2020年02月11日
ユネスコ無形文化遺産に登録!1300年以上もの歴史を持つ細川紙/東秩父村
東秩父村の和紙について
前回倉埼が和紙作りの大変さを分かっていなかったようなので、今日は東秩父村の名産である和紙について詳しく掘り下げていく。
ひとくちに和紙と言っても作られてきた場所や製法によっても呼ばれ方は変わっていくんだ。
隣町の小川町も和紙の産地として有名だが、町内で作られる和紙は「小川和紙」と呼ばれている。
無論、私たちが住んでいる村に伝わった和紙にもきちんとした呼び名がある。
ということでまずはユネスコ無形文化遺産にも登録された「細川紙」について語っていこう。
「細川紙」名前の由来
東秩父村は和紙が有名だが、地元には「細川」という地名が存在しないのになぜ「細川紙(ほそかわし)」と呼ばれているか知っているか?
これはかつて紀州の細川村(現在の和歌山県野町)という場所で和紙が作られていたことに由来している。
東秩父村では細川村の和紙作りの伝統を受け入れ、「細川」という名で大量消費地である江戸に向けて生産を始めたことで和紙の一大産地として広く知られるようになったんだ。
和紙の原料
細川紙の原料にはクワ科の落葉低木である「楮(こうぞ)」の樹皮が使用されている。
使うのは皮だが、オレンジ色の実は食べることもできるぞ。
楮を使った和紙は見た目が美しくなるだけではなく非常に頑丈なんだ。
少ない材料でも薄い紙を多く漉(す)くことができるから和紙の原料としては申し分ない性質だな。
紙漉きの工程
和紙ができるまでの工程は非常に大変だ。明治時代に行われていた紙漉きの一例を紹介しよう。
1・まず栽培した楮を蒸して水をかけ、まだ熱いうちに皮をむく。
2・天日乾燥した黒皮は川に浸して柔らかくしてから素足で踏み、表皮をもみ落とす。
3・さらに小型の包丁で表皮を削り落として白皮に。その白皮は水とソーダ灰の入った大釜で煮詰め、冷めたら流水であく抜きをする。
4・その後ゴミや不純物が取り除かれた白皮は台の上でむらなく叩かれ繊維状になる。
5・次にトロロアオイの根を叩き、先ほど繊維状にしたものと漉き槽の水に入れて漉く。
ちなみに「漉く」というのは水に溶けた材料をすくって簀の上に平らに敷くことだ。
6・漉いた紙は重ねて一晩脱水し、てこや重しを使ってさらに脱水する。
7・脱水した紙は1枚ずつはがされ、鉄板にはり付けて天日乾燥。しかしまだ終わらない・・・明るい部屋で紙を1枚ずつ検品する作業があるんだ。
ここで良品と不良品に分け、不良品は再度水に溶かして漉き直す作業もしていた。
8・そして最後は、そろえた紙に定規を当てて紙剃り鎌で端を切りそろえ、軽石でこすったら完成だ。
端を切りそろえた時にでた屑はまた再利用し、無駄なく使っている。
どうだ。聞いているだけでも大変だろう?和紙は高いとか言っているやつがいるがこれだけの工程を踏んでいるんだ。高いに決まっているだろう!
細川紙の性能
ただ性能は申し分ないぞ。紙そのものが丈夫だから書道用の半紙や障子の紙に使用しても穴が開きにくい。
保存性も高く、和傘やちょうちんにも重宝されている。質の良い和紙であれば100年の使用にも耐えられるんだ。
丈夫な和紙は海外からも注目されているぞ。ヨーロッパの美術館では絵画の修復にも和紙が使われている。和紙職人の技術力は世界的にも認められているといってもいいだろう。
まとめ
現在でも細川紙と名乗る物には「細川紙技術者協会」の審査が必要だ。
それは、原料は楮のみであること。そして伝統的な製法と製紙用具によって作られていること。さらには伝統的な細川紙の色沢、地合等の特質を保持することの3つだ。
この検査に合格したものは「重要無形文化財細川紙」とよび、紙にはそれを証明する判が押される。
東秩父村は細川紙の伝統が生き残る素晴らしいまちだ。
遊びに来たときは名物の和紙をじっくりと見ていってくれ^^
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