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2015年08月23日

人智学演劇本Dawn Langman 「The Art of Speech」04

water speech sounds.jpg


                    写真はWEBより拝借いたしました (水の結晶と言葉)



人智学演劇本Dawn Langman 「The Art of Speech」04

四大要素より 今回は 水の音声について 要点の意訳を試みます



水の特徴に思いをはせるとき いつも心に浮かぶのは その 逃げ道を求める流動性 表面を覆い 纏まり 

また分れる

その最も濃密な様態では 街をも飲み込み 一掃する 

静寂のなか 湖やプールでは それは静止したように佇む が空気が混入するや それは泡となり輝く


水の音声 /l/ 歯茎側面接近音 (IPA)

舌先を上の歯茎に付けたまま 舌の両側から音声を出す 

この音声の体験は 水の要素を知覚させる それは

  吐き出された息により生じた音は 上歯茎をスムースに まるで水が流れに任せるように 

舌の周りに導かれ 流れ出でる 




人智劇演劇人のひとり Daniel Skinner と プロや セミプロの 俳優たちと一緒に 

この4大要素と音 所作を探ってみたことがありました 

 彼は 4大要素より 土から始め 水 へと移動しましたが 

水 と 云う 単語を聞いた瞬間 俳優の呼吸は変化しています 

動きはその変化した呼吸に導かれるのです 身体は 水 のイメージで満たされますので

  そのイメージに只任せ動きます 
 
 しばらくその呼吸と所作を体験し 味わい ゆっくりと その呼吸に 音声 を乗せ 発声を試みます

 /l/ にこだわる必要はありません 


この 水は 表情がとても豊かで Dawnも言っているように 山間の沼のように静かであったり または

 津波の様に 破壊的であったり ナイアガラの様に豪快であったり 

シャワーの様に心地よかったりする訳でから シュタイナーの水の音声 /l/  たったの一つでありますが

 多彩多様な響きを持つ 遊びがいのある 音であります



 



と たのしい演劇の日々

2015年08月19日

人智学演劇本Dawn Langman 「The Art of Speech」03

blessed virgin mary01.jpg




                      写真はWEBより拝借いたしました



人智学演劇本Dawn Langman 「The Art of Speech」03

子音と四大要素より 今回は 大気/空気の音声について 意訳を試みます


しかし シュタイナーの言語造形では /r/ のみ大気の子音だとなっており そうなると

 日本語に大気の子音は存在しない と云うことになってしまうのでした 果たしてそうでしょうか?

わたくしの体験から致しますと 日本人の英語 /w/ は火 というより 大気要素の印象を多く受けております


さて本文は ホプキンスの詩で始まります 大気の音声 /r/ 有声歯或は歯茎震え音(IPA)

 日本語に存在しない /r/ を頭韻法で表現した詩ですので 訳は諦めました

Wild air, world mothering air,
Nestling me everywhere,
That each eyelash or hair
Girdles; goes home betwixt
The fleeciest, frailest – flixed snowflake.....
Who, this one work has to do -
Let all gods glory through.....
I say that we are wound
With mercy round and round
As if with air.....


The Blessed Virgin Mary Compared to the Air We Breath,  Poems.  1918,
Gerard Manley Hopkins (1844–89). .




イエズス会の僧ホプキンスは 主の存在 祈りを 我々の生命に欠かせない しかし

 眼には見えない空気の在り様に重ね 詩に書きあげた

巻き舌 /r/有声歯或は歯茎震え音 はむしろ騒がしい ハリケーンの如く粗い それでいて 

自身を純化し もろくて そよ風のようだ

息の流れは ほんのわずか遮られる 

解放される息は 熱の刺激を呼び起こしはしない 

息の流れは 舌先或いは舌の端が硬口蓋中央を弾くとき 遮られる


英国英語では /r/ は巻かない 唇を緩く閉じ 不活発に息を覆う

単語の中央当たりに位置する場合 ほとんど無音でもある

しかし 発声した場合の巻き舌/r/ はもっとも 大気を表現する

それは/r/を発声する 声帯の引き起こしている振動のため 空気と物質による 覇権戦いなのだ

最も息の密度が濃く プロペラの回転音のようだ

 しかし プロペラが回るのを見ることができないような迅速と繊細さで 運動する 

この速さでは物質はあたかも消失したかのようである まるで大気のように 眼で捉えることはできない

声の流れは飛行機の離陸の瞬間のようだ 

光のリボン 子蜘蛛の編み上げた遊糸 大気の自然の為した技



巻き舌/r/の練習では 大気 気流の流動する刺激を受ける

その透明性により 我々の声の浸透性を促す

発声練習によるこの大気性の質を維持し 英国英語の舌を巻かない/r/を使い 

上記のHopkins と Wordsworth よりソネットを朗誦してみる

それらは透明性 しかし 飛翔 高回転のプロペラが眼ではみえないような

 安定性を含む所作をも伴うだろう

It is a beauteous evening calm and free
The holy time is quiet as a nun 
Breathless with adoration...... 


穏やかでおおらかな美しい宵の入り 
それは修道女の祈りのよう
主への敬慕に息をのむ
  
 



と たのしい演劇の日々

2015年08月15日

人智学演劇本Dawn Langman『The Art of Speech』02


sound fire.jpg





                         写真はWEBより拝借いたしました





人智学演劇本Dawn Langman『The Art of Speech』02

より 要点の意訳を数十回に分け試みてみたいと思っております 今回は

子音と4つの要素 より 火の要素 についてです


 火は物質へと未だ凝縮されていないエネルギーで 

我々が物事の起源と想像するものに最も近い

ヘラクレイトス(Bc500年ソクラテス以前に存在したギリシャの哲学者)は、火が全ての起源であり 

すべてのものが永久の流動にあって すべての物は火に還ると考た


ある子音は その火のようにふるまう

それは 熱またはエネルギー発生の強い感覚を引き起こす

または 火の活動を連想する 擬音に似ている

すべては 息の流れが口腔(こうこう) で個々の音を作るポイントに向かい ポイント点で 抵抗を受け

 その強烈さにより 音を成す

火打ち石を鋼で叩いて火花を散らすに似ており

息は真直ぐ音のポイントまで流れ そこで抵抗により作られた狭い空洞を通り 逃れ出る その時 

聞き取れる摩擦が生じ 音となる

このセンセーションは 物質に凝縮される以前のエナジーを知覚する

火の音は膨大なエネルギーと運動を発生させる


いくつかの摩擦音 は 喉頭部を作動させない故 発音されない

この無音の摩擦音は 純粋なエナジーの姿にもっとも近く 地球の濃度から最も遠い

人間の声と物質の関係は 声の密度が増す 少年の変声期に観察可能である

その時期 声帯は厚みを増す


無音の摩擦音を維持するため母音と融合する それにより その子音は 大地の音を含む

有声摩擦音は母音の質を有しており 

それは どの様に火が密度を高め 物質を温めてゆくのかを知覚させる


火の要素を有する音

/f/ 有声唇歯摩擦音

上の歯を下唇に当て息を出す 歯の端は火打石のように下唇が打つ 

声帯は振動せず 純粋なエナジーの発生を知覚する

/v/ 無声唇歯摩擦音 

/f/と同様の構成 声帯は振動する それはエナジーが地球へと突き進み始めるのを知覚させる

/s / 無声歯茎摩擦音 

舌の両側が上の歯を突つき 舌先或いは側面の端は 歯の端に止まる それにより鋭い息の流れを作る

 音声の自由 蒸気にように白熱し 見えるものを超えた領域を知覚する

/z/ 有声歯茎摩擦音

/s/同様の構成で息は声帯を振動する これにより地球物質の表面を焦がし  浸透し温める

 そして大地の声質に触れ その鋭さは鈍る

/ʃ/ 無声後部歯茎摩擦音

口をすぼめ突き出し 舌の前面を上前歯歯茎に近づけ息を強く出す 火の息は水の中へ飛び込み

 水しぶきとなる 火は息の下で表面を持ち上げている

/ʒ/ 有声後部歯茎摩擦音

/ʃ/同様の構成 有声故に温かみを持つ

/θ/ 無声歯摩擦音

舌先は上下歯で挟まれ 息は上歯の根に当たり隙間より出でる 火は息を舐めるようにして酸素を求める

 息そのものは透明で精密に調整された楽器の如くあり 舌の先は歯先の神秘に触れ 現れては消える

/ð/ 有声歯摩擦音

/θ/同様の構成 有声であるが故暖かい 表面下で声の抵抗に出会い 声を作り 調査する

/h/ 無声声門摩擦音

喉の奥から息を出す 息そのもの あえぐ 魂を温める 発声の流れの中で驚きを感じる 

 母音と出会い 笑い 泣く


/ʍ/ 無声両唇軟口蓋摩擦音 (注 英国英語では使わない)

息は注意深くすぼめた唇を通過する 火を消し去るため 突然の衝撃を吸い込む

/w/ 有声両唇軟口蓋接近音

声は子音と母音の中間で発する それは /u/shose が/w/へと変化した 

息は声と交わり温める 暖かい魂は境界で口ごもり 現れる




Dawnのデリケートに火の音を発しながら 口の中で味わっている様子が伝わります 

シュタイナーの言語造形はドイツ語で生まれ Maisie Jones により英語へと翻訳が試みられ

Dawnはオーストラリア英語を母国語とします 夫々の言語が有する 火の音 を探ってみるとよいでしょう




子音と4大要素 次回 空気 へと続きます


と たのしい演劇の日々

2015年08月12日

人智学演劇本Dawn Langman『The Art of Speech』01

art of speech p00.JPG


写真はシュタイナーのノートより




人智学演劇本Dawn Langman『The Art of Speech』01

より 要点の意訳を数十回に分け試みてみたいと思います 今回は


子音と4つの要素 導入部です


Steinerは子音を 4大要素である 土 水 空気  火 と関連付ける

この提案を調査するため 我々は最初に 認識の想像的レベル で子音を経験するという意識的努力をする

そのような方法は古代ギリシア文化に示された

人類はかつて 霊界認識 宇宙の創造神の内に統合された存在としての私-人類 の感覚を有したが

 BC5世紀 それを失った

この感覚を失う過程で 人類は 人類を取り巻く自然を観察し思考により宇宙の性質を理解しようとした

Empedoclesは 自然は4大要素または『ルーツ』から成り そして 自然の成り立ちは その4大要素の

相互関係により生じる と結論した哲学者だ

Steinerは宇宙が惑星進化においてどのように凝縮したかについて語る
 
我々は 火の暖かさの段階から始め 地球の現在の惑星ステージ 硬い物質を連想する に至る

我々の想像力は この作業 宇宙と子音のつながりを体験する 創造的過程を提供するだろう
 

子音はその前後関係で 異なる響きを有するが ある子音を特徴づける質は 固守されるべきである

更に この探査と試行は Cheknov の the qualities-of-movement(シリーズ本第1 『The Art of Acting』)

 エクササイズと共に為されるべきだ

 





夫々の子音と4大要素は次回へと続きます



と たのしい演劇の日々

2015年07月30日

人智学演劇本Dawn Langman 「The Art of Speech」00

art of speech00.jpg






Dawn Langman 「The Art of Speech」

BODY-SOUL-SPIRIT-WORD 身体 魂 霊 言葉

A Practical and Sporitual Guide 実際的で霊的な案内

シリーズ第1巻『The Art of Acting 』から 随分と月日はたちました やっと第2巻を手に取り読み始めました

日数を掛け 気になる箇所の意訳を試みてみます

このシリーズ本では シュタイナー言語造形の理論と マイケルチエホフの演技術を

実践的に学ぶことができます 




スピーチ/音声に関する霊的認識のレベル

言語/音の研究するにあたり シュタイナーが云う 健康な認識能力に適った 霊的認識力を用いて取り組む

シリーズ第1巻『The Art of Acting 』で はっきりした観察力 想像力 霊感 直観力は

 霊的認識力を基礎とした思考によると確認した

そして その実行は シュタイナーの云う 霊的科学者になる ことを意味する


明晰な観察に基づく思考

数多の研究書により 音声器官の解剖学と生理学 音波の物理学の基礎を学ぶことが出来る

これらの情報は 多大な時間と忍耐強い観察から実証された科学的データであり尊重されるべきである

その研究は 言語治療の分野で多くを負う、話し言葉と言語の病理学知識 

音とコミュニケーションに関する科学技術を開発させ変革を遂げた


例えば 音声/b/について見てみよう

合理的認識によれば それを 子音  有声 両唇で調音される破裂音と知る

これは 音声/b/が唇の閉鎖によってつくられ 息の圧力が唇をこじ開けた結果として生じる音  である

吐かれた息は 声帯または喉頭を振動させ 耳が音/b/と知覚する

この音は 頭 喉 で共鳴し補強される

音声/p/も 閉じた唇を息の圧力でより鋭く押し開ける際に発する

しかし この場合 息は声帯(声への変換)を振動させない /p/は無声の破裂音である



私が正しく音を発声することができないならば これらの科学的研究は役に立つ

しかし この説明は正確であるけれど 芸術家の霊的感性の説明には当たらないと云わざるをえない

このような知識は一般的認識として存在の意義を持ち それは一般の教育を担っている が しかし 

音の実存を知り始めるとき 言語が提供する豊かな饗宴を共有しない


もし シュタイナーが云う 人間の中心/第4チャクラ で/b/を知覚するならば

我々はどのように聞き 話し 受け取った音を どう所作において表現するであろう

この本では シュタイナーの方法で知覚される /b/ 音認識を解析する


Imagination/ 想像力

私が /b/ と発声するとき 私の想像力は 映像をうみ始める 

 それは 暖かくて硬い 堅いが滑らか たぶん鈍く 或いは ゆっくり曲がり 

それらを包み込み 囲む所作 を伴う 

シリーズ第1巻『The Art of Acting』で 所作はコミュニケーションの必要から生じると学んだのだが

コミュニケ−ションが目的であれば 私を通して交信する存在があるのか?


Inspiration/霊感による着想

私の中心/第4チャクラは 音声/b/に 存在 を感じ始める

その存在は 暖かく 抱きあい 信頼でき 思慮深い

堅固な境界を持ち 本質は快く 魂の深遠を好む 

その存在は実質を持つ 目ざめは遅いが 一旦目覚めれば 障壁を叩き落とす

この存在は 特定の質を有し たとえば /t/ /f/ など全く別個である それ故 

音存在に向かうなら 想像的に 自身を解放する必要がある


音を体験する中心/第4チャクラ は言葉を誕生させる  

baby, beauty, bower, belly, embrace, abundance, bitch, batter, abuse, bumble, bee, bud, build./
(赤ちゃん、美しさ、木陰、腹、抱擁、多量、雌、生地、虐待、へま、ミツバチ、芽、造り)


我々は 中心/第4チャクラを開くにまかせす

この音存在は無限に大きく 人間よりも強力であると感じる

それは 宇宙に在って より大きな存在で その名を呼ぶために 我々は経験を通し 存在自体を知る

 のかもしれない

人間は/b/を発声し始め 名づける それは その名において存在する


Intuition/直観

この存在が 私を通し 存在を体現することができるまで 私は自身の音声を訓練する

私は『b』の意思 を体現するに可能な自身の意志を育てることを学ばなければならない

より忠実にその存在の意思を体現するための探求において 

私はより深いレベルでその存在をを理解しする

このレベルでの知識や認識にってのみ 音存在を体現する それは 

それを理解する為の 訓練の結果としてあり それはシュタイナーが云う 直観力を意味する





と たのしい演劇の日々


2015年07月24日

観劇 Franz Kafka/カフカ「The TRIAL/審判」 Young Vic theatre


The+Trial.jpg


写真はWEBより拝借いたしました



                    観劇 Franz Kafka/カフカ「The TRIAL/審判」 Young Vic theatre



脚色Nick Gill

演出Richard Jones

主演Rory Kinnerar


カフカの審判を Londonロンドンは Waterlooウォータールー OldVicオールドヴィク劇場の弟妹劇場にあたる 

YoungVicヤングヴィック劇場で観て参りました


ヤングヴィックとは 才能ある若い演劇人を世に出すことを使命とした劇場です 数々のチケット売り切れ

 評判の宜しい 舞台作品を 劇場を愛する英人へ提供しております


今回もチケットは既に完売でありましたので 早めに劇場へ出向き 受付へ返却券待ちである事を告げ

 受付真向かいに位置する劇場のバーレストランでギネスビールを楽しみながら待ち続けました 

もしも チケットが入手できなければ 歩いてい一分 兄貴分のオールドヴィック劇場で上演中の

「Higy Society」を観る予定にしております

開演1時間前 受付の青年が私のテーブルへ参りまして 云いますのには 

限られた視界だが桟敷席ならあるが。。。と もちろん其の席を即座に買取りまして 更に 待ちます 

桟敷席へは 開演3分前案内されることになっておるようで 同輩が20人程待っておりました

ヤングヴィックのロゴの入った真っ赤な木綿のTシャツを着て インカムを当てた 若い劇場案内人

(スタッフは皆若者です)に導かれ 劇場へと向かいます そこでなんと云うことか 先着順に少数ですが 

空き席に通されまして 最前列中央の座席を得たのでありました 

舞台が始まって知りますが 舞台を覆うように 中央に大きな鍵穴のあるドアのような箱が吊り上げられます 

なので 桟敷席では 殆ど舞台の様子を観ることは出来なかったことでしょう

この幸運に感謝し しっかり観劇させて頂きました

さて その舞台です ヤングヴィックは お金を極力掛けずに でも高い質を求める劇場 と唄っておりますから 

コンクリートむき出し 座席も平板にクッション敷き 装置も照明もシンプルなものであります 

歩いて15分のところに位置する ナショナルシアター の豪華な舞台装置を期待しません

しかし 限られた条件下 を逆手に取ったのでしょうか?  

ベルトコンベアーを使った舞台展開は カフカの描く不条理な物語の主人公Kの閉ざされた体験 

をよく表していると思いました

Kを演じますRory Kinnerar はオリヴィエ賞を受けております 

その他の役は 複数の俳優が2〜3役を演じ分けます 

Kate O'Flynn は若い女を6役も演じ分けておりました 

カフカの夢とも現実とも付かない 物語性が曖昧な芝居を演じるには 俳優の力量が物を云います

 公演の良し悪しは 戯曲 演出はもちろんですが 

如何に役を演じる俳優が観客を虜にするか で決まるのです 

Rory KinnerarのKはもちろん どの俳優も達者で 大変満足いたしました


若い劇場スタッフの溌剌とした観客への対応も感じよく 

Young Vic はロンドンで今一番熱い劇場と言えそうです





と たのしい演劇の日々

 

2015年07月21日

観劇「hang」debbie Tucker Green




hang.jpg




観劇「hang」debbie Tucker Green The Royal Court Theatre

debbie Tucker Green

或る劇評には 名前を小文字で書くのは おそらく 大文字/階級/中心 を越えて  と云った意味合いだろうか

 とありました 数々の賞を受けている 黒人女性劇作家/演出家 です

International Film Festival Rotterdam 2015
BAFTA 2012
Black international Film 2011
OBIE 2011
Olivier 2004

タイトル「hang」縛り首 と訳せますが 誰かに頼るとも読めます

登場人物は 番号で1,2,3 とあり 1,2 は人種を問わないが 3、は黒人女性で 神経症により手に震えがある

 とあります

70分の短い芝居です 最初の2/3は短い会話が互いの台詞に噛み合いながら続き 

舞台上で何が起こっているのやら見当が付きません が最後の20分 

黒人女性3(Marianne Jean-Baptiste)が 『それはどの位続くのか?』 との問いかけに

 2(Shane Zaza)、が 処刑の数々を詳細に説明し始め 

3、と彼女の家族はある悲惨な事件の被害者であり  犯人の処罰は 被害者により決定され 

3、は 犯人に対し極刑を求めており  しかも絞首刑にしたいと

 その為に必要な事務手続きが舞台上で展開していることが 解ってきます 


1(Claire Rushbrook)が 3に対して必要以上に気を配る役どころを極自然に 

抜群の間の取り方で演じており 面白く拝見しました

黒人女性3(Marianne Jean-Baptiste)手は震えているのですが 

身体に神経症特有の緊張感が演じられておりませんで 其れ故に事件後 

彼女や彼女の家族の置かれている悲惨な状況を台詞で語る件がありますが 

残念ながら伝わってきませんでした

2を演じましたはShane Zaza 英国の俳優です が インド系移民二世だと思われます 

軽快に処刑の有様を説明する件 聞くに堪えませんが それをコミカルに演じておりました
 
1(Claire Rushbrook)は白人女性 

犯人について3、が 台詞『あの青い眼を忘れられない』といいますから 白人でしょう

劇評にもありましたが 歴史的な白人の黒人差別に対する審判を描いた芝居であるとも読めました




The Royal Court Theatre は劇作家の為の劇場です 良く書かれた劇作は 

英語圏の演劇映画界へ絶えず刺激を与え続けており 映画演劇文化を活性化いたします

次回の公演も見逃せません




と たのしい演劇の日々


2015年07月17日

演劇本Brian Bates 「The Way of Actor」 - A path to Knowledge & Power04

BrianBates00.jpg



              写真はブライアン自身の彼のWEBより拝借いたしました



Brian Bates 「The Way of Actor」 - A path to Knowledge & Power04

導入部の意訳を続けてまいりました 今回それの最終回『自己認識と能力』を試みます
  


自己認識と能力

この本で紹介する俳優たちの才能は 単なる自己開発ではなく 

より人類にとって理想的な生き方を考察する

それは、精神療法(医師 心理療法士により 患者 来談者等の内的混乱を整理し

 社会生活への適応を助ける) 為でもない

むしろ 理解し 接触し 人間内部の資源を活用したバランスのよい人生を生きるのための方法を提案する

俳優の奥義を知り活かす為 特定の技術を使用する そのいくつかはこの本に記述されている

しかし、より重要なことは 我々の生き方に関する それは 現代社会の隅に葬り去られている

 人類(自然)についての現代科学で証明可能な仮定の限界を越えるということ 

この本では 俳優を超人的な存在であると主張するつもりではない

俳優業は、人間性を余すことなく開示してみせる

そして、俳優の世界は人間理解に実際的な経路を示す一方、発見されたことは簡単に吸収され 消化され

 統合されるとも意味しない

自分自身/人間の不可解さ についての多くを知り しかし その事実を好まない俳優も沢山いる

俳優の奥義を学ぶことは 決して 衛生的で 子供にも安全な場 ではない

しかし 彼らの仕事から自分自身/人間存在について学び 理解し その知識を統合した俳優も多くいる


自己理解は能力を生かす

しかしそれは他者を支配する(個人の抱く不安から生じる)能力ではない 

むしろ 轍で定義された人生の圧迫に直面する運命を導く力だ

現代学術的心理学の狙いが『人間行動を予測しコントロールする』ことであるなら 

俳優の奥義は 自己認識を深めるゆえ 外からの力では 予想不能で制御不能にするかもしれない

この本は 俳優の経験を通し 人間理解を明らかにしようとする

自身の内奥を知ろうとする 

自分が代わる体験をするだろう

人生を再認識し統合するだろう

そして 他者を理解するだろう

我々の精神の能力に気づくだろう

体験は危険を冒すことへの責任を負うだろう

魂に集中することを学ぶとは 存在と能力の奥義に踏み入ることを知るだろう

我我々の感覚を広げて 制限された概念からの解放を成し遂げるとは

我々の霊能力を開放し 他領域と交信すること と知るだらう


Wikipediaより

ブライアン・ベイツ(1944-)

サセックス大学の心理学の前議長 現在サセックス研究所の上級訪問の研究員  ブライトン大学 教授

アングロサクソンイングランドのシャーマンの知恵に関するベストセラーの本の著者

サセックス大学では コース「Shamanic Consciousness」ため賞を受ける

ロンドン演劇学校RADAで10年の間 俳優心理学の権威者 教育 監督者



と たのしい演劇の日々


2015年07月14日

Brian Bates 「The Way of Actor」 - A path to Knowledge & Power03

BetteDavis00.jpg


                      写真はWEBより拝借いたしました

Brian Bates 「The Way of Actor」 - A path to Knowledge & Power03

導入部の意訳を続けております
 
今回は『神経症と俳優』そして『日常での役割り演技と俳優』を試みました 

神経症と俳優

俳優に対する我々の見解は変化した

今日我々は 文化的国際的なヒーローとして 俳優の名声と力を知っている

Dustin Hoffman, Jane Fonda, Marlon Brando , Meryl Steiip 僅か2、3週間の仕事に何百万ドルも支払われる

Antony Sher, Liv ullmann, Charlton Heston ,Glenda Jackson チケットは即座に売り切れとなる

『スター』はいつの時代にも大衆にとって欠かせぬ存在である

が、俳優は大衆よりの賛辞無くしては生きられない 不安定な人間としても描写される

キャラクターを生きることで 自分自身の病的性質を回避し 無難に社会化を遂げているとも思われている

更に 『大衆の気をひく』それは職業であるのだが 度が過ぎた行動により 一般社会より告発されもする

大衆は俳優を賞賛し 楽しむが  俳優より『人間理解』を学べるとは思っていない


伝統的な社会とは対照的に 我々は 

霊界の使者としての俳優を 『エンターテイメント』の軽薄なカテゴリーへ引き渡した

俳優は 大衆を楽しませる義務を与えられた

そして我々の人生についての指導は それに代わり 科学者に委ねている


私は間違っていると思う

我々にとって人生の小路を 俳優も同様に行くのだが 俳優は 遥かに多彩に時を歩む

キャラクターを演じる俳優は 自身を人間を貪欲に観察する

俳優の経験を共有することで 我々は 人間理解と 人生の意味を より理解することができるだろう



我々は皆 俳優だ

我々の日々の暮らしは 多数の役割を演じることにある

我々のステージは 家庭 公共の場( 交通機関 職場 食堂 店舗等)多岐だ

これらの『役割り演技』は月並みだったり 時に 大役のときもある

我々は 自身の役割を明確に表現する為に 不要な面は隠しもする

多くの俳優は 日々の生活体験の全ては キャラクター創造にとって必要条件で 

俳優とキャラクターは統合され生命を得る と語る

我々は常に、俳優だ

我々は 其々我々が係わる社会場面で 適切に役を演じるため 繰り返しリハーサルをし

 よりよく役割りを演じる

我々の日常生活は 俳優の成すと同様な事を より劇的でない形で演じていると云えるだろう

しかし、濃縮された人生の真実を語る演劇を担う俳優は 大観衆に捧げる舞台公演

 人間の内奥を見透かす映画 テレビのカメラレンズに向かって 当り前の人間を表現するために

 我々が良く知っている日常演技の其れを 遥かに越えて 深い人間理解と表現法を研究し演じる

演出家 Peter Brook は云う

演技は『ほとんど完全には見えない程 わずかな運動から始まる..... 例えば

「恋人は、あなたの元を今去ろうとしている」と 俳優の想像力を喚起すると

大部分の非俳優において 内的運動は 現れるにはあまりにわずかで認識できない しかし俳優は

 より高感度な身体楽器を有しており 内面の僅かな震動は 観る者の心を撃つ』


俳優は 応答性 想像力 心魂身体の資源 表現力を 豊かにゆうする

そして、俳優の先進な応答性と 人間を認識する能力の高さは、この本を生んだ背景である

我々は俳優術の全てを学ぼうとは思わないだろう その一方で 私は 

トレーニング リハーサルを重ね 観衆を想像の世界へ導き 魅了する俳優の 

人間性に対する深い洞察力と生活体験 直観的な豊かな世界認識を 信じている




と たのしい演劇の日々


2015年07月08日

演劇本Brian Bates 「The Way of Actor」 - A path to Knowledge & Power02

shaman dance.jpg


     写真はWEBより拝借いたしました



Brian Bates 「The Way of Actor」 - A path to Knowledge & Power02

導入部の意訳を続けます 今回は俳優とシャーマンについて


映画監督はJohn Boorman 映画「Emerald Forest 」 

南米インディアンに捕らえら育てられた白人の男子の実話をもとにした映画 

調査のため ブラジルの熱帯多雨林 奥地へと向かった

其処で彼は タクマ(有名なシャーマン)に会う

シャーマンは映画監督の仕事の説明を求める 映画TVを知らないシャーマンに説明するのは容易でなかったが

彼は 映像が創り出す夢/幻想について 其の為の数々のトリック/技術 それを成した時の喜びを語った 

シャーマンは熱心に聞き入り 満足して云うには

「あなたは 幻を出現させる 私のようなシャーマンだ」と


いわゆる『原始』社会には 集団を司る特別な能力を持った人々が存在する

彼らは 儀式において 神 動物 祖先または精霊の代理を務める力を持っている

彼らの役割は 彼ら自身のアイデンティティの境界を越え 観衆を霊的叡智へと導くこと 

彼らは  シャーマン 魔法使い 呪医と呼ばれる 予言/幻の創作者 俳優の起源である


今日 幻の創造者は俳優 監督 作家 製作者 カメラマン 技術者 舞台係 多くの手になるが

その中心は現在も俳優だ ステージは もちろん 

監督が効果による強力なイメージをつくる映像でさえ 俳優が 幻想への扉の鍵を開ける


伝統的な社会において 俳優は特別な存在である

彼らは 『霊界』- 我々は存在を知ってはいるが 知覚の出来ないパワー 我々の通常の感覚を越えて 

ある真実/霊界よりの 叡智と通じるために選ばれた人々 である

俳優/シャーマンは 儀式において『霊界』を明らかにする 

彼らは霊界へと赴くか 或いは霊界よりの使者が彼らに乗り移る と思われている


並外れた能力をもつ人々としての俳優存在は 東洋 南アメリカ アフリカ文化のなかで今も健在である

数百年前 西欧の社会においても 俳優は 透視者 治療者としての役割を果たした

俳優は神秘主義と共に在った

しかし 現代の俳優も オカルト経験を有する

Shirley MacLaineは 彼女の有体離脱体験を 

自身を外界から眺める事につての高揚感と展望が付随する経験を語る

それは 生命の神秘を読み解く為 霊界へ旅する伝統的な俳優の習慣と同様である

彼女は云う  それが仕事に役に立つなら 自己の深奥へと辿り行く 

世界をよりよく理解する試みは 実は自分自身を理解することであった と

そして この自己内部の理解は 自己陶酔のプロセスによっては得られないと


隠れた力が 演技にはある

演技は 俳優自身を離れ 外へと向かう パフォーマンスを成すエネルギーだ

俳優の演技には外部へ向けた目標がある

俳優の経験は 暴露的 熱狂的であるが それは 自分自身を対象とする治療とは大きく違う

ちょうど弓道のように 的を狙う弓術家の集中は その瞬間 弓と一体となり 隠れた力を的へ向け開放する

 俳優も同様 エナジーはキャラクター 劇 観衆と一体となる


俳優の奥義は 禅への道のりとも同じである


古代俳優は 霊と共に在る人間存在を幻視し  目的とガイダンスを与えた

Liv Ullmannは 俳優は キャラクター創造の過程で 自身の感情との密な接触を求める 

それにより 他の人とも より密接にあるように思う  それはとても 生身な命のプロセスを感じる と云う


時々 演技は 感情の発散/カタルシスについて語られる

これは 劇中キャラクターを生きることで 俳優の個性が変化を遂げ 濃縮された自己解放だ

Marlon Brandoは 彼の初期の仕事について 演技とは

私の持つ暴力性を理解し それをコントロールすることだった 

そして Wild Onesの仕事を終えたとき 私は自身の暴力性を消化したと理解した

.劇中のキャラクターは時に 俳優に劇的切迫した場面を要求する 

それは 隠蔽され 抑制され しかし開放される必要がある そしてその結果 

非常に強力に俳優の心身は衝撃を受ける

しかし 俳優の仕事は 過去の経験へと誘導し 意識化を働きかけ 詳細を分析する

 精神療法のシステムと違っています

俳優も 自身の過去の経験をとらえ 想起し 意識化するが その内部の素材は

 キャラクターに生命を吹き込む際に使用される

内部の感情はそのままで 異なる形となって キャラクターにより表される

俳優内面の激しい感情的なエネルギーは キャラクター創造に再統合さる 

Marlon Brando は彼のパフォーマンスの原動力となる感情的な混乱

我々が病理学的であると分類する心のありさまだがを 演技によって 昇華し 日常を無事に保っている

伝統的な社会でみられる 神秘な 一種のシャーマニック治療である


映画ガンジーの演技でアカデミー賞を獲得しましたBen Kingsleyは

10年以前にRSCでハムレットを演じました。

その経験を振り返り 彼は云う 

それは 私が深く自分自身を掘り下げ辿る事を許した その 経験が人生を変え 再構成されたと

ハムレットの体験以降 私は自分自身を許す それにより 内面に静寂を得た

俳優にとって 内部の静寂と接続していない外部行動は 時に半狂乱の様相を呈する



俳優は 自身のセンター(力の点)を見出し 強くそれと外部 

劇の進行 観衆の集中 を関連づける能力を有する 俳優の存在の基礎だ

その能力は 単なる物質界  自然界 の様相を越える

我々が『超常現象』と分類する科学との『中間帯』で発生するパワーである



今 我々に必要なのは 新しい目で俳優の生理を調査すること

俳優の奥義を調査することによって 我々が自分自身について

 生命について何を学ばなければならないか明らかになり 人間認識と能力への新しい経路を見出すに違いない




と たのしい演劇の日々


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