2012年10月14日
スカンジナビアン・ホンキートンク・ソング
今回は、在スウェーデンのカントリー・シンガー、Red Jenkinsの最新作をご紹介します。
この人のバイオはよくわからないのですが、多分テキサス出身のアメリカ人で、スウェーデンに住んでいるのは、スウェーデン女性と結婚したからなんだと思います。
1. Three Chord Country Song (feat. Tony Booth) (Red Steagall, Danny Steagall)
2. The Cheatin' Heart Motel (feat. Johnny Bush) (Red Jenkins, Becky Hobbs)
3. A Texas Honky Tonk (feat. Georgette Jones) (Glenn Sutton)
4. Fallin' Down Ole Beerjoint (feat. Rick Sousley) (Lloyd Goodson, VanBuskirk)
5. Let's Go Dancing (feat. Mona Mccall) (Buster Doss)
6. Wish I Had a Nickel (feat. Landon Dodd) (Terry Fell)
7. Drink My Wife Away (feat. Miss Leslie) (David Allan Coe)
8. One More Bottle from the End (feat. Norman Wade) (M. Paul, R. Parker)
9. Happiness Is Never Found in Cans (feat. Billy Mata) (Frank Dycus, Max D. Barnes)
10. Dreams of a Dreamer (feat. Darrell Mccall) (David Hugh Brown)
11. World of Make Believe (feat. Bill Green) (Bill Green)
12. Play the Jukebox One More Time (feat. Jake Hooker) (Eemonn Mc Philomey)
13. Glasses of Beer (feat. Amber Digby) (Joel Mathis, Berrien Sutton)
14. You Can't Get There from Here (feat. Justin Trevino) (David Hugh, Red Jenkins)
15. Private Party (feat. Bobby Flores) (John Lambert)
16. Stay Under Me (´till I Get Over Her) [feat. Miss Leslie] (Red Jenkins, Joe Sun)
17. Heaven Ain't a Honky Tonk (feat. Johnny Bush) (Mark Vickery)
18. Psychedelic Cowboy (Tribute to Doug Sahm) [feat. Augie Meyers] (Brad Piccolo, John Cooper)
Red Jenkinsは、本名も不明です。
ミレニアム以降にCDが4枚出ていて、いずれも同じコンセプトで作られています。
(本盤が5枚目)
録音のためアメリカへ赴き、オースチンもしくはナッシュビルで主として友人(?)のカントリー・シンガーとデュエットしています。
本盤も同様のつくりで、Johnny Bush、Bobby Floresあたりの常連に加え、多くの私の知らないシンガーと共演しています。
珍しく超大物のGeorge Jones参加かと思った、Georgette Jonesなるややこしい名前の女性シンガーもいます。
しかし、私が注目したのは、ラスト18曲目に入っている、Augie Meyersとのデュエット曲、"Psychedelic Cowboy"です。
この曲は、私が以前、本ブログでとりあげたオクラホマのカントリー・ロック(?)バンド、Red Dirt Rangersの作品のカバーで、Doug Sahmのトリビュート・ソングです。
実は、Red Dirt Rangersのオリジナル・バージョンでも、Augie Meyersがゲスト参加してオルガンやアコーディオンを弾いていたのでした。
この曲は、Doug Sahmへの憧れを歌ったもので、Dougの作品名を織り込んだ歌詞だけでなく、曲調も含め、Doug讃歌曲として最高の出来だと思います。
本盤では、歌詞はもちろんそのまま、アコーディオンを効果的に使ったアレンジで、原曲よりもレトロなスタイルでやっています。
Redの「カモン シンギン オーギー !」という呼びかけに応じ、オーギーの歌声が聴こえてくると、自然と頬が緩みます。
Red Jenkinsは、完全にホンキートンクのオールド・スクールの人で、例えるなら、本盤にも参加しているJohnny Bushをさらに時代遅れにした感じです(言い過ぎかな?)。
ワルツもやりますが、レパートリーの多くは、4ビート・スタイル(風)の正調ホンキートンク・カントリーです。
Johnny Bushをご存じでしょうか。
Willie Nelsonのレパートリーとして有名な"Wiskey River"のオリジネイターで、がちがちの陶酔系テキサス・ホンキートンク・シンガーです。
近年の作品を聴いても、バックこそニュー・トラディショナル調ですが、中身は相変わらずのオールド・スタイルで嬉しくなる人です。
RedとJohnnyは古い友人のようで、類は友を呼ぶをそのままいっています。
私の聴いた範囲では、Red Jenkinsは、そんなJohnny Bushよりもさらにレトロな印象を受けます。
Augie Meyersとは、Redが06年にリリースしたアルバム、"Neon Bible"でも共演していて、そこでは"Heartaches By the Number"をデュエットしていました。
アルバム収録曲は、見事に同じような雰囲気の曲であふれています。
テキサスではありますが、アウトロー・カントリー風ではありません。
あくまで正調ホンキートンク・カントリーで、Bob Willsネタの曲もあるため、ウエスタン・スイングが好きな方にも、興味をもって楽しめる1枚だと思います。
やはり、"Psychedelic Cowboy"が素晴らしいですが、その他では次の2曲が特に耳に残りました。
4. Fallin' Down Ole Beerjoint
5. Let's Go Dancing
"Fallin' Down Ole Beerjoint"は、完全にレフティ・フリーゼル調のメロディの曲で、"I Love You A 1000 Ways"や、"Always Late"を連想します。(実際、それ風の歌詞も出てきます。)
"Let's Go Dancing"は、"Take Me Back to Talsa"、"Bob Wills Is Still the King"などの歌詞が出てくるウエスタン・スイング讃歌で、後者のフレーズは、もちろんウエイロン・ジェニングスのヒット曲のタイトルです。
私にとっては、Augieとの共演曲が一番ですが、Johnny Bush、Bobby Floresとのデュエットも安定の良さです。
また、女性シンガーとの共演曲もいい感じでした。
カントリーに関心がない方、苦手な方にはお奨めしにくいですが、内容はいいアルバムだと思います。
Redのボーカルは、Johnny Bushに似たジェントルなバリトンなので、古いカントリーからイメージする、鼻にかかったハイ・ロンサムなスタイルではないので聴きやすいと思います。
追記
Doug Sahmのディスコグラフィーによれば、82年にRed Jenkinsがリリースしたアルバム、"Redneck In a Rock & Roll Bar"では、Dougがゲスト参加して、アルバム・タイトル曲をデュエットしているらしいです。
…という情報は以前から知っていますが、私はジャケ写すら見たことがありません。
スウェーデン盤オンリーということもあり、Redのミレニアム以前のアナログLPは、残念ながら未CD化のまま埋もれようとしています。
何とかならないものでしょうか。
関連記事はこちら
Doug Sahm Tribute Songs
サイケデリック・カウボーイ
悲しい知らせに 空が泣いた
この人のバイオはよくわからないのですが、多分テキサス出身のアメリカ人で、スウェーデンに住んでいるのは、スウェーデン女性と結婚したからなんだと思います。
Cheatin' Heart Motel
Red Jenkins
Red Jenkins
1. Three Chord Country Song (feat. Tony Booth) (Red Steagall, Danny Steagall)
2. The Cheatin' Heart Motel (feat. Johnny Bush) (Red Jenkins, Becky Hobbs)
3. A Texas Honky Tonk (feat. Georgette Jones) (Glenn Sutton)
4. Fallin' Down Ole Beerjoint (feat. Rick Sousley) (Lloyd Goodson, VanBuskirk)
5. Let's Go Dancing (feat. Mona Mccall) (Buster Doss)
6. Wish I Had a Nickel (feat. Landon Dodd) (Terry Fell)
7. Drink My Wife Away (feat. Miss Leslie) (David Allan Coe)
8. One More Bottle from the End (feat. Norman Wade) (M. Paul, R. Parker)
9. Happiness Is Never Found in Cans (feat. Billy Mata) (Frank Dycus, Max D. Barnes)
10. Dreams of a Dreamer (feat. Darrell Mccall) (David Hugh Brown)
11. World of Make Believe (feat. Bill Green) (Bill Green)
12. Play the Jukebox One More Time (feat. Jake Hooker) (Eemonn Mc Philomey)
13. Glasses of Beer (feat. Amber Digby) (Joel Mathis, Berrien Sutton)
14. You Can't Get There from Here (feat. Justin Trevino) (David Hugh, Red Jenkins)
15. Private Party (feat. Bobby Flores) (John Lambert)
16. Stay Under Me (´till I Get Over Her) [feat. Miss Leslie] (Red Jenkins, Joe Sun)
17. Heaven Ain't a Honky Tonk (feat. Johnny Bush) (Mark Vickery)
18. Psychedelic Cowboy (Tribute to Doug Sahm) [feat. Augie Meyers] (Brad Piccolo, John Cooper)
Red Jenkinsは、本名も不明です。
ミレニアム以降にCDが4枚出ていて、いずれも同じコンセプトで作られています。
(本盤が5枚目)
録音のためアメリカへ赴き、オースチンもしくはナッシュビルで主として友人(?)のカントリー・シンガーとデュエットしています。
本盤も同様のつくりで、Johnny Bush、Bobby Floresあたりの常連に加え、多くの私の知らないシンガーと共演しています。
珍しく超大物のGeorge Jones参加かと思った、Georgette Jonesなるややこしい名前の女性シンガーもいます。
しかし、私が注目したのは、ラスト18曲目に入っている、Augie Meyersとのデュエット曲、"Psychedelic Cowboy"です。
この曲は、私が以前、本ブログでとりあげたオクラホマのカントリー・ロック(?)バンド、Red Dirt Rangersの作品のカバーで、Doug Sahmのトリビュート・ソングです。
実は、Red Dirt Rangersのオリジナル・バージョンでも、Augie Meyersがゲスト参加してオルガンやアコーディオンを弾いていたのでした。
この曲は、Doug Sahmへの憧れを歌ったもので、Dougの作品名を織り込んだ歌詞だけでなく、曲調も含め、Doug讃歌曲として最高の出来だと思います。
本盤では、歌詞はもちろんそのまま、アコーディオンを効果的に使ったアレンジで、原曲よりもレトロなスタイルでやっています。
Redの「カモン シンギン オーギー !」という呼びかけに応じ、オーギーの歌声が聴こえてくると、自然と頬が緩みます。
Red Jenkinsは、完全にホンキートンクのオールド・スクールの人で、例えるなら、本盤にも参加しているJohnny Bushをさらに時代遅れにした感じです(言い過ぎかな?)。
ワルツもやりますが、レパートリーの多くは、4ビート・スタイル(風)の正調ホンキートンク・カントリーです。
Johnny Bushをご存じでしょうか。
Willie Nelsonのレパートリーとして有名な"Wiskey River"のオリジネイターで、がちがちの陶酔系テキサス・ホンキートンク・シンガーです。
近年の作品を聴いても、バックこそニュー・トラディショナル調ですが、中身は相変わらずのオールド・スタイルで嬉しくなる人です。
RedとJohnnyは古い友人のようで、類は友を呼ぶをそのままいっています。
私の聴いた範囲では、Red Jenkinsは、そんなJohnny Bushよりもさらにレトロな印象を受けます。
Augie Meyersとは、Redが06年にリリースしたアルバム、"Neon Bible"でも共演していて、そこでは"Heartaches By the Number"をデュエットしていました。
アルバム収録曲は、見事に同じような雰囲気の曲であふれています。
テキサスではありますが、アウトロー・カントリー風ではありません。
あくまで正調ホンキートンク・カントリーで、Bob Willsネタの曲もあるため、ウエスタン・スイングが好きな方にも、興味をもって楽しめる1枚だと思います。
やはり、"Psychedelic Cowboy"が素晴らしいですが、その他では次の2曲が特に耳に残りました。
4. Fallin' Down Ole Beerjoint
5. Let's Go Dancing
"Fallin' Down Ole Beerjoint"は、完全にレフティ・フリーゼル調のメロディの曲で、"I Love You A 1000 Ways"や、"Always Late"を連想します。(実際、それ風の歌詞も出てきます。)
"Let's Go Dancing"は、"Take Me Back to Talsa"、"Bob Wills Is Still the King"などの歌詞が出てくるウエスタン・スイング讃歌で、後者のフレーズは、もちろんウエイロン・ジェニングスのヒット曲のタイトルです。
私にとっては、Augieとの共演曲が一番ですが、Johnny Bush、Bobby Floresとのデュエットも安定の良さです。
また、女性シンガーとの共演曲もいい感じでした。
カントリーに関心がない方、苦手な方にはお奨めしにくいですが、内容はいいアルバムだと思います。
Redのボーカルは、Johnny Bushに似たジェントルなバリトンなので、古いカントリーからイメージする、鼻にかかったハイ・ロンサムなスタイルではないので聴きやすいと思います。
追記
Doug Sahmのディスコグラフィーによれば、82年にRed Jenkinsがリリースしたアルバム、"Redneck In a Rock & Roll Bar"では、Dougがゲスト参加して、アルバム・タイトル曲をデュエットしているらしいです。
…という情報は以前から知っていますが、私はジャケ写すら見たことがありません。
スウェーデン盤オンリーということもあり、Redのミレニアム以前のアナログLPは、残念ながら未CD化のまま埋もれようとしています。
何とかならないものでしょうか。
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