■江戸探索■
古地図を参考に街を散歩する。同じ景色が違って見えたりして、結構楽しめます。そもそも地図を見るのが苦手?という方も結構いるようですが、目印があって、あとはまっすぐ進むだけだったら誰でもできますね。
<今川橋跡>
ビルの脇にひっそりと設置されている石碑。かつてあった今川橋の跡です。ここを最初の目印とします。
■神田駅下車■
目印となる石碑も、分かり易い場所にあります。知っていればの話で、ほとんどの人が見向きもしないで通り過ぎますが・・・。最寄駅は神田駅。下車したら東口から出て、中央通りを南へ歩くだけ。
<今川橋交差点>
徒歩2分程度でこんな景色に。冒頭の今川橋跡の石碑はまもなくです。私は進行方向左側を歩きましたが、石碑は右手(山梨中央銀行側の歩道)になるので、このヘンで通りを渡っておいた方が確実ですね。
<今川橋跡碑>
はい。もう到着です。具体的には江原ビルディングの敷地になります。
[住所:千代田区鍛冶町1-5-7]
<説明板>
あまり予習しなくても、これを読めば充分。
<橋跡と堀川跡>
水の都だった江戸。この通りはかつて堀川でした。現在ではひっそりとした路地。舟運が盛んだった当時は、大いに賑わったのでしょうね。
<絵図>
これは現地ではなく、日本橋付近の地下道で撮影した今川橋です。賑わいが伝わってきます。瀬戸物屋が多かったとのこと。
■今川橋■
この橋は、神田の名主であった今川善右衛門によって橋が架けられたことから「今川橋」と呼ばれたそうです。今川ってあの?どうしても名門家・今川義元の今川を想像してしまいますよね。今川氏は徳川将軍に仕えて高家・旗本となっていますから。調べたのですが、善右衛門さんはもともと江戸の人で、直接の関係はない。そう思った方がよさそうです。
ちなみに、「今川焼き」はこの「今川橋」付近で売られていたことがその名の由来だそうです。諸説あるようですが、これはわりと有力な説です。
■龍閑川■ りゅうかんがわ
この堀川、もともと防火用の空地に町人が築いたもの。現在の千代田区と中央区の区界沿いに掘られ、浜町堀と通じるように築かれました。古地図を見ると、浜町堀とは直角に繋がっていたようです。
この堀川の名は龍閑川(=竜閑川とも)。江戸城殿中接待役の井上竜閑の屋敷があったとから「竜閑橋」と呼ばれたが橋が、川の名の由来。ちょっとややこしいのですが、厳密なことを言うと、この「竜閑橋」はもともと別な堀に架けられていましたが、埋め立てにより不要となり、この堀川に架け直されたそうです。
まぁ経緯はともかく、その「龍閑橋」付近まで歩いてみますかね。本日のもうひとつの目印です。
<川跡>
堀川の面影はほとんど残っていません。ただ古地図でも、今川橋から龍閑橋までは直線となっています。その事実を背景に眺めれば、路が堀川の跡と思えなくもない。
<ビルの間の小路>
そう思えなくもない。
<直線>
ひたすら真っすぐ。実は地図そのものは好きなのですが、実際に動き出すとけっこう「方向音痴」な方です。でもこれなら何のストレスもなく楽しめます。船で運河を移動している。そう思えなくもない。
この小さな道が千代田区と中央区の区界。川が行政区の堺というのは珍しくありませんよね。ここは「川だった道」が区堺ということです。
<小路の出口>
そろそろ小路が終わり、外堀通りにでます。何かに突き当たりますね。「龍閑橋」の架けられていたのはこの付近だと思われます。
<小さな公園>
こんな場所に出ました。何か展示されていますね。
<龍閑橋跡>
刻まれた文字。ここが2つ目の目印。そして「小さな探索」のゴールです。
<コンクリート製>
これは大正時代に造られたコンクリート製の竜閑橋だそうです。橋は江戸時代に始まり、明治・大正・昭和と姿を変えながら存在し続けたわけですね。
<説明1>
日本で初の鉄筋コンクリートトラス橋とのこと。構造物としても貴重ということですね。
<説明2>
1950年、龍閑川は埋め立てられました。戦災による瓦礫処理のためです。
江戸時代にも、埋め立てが理由で一旦不要になった龍閑橋。戦後の処理では移設されることもなく、役割を終えました。長年よく頑張りましたよね。龍閑川そのものがなくなってしまいましたので、冒頭の今川橋も、約三百年の歴史に幕を閉じました。
こうして残してもらったことに感謝です。そして橋の姿はないものの、今川橋の石碑にも。
かつてあった小さな河川が地下に埋設、つまり暗渠化される例は多々ありますが、この堀川は純粋な埋立て。龍閑川と繋がっていた浜町堀(浜町川)も同様です。水の路として機能していたのですがね。暗渠として活かされることもなかった。そういうことですね。
以上、今川橋から龍閑橋までの堀川跡でした。
最後に
ご紹介したのは今川橋跡からみて南西。龍閑川の一部です。逆に北東へ進めば、浜町川との合流地点(ここで直角に曲がる)に辿りつき、現役の川である隅田川へと繋がります。人の手により、直線・直角に掘られた堀川。道幅が狭いですが、見失わなければ迷うこともありません。ただまぁ暗い場所もあるので、夜はいろんな意味で注意して下さい。
姿を消した堀川の跡。街に埋もれているからこそ、逆に妙な魅力を感じてしまいます。
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