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ヘイ・ラ・バ・ブギ

 英Aceから、Fats DominoのImperial SinglesシリーズのVo.4がリリースされました。
 まだ入手していないんですが、オーダーしようと思っています。

 手元のCDを調べたところ、Vol.1のリリースが96年で、以降Vol.2が97年、Vol.3が98年にリリースされています。
 何と、13年ぶりにVol.4(完結編)が発売されたわけです。(てっきりVol.3で打ち止めかと思っていました。)
 追記 : 12年になんとVol.5がリリースされました。
     今度こそ完結編だと思います (汗)


 そのCDの発売に触発されて、久々にFatsが聴きたくなりました。
 とういうわけで、今回は、私のFats Domino観を変えさせてくれた1枚を選びました。
 英Aceから85年にリリースされたアナログLP盤です。

 
Boogie Woogie Baby
Fats Domino
 
Side A
1. Don't Lie To Me  (Domino, Bartholomew)'51
2. Sometimes I Wonder (Domino, Bartholomew)'51
3. Nobody Loves Me (Domino, Bartholomew)'52
4. RockIn' Chair (Domino, Bartholomew)'51
5. Dreaming (Domino, Bartholomew)'52
6. Careless Love (W.Handy, M.Koenig, S.Williams)'50
7. I've Got Eyes For You (Domino, Bartholomew)'50
8. Right From Wrong (Domino, Bartholomew)'51
9. No No Baby (Domino, Bartholomew)'51
Side B
1. My Baby's Gone (Domino, Bartholomew)'51
2. Boogie Woogie Baby (Domino, Bartholomew)'50
3. How Long (Domino, Bartholomew)'51
4. Rose Mary (Domino, Bartholomew)'51
5. Fats Domino Blues (Domino, Bartholomew)'53
6. What's The Matter Baby (Domino, Bartholomew)'50
7. Stay Away (Domino, Bartholomew)'50
8. 9th Ward Blues (Domino, Bartholomew)'69
9. Hey Las Bas Boogie (Domino, Bartholomew)'50
 
 Fats Dominoは、特別な思い入れがある存在です。
 なぜなら、私にとって初めて聴いたリズム&ブルースのシンガーだからです。

 当時、キングから再発された1stアルバム、「ロック・アンド・ローリン」が、私とFatsとの出会いになりました。

 最初に聴いたときは、戸惑ったものです。
 アルバムは、"Ain't It a Shame"などロックンロール期の代表曲中心の選曲でしたが、A面1曲目に49年のFatsの1stシングル"The Fat Man"が収録されていたのです。
 この曲だけが雰囲気が違っていました。
 ほかの曲とは、リリース時期に3年から5年の違いがあったせいでしょう。

 このときの戸惑いは、ずっと後になって、マディ・ウォーターズの1st「ベスト・オブ…」を聴いたとき、デジャブとなって甦ることになります。 

 Fatsの1stアルバム"Rock and Rollin'"がリリースされたのは、56年のことでした。
 40年代から歌い続け、49年に最初のシングルを出していたFatsには、遅いアルバム・デビューです。

 でも、それはFatsに限ったことではありません。
 そのころのレコードは、ずっとシングルの時代だったからです。
 "Rock and Rollin'"は、1stアルバムではありましたが、それまでのキャリアを総括するようなベスト盤的な内容になっていたのでした。


 さて、今回のアルバムです。
 これは、Fatsの最初期のシングルからチョイスした編集盤になっています。

 どうも、"Rare Dominos Vol,1"、"Vol.2"という定評の高いレア・シングル集(もちろんLP)があるらしいんですが、当時、これの入手が困難になっていたことから、英国で編まれたレア音源集だったようです。

 このLPを初めて聴いたときは驚きました。
 収録曲は全て50年と51年リリースのシングルで、普段から親しんできたヒット曲とは、少し雰囲気が違うものばかりなのです。

 ここでのシングルたちは、一時代前のジャンプ・ブルースや、シティ・ブルースの匂いを残した曲が多いです。

 A2の"Sometimes I Wonder"とか、B3の"How Long"とか、ブルースの常套句で作られた曲がそこかしこに見受けられ、興味深いです。
 こういったブルージーなFatsもまた格別です。

 ブルースとしてはポップ、だけどFatsのR&Bとしては、かなりイナたい"RockIn' Chair"なんか、愛おしすぎます。
 また、"Boogie Woogie Baby"、"Hey Las Bas Boogie"(ヘイ・ラ・バ・ブギ)といった、この時期のブギがまた良いのです。
 ファンとしては堪りません。

 同様に、曲名にBluesと謳った曲や、"What's The Matter Baby"などのブルージーな味わいは、後の時代には少なくなったスタイルで、聞きのがせません。

 さらに、この時期、すでに"Rose Mary"のようなキラー・チューンが生まれているのも凄いです。
 この曲は、数年後の黄金時代を先取りしたような、突然変異的傑作でしょう。
 やはり、ファッツ・ドミノは、ルイ・ジョーダンと並ぶブラック・ミュージック界の偉人だと思います。
 
 なお、"9th Ward Blues"が69年とクレジットされていますが、これはおそらく69年リリースのLPで初お目見えした曲で、それまで未発表だったものだと思います。
 この曲は、53年の大傑作、"Prease Don't Leave Me"のプロトタイプだと思われ、ほぼ同内容の曲です。

 本アルバムの収録曲は、その"9th Ward Blues"を除いて、全て英AceのCD、Imperial Singlesシリーズで聴くことが出来ます。
 また、今年になって、"Rare Dominos Vol.1とVol.2が、英Beet Goes Onから2 in 1でリイシューされましたので、そちらで聴くのもありだと思います。

 今回は、久しぶりに、ファッツ・ドミノの歌世界に浸って、幸せな気分になりました。



Rose Maryです。




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ふとっちょ登場



泣いたサニーがもう笑った

 えーと、少し前に入手して一回だけ聴いたCDなんですが、聴き返してみました。

 初めて聴いたときの印象は、非常によいものでした。
 はっきりいって、ジャケがいけてなくて、アベレージ・クラスの出来を予期していたところ、思いのほか良かったため、若干甘めの印象になったのだと、今なら思います。

 ただ、今回聴き返してみて、やはり「ハードルが下がっていたんだな」とは思いましたが、それを割り引いても「やはり悪くはない、良い!」と冷静な気持ちで改めて思い直したのでした。

 
Smile Now, Cry Later
Sunny & The Sunliners

1. Smile Now, Cry Later (Ozuna)
2. Hopeless Case (Ozuna)
3. Baby, I Apologize (Ozuna)
4. I Want to Make It up to You
5. Hold On! I'm Comin' (Hayes, Porter)
6. Just A Gigolo (Caesar, Brammer, Casucci)
7. Put Me In Jail (Ozuna)
8. Forever
9. Stop That Thief
10. Everybody Knows That I Love You
11. You Don't Have to Say You Love Me (Donaggio, Pallavisini)
12. Sidewinder (Part1&2)

 このCDは、テキサスのローカル・レーベル"Golden Eagle Records"から出されたもので、リリース時期は明記されていません。
 もともとアナログLPで出ていたものに、曲を追加したもののようです。

 とはいえ、それでも全12曲です。
 オリジナルLPは、おそらく8曲〜9曲くらいだったと思われます。
 追加曲ですが、"Put Me In Jail"、" Stop That Thief"、"Sidewinder (Part1&2)"と、あと1曲くらいだと思います。

 リリース時期より、録音時期が知りたいものですが不明です。
 60年代後期から70年代初期でしょうか?

 有名曲が2曲入っていて、聴く前から少し心配してしまいます。
 "Hold On! I'm Comin'"と"You Don't Have to Say You Love Me"(この胸のときめきを)です。
 率直な感想としては、前者は「ちょっとしょっぱい」、後者は「思ったほど悪くない」くらいの印象でした。

 いくつか弱めの曲もありますが、全体的には思いのほか、良い曲が揃っているアルバムだと思います。
 中でも私の注目曲は、次のとおりです。
 
1. Smile Now, Cry Later
2. Hopeless Case 
6. Just A Gigolo
9. Stop That Thief

 "Smile Now, Cry Later"は、サニー・オズナ自作のドリーミーなスロウ・バラードです。
 Littile Anthony & Imperialsのような、後期のドゥワップ・スタイルから、70年代のフィリー・ソウルへと繋がるソウル・コーラスの醍醐味を堪能できます。

 "Hopeless Case"もサニーの作品とクレジットされています。
 これは、なかなか面白い曲で、ブリティッシュ・ビート・バンドがニューオリンズR&Bのカバーをやったらこんな感じかな、と思わせるような仕上がりになっています。

 ゆったりしたリズムでありながら、緊張感のあるサウンドが良いです。
 私は、ブリンズリー時代のニック・ロウ作品を連想しました。
 この曲は、Joe Jamaが、ソロ・アルハム、"My Life"でカバーしています。

 "Just A Gigolo"は、オリジナルは知りませんが、Louie Primaのバージョンがお手本だと思います。
 タイトルには表記されていませんが、ルイ・プリマ盤と同様、後半にメドレーで"I Ain't Got Nobody"をやっています。
 これが期待以上に良くて、嬉しかったです。

 イントロが聴こえてくると、自然とウキウキ感がつのります。
 こういうジャイヴというか、ジャズ小唄みたいなものが、サニー・オズナに似合うとは意外でした。
 もっとやってほしいです。
 
 "Stop That Thief"は、どういう内容の曲なんでしょう。
 「あの泥棒を止めて」というタイトルが興味深いです。

 歌詞がよく分かりませんが、"My Baby's Gone"とか、"He Stole My Girl"などといった歌詞が聴き取れましたので、ライバルに彼女をさらわれた男のことを歌った失恋ソングかも知れません。
 内容はともかく、ユーモアとペーソスが感じられる曲調がよいです。

 その他の曲も概ね好感が持てる仕上がりだと思いました。

 ラストの"Sidewinder (Part1&2)"のみ、インスト・ナンバーです。
 リズム隊のクールなリフと、ホーン陣のホットな切り込みが耳に残るなか、アルバムはフェイド・アウトしていくのでした。



Smile Now Cry Laterです。




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ハリウッドのサニー
ウエストサイド・ソウル
ぼくらのチカーノ・ヒーロー
ジョー・ジャマの音楽と人生
チカーノ・タウンからの贈り物
サニー・オスナに捧ぐ



シェイク・ユア・マネーメイカー

 私は、Elmore JamesのCDをいくつか持っているんですが、長らく気に入って愛聴しているのがこのRelic盤です。

 リリース時期がよくわからないんですが、おそらくは90年代後半ではないかと思います。
 ミレニアム以降、さらに音質のいいCDが出て、私も買いましたが、いまだにこのCDに愛着を持っています。
 シンプルに1枚ものなのもよいです。
 まあ、音質に鈍感な私が、どうこう言うのは照れてしまいますが…。


Rollin' & Tumblin'
The Best Of Elmore James
Elmore James

1. Rollin' & Tumblin' (James)
2. You Know You're Wrong (James)
3. Look on Yonder Wall (James, Sehorn)
4. I Need You Baby (James, Sehorn)
5. Standing at the Crossroads (James, Josea)
6. The Sky Is Crying (James, Lewis, Robinson)
7. Baby Please Set a Date (James, Sehorn)
8. My Bleeding Heart (James, Sehorn)
9. Sunnyland (James, Josea)
10. Dust My Broom (James, Johnson)
11. Something Inside Me (James, Sehorn)
12. Go Back Home Again (James)
13. Anna Lee (James, Sehorn)
14. Mean Mistreatin' Mama (James, Robinson)
15. One Way Out (James, Sehorn)
16. Shake Your Moneymaker (James)
17. Fine Little Mama (Lewis, Robinson)
18. Stranger Blues (James, Lewis, Robinson)
19. It Hurts Me Too (James, Sehorn)
20. Find My Kind of Woman (James)
21. Every Day I Have the Blues  (Memphis Slim)
22. My Baby's Gone (James)

 エルモア・ジェイムズは、モダンだかクラウンだかの日本盤LPで初めて出会いました。
 内容に関係のない、一連の美女ジャケットの1枚です。

 これがなんとも団子のようなサウンドで、曲そのものが好きでしたので大変残念に思ったものでした。

 そして、曲に関して気に入りつつも感じたのが、エルモアのバリエーションの少なさでした。
 初期は特にそうですね。

 その点、このCDはFireとか後期の音源だと思いますが、なにか「一挙にいろいろとやりました」といった印象です。
 作者クレジットには(?)というものが散見しますが、ビッグ・ブルースのエルモア版が色々と聴けるのが、まず物珍しく嬉しいです。

 そんな中、今回の私の注目はこの3曲です。

3. Look on Yonder Wall
6. The Sky Is Crying
16. Shake Your Moneymaker

 いずれも、ブルーム・スタイルのいくつかの傑作に匹敵する曲だと思います。
 中でも私が特に好きなのが、"Shake Your Moneymaker"です。

 このCDの収録テイクは、テイク1とテイク2の未編集版という感じで、スタジオでのやりとりを聴くことがでます。
 「テイク1」の掛け声のあと、イントロ数秒でやりなおしとなり、続けて「テイク2!」の宣言で1曲通して演奏されます。

 この曲のイントロ・パターンを初めて聴いたのは、ダウンタウン・ブギウギ・バンドの「スモーキン・ブギ」だったと思います。
 その時は、まだエルモアを知りませんでした。
 
 私は、ここでのエルモアの何ともいえない「ノリ」が快感で、何度も聴き返してしまいます。
 例えるなら、ディランの"I Want You"に似たような雰囲気を連想します。

 軽快なリズムをバックに、エルモアのボーカルが微妙に遅れてくるような感じが堪りません。
 手さぐりするように、初期衝動のまま歌詞を吐き出していくさまに痺れます。
 最高です。

 このCDでのエルモアは、シカゴ録音が少しでニューヨーク録音がほとんどだと思いますが、"Look on Yonder Wall"と"Shake Your Moneymaker"は、なんとニューオリンズ録音らしく驚きです。

 この時のメンツは、こんなふうだったようです。

Elmore James : vocal, guitar
Sam Myers : hca (Look on Yonder Wallのみ)
Johnny 'Big Moose' Walker : piano
Sammy Lee Bully : bass
King Mose Taylor : drums

 なお、本CDは、トラック19から22までの4曲がステレオで収録されているのも興味深いです。



Shake Your Moneymakerです。







ボーカル・グループとして聴くカップケイクス

 Cookie & Cupcakesが好きです。
 彼らの音楽は、スワンプ・ポップと呼ばれています。

 ただ、すぐに気付くことですが、やっている曲には、単純にひとくくりには出来ない、いくつかのバリエーションがあります。
 たまには、いつもと違う視点で聴いてみるのも面白いですね。
 
 というわけで、今回はこのCDを聴き返してみました。
 このCDは、特段レアな内容ではありませんが、少し面白いクレジットが記されています。


By Request
Cookie and the Cupcakes

1. Belinda (George Khoury, Huey Thiery)  
2. Got You On My Mind (Howard Biggs, Thomas) 
3. Mathilda (Khoury, Thiery)(lead vocal : Cookie)
4. Walking Down The Aisle (Alfred Babino, George Khoury)
5. Even Though (Walton)
6. I Almost Lost My Mind (Ivory Joe Hunter)
7. Just One Kiss (Chuck Willis)
8. Honey Hush (Turner, Brown)
9. Sea Of Love (George Khoury, Phill Phillips)
10. Betty & Dupree (Chuck Willis)
11. Shake 'Em up (Shelton Dunaway, George Khoury)
12. Breaking Up Is Hard To Do (Bourgeois, Meaux)
13. I Cried (George Khoury, Huey Thiery)
14. Long Time Ago (George Khoury, Huey Thiery)
15. Trouble In My Life (George Khoury, Huey Thiery)
16. Feel So Good (Leonard Lee, Richard Thompson)
17. The Peanut (Ernest Jacobs, George Khoury)(inst.)
18. Charged With Cheating (Willis)
19. I've Been So Lonely (George Khoury, Huey Thiery)
20. The Duck (George Khoury)

 それは、各曲のリード・ボーカルが明記されていることです。
 これって、ちょっと面白そうだと思いませんか?
 試しに、曲目をリード・ボーカルごとに並び替えてみました。
 以下のとおりです。

Cookie - vocals, saxophone
1. Belinda (George Khoury, Huey Thiery)
3. Mathilda (Khoury, Thiery)
9. Sea Of Love (George Khoury, Phill Phillips) 
13. I Cried (George Khoury, Huey Thiery) 
14. Long Time Ago (George Khoury, Huey Thiery)
15. Trouble In My Life (George Khoury, Huey Thiery)
19. I've Been So Lonely (George Khoury, Huey Thiery)

Shelton Dunnaway - vocals, tenor saxophone & trumpet
7. Just One Kiss (Chuck Willis) 
8. Honey Hush (Turner, Brown) 
10. Betty & Dupree (Chuck Willis) 
11. Shake 'Em up (Shelton Dunaway, George Khoury) 
20. The Duck (George Khoury)

Cookie & Shelton - duo vocals
2. Got You On My Mind (Howard Biggs, Thomas) 
12. Breaking Up Is Hard To Do (Bourgeois, Meaux)

Lil' Alfred - vocals, Saxophone
4. Walking Down The Aisle (Alfred Babino, George Khoury)
5. Even Though (Walton)
6. I Almost Lost My Mind (Ivory Joe Hunter) 
16. Feel So Good (Leonard Lee, Richard Thompson) 
18. Charged With Cheating (Willis) 

inst.
17. The Peanut (Ernest Jacobs, George Khoury)

 並び替えられたリストをご覧ください。
 一度も音を聴いたことがない方には、申し訳ありません。
 でも、ずっと親しんできた方には、ある意味、新鮮な気持ちになれる眺めだと思います。
 曲調と作者の取り合わせ、そしてリード・シンガーとの関係が面白いです。

 リーダーのクッキーの場合は、やはり哀愁の三連バラードが多い傾向にあると感じました。
 このグループの看板ナンバーですね。
 パブリック・イメージといっていもいいです。

 "Mathilda"や、"I've Been So Lonely"は、たとえ耳たこでも、良いものは良いです。
 そんな中では、"Trouble In My Life"が少し雰囲気が違い興味深いです。
 この曲は、Doo Wop的要素も強い、スタイリッシュなボーカル・ナンバーだと思います。

 クッキーとためを張るリード、シェルトン・ダナウェイは、ほぼクッキーと同じかと思いましたが、実はロックンロール調の曲を多くやっていて、意外でした。

 面白いのは、シェルトンのリード曲では、アップ、スローの別なく、力強いピアノが印象に残ることです。
 このピアノは、アーネスト・ジェイコブズによるもので、このCDにはないですが、彼もリード・ボーカル曲があったはずです。

 他の人がやっていない、少し傾向が違うダンス曲があるのも面白いです。
 " Shake 'Em up"と"The Duck"などです。
 "The Duck"は、完全にルーファス・トーマスの"Dog"ものをいただいた曲です。
 この曲はレアですね。

 そして、今回、特に注目したいのが、Lil' Alfredです。
 この人は、クッキーらと同様、サックス・プレイヤーですが、リードを取るメンバーの中で、最もドゥ・ワップ的な要素が強い人だと、改めて感じました。 

 "Walking Down The Aisle"と"Even Though"は、Cookie & Cupcakesのレパートリー中でも、特にボーカル・グループっぽい曲に仕上がっています。

 バックに厚いコーラスがばっちり入っていて、これらの曲だけを聴いていると、自身で楽器を演奏しながら歌うバンドではなく、普通に、ジェントルなドゥワップ・グループのように聴こえます。
 声は、高めのテナーで、"Walking Down The Aisle"では、フランキー・ライモンみたいにも聴こえたりする箇所があります。

 というわけで、今回は、ボーカル・グループとして、カップケイクスを聴いてみました。
 私のお奨めのミニ・セット・リストは次のとおりです。

4. Walking Down The Aisle (Alfred Babino, George Khoury)
5. Even Though  (Walton)
7. Just One Kiss  (Chuck Willis)
10. Betty & Dupree (Chuck Willis)
15. Trouble In My Life (George Khoury, Huey Thiery)
18. Charged With Cheating  (Willis)

 いかがでしょうか?
 
 補足
 17曲目の"The Peanut"は、チカーノ・インストの有名曲とも、Little Joe Cook & The Thrillersのドゥワップとも違う、別の曲です。



Walking Down The Aisle




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沼地のハーモニー
ゴールドバンドのカップケーキ



幸せの見える風景

 このCDは、少し前に入手しました。
 この中に聴きたい曲が収録されていたからです。
 私は、通常、このようなベスト盤を買うことはあまりありません。
 この手のベスト盤って、ジャケットがいけてないですよね。

 
The Platinum Collection
The Persuaders

1. Thin Line Between Love And Hate (Poindexter, Members, Poindexter)
2. Love Gonna Pack Up (And Walk Out)  (Poindexter, Poindexter, Members, Lewis)
3. Some Guys Have All The Luck (Fortgang)
4. Bad Bold and Beautiful Girl (Poindexter, Members, Poindexter)
5. Blood Brothers (aka Blood Brother) (Poindexter, Members, Poindexter)
6. Can't Go No Further And Do No Better (Poindexter, Sledge, Poindexter)
7. If This Is What You Call Love (I Don't Want No Part Of It) (Poindexter, Members, Poindexter)
8. Let's Get Down Together (Poindexter, Members, Poindexter)
9. Mr. Sunshine (Poindexter, Members, Poindexter)
10. Peace In The Valley Of Love (Members, Poindexter)
11. Thigh Spy (Poindexter, Members, Poindexter, Lewis)
12. You Musta Put Something In Your Love (Poindexter, Members, Poindexter)
13. We're Just Trying to Make It (Hurtt, Bell)
14. Somebody's Got to Do Something (Hurtt, Bell)
15. Once In A Lifetime Thing (Weatherly)
16. Hold On (Just A Little Bit Longer) (Bell, Hurtt, Berry, Hill, Brown)
17. Best Thing That Ever Happened to Me (Weatherly)
18. I Want To Make It With You (Hines, Weaver, Liebman, Esenberg)
19. Please Stay (Bacharach, Hilliard)
20. Stay With Me (Hurtt, Bell)

 このCDも典型的なベスト盤の顔をしています。
 お目当ての曲を収録したオリジナル・アルバムが見当たらなかったため、やむを得ず買ったのでした。
 でも、よくみるとRhino盤でした。

 07年にリリースされた、一連のアトランティック60周年記念ベスト盤シリーズの1枚だったのです。
 Rhino製のベストなら、話は別です。

 私がPersuadersのことを知ったのは、プリテンダーズがきっかけでした。
 プリテンダーズの最高傑作(だと私が思っている)、83年リリースの"Learning to Crawl"に、Persuadersのカバーが入っていたのです。

 それは、本ベスト盤の1曲目に入っている"Thin Line Between Love And Hate"です。
 この曲って、邦題はありましたっけ?
 「愛と憎しみの狭間」とでも言ったところでしょうか。

 ちょっとダークなスロー・バラードです。
 プリテンダーズ盤は、オリジナル曲の中に埋もれることなく、効果的なアクセントになっていました。

 さて、私が本ベスト盤を購入する動機となった曲がこちらです。
 "Some Guys Have All The Luck"
 大好きな曲です。

 聴かれたことはあるでしょうか?
 恋人のいない主人公が、幸せそうなカップルを羨む歌です。

 軽快で気持ちのいいリズムが、得も言われぬ安らぎを与えてくれます。
 とてもリラクゼーション効果の高い曲だと思います。
 
 この曲は、パースエイダーズの73年のヒット曲ですが、いくつかのカバーがあり、そちらで知った人も多いでしょう。
 レゲエにもマッチした曲で、マキシ・プリースト盤があります。

 でも、広く知られるきっかけとなったのは、やはりロッド・スチュワートのカバー・バージョンだと思います。
 私も、ロッド盤で知りました。

 ロッド盤は84年のヒットですから、あるいは、ロッドがプリテンダーズの"Thin Line Between Love And Hate"を聴いて、パースエイダーズに関心を持ったのかも知れません。
 …などと想像をたくましくしてしまうのでした。

 ロッドは、近年、プリテンダーズの"I'll Stand By You"をカバーしており、可能性はありますよね。

 パースエイダーズは、70年代ソウル・コーラスとしては、甘すぎず、いい塩梅のグループだと思います。

 就寝前に聴くディスクに適しています。
 お奨めです。



Some Guys Have All The Luckです。




RodのLiveから




Maxi Priest盤です。




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変わらずにいるということ


女の子は君を狙ってる

 来月の話ではありますが、Curtis Mayfieldの仕事をまとめたレアなコンピがリリースされるようで、気になっています。
 "Curtis Mayfield's Windy City Winners"というタイトルです。
 ご存じでしょうか。

 今回は、そのコンピの目玉の一つでもある、The FascinationsのCDを引っ張り出してきました。
 97年にSeaquelからリリースされたものです。

 
Out To Getcha !
The Fascinations

The Fascinations
1. Girls Are Out to Get You (Mayfield)
2. You'll Be Sorry (Draper, Mayfield)
3. I'm so Lucky (He Loves Me) (Draper)
4. Such a Fool (Mayfield)
5. I'm in Love (Mayfield)
6. O.K. for You (Mayfield)
7. I Can't Stay Away from You (Mayfield)
8. Say It Isn't So [Take 4] [Take 4] (Mayfield)
9. Say It Isn't So [Take 8] [Take 8] (Mayfield)
10. Just Another Reason (Mayfield)
11. Hold On (Mayfield)
12. Trusting in You (Mayfield)
13. Crazy (unknown)
The Mayfield Singers
14. I've Been Trying (Mayfield)
15. If (Draper)
The Mayfield Players
16. If-Strumental (Draper)
17. Still Trying (Mayfield)
18. Don't Start None (Draper)
19. Little Bird (Draper)
20. Lucky (Draper)
21. Foolish One (Mayfield)
22. So Sorry (Mayfield)
23. Out to Get'cha (Mayfield)

 50年代も終わろうとしていた頃の話だと思います。
 自動車産業の街、デトロイトに、芸能界での成功を夢見る二人の女の子がいました。
 まだ、モータウンが一大帝国を築く前のことです。

 二人の女の子、シャーリーとマーサには、夢がありました。
 女の子だけのボーカル・グループを作ってアイドルになることです。
 夢いっぱいの二人は、既にグループ名を決めていました。
 Sabre-ettesです。

 ある日、二人は夢のため、最初の行動を起こします。
 メンバーを募集したのです。
 オーディションの結果、三人の女の子を加え、5人組のグループが結成されました。

 この時、加わったのが、ゴスペル・グループ出身のボスウェル姉妹とファーン・ブレッドソーという女の子でした。
 オリジナル・サブレッツのメンバーは以下のとおりです。

Shirley Walker
Martha Reeves
Bernadine Smith (Boswell)
Joanne Levell (Boswell)
Fern Bledsoe

 まもなく、彼女たちは、The Fascinationsと改名します。
 ただ、この5人組で実質的な活動をしたのかは不明です。
 なぜなら、発起人の一人、マーサ・リーヴスが60年にグループを去ったからです。

 以後、メンバーを補充することなく、4人組として活動することになります。
 そして、62年には、カーティスと出会い、彼の後押しでシカゴに活動の場を移します。

 一方、グループを離れたマーサは、下積みも経験しましたが、マーヴィン・ゲイのコーラスに参加したことからチャンスをつかみ、大きな成功を得ます。

 
 というわけで、ファッシネイションズは、マーサ・リーヴスの最初のグループというトリビアが物珍しいですが、実は実力派グループです。

 基本的には、キュートなガール・グループとしての魅力が前面に出ていますが、「たった今教会から来ました」という感じのパワフルな面も持ち合わせていたのです。

 本アルバムでは、まず冒頭の"Girls Are Out to Get You"に注目です。

 彼女たちの代表曲であり、新しいコンピでもオープニングを飾る名曲です。
 サビでの「ガールザー アウタ ゲッチャ」のリフレインが耳に残る、ウキウキ感爆発のシカゴ・ダンサーです。
 カーティス版シュープリームスといったところでしょうか。

 続く"You'll Be Sorry"は、うって変わってディープな雰囲気のイントロから、アリサ・フランクリンばりの高音域を屈指するリード・シンガーが、頭のてっぺんから素晴らしい声を出しています。

 スローではこの曲でしょう。
 私が最近特に注目している、ディープなノーザンです。
 このリードは、誰ですか?
 バーナディーンですか。

 ディープでは、もう1曲、"Hold On"もお奨めです。
 ここでは、キュートさは何処へやら、ストロングなボーカルがさく裂しています。
 やはり、高音域でのボーカルが光っています。

 ところで、本アルバムの半分は、別のグループの音源が入っています。
 インスト・バンドのMayfield Playersと、男性ボーカル・グループのMayfield Singersです。
 Mayfield Singersには、リロイ・ハトソンやダニー・ハサウェイが在籍していたとの話もあるようです。

 Mayfield Singersの"I've Been Trying"は名曲ですね。
 この曲をやっていたのは、ジェリー・バトラー在籍時のインプレッションズだったでしょうか?
 私は、初期のインプレッションズや、カーティス制作のジェリー・バトラー、ジーン・チャンドラーなどが好きです。 

 当時のカーティスの才能、先進性は、ずば抜けていたと思います。
 "Peaple Get Ready"のリリースが65年だというのが凄いです。
 ひとり、時代の先端を行って、既に完成していると感じます。

 同じ年、オーティスは「愛しすぎて」を、ソロモン・バークは"Got to Get You Off My Mind"を出しました。
 このあたり、歴史というものは、秩序だって順々と進んでいくのではなく、いろんなことが同時進行しているのだなと感じます。
 バークは確かに凄い人ですが、何となくオーティスより前の世代の人だと思いがちです。
 
 カーティスは、時代をリードして、ソウルの先頭を走っていたと思います。
 逆に言いますと、早熟でピークが早かった気もします。

 本アルバムは、前半のFascinationsがメインです。
 素晴らしいガールズ・サウンドを堪能できますが、そのいくつかは、モータウンのサウンドを模したスタイルと言えなくもないです。

 ではありますが、これもまた、まぎれもなくカーティスのDNAなのだとも感じました。
 至福の1枚です。



Girls Are Out to Get Youです。





ジャック・ダニエルズの夜

 この人は、以前から思っていたのですが、シングル時代のヴィンテージ期とLP時代では声が変わりましたね。
 ヴィンテージ期は、細くて青くさい声質でしたが、老成して若干太めのハスキーな声になっています。

 
I've Changed My Style
Tommy McLain 

1. Roses Don't Grow Here Anymore (Tommy McLain)
2. Baby Dolls (Tommy McLain)
3. Please Mr. Sandman (Heuy P.Meaux)
〜 I'll Change My Style (Parker, Villa)
〜 Crazy Baby (Buck Rogers)
4. Jukebox Songs (Tommy McLain)
5. Sweet Dreams (dance mix) (Don Gibson)
6. You Can Have My Lovin' (Tommy McLain)
7. Cajun Candy (Tommy McLain)
8. Wrong # (Again) (Tommy McLain)
9. My Love Belongs To You (Keb Mo)
10. It Always Rains When We're Together (Carol Skaggs, Tommy McLain)
11. She's My Baby (Tommy McLain)
12. Cowboy Hat (Tommy McLain)
13. From Your Lips To God's Ears (Tommy McLain)
14. Matching Shoes And Purses (Tommy McLain)
15. Let's Change Our Lives (Right Now) (Tommy McLain)
16. Hear The Greatest Show On Hurt (Tommy McLain)
17. Lipstick On A Dollar (Tommy McLain)
18. I Wish I'd Never Loved You Darlin (Tommy McLain)
19. Tell Everybody I Know (Keb Mo)
20. Rosaries (Tommy McLain)
21. What Joy! (Tommy McLain)
22. (The Night Ole Jack Daniels) Met John (James Payne, Mark Payne)

 ヴィンテージ期は、はかなげな声でバラードを歌っていました。
 それが、LP時代になってからの声を聴きますと、ときに酒やけしたようなダミ声といいますか、良く言えばハスキーともいえて、聴きようによっては魅力が増したと感じる人もいると思います。
 
 実は、私はそう感じる一人です。
 Freddy Fenderとのライヴ音源などでの、かすれたダミ声が好きでした。
 本作で聴ける歌声も、私は好きです。

 このCDは、どうやら元々は、"Lipstick On A Doller"(1ドル札に口づけ)というカセットのみでリリースされたものをCD化したもののようで、トラック1から19までがオリジナルのようです。
 トラック20、21、22は、CD化の際に追加されたボーナス・トラックです。

 Tommy McLainという人は、あるいは機材ヲタかもしれず、キーボードとベースを担当して多重録音している節があります。
 加えて、ほとんどの曲が自作ですから、多才な人なのだと思いました。

 全体のサウンドですが、聴く前に、一瞬懸念したピコピコ風ではなく、しっかりと生のギター、ドラムス、サックスが入ったもので、シンセ音はほとんど気になりません。

 さて、Tommy Mclainといえば、"Sweet Dreams"と"Before I Grow Too Old"ですね。
本作には、"Sweet Dreams"の新録音が収録されています。
 この曲は、ナッシュビル・カントリーのヒットメイカー、ドン・ギブソンのカバーです。

 ドン・ギブソンは、アップでは"Oh Lonesome Me"、スローでは"I Can't Stop Loving You"「愛さずにいられない」を書いたシンガー、ソングライターでした。

 "Sweet Dreams"は、先の2曲同様、多くのシンガーにカバーされている名バラードです。
 本作には、わざわざダンス・ミックスと謳っているバージョンを収録していますが、聴くと普通にバラードでした。

 軽快なリズム・アレンジを期待すると「あれっ」という感じです。
 何事も、事前にハードルを上げるのはよくないという例ですね。
 意識せずに聴けば、違和感なく歌世界に自然と浸れる、やはりいい曲だと思います。

 私的には、注目曲がいくつかありますが、万人向けのスペシャルな1曲というものがなく、人それぞれの好み次第だと思います。
 それよりも、アルバム全体を通して、好意を感じずにはいられない雰囲気が、なんとも良いです。

 どこが好きとは言えないのがもどかしいですが、"Baby Dolls"とか、"Jukebox Songs"とか好きです。
 間違い電話のことを歌っている(と思われる)"Wrong # (Again) "も気に入りました。

 収録曲は、比較的バラエティさがあって退屈させません。
 それでも、やはり哀愁系の三連バラードは良いですね。
 つい聴き入ってしまいます。

 白人のスワンプ・ポップは、乱暴に言ってしまえば、根っこにケイジャンがあるケースが多く、その傾倒度の差がシンガーの個性になっているように思います。
 Tommy McLainは、Johnny Allanなどと比較すれば、ケイジャン度は薄目だと感じます。 
 ニューオリンズR&Bにより近い音楽的嗜好を持つ人なのでしょう。

 さて、有名曲(?)では、トラック3のメドレーはやはり注目です。
 ジミー・ドンリーも、サニー・オズナもやった"Please Mr. Sandman"に加えて、バック・ロジャースの永遠の名曲"Crazy Baby"は、悪くなりようがないです。

 そして、特記したいのが、ボートラの3曲です。
 この3曲は、おそらく全てゴスペルだと思います。

 ライナーでは、特にラストの"(The Night Ole Jack Daniels) Met John"に触れて、スワンプ・ポップ・スタイルのゴスペルだと言っています。

 「?」が浮かんだ方は、本CDを入手して、ただし過度な期待はせず、フラットな心で音を聴いてください。
 私はと言えば、心に沁みるいい曲だと思いました。

 今夜の私は、もう少し夜更かしして、Tommy McLainのアナログLPを探したい気分です。

 白亜紀の湿地帯を描いたような(?)、イラストのジャケットのLPがあったはずなのです。



Baby Dollです。






鍵盤弾き、青いイナズマン

 これは凄いです。
 目が覚めます。
 ヒルビリー・ブギの中では一番好きかも知れません。


Berryfull Of Blue Thunder
Merrill E. Moore

1. House Of Blue Lights (Don Raye, Freddie Slack)
2. Rock-Rockola  (Ross)
3. Fly Right Boogie (Moore, Thomas)
4. Corina Corina (Chatman, Parrish, Williams)
5. Hard Top Race (Morgan, Sant, Stogner)
6. Bartenders Blues (Rose)
7. Tuck Me In To Sleep In My Old 'tucky Home (Lewis, Young)
8. Red Light (Adamson, McHug)
9. Bell Bottom Boogie (Moore, Ross, Stokes)
10. Big Bug Boogie (Orr)
11. Barrel House Bessie (Bond)
12. Rock Island Line (Leadbelly)
13. Nursery Rhyme Blues (Ingram, Miller, Tyler)
14. Doggie House Boogie (Gray, Thompson)
15. Buttermilk Baby (Moore, Moore, Ross)
16. Ten Ten A.m. (Moore, Ross)
17. Cow Cow Boogie (Carter, DePaul, Raye)
18. Sweet Jenny Lee (Donaldson)
19. Five Foot Two Eyes Of Blue (Henderson, Lewis, Young)
20. One Way Door
21. Down The Road A Piece (Don Raye)
22. Gotta Gimme Watcha Got (Lee)
23. Nola Boogie (Arndt)
24. King Porter Stomp (Morton)
25. Yes Indeed (Oliver)
26. She's Gone (Duncan, Wills)
27. Snatchin' and Grabbin'
28. Cooing To The Wrong Pigeon (Delroy, Morris)

 プレ・ロカビリー期の白人ブギ・ピアニストとしては、Moon Mullicanが比較的知られていると思います。

 Moon Mullicanは、日本盤CDも何種類か出ていました。
 Kingのリイシューは比較的進んでいると思われますので、所属アーティストは恵まれているかも知れません。

 Moon Mullicanは、ロック畑では、Nick LoweやMoonlightersがカバーした、"Seven Nights To Rock"が有名ですね。

 この曲は、カントリーでは、Asleep At The Wheel盤がありました。
 また、Nick Lowe経由(だと思う)で、パブ・ロック・ヲタのElizabeth McQueen盤、そして、スワンプ・ポップのオールスター・バンド、Lil Band O' Goldもやっていた人気曲です。

 Merrill Mooreは、日本盤CDが出たことはあるんでしょうか?
 Capitolのカントリー・リイシューは、不遇だった時期があると思いますが、今は進んでいると思われます。
 ただ、私はMerrill MooreのCDはあまり見かけません。

 人気曲という意味では、Moon Mullicanに負けない必殺の曲があります。
 "House Of Blue Lights"です。

 この曲は、ロック系では、Commander Cody & His Lost Planet Air Men盤、George Thorogood盤、Flamin' Groovies盤など、カバーが多数あります。
 カントリー系では、Asleep At The Wheel盤があります。
 (Commander Cody盤がお手本だとは思いますが…。)

 私は、この曲はChuck Berry盤で知ったのだと思います。
 More RaritiesというCDだった気がします。

 Chuck Berryは、もちろん自作自演の人ですが、実はカバーの名作も忘れてはいけない人です。
 "Route 66"は、Berry盤こそがオリジナルだと強弁したいくらいです。

 同様に、忘れられないないのが、"Down The Road A Piece"です。
 "Route 66"とともに、Stones盤でBerryバージョンが世界的に有名になりました。
 パブ・ロックでは、Count Bishops盤がありました。

 この曲のオリジネイターは誰でしょう?
 R&Bのブギ・ピアニスト、Amos Millbern盤は、比較的容易にたどり着くことが出来ました。
 Amosがオリジネイターでしょうか。

 今回、このCDを聴いて驚いたのは、"Down The Road A Piece"が収録されていたことです。
 Merrill Mooreもやっていたんですね。
 (しかも、作者が"House Of Blue Lights"と同じ人っぽいです。)
 ちなみに、トラック25の"Yes Indeed"は、Ray Charlesの曲とは同名異曲です。

 私は、これまで代表曲の"House Of Blue Lights"をコンピで聴いていたくらいで、フル・アルバムは初めて聴きました。
 全28曲、全く飽きることなく、聴きとおせます。

 パーソナリティの魅力としては、Moon Mullicanよりも上だと感じました。
 率直な感想として、繰り返しになりますが、凄いです。

 先ほど、Amos Millbernの名前を出しましたが、彼に匹敵する存在だと思いました。
 Amos Millbernが瞬発力と爆発力の人だとすれば、Merrill Mooreは瞬発力と躍動感の人だと思います。

 Amosには、メランコリックなお酒ソングというスローの得意技もありましたが、このCDから受けるMerrillの印象は、ブギウギ一直線という感じです。

 時たま、ミディアム・チューンが入っていますが、他のカントリー・アーティストでいえば、十分にアップ・ナンバーに分類される曲が多いです。

 そして、希少なミディアム曲は、アルバムの中で素晴らしいアクセントになっているのです。
 それこそが、アルバム1枚を、ストレスなく聴きとおせる重要な要素のなのかも知れません。

 白人だと敬遠せず、ブギウギ好きな方には絶対お奨めしたいです。

 Merrill Mooreは、23年L.A.生まれ、00年に天に召されました。



House Of Blue Lightsです。



Down The Road A Pieceです。



Rock-Rockolaです。最高です。
 


追記
"Down The Road A Piece"は、40年代に、ジャズ・ピアニストのFreddie Slack盤というのがあるようです。


心の扉を開けてくれ

 このアルバムは、Los LobosのDavid Hidalgoの制作により、00年にリリースされました。
 Hidalgoは、このCDの主人公Little Willie G.を、イーストL.A.の最も偉大なチカーノ・シンガーと呼んでいます。


Make Up For The Lost Time
Little Willie G
.
1. Open The Door To Your Heart (Darrell Banks)
2. Don't Let Me Lose This Dream (Aretha Franklin, Ted White)
3. Come Back Baby (Lewis, Lisi)
4. Here I Go Again (Cleveland, Johnson, Moore, Robinson)
5. Make Up For The Lost Time (G.Aguilera, W.Garcia, R.Prado)
6. It'll Never Be Over For Me (Norm Blagman, Sam Bobrick)
7. Joy In The Palace (W.Garcia, B.Henderson)
8. (I Wanna) Testify (G.Clinton, D.Taylor)
9. These Hands (Small But Mighty) (D.Malone)
10. To Be With You (N.Jimenez, W.Torres)
11. Cultura (G.Aguilera, W.Garcia, A.Salas)
12. A World Where No One Cries (Harold Payne, Bobby Womack)

 私が、Little Willie G.の名前を知ったのは、ごく最近です。
 Doug Sahmの没後10年に当たる年、09年に彼のトリビュート・アルバムがリリースされました。
 "Keep Your Soul 〜 A Tribute To Doug Sahm"です。

 アルバムには、Doug Sahmをリスペクトする様々なアーティストが、Dougに関わる曲を持ち寄っています。
 そのオープニングの1曲目で、Dougの代表曲"She's About A Mover"を披露する栄誉を受けたのが、Little Willie G.でした。
 (ちなみに、この曲で"G."のバックを務めたのは、Ry Cooderでした。)

 私は、その時までLittle Willie G.を全く知らず、どれくらい無知だったかというと、名前の印象から、近年売出し中のヒップホップ系のミュージシャンかと思ったくらいでした。
 
 Little Willie G.は、本名をWilliam Garciaといい、60年代にイーストL.A.で活躍した伝説的バンド(イダルゴの表現による) 、Thee Midnightersのリード・ボーカルを務めた人物です。
 私は、かろうじてThee Midnightersの名前は知っていました。

 Thee Midnightersは、8人組という大所帯のバンドで、ローカル・ヒット(?)"Land Of A Thosand Dances"「ダンス天国」他を持つ、ボーカル&インスト・グループです。
 ちなみに、8人組の編成は、次のとおりです。

Little Willie G. : lead vocals, trombone, piano, harmonica, guitar
Jimmy Espinoza : bass, vocals
Romeo Prado : trombone, vocals
Danny LaMont : drums, piano
George Dominguez : lead guitar, mandolin
Roy Marquez : rhythm guitar, vocals
Larry Rendon : saxophones, flute, piano, organ
Ronny Figueroa : organ, conga, vocals

 さて、本作は、いくつかの例外を除き、多くの私の知らない曲で構成されています。
 最初の印象は、ノーザン・ソウル系のカバー中心というものでしたが、通して聴いて思ったのは、とても聴きやすく、表現が適切かどうか分かりませんが、イージーリスニング的サウンドにも思えます。

 ジー・ミッドナイターズが持っていた、だんごのような塊で押し寄せてくる、時代の「熱狂」は感じません。

 私は、フリー・ソウルという概念が分かりませんが、あえて例えに使いますと、そこはかとなく、例えば「ボサ・ノヴァ・ソウル」のようなラテン・フレイバーを漂わせているアルバムです。
 
 このアルバムには、アレサ・フランクリンや、スモーキー・ロビンソン & ミラクルズ、ボビー・ウーマックら大物のカバーが収録されているようですが、残念ながら私の記憶にない曲ばかりです。
 (ミラクルズの" Here I Go Again"は、収録アルバムを持っているはずですが、印象に残っていない曲です。)

 Bobby Blandの"These Hands"も、George Clinton作の"Testify"も例外ではありません。
 知っている曲のカバーという感覚が持てないのでした。
 ブランドの該当曲は、近々聴き返してみるつもりです。

 "Testify"は、そもそも原曲が未聴ですが、私にはスティーヴィー・レイ・ヴォーンの1stで馴染んできた曲です。
 こちらも、聴き返したいです。 

 そんな中、私が強い親しみを感じた曲があります。
 冒頭の"Open The Door To Your Heart"です。
 この曲は、デトロイトのディープなシンガー、ダレル・バンクスのヒット曲のカバーです。
 私は、彼のアトランティック盤(?)のジャケット写真が好きでした。

 かっこいいノーザン・ダンサーであり、かつ歌い手が持つディープな資質がうまくマッチした好例です。
 私は、60〜70年代のチカーノ・グループを意識して聴くようになって、最近、この手のディープ系ノーザンを見直すきっかけになりました。 

 いくつか特記したいことを簡単に整理します。
 タイトル曲の"Make Up For The Lost Time"は、フィリー・ソウルのモントクレアーズに同名曲がありますが、別の曲で、こちらは"G"の自作です。

 また、ギターはイダルゴがメインで弾いていますが、"Testify"と"These Hands"の2曲のみ、Los FabulocosのKid Ramosが参加して、ブルージーなリード・ギターを弾いています。


 本作は、イーストL.A.産60sチカーノ・ロックの逆襲とはならず、出来上がりは、アダルト・オリエンテッドな雰囲気さえ感じます。
 これは時代がそうさせたのでしょう。

 David Hidalgoは、何よりも、偉大な先輩の健在を全国に周知したかったのだと思います。


Little Willie G.のOpen The Door To Your Heartです。




Thee Midnightersの同窓会ライヴでのLand Of 1000 Dancesです。



関連記事はこちら

イーストL.A.の郷愁
メヒコ・アメリカーノ
イーストL.A.発、キャリ・メックス




ほら吹き半ズボン

 Danny Kaye編纂のNuggetsを初めて聴いたとき、強烈なインパクトを受けました。
 ガレージ・パンクとの出会いです。

 Nuggetsは、英国60sビートに天啓を受けた米国の少年たちが、いかに英国風ビート・バンドに熱狂し、自らも演者になろうとしたか、というドキュメントだったと思います。

 後から考えると、サイケとか、アシッドとかいった曲中心の選曲だったわけですが、私が、中でも特に強い印象を受けたのが、Standellsの"Dirty Water"と、Knickerbockersの"Lies"でした。

 Standellsは米国のティーン版Stonesであり、そしてKnicerbockersは、もちろんBeatlesです。


Rockin' With
The Knickerbockers

1. Lies (Buddy Randell, Beau Charles) #20
2. Just One Girl (B.Charles)
3. I Can Do It Better (Jim Seals, D.Crofts)
4. She Said Goodbye (Beau Charles)
5. Stick With Me (Jerry Fuller)
6. Love Is a Bird (Jim Seals)
7. I Love (Beau Charles)
8. One Track Mind (L.Colley, Keith Colley) #46
9. I Must Be Doing Something Right (Beau Charles)
10. High on Love (L.Colley, Keith Colley, A.Tucker) #94
11. They Ran for Their Lives (Alton, Kraushaar, Winkle)
12. Rumors, Gossip, Words Untrue (Jerry Fuller)
13. My Feet Are Off the Ground (Beau Charles)
14. Give a Little Bit (G.Campbell, Jerry Fuller) 

 彼らに共通しているのは、英国ビート・バンドから強い影響を受け、もともとは自国の財産である黒人音楽に、英国バンド経由で遭遇したことでした。

 多くの少年にとって、それはあくまで英国製のロックンロールであったのだと思います。
 彼らのうち、チェスやヴィージェイ、スタックスのレコードに関心を持った少年がどれだけいたか、推しはかることは出来ません。

 米国というのは、自国の素晴らしい財産にしばしば無関心で、腹立たしい国なのでした。

 ブルースもヒルビリーも、早くからリイシューに熱心だったのは、ヨーロッパや日本でした。

 私が輸入盤に目覚め、徐々に自分の音楽の嗜好に気付き始めたころ、ジャンプ・ブルースはスウェーデン盤で、ロカビリーはイギリス、フランス盤で渇きを癒していました。

 さて、The Knicerbockersは、ニュージャージー出身の学生バンド(?)として、65年頃にスタートしたらしいです。

 制作は、Rick Nelsonの"Traverin' Man"を書いたソングライター、Jerry Fullerが仕切っています。
 ライナーによれば、メンバーは以下のとおりです。

Beau Charles : guitar, vocal
John Charles : bass, vocal
Buddy Randell : Saxophone, vocal
Jimmy Walker : drums, vocal

 ここで、すぐに思ったのは、「ギターは1本なのか、それにしても、サックスをフィーチャーした曲がどれだけあったかなあ?」という素朴な疑問でした。

 どう考えても、サックス専任がいるというのが不思議です。
 代表曲"Lies"も、完全にギター・バンド・スタイルの曲です。

 メンバーがサックスを構えた写真がありますが、どうも得心がいかないです。
 サックス入りのサウンドというと、Dave Clark Fiveを連想します。
 Knickerbockersは、そんなサウンドとはまるで違います。

 というか、"Lies"は、ビートルズ以上に初期ビートルズぽいナンバーなのでした。
 ドライヴするドラムとギター、リードを追尾するクローズド・コーラス、そしてジョン・レノンを彷彿とさせるリード・ボーカルと、模造だとしても、とてもよく出来たイミテーションだと思います。
 
 ともかく、虚心にワン・ヒット・ワンダーとして聴くなら、素晴らしい曲だと思います。
 チャートでも、20位まで上がったようです。

 この曲は、リンダ・ロンシュタットのカバーがあります。
 英国でニューウェイヴが流行っていたころの録音だったと思います。
 いつもながら、リンダの(又は彼女のプロデューサーの)選曲は、趣味がよいです。

 "Lies"の魔法は、他の曲にはそれほど及んでいないですが、時代の熱気は感じます。
 ときどきは、引っ張り出して聴き返したい1枚なのでした。



Liesです。



Linda版、Liesです。




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