今回もまた暗渠の話。「予感」についてです。
<神明坂>
[浦和区神明]2丁目
■暗渠好き■
地下に埋設された川。これを暗渠(あんきょ)といいます。この暗渠に興味を持ち始めてそろそろ5年くらいでしょうか。城跡ブログとしてスタートした当ブログですが、ときどき暗渠についても触れさせてもらっています。
記事例(よかったら覗いてみて下さい)
→『川の無い橋』
→『エールを送りたくなる川』
緑道を見つけて川だったと思うことはしばしば。毎回毎回しみじみ味わうなんてことはしませんが、ちゃんと気付いていますよ。
ホントは川だよね
まぁそんな感覚です。
■川の痕跡■
むかし川だった痕跡として良くあるのか橋跡。工事の都合で、欄干などが残ってしまうケースです。あとは護岸の跡。コンクリ製であろうが石材であろうが、不自然さが「もともと違う構造物だった」ことを教えてくれます。
あとは水門ですかね。暗渠と川の合流地点でまだ役割を担っているものはたくさんありますが、もはや機能していないのに、これまた工事の都合で取り残されているケースもあります。ちょっとレア。みつけたらラッキー?かもしれません。
と、ここまでご紹介したのはあくまで痕跡です。ただ暗渠に気付くだけなら、やはりこれですかね。
<車止め>
街でみかける車止めが、全て暗渠というわけではありません。ただ一つの目安になります。
暗渠は普通の道路とは構造が異なりますので、重量が大きすぎる車両はご勘弁下さいということですね。
■地形だけで予感■
暗渠の目印をご紹介しましたが、興味を持ち続けていると地形だけで予感がする場合があります。
ここは浦和の市街地です。街はコンクリや建物に覆われていますが、意識して観察すると、とてもユニークな地形。実際に歩いてみれば、台地と低地から成り立っていることを体感します。画像の坂は、台地から一旦低地へ降りて、再び台地へ登る道。浦和らしい坂道です。
大枠として台地と低地に分けましたが、それぞれ真っ平らな訳ではありませんよね。降り注ぐ雨が流れとなり、長い年月を掛けて地形を更に興味深いものに変えていきます。徹底的に街を整備しても、なんとなく残ってしまうなごり。そんなことを感じて歩くと、何でもなさそうな景色が、興味深く映ります。
さて、予感した水の流れを覗いてみますかね。
<暗渠>
やはりありました。向こうから手前に流れているようです。見えないのになんでわかる?いや、だって水は低い方へ流れるだけですからね。この状況で分るのは、高低差だけです。画像では伝わりにくいですが、これは現地では分かります。水は手前に流れ、舗装された道の下をくぐり、反対側へ流れています。
では道の逆側も見てみますか
<暗渠>
ここですね。こちらも暗渠・・・
<開渠>
あれ、暗渠は途中までで水が見えていますね。暗渠に対し、こういう状態は開渠(かいきょ)と言います。まぁ開渠こそが、普通の感覚でイメージする川そのものの姿ですかね。
<谷>
どうも実際に目で見るのと比較すると、画像は独特の地形が伝わりにくいので、赤で筆を入れさせて頂きました。
<川の位置>
上の画像を更に加工(下手クソですみませんが伝われば嬉しいです)。水色が川の位置。まぁ見えないんだから、暗渠の位置ですかね。
コンクリに覆われてなければ、水の行先は一目瞭然。雨でも降ればなおさらでしょう。台地と谷が入りくんでいるのですから当然ですね。
でも、それを感じさせない現在の街並み。都市化は低地の安全性を高め、昔の湿地とか氾濫原すら、もうどこにあるのか分かりません。治水の力は凄いですね。
例として取り上げたこの神明坂。まぁ普通に生活していれば「ああ、坂か」と何となく受け入れて終わりですよね。ただこうして意識して見てみれば非常に面白い。そして、暗渠の先でみつけたささやかな水の姿すら、妙に愛おしく思えてなりません。
なんでそう思うの?
そう聞かれたことがありますが、気が付いたらそうなっていたとしか答えられませんでした。
以上です。
ここ数回、暗渠の話が続いてます。次回からまた城跡プログに戻したいと思います。
-------追 記-------
2020年6月、街探索のお仲間と同じ場所を再び訪れたので画像を追加しておきます
<暗渠>
<開渠>
そして
今回は神明坂とは別の、もう一本奥の道から同じ水路を撮影しました。
コンクリの街に残された細長いオアシス。そう感じてしまうのはちょっとヘンですかね。
以上です
2018年05月18日
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神明坂のあたりは複雑な地形をしていますよね。写真の道をもう少し南浦和駅方面に向かうと、3次元曲面という表現がぴったりの地形に遭遇します。