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愛の栄光はまぶたの下に

 今回は、The Five Keysです。
 私は、黒人ボーカル・グループが大好きなんですが、Five Keysはリズム&ブルースを聴き始めて、最も早い時期に気に入ったグループかも知れません。

 当時、東芝から出ていた「アメリカを聴こう」というロックンロールのルーツをたどるシリーズの中に、「ベスト・オブ・ドゥワップ」という1枚がありました。
 その日本盤で聴いたのが、Five Keysとの出会いでした。

 
Rocking & Crying
The Complete Singles 1951-1954 Plus
The Five Keys

Disc: 1
1. With A Broken Heart (Pierce)'51 Aladdin 3085
2. Too Late (Pierce)'51 aladdin 3085
3. Hucklebuck With Jimmy (Pierce)'51 Aladdin 3099
4. The Glory Of Love (Hill)'51 Aladdin 3099 R&B#1
5. It's Christmas Time (West, Ingram, Pierce, Smith)'51 Aladdin 3113
6. Do I Need You (Harris)'51 Aladdin 3113
7. Old Mcdonald (Had A Farm) (trad.arr.Five Keys)'51 Aladdin 3118
8. Yes Sir That's My Baby (Donaldson, Khan)'51 Aladdin 3118
9. Goin' Downtown (Unknown)'51 not released
10. Darlin' (West)'51 not released
11. Red Sails In The Sunset (Williams, Kennedy)'52 Aladdin 3127
12. Be Anything But Be Mine (Gordon)'52 Aladdin 3127
13. How Long (Mesner)'52 Aladdin 3131
14. Mistakes (Leslie, Nichols)'52 Aladdin 3131
15. Hold Me (Little, Oppenheim, Schuster)'52 Aladdin 3136
16. I Hadn't Anyone Til You (Little, Oppenheim, Schuster) Aladdin 3136
17. I Cried For You (Amheim, Lyman, Freed)'53 Aladdin 3158
18. Serve Another Round (Toombs) Aladdin 3158
19. Can t Keep From Crying (Smith)'53 Aladdin 3167
20. Come Go My Bail, Louise (Smith, West)'53 aladdin 3167
21. There Ought To Be A Law (Tobias, Kafman)'53 Aladdin 3175
22. Mama (Your Daughter Told A Lie On Me) (Smith)'53 Aladdin 3175
23. I ll Always Be In Love With You (Green, Ruby, Stept) Aladdin 3182 not released
24. Rocking And Crying Blues (Toombs) Aladdin 3182 not released
25. These Foolish Things (Remind Me Of You) (Link, Moschowitz)'53 Aladdin 3190
26. Lonesome Old Story (Pierce) Aladdin 3190
27. Teardrops In Your Eyes (Smith)'53 Aladdin 3204
28. I m So High (Demetrius, Toombs)'52 Aladdin 3204
Disc: 2
1. My Saddest Hour (Robinson)'53 Aladdin 3214
2. Oh Babe (Smith)'53 Aladdin 3214
3. Someday Sweetheart (Spikes, Spikes)'54 Aladdin 3228
4. Love My Loving (Pierce) Aladdin 3228
5. Deep In My Heart (Unknown)'54 Aladdin 3245
6. How Do You Expect Me To Get It (Young)'54 Aladdin 3245
7. Why Oh Why (West)'54 Aladdin 3263
8. My Love (Pierce)'54 Aladdin 3263
9. Story Of Love (West)'56 Aladdin 3312
10. When Will My Troubles End (Thomas, Kirkland)'54 RCA/Groove not originally issued
11. I'll Follow You (Lunceford)'54 RCA/Groove 0031
12. Lawdy Miss Mary (Willis)'54 RCA/Groove 0031
13. Ling Ting Tong (Godwin)'54 Capitol 2945 R&B#5, Pop#28
14. Close Your Eyes (Willis)'55 Capitol 3032 R&B#5
15. The Verdict (Moore, Freed)'55 Capitol 3127 R&B#13
16. I Wish I'd Never Learned To Read (Thomas, Kirkland)'55 Capitol 3185
17. She's The Most (Berlin)'56 Capitol 3392
18. I Dreamt I Dwelt In Harlem (Dixson)'56 Capitol 3392
19. My Pigeons Gone (Davenport)'56 Capitol 3455
20. Out Of Sight Out Of Mind (Hunter)'56 Capitol 3503 R&B#12
21. Wisdom Of A Fool (Alfred, Silver)'56 Capitol 3597
22. Let There Be You (Young, Cavanaugh)'57 Capitol 3360
23. It's A Cryin Shame (Wood, Schroeder)'57 Capitol 3830
24. Emily Please (Shuman, Shuman)'58 Capitol 4009
25. Handy Andy (Jones)'58 Capitol 4009
26. One Great Love (Otis, Gorso)'58 Capitol 4092
27. From The Bottom Of My Heart (Willis)'57 Capitol LP 828
28. The Gypsy (Reid)'57 Capitol LP 828
29. Who Do You Know In Heaven (That Made You The Angel You Are) (Derose, Stillman) Capitol LP 828
30. To Each His Own (Livingstone, Evans) Capitol LP 828

 「ベスト・オブ・ドゥワップ」のA面1曲目に収録されていたのが、The Five Keysの"The Glory Of Love"でした。

 この2枚組CDは、少し前に入手したのですが、最近の私のお気に入りリイシュー・レーベル、英Jasmineからリリースされたものです。
 Five Keysは、LP時代にもアルバムを入手せずじまいでしたので、いい編集盤が手に入って嬉しいです。

 このCDは、51年から54年までのAladdin時代の全シングルの両面をコンパイルしたものですが、それに加えて、54年以降のCapitol時代の音源から、50年代後半の代表曲をチョイスして収録しています。

 初期の黒人ボーカル・グループを、バード・グループと呼ぶことがあります。
 レイヴンズ、オリオールズなど、成功したグループが鳥の名前であったことから、ラークス、スワローズなど、鳥の名前を付けるのが流行ったようです。
 これらのグループの多くは、ドゥワップ以前のブルージーなスタイルを持っていました。

 一方、グループ名に"Five"と付くグループというと、何を連想しますか?
 ゴスペル・カルテットなら、Five Blind Boys Of MississippiとFive Blind Boys Of Alabamaでしょうか。

 リズム&ブルースなら、私がすぐに思いつくのは、Five Satins、Five Royals、Five Keysです。
 まあ、Five Royalsは、ゴスペル・カルテットからの転身組ですが、そんなことを言えば、他の2組も元は教会で歌っていたかも知れません。
 多分、みんな5人組だと思います。

 ただ、Five Keysの前身は、The Sentimental Fourといったそうですから、元は4人組だったのでしょう。
 さらにその前は、The Harmonizing Fourというゴスペル・カルテットだったという話もあるようです。

 Five Keysは、Rudy West、Benny West、Dickie Smith、Ripley Ingram、Maryland Pierceからなる5人組で、主としてRudy Westがリードを歌い、曲によっては、Dickie Smithがリードをとることもあったようです。
 代表曲は、Rudy Westがリードだと思いますが、残念ながら、Smithのリードがどれなのか私には分かりません。

 さて、Five Keysのこの1曲といえば、やはり"The Glory Of Love"でしょう。
 初めて聴いたときから、そのスタイリッシュ、かつダイディズムに溢れるスタイルに夢中になりました。
 
 このバージョンに痺れていた私は、初めてオーティス・レディングのバージョンを聴いたとき、ひっくり返りそうになりました。
 「なんて泥臭くて、へたくそなんだ」と本気で思ったものでした。
 もちろん、今では考えが変わっています。 
  
 ところで、本アルバムは収録曲が多いので、話をシンプルにするため、注目曲をチョイスしてみました。
 以下のとおりです。

Disc 1
3. Hucklebuck With Jimmy
4. The Glory Of Love
8. Yes Sir That's My Baby
11. Red Sails In The Sunset
25. These Foolish Things
Disc 2
1. My Saddest Hour
12. Lawdy Miss Mary
13. Ling Ting Tong
14. Close Your Eyes
15. The Verdict
17. She's The Most
20. Out Of Sight Out Of Mind
21. Wisdom Of A Fool

 いかがでしょう?
 中でも重要作は、"My Saddest Hour"、"Ling Ting Tong"、"Close Your Eyes"、"Out Of Sight Out Of Mind"でしょうか。
 もちろん、"The Glory Of Love"を除いた場合の話です。

 この中では、"Ling Ting Tong"だけが変則的な曲です。
 いわゆるノベルティックな曲で、「リン、ティン、トン」という意味のないフレーズを歌う、Five Keysとしては珍しいタイプの曲でした。
 
 "Close Your Eyes"は、いいバラードです。
 この曲は、リンダ・ロンシュタットとアーロン・ネヴィルが、デュエットでカバーしていました。
 作者は、チャック・ウィリスですが、本人盤はあったでしょうか?
 例によって、ウイりスのアルバムがすぐに出てこないため、確認できないのでした。

 ウィリスは、ロック・ファンには、"It's Too Late"で知られていますね。
 R&Bファンには、それに加えて"What Am I Living For?"とか、名曲がたくさんありますね。
 ニール・ヤングは、"Hang Up My Rock & Roll Shoes"をロカビリー・アレンジでカバーしていました。

 "Out Of Sight Out Of Mind"は、アイヴォリー・ジョー・ハンターが書いた曲です。
 この曲は、サニー&サンライナーズのカバーがあります。
 特定のコミュニティでの、サニー・オズナの影響力は凄いと思われます。
 何が言いたいかといいますと、私は「チカーノはこの曲が好きに違いない」と思うわけでした。

 このアルバムは、ロックンロールの嵐へと突入する時期の曲が多数入っています。
 54年というのは、いろいろとエポック・メイキングな曲が出た年だと思われますが、本作で、はっきりとリズムが変化したなと感じるのは、Disc 2の17曲目、56年の"She's The Most"からです。
 先ほど、この曲を注目曲に選んだのは、そういう意味からなのでした。

 今回は、ゆったりとした時間の中で、好きなリズム&ブルースの世界に浸ることが出来ました。
 私は、やはり古い黒人音楽が大好きだと改めて思いました。


Close Your Eyesです。




LindaとAaronのClose Your Eyesです。






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