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失われた時を求めて

 ハイ・テナー・ソウル歌手、Ted Taylorのレア音源集を聴きます。
 この人は、ドゥワップのJacks(又はCadets、実は同じグループ)からソロになったシンガーで、リズム&ブルースから、ソウルの時代まで域の長い活動をした人という印象があります。

 ソロでの初期の音源は、英エイスの"Ebb Story"などに入っていましたが、私はほとんど関心を持てなかった人でした。


Keep What You Get
The Rare And Unissued
Ronn Recordings
Ted Taylor
 
1. Farewell (2011)
2. Call The House Doctor (Ted Taylor)(1971)
3. Who'S Doing It To Who (Marshall McQueen, Winston Williams)(1971)
4. Sweet Lovin' Pair (Marshall McQueen, Winston Williams, Willie Williams)(1971)
5. Don'T Be Slappin' My Hand (1980)
6. Papa'S Gonna Make Love (Marshall McQueen, Winston Williams, Willie Williams)(1971)
7. I'Ll Be Here (2011)
8. Keep What You Get And Like It (1980)
9. Anytime, Anyplace, Anywhere (Joseph Morris, Lairie Tate)(2011)
10. Fair Warning (Marshall McQueen)(2003)
11. A Lick And A Promise (2011)
12. She'S Got A Munchy Tunchy (1980)
13. Got To Have A Woman (2011)
14. Let Me Fix Up Your Feelings (2011)
15. Why Do I Have To Suffer (2011)
16. (Long As I Got You) I Got Love (2011)
17. Cry It Out Baby - Ted & Little Johnny Taylor (Marshall McQueen, Winston Williams, Miles Grayson)(1973)
18. Funky Ghetto - Ted & Little Johnny Taylor (Ted Taylor, Jonny Taylor)
19. Pretending Love - Ted & Little Johnny Taylor (Ted Taylor)(1974)
20. Walking The Floor - Ted & Little Johnny Taylor (Ted Taylor, Johnny Taylor)(1973)
21. What A Fool (Ted Taylor)(2011)alternate version
22. Make Up For Lost Time (Jerry Strickland, Bobby Patterson)(2011)alternate version
23. How'S Your Love Life Baby (Miles Grayson, Bobby Lexing)(2011)unedited take/alternate mix
24. Cummins Prison Farm (Take 1) (Billy Cole)(2011)alternate take 

 私が、Ted Taylorに注目するようになったのは、日本企画のコンピレーション「The Jewel Deep Soul Story」に収録されていた、"Make Up For Lost Time"を聴いてからです。
 この曲は、モントクレアーズというスイート・ソウル・グループのカバーで、まず曲そのものが素晴らしいということもありますが、それにも増して、Tedの完璧な歌いくちにノックアウトされたのでした。

 ノーマークだった人に「がんっ」と頭を殴られたような衝撃を受けました。
 そもそも古臭いスタイルのバックで、地味な曲をやっているという印象を持っていましたので、このパーフェクトと言いたいボーカル・コントロールには、ひたすら感心しました。

 さて、この英ケントの新しい編集盤は、70年代のRonn Record時代の音源を集めたものですが、収録曲のほとんどが、未発表又は別テイクという凄い内容になっています。

 それにしても、50年代のドゥワップ時代にデヴューして、60年代のリズム&ブルース、アーリー・ソウル時代を何とか生きのび、ついに70年代に華開いたという感じを受けます。

 基本的にノーザン・ソウルの匂いが漂っていますが、ディープ系の人でもあり、ゴスペル・ブルース風の曲にもハマっていたりします。
 本編集盤でも、前半にそういったブルージーなタイプの曲が入っていて、なるほど実力派だな、と改めて思ったりしました。
 しかも、後半には、ゴスペル・ブルースの本家、Little Johnny Taylorとのデュエットが、4曲も入っていたりして驚きます。

 曲名のあとに(2011)とあるのは未発表曲もしくは別テイクです。
 むしろ既発曲のほうが少ないですね。
 単純に凄いです。

 私の眼を開かせてくれた"Make Up For Lost Time"も別テイクが収録されています。
 それほどじっくり聴き比べていませんが、この曲に関しては、私は「The Jewel Deep Soul Story」収録盤のほうが好きです。

 ともかく、バックの音の違い、プロデュースの違い、時代の移り変わりという、様々な要因があるのでしょうが、これ以前の時代と比べ、この70年代の録音集は、はっきりと完成度が高いです。
 すべて必聴の作品集だと思います。

 とは言いつつも、特段この1曲というものが思いつきませんが("Make Up For Lost Time"は別格として)、あえてあげるなら、ラストの"Commins Prison Farm"に注目です。
 他のアーティストで評価の定まっている有名曲、定番曲をテッド・テイラーがどのように料理するのか、関心を持たずにはいられません。
 ここでも、その技巧派の持ち味をフルに発揮しています。

 全然タイプが違いますが、技巧派と言う意味では、ジョニー・アダムスを思い出しました。
 ジョニー・アダムスも、どんな曲でも軽く歌いこなしてしまう人でした。
 彼は、うますぎる事に加え、ファルセットの使い方など、しばしば得意技を多用して、技巧に走り「流して歌っている」という誤解を与えることがありました。

 テッドは、その点真摯な印象があります。
 ジョニーには、ギタリストでいう「手くせ」みたいなものが気になることがありましたが、テッドには感じません。
 例えるなら、ハイ・ポジションからロー・ポジションまで、カポなしで縦横に屈指できる、嫌みのないプレイがこの人の持ち味でもあると思います。
 
 評価の高い名演の数では、ジョニー・アダムスに遥かに及びませんが、隠れた名演がまだまだある人だと思います。

 当分は、この編集盤をじっくりと味わいたいと思います。



Steal Awayです。




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