ここは東京駅八重洲北口から徒歩数分のところです。ただの植え込みと思って通り過ぎてしまいそうですが、よく見れば立派な石が積まれています。
これらはもともと江戸城の一部だったもの。江戸城外堀で使用されていた石材のようです。
設置してある説明板には、鍛冶橋門北方の江戸城外堀を発掘調査した際に出土した石材を移築再現したものと記されています。鍛冶橋門は現在の東京駅の南に位置する城門ですので、その北側ということは、東京駅八重洲南口付近ということになります。八重洲北口から歩いて数分、すぐ近くということですね。
その付近の外堀の石垣は、高さ約10mで、発掘調査の段階では、土台の2段程度が積んである状態だったと記されています。使用された石材は、神奈川県真鶴の安山岩と瀬戸内海沿岸の花崗岩。はるばる江戸まで運ばれ、江戸城外堀の一部を構成していたわけですね。
石の隅の凸凹は矢穴のあとですね。石を割るために開けた穴の跡です。
ところで…
頑丈そうな大きな石材とは別に、小さな目の石材も目立ちますね。この答えは説明板をよく見れば分かります。
説明板を拡大しました。右上の外堀跡とは別に、赤く塗られたエリアで見つかった石材も含まれているようです。外堀に沿うように武家屋敷が建ち並んでいたようなので、屋敷や水路などで使われていた石材も混じっているのかもしれません。まぁこの時代、そして総構えの江戸城の場合、城と城下町はセットのようなもの。どちらも城の遺構と言えなくもありませんね。
ちょっとマニアックなことを言うと、移築再現と表現されていますが、石垣内部まで再現しているわけではないので、あくまで見た目の再現ですね。ただ、出土した実物が積まれていることは事実ですので、歴史の重みを感じます。
この付近の外堀は既に埋められています。すぐ近くを通る外堀通りが、かつての外堀です。そして、武家屋敷街も姿を消しました。ここに積まれた石材はすべて、姿を消してなお残さる余韻のようなもの。かつてあった巨大な江戸城のなごりと言えますね。
■訪問:江戸城外堀跡の石垣
(東京駅八重洲北口付近)
[東京都千代田区丸の内]1丁目
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■参考:現地説明板
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