説明なしだと、ただの線路沿いの道。しかも狭くて、人と人がすれ違うのにも気を使う路地です。
ここは文部省唱歌「春の小川」の舞台であったとされる場所です。
<解説>
この歌の作者(作詞を担当した高野辰之)が、東京府豊多摩郡代々幡村に住んでいたことから、当時の田園地帯に流れる宇田川の支流である「河骨(こうほね)川」が歌のモデルの川と推定されています。場所は現在でいうと代々木3丁目。昔の雰囲気どころか、川の姿もありませんね。
■ 春の小川 ■
春の小川は、さらさら行くよ。
岸のすみれや、れんげの花に、
すがたやさしく、色うつくしく
咲けよ咲けよと、ささやきながら。
(以下省略)
口語調に変更される前はこんなです
■ 春の小川(オリジナル) ■
春の小川はさらさら流る。
岸のすみれやれんげの花に、
匂いめでたく、色うつくしく
咲けよ咲けよと、ささやく如く。
歌え歌えと、ささやく如く。
(以下省略)
なるほど、、
オリジナルより、自分が聞きなれた方がしっくりきますね
<現地画像>
岸のすみれやれんげの花もありませんね
付近はなんとなく川のなごりが漂う場所ではありまが、これがあの唱歌「春の小川」の現在の姿です。
この衝撃的な事実。暗渠に詳しい人の間では、既に有名な場所となっています。私もテレビや雑誌ではなく、その筋の皆様(暗渠界?)のFacebookで知りました。
とりあえず現地へ行ってみましたが、目の当たりにして、やや寂しくなりました。
<個人的感想>
作者の高野辰之さん。長野県の出身で、上京は大学進学時とのことです。手掛けた唱歌は「春の小川」以外にも多数。代表作にはあの故郷(ふるさと)も含まれます。
兎追ひし かの山
小鮒(こぶな)釣りし かの川
・・・
私が地方の出だからでしょうか。感情移入できる川は少年期の記憶ばかり。そんな感覚ですので、「春の小川」も故郷の川に思いを巡らして創作したような気がしてなりません。仮にこの代々木の川がモデルだとしても、川を思う豊かな感性は、きっと故郷の川によって育まれたものでしょう。何となくそう思いました。
<川の痕跡>
これ護岸の跡ですね。
まぁ春の小川のモデルがどこであれ、この代々木の小路が川だったことは間違いありません。その痕跡が、こうして黙って伝えてくれています。
■ お勧め本 ■
静かなブームになりつつある『暗渠』に関する本のご紹介です。当ブログでは下記をお勧め致します。
暗渠マニアック ! (柏書房)
著者:吉村生/山英男
※広告掲載期限切れのため書名のみ
タグ:暗渠