Soul Sound"と紹介していた曲が入っていました。
 それが、01年リリースの本作のタイトル・ナンバーである"My Life"です。

 この曲のオリジナル録音は、チカーノ・ソウルのコンピ、"Chicano Soul San Antonio's Westside Sound Vol.3 Sweet Soul Chicano Style! 1961-1970"で聴くことが出来ます。
 このコンピ・シリーズは、そろそろ入手しにくくなりつつあると思いますので、同好の志は、見かけたら速攻Getしましょう。

 Joe Jamaは、チカーノ・シンガーの中でも、とりわけリズム&ブルースに強い影響を受けた人だと思われ、私はこの人を知ってから、Sunny Ozunaに次ぐ存在はこの人ではないか、とまで思うようになりました。

 現在、私のチカーノ・シンガーの推しメンのツー・トップは、Little Joeを押さえて、Sunny Ozunaとこの人です。
 英語でソウルフルに歌う曲が多いのも、とっつきやすいと思います。

 Joe Jamaは、本名をJoe Peralesといい、49年にサン・アントニオで生まれています。
 幼いころから黒人音楽に親しみ、16才のとき、地元のボーカル・グループのRoyal Jestersに加入したようです。

 最初のギグのとき、安ホテルに泊まってはしゃぎ回ったメンバーは、彼のパジャマ姿が滑稽だとからかって、彼のことをジョー・パジャマと呼び始め、それがいつしかジョー・ジャマと短縮されるようになったようです。
 公演では、ベースを弾きながら歌うシンガーです。

 Royal Jestersの音源は、先に触れたチカーノ・ソウルのコンピ・シリーズにも数曲収録されていて、その内Joe Jama在籍時のものが何曲あるのかは不明ですが、1曲だけ"Joe Jama & Royal Jesters"名義のものがあり、興味深いです。

 その曲は69年(Joe 20才)のリリースとなっていて、おそらく、その頃はグループの中で大きな存在になっていたのでしょう。
 翌70年にはソロ名義で、"My Life"をリリースしています。

 さて、本作をかんたんに見ていきましょう。
 曲目をご覧ください。
 それだけで、顔がにやつく方もいらっしゃると思います。
 私もそうです。
 聴く前から期待で胸が一杯になりました。

 冒頭の"Night Train"は、Jimmy Forestの51年のNo.1R&Bインスト・ヒットのカバーで、元々はデューク・エリントンが元祖らしいですが、ここでのジャンプ・アレンジは、明らかにJames Brownのバージョンが元ネタです。
 それが証拠に、JBと同じタイミングで、各地の地名を叫んでいます。
 
 JBは、曲が始まるとまもなく、「マイアミ フロリダ、アトランタ ジョージア、ラレー(Raleigh) ノースキャロライナ !」と叫びますが、Joe Jamaは、「マイアミ フロリダ」のあと、「シカゴ イリノイ、(不明) イーストL.A.、マイホームタウン、サンアントニオ テキサス ! ハッ」と叫んでいて、頬が緩む思いです。
 この曲は、ホーン・リフの鳴りがかっこよく、ノリの良さもあって、一発で虜にさせられました。

 私は、比較するために久々にJBのバージョンを聴いて興奮しました。
 少し前に、この曲からファンクの香りがすると書きましたが、実は聴き返さずに記憶で書きました。
 これは、私の感覚ではファンクではなく、古いスタイルのジャンプ・ナンバーで、私は大好きです。
 実は、私はファンクとか、ファンキー・ソウルとかいったものがよく分かっていません。

 私が快感を感じるのは、横ノリのスイング・ビートで、黒人音楽の根幹だと思っています。
 ファンクが、横ノリのビートを含むのなら、そのスタイルは好きです。
 私には、縦ノリのビートは、退屈でうるさいだけの場合がほとんどです。 

 次の"Hopeless Case"は、クレジットでは作者がLouie Primaとなっていますが、そうなんでしょうか?
 ルイ・プリマは、白人のスイング・バンドのリーダー、シンガーで、私は彼の"Just A Gigolo〜I Ain't Got Nobody"が好きです。

 ルイ・プリマの曲では、近年"Jump, Jive, An'Wail"がネオ・スイング・バンドにこぞってカバーされ、リバイバルしました。
 ブライアン・セッツァー・オーケストラのバージョンが大きなヒットになっています。

 "Hopeless Case"は、Sunny Ozunaがやっていて、自作とクレジットされている場合があります。
 ただ、Sunny Ozunaの(テキサスローカルの)レコードやCDのクレジットは、あまり信憑性が高くなく、迷うところですが、ルイ・プリマ風の曲でないのは確かです。
 はねるリズムを持つ曲で、ニューオリンズR&Bをブリティッシュ・ロック風にやったような感じ(?)に仕上がっています。
 Sunny Ozunaのバージョンもほぼ同じアレンジです。

 ルイ・プリマは、1曲前の"Night Train"をレパートリーにしていましたので、混乱したのでしょうか?
 真相の追及は、後日に預けたいと思います。
 
 次の"My Life"は、先に触れた彼の自作曲です。
 これが彼の代表曲なのかも知れません。
 ノーザン・ソウル風のはつらつとしたアップ・ナンバーで、本作のための新録音が収録されています。

 続く"What's Goin' On"は、言うまでもなくマービン・ゲイの代表作のひとつです。
 ほとんどフェイクすることなく、オリジナルに近いアレンジでやっています。
 スウィートなコーラスが入り、ソウル・ボーカル・グループ風のつくりに仕上がっています。

 ジェシー・ヒルがレイ・チャールズのパターンをいただいた曲、"Ooh Pooh Pah-Doo"に続いて、Sam & Daveの名作メンフィス・ソウル・バラード、"When Something Is Wrong With My Baby"が歌われます。
 ほぼ原曲と同じアレンジで、Loretta Bliueという女性シンガーとデュエットしています。
 ここまでの流れは、もう最高といってよく、気持ちいい音楽のシャワーに身を任せる気分です。
 
 ここで、私にとって馴染みのない曲が初めて登場します。
 "Come And Get Your Love"です。
 ハイ・テナー調で歌っていて、ウキウキするようなノリが素敵な曲です。
 サビでは、Billy Stewart風のフレーズが出てきて楽しいです。

 原曲は、Staxのボーカル・グループ、Tempreesのようで、このグループはチカーノ向けのコンピ・シリーズ"East Side Story"に複数の曲が収録されているグループです。

 チカーノ好みのスウィート・ソウルということでしょう。
 Staxの9枚組シングル・コレクション(第1集)には未収録なので、70年代のグループなのでしょう。
 多分、Staxがフィラデルフィアで契約したか、さもなくばフィリー詣でをさせたグループなんだと思います。
 Five Royalsのカバー、"Dedicated To The One I Love"が代表曲のようです。

 "Mustang Sally"は有名曲ですね。
 オリジナルは、Blue Rock(晩年のJunior Parkerが録音を残したマーキュリー系の会社)から65年にリリースされた、Sir Mack Riceです。
 私は、再録音盤は聴きましたが、今のところ原曲のバージョンを収録したCDを知りません。
 
 ソウル・ファンには、何と言ってもWilison Pickett盤です。
 マック・ライスが、ピケットとデトロイトのボーカル・グループ、The Falconsで同僚だったことはよく知られています。
 この人は、なぜ"Sir"と名乗っているんでしょう?
 Joe Jamaは、ピケットを抑え目にした感じで、メンフィス・ソウル風に歌っています。

 "What Does It Take (To Win Your Love)"は、全く知らない曲です。
 作者名にHarvey Fuquaの名前があり、Johnny Bristolというのは、割と聞く名前ですが、モータウンのシンガーですか?

 ラストの"Sleep Late My Lady Friend"は、Nilssonの曲で、この選曲は以外です。
 この曲を収録したニルソンの69年の1st、「パンディモニアム・シャドウ・ショウ」は、私が初めて買ったニルソンのアルバムでした。

 私は久々に、大好きな「ニルソン・シュミルソン」が聴きたくなりました。
 「ニルソン・シュミルソン」は、初期のバッドフィンガーと共通の匂いが感じられて好きでした。
 ビートルズ・ファンならみんな好きですよね。

 本作は、LA LUZ Recordsというサン・アントニオの会社からリリースされていますが、プロデュースがしっかりしていて、テキサスの会社を見直しました。
 ぜひ、Sunny Ozunaにも、こういったプロデュースで制作してほしいです。

 全体のつくりは、ホーンを中心に、生音を大切したサウンドのように感じられ、好感が持てます。
 これは、キーボード奏者がもう一つの鍵のようで、ハモンド・オルガンをフィーチャーした曲に強く感じます。
 一方、シンセっぽいチャカポコ音を弾いている曲は、少し気になりますが、ここでも力強いホーン陣が頼もしく、チープになることを救っています。

 Joe Jamaは、私にとって新たな強い関心の対象になっています。
 彼が在籍していたRoyal Jestersは、テキサスのローカル・レーベル、Harlem Recordsからシングルを出していて、興味深いです。
 なぜなら、Harlem Recordsは、Doug SahmがSir Douglas Quintetを組む前に、数枚のシングルを出していた会社のひとつだからです。

 当分は、近作もヴィンテージ期も、追いかけたいアーティストです。


My Lifeです。




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可愛い七つの子はフィドル弾き

 今回は、Alvin Crowのソロ・アルバムを聴きました。
 リリースは、多分96年か97年ころだと思います。
 Alvin Crow自身のレーベル、Broken Spoke Recrdsから出されています。
 (流通が少ないと思われますので、見つけたら躊躇せずにゲットしましょう。)

 Broken Spoke(折れた車軸)とは、馬車の壊れた車輪を指すと思いますが、いかにも現代のカウボーイ、Alvin Crowらしいネーミングだと思います。
 ちなみに、彼が経営するクラブ(ホンキートンク・バー?)の名前でもあります。


Texas Classic
Alvin Crow

1. Fiddler's Lady (Alvin Crow)
2. Sands Of Texas (Gene Autry)
3. One Foot In The Grave (Roger Crabtree)
4. Dynamite Dina (Alvin Crow)
5. Turkey Texas (Herb Steiner)
6. Rearview Mirror (Bobby Earl Smith)
7. Chains On Me (Alvin Crow)
8. Nyquil Blues (Herb Steiner)
9. When I Stop Lovin' You (Jesse Ashlock)
10. Foolish Faith (Leslie Simon)
11. Just Dropped By To See The Show (Judy Clark)

 今作の参加メンバーは以下のとおりです。
 
Alvin Crow : Guitars, Fiddles
Rick Crow : Guitars
Don Bacoch : Bass
John Chandler : Drums
Scott Walls : Steel Guitar

 リック・クロウさんは、アルヴィン・クロウの息子さんでしょうか?
 とてもシンプルな編成です。

 アルヴィン・クロウは、Takoma時代のSir Douglas Quintetのメンバーだった人で、当時からギターとフィドルを弾いていました。
 Sir Douglas Quintetのアルバムとしては、"Border Wave"と"Live(Texas Tornado)"に参加して、バディ・ホリーのカバーなどをやっていました。
 ヒーカップっぽいボーカルが特徴的な人です。

 また、ニューローズからリリースされた覆面バンド、"Texas Mavericks"(実態はSir Douglas Quintet)唯一のアルバムに、Rockin' Leonの変名で参加していました。

 そして、一番のおすすめは、Sir Douglas QuintetのAustin City Limitsでのライヴ盤です。
 もちろんCDもいいですが、動く姿を見ることが出来るDVDは必見です。

 私は当時、彼のことを、やんちゃなロカビリー好きの男というイメージを持っていましたが、ダグ・サームのもとを離れた彼が取り組んだ音楽は、ウエスタン・スイングでした。

 本作も、伝統的なウエスタン・スイング音楽が詰まっています。
 そのサウンドは、良く言えば外れのない定番のクオリティを保っています。
 しかし、一方で、スリルにかけるという点があるのも確かです。

 これを愛すべきワン・パターン、様式の美しさと捉えられるかどうか、ということが、リスナーの印象を左右すると思います。
 ホーンレスですので、ホンキートンク度の高いウエスタン・スイングが楽しめます。 

 実は、アルバム・タイトルの「テキサスの古典」の意味が気になります。
 収録曲は、私にとって未知のものが大半で、「古典」なのかどうかが判断できません。
 テキサスの人気曲なのだとしたら、どういったシンガーが歌っているのか知りたいものです。

 歌うカウボーイ、Gene Autryの"Sands Of Texas"は、私が持っているコロンビア音源のベスト盤CDには入っていません。

 私が知るAutryの有名曲は、"Back In The Saddle Again"と"Don't Fence Me In"です。
 どちらもカウボーイ・ソングです。
 "Back In The Saddle Again"は、多くのコンピに収録されている曲で、一般的にはこの曲が彼の代表曲でしょう。

 "Don't Fence Me In"は、Asleep at The Wheelがライヴ盤でやっていて知った曲です。
 「いい曲だなあ」と思った曲(の原曲)が、自分の手持ちのCDに入っていると知ったときは嬉しかったです。

 2曲入っているHerb Steinerという人が気になりますが、全く知らない人です。
 その他の人もそうで、テキサスの古い有名ソングライターって、他にいなかったですか?
 Bob Willsの曲をたくさん書いたCindy Walkerは、テキサスじゃなかったですか、オクラホマかな?

 とりあえず、Gene Autry以外で知っているのは、Bobby Earl Smithだけです。
 でも、Bobby Earl Smithは古典ではないです。
 今を生きるソングライターです。

 Bobby Earl Smithは、70年代のテキサスのルーツ・ロック・バンド、Freda & The Firedogsの主要メンバーで、ソングライターであり、ベーシストでした。
 Freda & The Firedogsは、若き日のMarcia Ballが参加していたバンドで、アトランティックのジェリー・ウェクスラーが、ダグ・サームやウイリー・ネルソンに次いでスカウトしようとしていたバンドです。

 事情により、メジャー・デビューすることなく消滅した伝説のバンドですが、完成してお蔵入りしていたスタジオ録音盤が数十年ぶりにCDリリースされ、近年、日の目をみています。

 近年でとても興味深かったのは、ダグ・サームのトリビュート盤、"Keep Your Soul"に、Freda & The Firedogs名義で新録音が寄せられていたことです。
 もちろん再結成したわけではなく、このときだけの同窓会録音だったのだと思います。

 Freda & The Firedogsの解散後、Marcia Ballはソロ活動を行い、その後成功しました。
 ギターのJohn X Reed、ドラムスのSteve McDaniels、そしてベースのBobby Earl Smithは、一時ダグ・サームと活動していたようです。
 (このうち、John X ReedとSteve McDanielsはダグとの録音が残っていて、容易に聴くことが出来ますが、Bobby Earl Smithのみ、文章で書かれているだけで、音源は未確認です。)

 その後、ダグと離れたあと、Bobby Earl Smithは、Alvin Crowと行動を共にしたと、オフィシャル・サイトに記載されています。
 しかし私は、ダグとの活動と同じく、実際の音源をまだ聴いたことがありません。

 今作で、Alvin CrowがBobby Earl Smithの曲、"Rearview Mirror"を録音していることは、初めてかすかな繋がりを見つけたという感じです。

 "Rearview Mirror"(バックミラーのこと)は、Bobby Earl Smithが00年にリリースしたカムバック・ソロ・アルバムのタイトル曲になりました。
 この曲は、本作で、作者自演盤より数年早く世に出たことになります。

 Bobby Earl SmithとAlvin Crowは、今後もさらに追っかけ続けたいと思っています。



One Foot In The Graveです。




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回想のファイア・ドッグス





スウィート・ソウルでうたたね

 今回は、70年代のスウィート・ソウル・グループ、Montclairsを聴きました。
 私は、70年代のグループものは不得意なのですが、このグループには、ある理由から関心を持ちました。
 それは、アルバム・タイトル曲の"Make Up For Lost Time"が好きで、原曲を歌っているグループがどうしても聴きたかったのです。


Make Up For Lost Time
The Paula Recordings 1971-74
The Montclairs
featuring Phil Perry
 
CD 1
The Dreaming Out Of Season "Album

1. Prelude To A Heartbeat (Perry)'72 R&B#70
2. Do I Stand A Chance (Perrt)'72
3. Dreamings Out Of Season (Perry)'72 R&B#34
4. Beggin Is Hard To Do (Perrt)'72
5. Just Cant Get Away (Perry, Sanlin)'72
6. Unwanted Love (Perry)'72
7. Grand Finale (Perry)'72
CD 2
Non Album Singles and Assorted Rarities

1. Ease The Pain (Perry) not originally issued : '90 P-vine PCD2154
2. Out My Back Door (undentified) not originally issued : '90 P-vine PCD2154
3. Down Of My Life (undentified) not originally issued : '90 P-vine PCD2154
4. Angel (undentified) not originally issued : '90 P-vine PCD2154
5. A Horse With Wings (undentified) not originally issued : '90 P-vine PCD2154
6. I'm Calling You (Perry)'73
7. Hung Up On Your Love (Perry, Bennett)'73
8. Mak Up For Lost Time (Patterson, Strickland)'73 R&B#46
9. How Can One Man Live (Perry)'73
10. I Need You More Than Ever (Patterson, Strickland)'73
11. All I Really Care About Is You (Frye, Perry, Sain)'71
12. Is It For Real (Frye, Perry Sain)'71
13. Baby (You Know Im Gonna Miss You) Part 1 (Perry)'74
14. Baby (You Know Im Gonna Miss You) Part 2 (Perry)'74
Bonus Loop For Groovers
15. Chase Scene Loop (Hung Up On Your Love) (Perry)'73
Bonus Loop For Lovers
16. Lounge Loop From Hell (Im Calling You) (Perry)'73

 モントクレアーズは、セントルイス出身のスウィート・ソウル・グループで、69年にレコード・デビューし、70年代になって、シェリヴポートのPaulaレコードと契約したようです。

 メンバーは以下のとおりです。

Phil Perry (リード・シンガー)
David Frye
George Mclellan
Kevin Sanlin
Clifford 'Scotty'Williams

 Paulaというのは、確かJewelやRonnと同系列の会社で、オーナーのスタン・ルイスの奥さんの名前から付けられたのではないか、と記憶しています。

 この2枚組のCDは、Disc1に72年の唯一のアルバム、"The Dreaming Out Of Season"をそのまま収録し、Disc2に当時ノットLPだったシングルを収録しています。
 P-Vineから初リイシューされた曲を含む内容で、おそらくはPaula音源のコンプリート集なのでしょう。

 私が"Make Up For Lost Time"という曲に関心を持ったのは、「The Jewel Deep Soul Story」という3枚組日本企画盤に入っていた、Ted TaylorによるRonn録音を聴いたからです。

 そのことをきっかけに、私はそれまで興味がなかったTed Taylorに強い関心を持つようになったのです。
 そして、"Make Up For Lost Time"という曲そのものにも興味を持ちました。

 私は、この曲のオリジネイターがモントクレアーズというソウル・グループであることを知り、いつか原曲を聴きたい、そしてモントクレアーズというグループの他の曲も聴きたいと思ったのでした。

 今回、そのことをかなえることが出来ました。
 
 さて、聴いた結果ですが、結論からいいますと、私は2回トライして、2回とも途中で眠ってしまいました。
 1番のお目当ての"Make Up For Lost Time"は、Disc2の8曲目なんですが、2回ともそこまで到達する前に眠ってしまい、仕方なく3度目はピンポイントで聴きました。

 眠ってしまうということは、リラクゼーション効果が高いといえなくもないですね。(…無理がありますか)
 音楽的には、非常に完成度の高いボーカル・グループだと感じました。
 ただ、残念ながら"Make Up For Lost Time"を超える曲はないようです。

 ところで、この曲の作者の一人、Pattersonというのは、どうもBobby Pattersonのようです。
 同じコンビが書いたDisc2-10の"I Need You More Than Ever"もなかなか良い曲です。

 私は、Bobby PattersonのCDを1枚だけ持っていたはずですが、ほとんど印象に残っていません。
 サザン系を期待して入手したのに、期待外れだったという記憶があります。
 しかし、今回彼が書いた曲が気に入りましたので、近いうちに聴き返したいと思っています。
 このようにして、私は好きな音楽への関心を広げていくのでした。

 "Make Up For Lost Time"は名作だと思います。
 そして、改めて思いました。
 Montclairs盤は素晴らしい、でも、Ted Taylor盤はオリジナルを超えたパフォーマンスであると…。


Make Up For Lost Timeです。


動画中にローライダー(シャコタン)が出てきます。
おそらく、チカーノが好きな曲なのでしょう。



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失われた時を求めて
甲高いだけぢゃない



 

ゴッドファーザー、最初の5年間

 今回は、少し前に入手して、楽しみにしていたCDを聴きました。
 今年リリースされた、James Brownの新しい編集盤です。
 これは、JB研究の大家、Cliff White先生の最新の仕事で、JBのキャリアの最初の5年間に焦点を当てたコレクションになっています。

 
I'll Go Crazy
Every Track Released By The Godfather 1956-1960
James Brown

Disc: 1
1. Please, Please, Please (James Brown, Johnny Terry)'56
2. I Feel That Old Feeling Coming On (Nafloyd Scott, Nashpendle Knox)'56
3. Why Do You Do Me (Bobby Byrd, Sylvester Keels)'56
4. I Don't Know (James Brown, Johnny Terry)'56
5. I Walked Alone (Nash Knox, Nafloyd Scott)'56 
6. No, No, No, No (James Brown, Bobby Byrd, Johnny Terry)'56 
7. You're Mine, You're Mine (James Brown, Nafloyd Scott)'56
8. Hold My Baby's Hand (James Brown, Wilbert Smith, Nafloyd Scott, Bobby Byrd)'56 
9. Chonnie-On-Chon (James Brown, Wilbert Smith, Nafloyd Scott, Bobby Byrd)'56 
10. I Won't Plead No More (Bobby Byrd, Sylvester Keels)'56 
11. Just Won't Do Right (James Brown)'57 
12. Let's Make It (James Brown)'57 
13. Gonna Try (James Brown)'57 
14. Can't Be The Same (James Brown)'57 
15. Messing With The Blues (Floyd Hunt)'57 
16. Fine Old Foxy Self (James Brown)'59 
17. Love Or A Game (James Brown)'59 
18. Strange Things Happen (aka Why Does Everything Happen To Me)(Roy Hawkins, Jules Taub)'59
19. Begging, Begging (Rudolph Toombs, Julius Dixon)'58
20. Baby Cries Over The Ocean (James Brown)'57
21. That's When I Lost My Heart (James Brown)'58
22. That Dood It (Rose Marie McCoy, Rudolph Toombs)'57
Disc: 2
1. Tell Me What I Did Wrong (James Brown)'58 
2. Try Me (James Brown)'58
3. There Must Be A Reason (James Brown)'59
4. I've Got To Change (James Brown)'59 
5. Got To Cry (James Brown)'59
6. It Was You (James Brown)'59
7. I Want You So Bad (James Brown)'59 
8. It Hurts To Tell You (James Brown, Albert Shubert)'59 
9. Don't Let It Happen To Me (James Brown)'59 
10. Bewildered (Teddy Powell, Leonard Whitcup)'60  
11. Good Good Lovin' (James Brown, Albert Shubert)'60 
12. Wonder When You're Coming Home (James Brown)'60
13. I'll Go Crazy (James Brown)'60
14. This Old Heart (James Brown)'60 
15. I Know It's True (James Brown, Lloyd Stallworth)'60 
16. (Do The) Mashed Potatoes (Part 1) (Dessie Rozier)'59 
17. (Do The) Mashed Potatoes (Part 2) (Dessie Rozier)'59
18. Think (Lowman Pauling)'60 
19. I'll Never, Never Let You Go (James Brown)'60
20. You've Got The Power (James Brown, Johnny Terry)'60 
21. If You Want Me (James Brown)'60
22. Baby, You're Right (James Brown, Joe Tex)'60 
23. And I Do Just What I Want (James Brown)'60 
24. So Long (Irving Meisher, Remus Harris, Russ Morgan)'60
25. The Bells (Billy Ward)'60

 私は、これまでずっと「James Brownが好きになりたい」と思い続けてきました。
 しかし、未だに手放しで好きとまでは言えません。
 私には、JBのファンキー・ソウルは、アルバム1枚を聴きとおすには、Too Muchなのでした。
 曲単位では、大好きなものもあるんですが…。

 そんな私ですが、実は初期のリズム&ブルース時代は、割りと好きだったりします。
 というわけで、この2枚組CDには期待していたのでした。
 何しろ、あのクリフ・ホワイト先生の仕事です。

 JB研究にかけるクリフ先生の熱意あふれる仕事は、私にCDの黎明期を思い起こさせます。
 コンパクト・ディスクというものが出始めたころの、ごくごく初期にJBを体系的にCD化し始めたのがクリフ・ホワイトでした。(80年代中期から後期だと思います。)

 多分、どこかに隠れているはずですが、私が最初に買ったJBは、クリフ・ホワイト編集による、その名も"CD Of JB"だったはずです。
 何という独創的な(?)タイトルでしょう!!
今なら考えられないタイトルですが、CD黎明期ならではの見事なネーミングです。
 
 このCDが素晴らしかったのは、JBのショーを模した曲順で、スタジオ録音が収録されていたことでした。
 MCのコールをそのまま収録し、間髪いれず、JB'sの"Doing It To Death"でスタートするショーは、汗が飛び散るアップ・ナンバーの連続で火が出そうです。

 そして、"Bewildered"だったか、"It's Man's World"だったかと思いますが、JBが自分に酔いながらろうろうと歌う大げさなバラードを挟んで、再びアップ・ナンバーの連続攻撃となり、"Papa's Got A Bland New Bag"や"Sex Machine"を経て、最後は泣き咽ぶバラードの"Please, Please, Please"で大団円を迎えるという、初期から中期のJBのセットリストを疑似体験するような流れになっていたのです。
  
 このCDは、今では入手できないだろうと思いますが(?)、今思っても良くできていたと思います。
 最新のリマスタ盤が出れば欲しいものです。
 これは、続編も作られ、私はそちらも購入しました。
 続編は、第一集から外した曲を中心に収録したもので、こちらはコンセプト的には普通のコレクションでした。 

 さて、その懐かしのクリフ先生の最新のお仕事です。
 私は、久々にまとめて初期のJBを聴きました。
 本コレクションでの私の注目曲は、以下のとおりです。

Disc 1
1. Please, Please, Please
3. Why Do You Do Me
9. Chonnie-On-Chon
12. Let's Make It
Disc 2
2. Try Me
10. Bewildered
11. Good Good Lovin'
13. I'll Go Crazy
14. This Old Heart
16. (Do The) Mashed Potatoes (Part 1)
18. Think
20. You've Got The Power

 当たり前の選曲も当然含んでいますが、その他は少しマニアックなチョイスかも知れません。

 "Why Do You Do Me"は、JBとしては珍しいスロー・ブルースです。
 仮にFamous Flamesのコーラスがなく、ピアノだけの伴奏だったら、古いシティ・ブルースという感じです。

 "Chonnie-On-Chon"は、リトル・リチャードが元ネタのような、意味のない言葉を叫ぶロックンロールです。
 実は、初期のJBは、案外このてのものが少なく珍しいのでした。

 スタイルを模索していたころのJBは、大きく分けて、二つのスタイルしかありませんでした。
 ゴスペル・カルテットそのものといったスタイルと、ブルージーなR&Bのスタイルです。
 しかも、この二つは、かなり接近していて区別しがたいものもあります。

 先輩のスタイルをいただいた曲では、主としてリトル・リチャードや、ハンク・バラードの匂いを感じます。
 今回、改めて思ったのですが、JBって、本当に抽斗の少ない人なのでした。

 デビュー曲の"Please, Please, Please"は名作だと思います。
 去っていく恋人に対して、「行かないで、どうか行かないで」と懇願する歌です。
 歌詞の量が少なく、同じフレーズを執拗に繰り返します。
 スタイルは完全にゴスペルで、JBの「お願いだ、お願いだ」というコールの連呼に、Famous Flamesが「行かないで、行かないで」とレスポンスの連呼で応えます。
 
 確かに名作だと思いますが、実はこのパターンを使った曲が多数あります。
 すぐあとに出した"I Don't Know"からして、まさにそれです。
 ここでは、「分からない、分からない」と叫び続けています。

 一方、ブルージーR&Bと呼びたい一連の曲があって、これは先輩のスタイルを模したもの以外は、大体これに当たります。
 先輩のスタイルを模したものは、ロックンロールに接近したタイプです。
 初期のゴスペル風でない曲は、ほとんどブルージーR&Bタイプだと言いたいです。

 さて、それでも、流石にDisc2になると、幅が広がった気がします。
 自作の歌詞の量も人並みになったようです。
 また、三連のブルーバラードなどもやるようになります。

 同じ時期で、私が好きなのが、"Good Good Lovin'"と"This Old Heart"です。
 どちらも、リトル・リチャードにインスパイアされた曲だと思いますが、ポップさもあり、印象に残る曲です。

 そして、わざと後回しにしてきましたが、"Try Me"、"I'll Go Crazy"、"Think"は外せない名作ですね。
 あとの2曲と"Please, Please, Please"は、ダグ・サームのお気に入りで、Sir Douglas Quintetのライヴ盤で、繰り返しソフト化されていました。
 ダグは、"Try Me"はやっていたでしょうか?
 やってなくても、好きに違いないと思います。
 インストですが、JB版の"Night Train"もやっていました。

 JBの"Night Train"は、本選集収録曲の少し後くらいの録音じゃなかったかと思います。
 すでにファンクの香りがします。
 この後、JBは、まもなく"Out Of Sight"を発表して、ファンキー・ソウルの彼方へと旅立っていくのでした。



アポロ・シアターでのI'll Go Crazyです。






愛の栄光はまぶたの下に

 今回は、The Five Keysです。
 私は、黒人ボーカル・グループが大好きなんですが、Five Keysはリズム&ブルースを聴き始めて、最も早い時期に気に入ったグループかも知れません。

 当時、東芝から出ていた「アメリカを聴こう」というロックンロールのルーツをたどるシリーズの中に、「ベスト・オブ・ドゥワップ」という1枚がありました。
 その日本盤で聴いたのが、Five Keysとの出会いでした。

 
Rocking & Crying
The Complete Singles 1951-1954 Plus
The Five Keys

Disc: 1
1. With A Broken Heart (Pierce)'51 Aladdin 3085
2. Too Late (Pierce)'51 aladdin 3085
3. Hucklebuck With Jimmy (Pierce)'51 Aladdin 3099
4. The Glory Of Love (Hill)'51 Aladdin 3099 R&B#1
5. It's Christmas Time (West, Ingram, Pierce, Smith)'51 Aladdin 3113
6. Do I Need You (Harris)'51 Aladdin 3113
7. Old Mcdonald (Had A Farm) (trad.arr.Five Keys)'51 Aladdin 3118
8. Yes Sir That's My Baby (Donaldson, Khan)'51 Aladdin 3118
9. Goin' Downtown (Unknown)'51 not released
10. Darlin' (West)'51 not released
11. Red Sails In The Sunset (Williams, Kennedy)'52 Aladdin 3127
12. Be Anything But Be Mine (Gordon)'52 Aladdin 3127
13. How Long (Mesner)'52 Aladdin 3131
14. Mistakes (Leslie, Nichols)'52 Aladdin 3131
15. Hold Me (Little, Oppenheim, Schuster)'52 Aladdin 3136
16. I Hadn't Anyone Til You (Little, Oppenheim, Schuster) Aladdin 3136
17. I Cried For You (Amheim, Lyman, Freed)'53 Aladdin 3158
18. Serve Another Round (Toombs) Aladdin 3158
19. Can t Keep From Crying (Smith)'53 Aladdin 3167
20. Come Go My Bail, Louise (Smith, West)'53 aladdin 3167
21. There Ought To Be A Law (Tobias, Kafman)'53 Aladdin 3175
22. Mama (Your Daughter Told A Lie On Me) (Smith)'53 Aladdin 3175
23. I ll Always Be In Love With You (Green, Ruby, Stept) Aladdin 3182 not released
24. Rocking And Crying Blues (Toombs) Aladdin 3182 not released
25. These Foolish Things (Remind Me Of You) (Link, Moschowitz)'53 Aladdin 3190
26. Lonesome Old Story (Pierce) Aladdin 3190
27. Teardrops In Your Eyes (Smith)'53 Aladdin 3204
28. I m So High (Demetrius, Toombs)'52 Aladdin 3204
Disc: 2
1. My Saddest Hour (Robinson)'53 Aladdin 3214
2. Oh Babe (Smith)'53 Aladdin 3214
3. Someday Sweetheart (Spikes, Spikes)'54 Aladdin 3228
4. Love My Loving (Pierce) Aladdin 3228
5. Deep In My Heart (Unknown)'54 Aladdin 3245
6. How Do You Expect Me To Get It (Young)'54 Aladdin 3245
7. Why Oh Why (West)'54 Aladdin 3263
8. My Love (Pierce)'54 Aladdin 3263
9. Story Of Love (West)'56 Aladdin 3312
10. When Will My Troubles End (Thomas, Kirkland)'54 RCA/Groove not originally issued
11. I'll Follow You (Lunceford)'54 RCA/Groove 0031
12. Lawdy Miss Mary (Willis)'54 RCA/Groove 0031
13. Ling Ting Tong (Godwin)'54 Capitol 2945 R&B#5, Pop#28
14. Close Your Eyes (Willis)'55 Capitol 3032 R&B#5
15. The Verdict (Moore, Freed)'55 Capitol 3127 R&B#13
16. I Wish I'd Never Learned To Read (Thomas, Kirkland)'55 Capitol 3185
17. She's The Most (Berlin)'56 Capitol 3392
18. I Dreamt I Dwelt In Harlem (Dixson)'56 Capitol 3392
19. My Pigeons Gone (Davenport)'56 Capitol 3455
20. Out Of Sight Out Of Mind (Hunter)'56 Capitol 3503 R&B#12
21. Wisdom Of A Fool (Alfred, Silver)'56 Capitol 3597
22. Let There Be You (Young, Cavanaugh)'57 Capitol 3360
23. It's A Cryin Shame (Wood, Schroeder)'57 Capitol 3830
24. Emily Please (Shuman, Shuman)'58 Capitol 4009
25. Handy Andy (Jones)'58 Capitol 4009
26. One Great Love (Otis, Gorso)'58 Capitol 4092
27. From The Bottom Of My Heart (Willis)'57 Capitol LP 828
28. The Gypsy (Reid)'57 Capitol LP 828
29. Who Do You Know In Heaven (That Made You The Angel You Are) (Derose, Stillman) Capitol LP 828
30. To Each His Own (Livingstone, Evans) Capitol LP 828

 「ベスト・オブ・ドゥワップ」のA面1曲目に収録されていたのが、The Five Keysの"The Glory Of Love"でした。

 この2枚組CDは、少し前に入手したのですが、最近の私のお気に入りリイシュー・レーベル、英Jasmineからリリースされたものです。
 Five Keysは、LP時代にもアルバムを入手せずじまいでしたので、いい編集盤が手に入って嬉しいです。

 このCDは、51年から54年までのAladdin時代の全シングルの両面をコンパイルしたものですが、それに加えて、54年以降のCapitol時代の音源から、50年代後半の代表曲をチョイスして収録しています。

 初期の黒人ボーカル・グループを、バード・グループと呼ぶことがあります。
 レイヴンズ、オリオールズなど、成功したグループが鳥の名前であったことから、ラークス、スワローズなど、鳥の名前を付けるのが流行ったようです。
 これらのグループの多くは、ドゥワップ以前のブルージーなスタイルを持っていました。

 一方、グループ名に"Five"と付くグループというと、何を連想しますか?
 ゴスペル・カルテットなら、Five Blind Boys Of MississippiとFive Blind Boys Of Alabamaでしょうか。

 リズム&ブルースなら、私がすぐに思いつくのは、Five Satins、Five Royals、Five Keysです。
 まあ、Five Royalsは、ゴスペル・カルテットからの転身組ですが、そんなことを言えば、他の2組も元は教会で歌っていたかも知れません。
 多分、みんな5人組だと思います。

 ただ、Five Keysの前身は、The Sentimental Fourといったそうですから、元は4人組だったのでしょう。
 さらにその前は、The Harmonizing Fourというゴスペル・カルテットだったという話もあるようです。

 Five Keysは、Rudy West、Benny West、Dickie Smith、Ripley Ingram、Maryland Pierceからなる5人組で、主としてRudy Westがリードを歌い、曲によっては、Dickie Smithがリードをとることもあったようです。
 代表曲は、Rudy Westがリードだと思いますが、残念ながら、Smithのリードがどれなのか私には分かりません。

 さて、Five Keysのこの1曲といえば、やはり"The Glory Of Love"でしょう。
 初めて聴いたときから、そのスタイリッシュ、かつダイディズムに溢れるスタイルに夢中になりました。
 
 このバージョンに痺れていた私は、初めてオーティス・レディングのバージョンを聴いたとき、ひっくり返りそうになりました。
 「なんて泥臭くて、へたくそなんだ」と本気で思ったものでした。
 もちろん、今では考えが変わっています。 
  
 ところで、本アルバムは収録曲が多いので、話をシンプルにするため、注目曲をチョイスしてみました。
 以下のとおりです。

Disc 1
3. Hucklebuck With Jimmy
4. The Glory Of Love
8. Yes Sir That's My Baby
11. Red Sails In The Sunset
25. These Foolish Things
Disc 2
1. My Saddest Hour
12. Lawdy Miss Mary
13. Ling Ting Tong
14. Close Your Eyes
15. The Verdict
17. She's The Most
20. Out Of Sight Out Of Mind
21. Wisdom Of A Fool

 いかがでしょう?
 中でも重要作は、"My Saddest Hour"、"Ling Ting Tong"、"Close Your Eyes"、"Out Of Sight Out Of Mind"でしょうか。
 もちろん、"The Glory Of Love"を除いた場合の話です。

 この中では、"Ling Ting Tong"だけが変則的な曲です。
 いわゆるノベルティックな曲で、「リン、ティン、トン」という意味のないフレーズを歌う、Five Keysとしては珍しいタイプの曲でした。
 
 "Close Your Eyes"は、いいバラードです。
 この曲は、リンダ・ロンシュタットとアーロン・ネヴィルが、デュエットでカバーしていました。
 作者は、チャック・ウィリスですが、本人盤はあったでしょうか?
 例によって、ウイりスのアルバムがすぐに出てこないため、確認できないのでした。

 ウィリスは、ロック・ファンには、"It's Too Late"で知られていますね。
 R&Bファンには、それに加えて"What Am I Living For?"とか、名曲がたくさんありますね。
 ニール・ヤングは、"Hang Up My Rock & Roll Shoes"をロカビリー・アレンジでカバーしていました。

 "Out Of Sight Out Of Mind"は、アイヴォリー・ジョー・ハンターが書いた曲です。
 この曲は、サニー&サンライナーズのカバーがあります。
 特定のコミュニティでの、サニー・オズナの影響力は凄いと思われます。
 何が言いたいかといいますと、私は「チカーノはこの曲が好きに違いない」と思うわけでした。

 このアルバムは、ロックンロールの嵐へと突入する時期の曲が多数入っています。
 54年というのは、いろいろとエポック・メイキングな曲が出た年だと思われますが、本作で、はっきりとリズムが変化したなと感じるのは、Disc 2の17曲目、56年の"She's The Most"からです。
 先ほど、この曲を注目曲に選んだのは、そういう意味からなのでした。

 今回は、ゆったりとした時間の中で、好きなリズム&ブルースの世界に浸ることが出来ました。
 私は、やはり古い黒人音楽が大好きだと改めて思いました。


Close Your Eyesです。




LindaとAaronのClose Your Eyesです。





元祖ピーナッツ売り楽団

 今回は、息抜きタイムとしたいと思います。
 取り上げるのは、The Fabulous Sunglowsです。
 取り上げる理由は、ジャケがポップで楽しいからです。


The Original Peanuts
The Fabulous Sunglows

Side 1
1. Peanuts (L.Guerrero)
2. The Circus (Tony De La Rosa)
3. Merry Go Round (Jesus R.Martinez)
4. Happy Hippo (Nanez, Guerra)
5. Battle Of Flowers (Chucho Monge)
6. Beer Barrel Polka (Will Glahe)
Side 2
1. Popcorn (P.Bernel)
2. La Raspa (R.Carrion)
3. Rancho Grande
4. Chin-Wen-Wen Chona
5. Colt 45 (Tomas Mendez)
6. The Indian (Alfonso Ramos)

 このバンドについては、はっきりいってよく分かりません。
 アルバムによっては、ボーカル曲もやっているようですが、本作は全編インスト・ナンバーとなっています。
 
 アルバム・タイトルの"Peanuts"という曲は、サニー&サンライナーズも、ブレイヴ・コンボも、そしてダグ・サームもやっている、チカーノ系ダンス・インストの定番です。
 曲調は、ラテン(?)・ポルカで、アルバムは、ほぼ全曲が同じようなパーティ・ダンス・チューンになっています。

 わざわざ「オリジナル・ピーナッツ」と謳っていますが、本家であるとか、元祖であるとか主張してるんでしょうか。
 だとすれば興味深いです。

 Sunglowsといいますと、Sunny and the Sunlinersの前身バンド、Sunny and the Sunglowsを連想します。
 検索しますと、このThe Fabulous Sunglowsのほか、Los Fabulous Sunglowsというバンドのアルバムもヒットします。

 これらのバンドの関係は、どのようなものなのでしょうか?
 知りたいものです。


 というわけで(?)、ここからは私の推測になります。
 
 まず、The Fabulous SunglowsとLos Fabulous Sunglowsですが、同一バンドではないかと考えます。
 おそらくは、スペイン語コミュニティでは、Los Fabulous Sunglowsと名乗っているのではないか、という推測です。
 
 あるいは、活動時期により、名称を改めたという可能性もあります。
 最近の活動は、Los Fabulous Sunglows名義でやっているというのはどうでしょう。

 実は、Los Fabulous Sunglows名義のアルバムで、Sunny OzunaやJoe Bravoらが参加したものがあるようなのです。
 これらから、次のようなストーリーを考えました。
 
 まず、50年代後半に、Sunny and the Sunglowsとしてスタートします。
 その後、60年代初めにバンドが分裂し、Sunny Ozunaが独立して、一部のメンバーを引き連れ、Sunny and the Sunlinersをつくります。

 残されたメンバーは、その後もSunglowsを名乗り活動を続けますが、このとき、Sunny Ozunaに代わってリード・ボーカルをとったのが、Joe Bravoではないでしょうか?
 Joe Bravo and the Sunglows名義を名乗っていた時期もあるのではないかと思います。

 その後、Joe Bravoにも逃げられたバンドは、The Fabulous Sunglowsと名乗って活動するようになった、というストーリーです。
 繰り返しますが、このあたりは、私は想像で書いています。

 ちなみに、Sunny and the Sunlinersも、60年代後半か70年代初頭には分裂し、一部のメンバーが、Latin Breedというバンドになったようです。
 Latin Breedの当初のリード・シンガーは、後にソロ・シンガーとなる、Jimmy Edwardでした。

 先に触れました、Los Fabulous Sunglowsの、あるアルバムなんですが、どうもリュニオン・アルバムのような感じで、フューチャリング・ボーカリストとして、Sunny Ozuna、Joe Bravo、Jimmy Edwardが参加しているようです。

 ここから、私の勝手な妄想がさく裂しました。
 これは、Sunglowsをルーツとする、親族バンドの歴代ボーカリストが一堂に会した、同窓会アルバムだと解釈するのは、話を面白くしすぎでしょうか? 

 というわけで、全くウラ取りをせずに書いてしまいましたので、正解をご存じの方は、誤りをご教示いただけたら嬉しいです。



Beer Barrel Polkaです。




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