アフィリエイト広告を利用しています

広告

この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
posted by fanblog

2022年12月09日

Alchemy of actor epigenetics 13

Alchemy of actor epigenetics 13

親世代が獲得したストレス耐性能力は、エピジェネティック情報の組織間伝達を介し次世代に継承される

モデル生物(線虫)を用い、個体のストレス耐性制御における、組織・臓器の連携についての研究結果、
腸組織でのエピジェネティック変化が生殖腺におけるエピジェネティック変化を誘導、
この組織間コミュニケーションにより、個体のストレス耐性が上昇す。
さらに、この腸-生殖腺の組織間コミュニケーションを介し、ストレス耐性の上昇が子世代へ継承される。

生物は、ストレス応答(生体防御機構)を活性化させることで、外界からのさまざまなストレスに適応。
エピジェネティクスの制御機構が個体のストレス応答において重要な役割を担うことが解明されている。

エピジェネティクスは、DNAやヒストンへの後天的な化学修飾を通し、
塩基配列の変化を伴わずに遺伝子発現が制御される仕組み。
個体は環境刺激に対してエピジェネティック修飾を変化させ、遺伝子発現を調節し、恒常性を維持す。



ストレス応答とエピジェネティクス制御についての、二つの現象

1,ある臓器で生じたストレス応答が、個体全身の統合的なストレス応答を誘導す。

2,環境刺激によって生じたエピジェネティック修飾が世代を超えて伝わる

実験対象モデル生物「線虫」は、
酸化ストレスなどのストレス応答に関わるエピジェネティック修飾として、
ヒストンのメチル化が知られている。

ヒストンメチル化を触媒するエピジェネティック修飾因子の中で、
酸化ストレス耐性に関わる ヒストンH3リジン4トリメチル化(H3K4me3)修飾因子の
ASH-2タンパク質をコードする ash-2遺伝子 を全身でノックダウンすると、
個体のストレス耐性が大きく上昇。
これは、ヒストンのメチル化が減少すると、ストレス耐性が上昇 することを示す。事実、
ヒストンの脱メチル化を触媒する酵素の RBR-2タンパク質 
をコードするrbr-2遺伝子 をノックダウンしてヒストンメチル化の減少を抑制すると、
ash-2遺伝子のノックダウンによるストレス耐性上昇の効果は見られなくなる。



組織ごとにash-2遺伝子をノックダウンする実験を行い
ash-2遺伝子の欠損によるストレス応答に関わる組織を特定。
腸組織 生殖腺 のどちらかでash-2遺伝子をノックダウンすると、個体のストレス耐性が上昇、
この効果にはそれぞれの組織でのRBR-2タンパク質の機能(脱メチル化)が必要。


腸組織と生殖腺の関係性 

腸組織で特異的にash-2遺伝子を欠損させた変異体を用い解析。その結果、
腸組織でash-2遺伝子を欠損したときのストレス耐性の上昇に、腸組織だけではなく
生殖腺のRBR-2タンパク質も必要。また、
腸組織で特異的にash-2遺伝子を欠損した線虫は、
生殖腺におけるASH-2タンパク質の機能(メチル化)が正常であるにもかかわらず、
生殖腺でのヒストンメチル化レベルが減少。

腸組織におけるヒストンメチル化の減少が、
生殖腺のヒストンメチル化の減少を誘導するエピジェネティック情報の伝達機構が存在し、
この組織間コミュニケーションによって個体のストレス耐性が上昇する。


親世代の腸組織でのash-2遺伝子の欠損により誘導される生殖腺のエピジェネティック変化が、
子世代のストレス耐性に影響
を与える。
腸組織のash-2遺伝子を欠損した親から産まれた野生型の子世代の線虫は、
ASH-2タンパク質の機能(メチル化)は正常であるにもかかわらずストレス耐性が上昇、
そしてその効果は孫世代まで継承される。

腸-生殖腺の組織間コミュニケーションとストレス応答の世代間継承を担う分子メカニズム

発現が変化する遺伝子の影響:

ストレス耐性上昇には、腸組織において転写因子DAF-16が機能

腸組織から分泌されると予想し同定したタンパク質F08F1.3の発現が減少することが必要。



腸組織のエピジェネティック変化が生殖腺のエピジェネティック変化を誘導することで、
酸化ストレスに耐性を持つ生存優位性が次世代へと継承される。
消化器官は、外界から摂取したさまざま物質が集積する場所、
環境変化に晒される腸組織から生殖腺へと情報が伝達され、
親と子の生存力を向上させる、生物の生存戦略の一部として機能す。

環境ストレスにより獲得した形質が遺伝する事がさまざまな生物種で報告されている、




ストレス応答、酸化ストレス:
熱ショック、活性酸素、高浸透圧、紫外線、放射線など、環境からのストレスに対して生体が示す反応。
酸化ストレスは、活性酸素によって引き起こされ、
脂質やタンパク質が酸化されることによる分子機能の低下、DNAの損傷による遺伝子変異などを招く。

ノックダウン:
mRNAの分解や翻訳抑制などの操作により、遺伝子機能の発現を大幅に低下させること

転写因子:
遺伝子の発現を調節するタンパク質。
DNA上に存在する遺伝子のシス転写調節領域に結合し、
DNAを鋳型としてRNAが産生(転写)される時期や量を調節す。



と たのしい演劇の日々

2022年12月08日

Alchemy of Actor epigenetics 12

Alchemy of Actor epigenetics 12

位置効果[position effect

遺伝子が存在する位置の上流域の構造が与える発現抑制/活性化の効果

遺伝子が染色体上のどの位置にあるかによって,表現型に生じてくる効果が異なること。
遺伝学の原則的な考え方によれば,各遺伝子は独立して形質発現に寄与するが,
実際には遺伝子の段階での相互配置により,各種の位置効果が生じる。
exa;
ショウジョウバエ,2種類の遺伝子 (aとb) が同一染色体に乗っていれば(ab/++),
わずかに眼が小さいだけであるが,
相同染色体上に分れて乗っていると(a+/+b),著しく眼の小さくなる例がある。
遺伝子の位置が変るのは,核分裂の際に起る染色体の一部分の切断とつなぎ換えによる。

位置効果は、染色体chromosome内の遺伝子の位置が変化したときの遺伝子の発現expressionへの影響で、
多くの場合、転座translocationによって変化す。

ショウジョウバエDdrosphiaの眼の色の研究(1941) 
位置効果による斑入り(PEV:position effect variegation);
ヘテロクロマチン近傍に逆位転座した眼色の遺伝子が発現抑制を受けることを報告
これはエピジェネティクスという用語が作成される以前に報告されたものであるが、
現在ではこの分野の端緒の一つであるとす。

PEVは遺伝子サイレンシングの一例、
同様のヘテロクロマチン構造の影響による遺伝子発現抑制は酵母でも見出されている。

PEVは、ヘテロクロマチン領域との位置関係だけではなく、
温度・過剰な染色体の存在・被抑制遺伝子の塩基配列などに影響を受ける確率的なもの、
より直接的にはヘテロクロマチン化に働く因子やヒストン修飾と関連。



Enhancer:
特定の遺伝子の転写の可能性を高めるためにタンパク質(アクチベーター)が結合する、
短い(50–1500塩基対)DNA領域。多くの場合、これらのエンハンサーに結合するタンパク質は転写因子と呼ばれる。
エンハンサーはシスに作用し、遺伝子から最大で100万塩基対も離れている場合もあり、
転写開始部位の上流下流に位置する。
エンハンサーは原核生物と真核生物の双方に存在、ヒトのゲノム中には数十万個のエンハンサーが存在す。

(1983)真核生物のエンハンサーが最初に発見された、
免疫グロブリン重鎖の遺伝子において巨大なイントロンの内部に位置するこのエンハンサーによって、
遺伝子再構成が起こっていないVhプロモーターは不活性であるのに対し、
再構成が起こったVhプロモーターからの転写が活性化されることの説明が可能となった。
遺伝子発現に大きな影響を与え、
一部の遺伝子では活発なエンハンサーの存在によって発現が最大100倍にまで上昇す。

エンハンサーは、ゲノム中の主要な遺伝子調節エレメント。
エンハンサーは細胞種特異的な遺伝子発現プログラムを制御するが、
その制御はDNAの長距離のループを形成することで
特定のエンハンサーを標的遺伝子のプロモーターに物理的に近接させることによって行われる。
エンハンサーのDNA領域とプロモーターの距離はは数十万塩基対にも及ぶが、
特定の組織では特定のエンハンサーのみが、そのエンハンサーが制御するプロモーターと近接。

大脳皮質の神経細胞での研究では、エンハンサーを標的プロモーターに近接させる24,937個のループ発見。
複数のエンハンサーは、
それぞれ標的遺伝子から数万から数十万ヌクレオチド離れた位置にあることが多いが、
標的遺伝子のプロモーターへのループを形成し、互いに協調的に共通の標的遺伝子の発現を制御.



キイロショウジョウバエは、多くの生物で見られるCpGでのDNAメチル化の頻度が低く、
識別できるDNAメチル化酵素としてはDnmt2のみしかない。
この現象についての議論には結論は出ていない。
なお同じ昆虫類でもセイヨウミツバチではCpGのメチル化は、
ゲノム全域で見受けられ、遺伝子発現制御に利用される.



と たのしい演劇の日々

2022年11月01日

Alchemy of Actor epigenetics 11

Alchemy of Actor epigenetics 11

遺伝子サイレンシングgene silencing

クロマチン chromatin(真核細胞内に存在するDNAとタンパク質の複合体
ヒト二倍体細胞に納められているDNAの総延長およそ2 mを直径約10 μmの核に収納するための構造 )
への後天的な修飾により遺伝子を制御する、

「遺伝子サイレンシング」遺伝子組み換え以外の機序で
遺伝子の「スイッチを切る」ことを記述するために用いられる。
正常な環境下で発現する(スイッチが入る)が細胞内の何らかの機構により切られることを意味する。

転写型遺伝子サイレンシング:
転写そのものが止められた状態で、mRNA合成の停止により確認される。
転写型遺伝子サイレンシングはヒストン(histone真核生物のクロマチンを構成する主要タンパク質 )の修飾、
またはヘテロクロマチン(heterochromatin 遺伝子密度が低 遺伝子発現が抑制されている領域
強く折り畳まれている) 環境が作り変えられた結果生じると考えられている。

転写後遺伝子抑制とは、特定のmRNAが破壊されることによるもの。
mRNAの破壊は転写による遺伝子生産物(タンパク質など)の形成を妨げる。
転写後遺伝子抑制に共通する機構はRNAi(RNA interference :
二本鎖RNA(dsRNA)が翻訳抑制 転写抑制によって遺伝子の発現を配列特異的に抑制する生物学的過程 )である。


遺伝子サイレンシングはまたゲノムの組織を
トランスポゾン (transposon:細胞内にてゲノム上の位置を転移 (transposition) することのできる塩基配列 ) やウイルスから保護する。

遺伝子サイレンシングはDNAを感染症から守るために細胞が太古から本来持っている免疫機構の一つか
exa,糸状菌アカパンカビ、の遺伝子は減数分裂の段階でDNAがメチル化を受けてサイレンシングされる。




遺伝子抑制の種類

<転写型遺伝子サイレンシング/Trascriptional Gene Silencing

<ゲノムインプリンティング

<パラミューテーション

<トランスポゾン抑制/Transposon silencing

<トランスジーン抑制/Transgene silencing

<配置効果/position effect



転写後遺伝子サイレンシング/Post-Transcriptional Gene Silencing

2022年10月22日

Alchemy of Actor エピジェネティクスepigenetics 10

Alchemy of Actor epigenetics 10


reprogrammingリプログラミング  心筋の研究例

通常細胞分化は不可逆、一度決まった臓器や組織に分化した体細胞は、

exa,いったん心筋細胞に分化したならば、その後肝臓や神経など他の種類の細胞になることはない。

それに対してリプログラミングとは、
すでに分化した細胞からこの固定化された標識を消去して未分化の状態に戻し、
体を構成するあらゆる種類の細胞に分化することができる多能性を持った幹細胞を作り出す現象を指す。

リプログラミング技術により、ヒトの皮膚などの体細胞からiPS細胞を作り、
目的の臓器や組織に分化誘導して病気やけがで損なわれた部位に移植する再生医療 クローンを導く


ダイレクトリプログラミング

体細胞を初期化しiPS細胞に戻してから分化誘導し、目的の細胞を樹立するまで長時間を要す。
加えて培養した心筋細胞のほとんどは筋線維の配列が不揃いで収縮力が弱く、細胞の成熟度が低い。
実際の心筋細胞と同じように拍動するまで成熟するのは数パーセントに満たない。
実用可能なレベルにまでリプログラミングの性能を高める研究が進む一方で、
もう一つ注目されている手法『ダイレクトリプログラミング』。

ダイレクトリプログラミングは体細胞に特定の因子を導入し、ダイレクトに目的の細胞に性質を転換。
iPS細胞を作るプロセスが省略され、時間もコストも削減で誘導した細胞の成熟度も高い。
ヒトの細胞を抽出し実験室で作製するiPS細胞と違い、
,心筋に直接導入因子を注入し、身体の中で心筋細胞を誘導す。
現在その為のダイレクトリプログラミングを促す因子発見が進む。

リプログラミングは罹患率・死亡率が高い心臓病の治療に期待がかかる。
心臓は自己再生能力が極めて低く、現在は重症心不全においては心臓移植以外に有効な治療手段がない。

心臓の中でも特殊な細胞「ペースメーカー細胞」は、不整脈の発生と関わる。
ペースメーカー組織 刺激伝導系は 
心拍動の源となる電気信号を作り出し、それを心筋に伝える特殊な心筋群、心拍動の司令塔、
ペースメーカー組織に異常を来たすと心臓は正常なリズムで拍動しなくなる。
ペースメーカー組織は部位によって異なる電気信号を発する性質があり、
異常が起きる部位によって異なる種類の不整脈を起こす。
そこでどのような因子がどこでどのように作用して不整脈を起こすのか解明が進んでいる。

運動によって引きおこされる不整脈・徐脈(心臓の拍動数が異常に減少した状態)の原因を調べた研究では
 運動させ徐脈を誘発したマウスのペースメーカー組織内で変動する分子を解析
 miR-423-5p(マイクロRNA)が徐脈の原因となっている事を発見。

一般にマイクロRNAは遺伝子の発現を抑制する働きを持つ。
通常はタンパク質が必要以上に合成されるのを抑えて正常なレベルに保つ働きを担う。
徐脈マウスではそのマイクロRNAがペースメーカー組織で異常に増加し、
ペースメーカー組織の機能維持に重要な転写因子やイオンチャネルの量を減少させている。

マイクロRNAの発現を抑えると徐脈マウスの心拍数が正常に戻る、
疾病時 変動するマイクロRNAや転写因子のような分子は細胞機能に影響を与えるが、
ペースメーカー細胞のダイレクトリプログラミングを可能にする導入因子でもある。



と たのしい演劇の日々

2022年10月07日

Alchemy of Actor 量子もつれ 09

Alchemy of Actor 量子もつれ 09

04/10/22 スウェーデン王立科学アカデミー ノーベル物理学賞の受賞者 量子情報科学の分野で功績
Alain Aspect(フランス国立科学研究センター)、
John F. Clauser(米J.F. Clauser&Association)、
Anton Zeilinger(オーストリア・ウィーン大学)の3人を選出

「ベル(Bell)の不等式の破れの確認に基づく、光子の量子もつれについての実験と、量子情報科学の開拓」により 最近の量子コンピューターや量子情報通信の興隆の基礎を成した


1927,「コペンハーゲン解釈」では、
量子の測定値(電子の位置など)が確率的に変動することはある種の“原理”だという理解が広がる 
ただし、その確率自体はシュレディンガー方程式などを解いて波動関数を求めることで計算でき、
半導体のように制御も可能。


1935、アインシュタイン、ポドルスキー、ローゼン3者は、
もしコペンハーゲン解釈が正しいなら、量子には非局所相関があることになると指摘。
これは物理的に離れた複数の量子間で瞬間的な相関があることを意味す。
それまでの古典的物理学では「ありえない」ことで「EPRパラドックス」と呼ばれた。
アインシュタインらは、このコペンハーゲン解釈は不完全で暫定的な解釈にすぎず、
今後の研究で確率的振る舞いの理由が判明するものと考えた。


 1960年代半ばにかけ、古典的物理学で量子の確率的振る舞いを説明しようとする「隠れた変数理論」提唱。

  英物理学者ジョン・スチュアート・ベル「ベルの不等式」発表。

実験結果がこの不等式を満たせば、隠れた変数理論が正しい、
満たさなければ、コペンハーゲン解釈が正しい、という判定機に。
しかも後者であれば、量子の確率的振る舞いはある意味“宇宙の原理”であって、
それを他の理論で説明することはできないということにもなり

 判定は「非局所相関あり」  ただし、実験自体が難しかった。


1969、 Clauser はこのベルの不等式を実験で検証できる形に拡張「CHSH不等式」を開発し発表。

1982、 Aspectは、このCHSH不等式を実験的に検証し、論文発表。

結果 ベルの不等式が破れる、つまり、
「確率的振る舞いは原理的なもの」「非局所相関はある」という結果「アスペの実験」。
これにより、2つの量子間の相関を「量子もつれ Quantum Entanglement」と
特に、非局所相関は「EPR相関」とも呼ぶ。




 1997、 Zeilingerは、遠く離れても量子もつれ状態にある2つの量子間で、量子情報を伝送できる
「量子テレポーテーション」を実験的に証明。

量子テレポーテーション;
量子もつれ状態にある複数の量子間で量子状態を瞬時に伝送する技術。ただし、
この技術では光速を超える情報通信は不可能。
量子情報自体は瞬間的に送ることができるが 、
それを古典的に読み解く“鍵”を古典的通信路を介して送る必要がある。このため、
原理的に盗聴ができない量子暗号通信の長距離化などへの応用検討中。


 量子テレポーテーションの実験に関連した論文は1994年以降、別の研究グループも発表。
一方、1997, Zeilingerらは、3つ以上の量子間での量子もつれの研究 や
 1998, 2つの量子もつれの連結、
 2012, 143km離れた量子間での量子テレポーテーション(光で自由空間を伝送)の実験 など
基礎から応用まで幅広い分野で多数の功績をあげている。


 2020、米California Institute of Technology(カリフォルニア工科大学、カルテク)の研究チーム
長さ44kmの光ファイバーを介した量子テレポーテーションの実験に成功 論文発表、
「量子インターネット」の実現性が高まった。


「量子もつれ」;「
日常の常識が通じないほど小さな粒子たちが、お互いに複雑に関連している状態」

John F. Clauser 、私たちの日常の常識の限界について  曰く

「大方の人々は、宇宙 は空間と時間全体に分散した物体から作られていると思い込んでいるが、
実はそうではない」と述べ

ジョンズ・ホプキンス大学の物理学者、Amitage  曰く

「宇宙の一部は、互いに遠く離れた場所にあるものであっても、つながっている。
これは人間的な直感に相容れない事実ではあるが」と。



と たのしい演劇の日々

2022年09月17日

Alchemy of Actor epigenetics 08

Genomic iprtinting

ヒトをはじめとする哺乳類はすべて父と母に由来する一対のゲノムを持つ。
従って、常染色体上のすべての遺伝子座に一対の対立遺伝子があり、
通常それらはともに発現し個体の発生や生体の営みを調節す。

正常発生には父母由来の両方のゲノムが必須。
哺乳類の常染色体には一方の対立遺伝子だけが発現する遺伝子座があり、
これが父母由来ゲノム間の機能的な差をもたらしている。
精子や卵子の形成過程において何らかの形で遺伝子に「しるし」あるいは「記憶」が刷り込まれ、
そのしるしにしたがって子での遺伝子発現が生じる。

インプリンティングは遺伝情報に恒久的変化を与えず、
世代ごとに新たにプログラムされるので、遺伝とは異なるepigeneticな現象。



自然界では(鳥 爬虫類を含む脊椎動物)で単為発生がみられ、
形態的にも機能的にも正常な個体を作るが、哺乳類にはその例がない。

両親由来ゲノムには違いが刷り込まれている。
(1)単為発生細胞を含むキメラは正常胚より30〜50%程度小さく、
雄核発生細胞を含むキメラは同程度大きい、
(2)単為発生細胞は生殖細胞、脳、心、腎、脾などで高い寄与率を示すが、
骨格筋、肝、膵には分化できない、
(3)雄核発生細胞は骨格筋、心、骨などに寄与するが脳での寄与率は低い。
このように父・母由来のゲノムは胚の成長や各細胞系列の分化・増殖を調節している。



ノックアウトマウスの実験(1991)で
インプリンティングを受ける遺伝子 Igfz/インスリン様成長因子II
の最初の例 偶然発見。
Igfz は父親由来の時だけ発現するインプリンティング遺伝子で 第7染色体遠位部にある。
この発見以来、ヒトとマウスで次々とインプリンティング遺伝子が同定されている。

インプリンティングを受ける遺伝子のどちらの対立遺伝子が発現するかは遺伝子ごとに決まっている。
しかし 常に対立遺伝子特異的な発現を示すわけではなく、
組織や発生段階に依存したインプリンティングもある。

インプリンティング遺伝子の共通点。
(1)ゲノム上でクラスターを形成する傾向がある。
(2)遺伝子産物の機能は成長因子、ホルモン、膜表面受容体、転写因子、酵素など様々だが、
細胞の増殖や成長を促進するものについては父性対立遺伝子、
増殖を阻害する遺伝子は母性対立遺伝子が発現する傾向にある。
(3)いくつかの例外を除いてヒト・マウス間でインプリンティングが保存されている



インプリンティングを受ける染色体領域 or 遺伝子は、
配偶子形成/gametogenesis 過程で
精子(父)由来か 卵子(母)由来かの「しるし=インプリント(imprint)」を刷り込まれる。
このインプリントの違いは受精を経て、同一の核に入っても維持され、
さらに複製・細胞分裂を繰り返しても消失しない。
そして体細胞ではインプリントにしたがって父性または母性対立遺伝子特異的な発現が起こる。

インプリンティングのサイクル
DNA配列に変化を与えないエピジェネティックな機構の代表 DNAメチル化/DNAmethylation。
シトシンのメチル化は哺乳類ゲノムDNAの唯一の生理的修飾で、
DNA(シトシン‐5)‐メチルトランスフェラーゼが
2塩基配列CpGのシトシンを認識して5‐メチルシトシンを生成。
CpGに相補的な配列はCpGであるから、2本鎖DNAは両鎖にメチル化の標的をもつ。

哺乳類は3種類のDNA(シトシン‐5)‐メチルトランスフェラーゼを持つ。
そのうちDnmt1メチルトランスフェラーゼは主に体細胞で発現、
一方の鎖がメチル化されたヘミメチル化/hemimethylated CpGを優先的に認識し、
相補鎖上のシトシンを維持メチル化/maintenance methylation。
この酵素の活性により、哺乳類の体細胞はDNA複製を経て同じメチル化状態を維持。

インプリンティング遺伝子のメチル化状態は、父性・母性対立遺伝子の間に差が見られる。
Dnmt1をノックアウトしたマウスの体細胞で、3つの遺伝子のインプリンティングが変化。
DNAメチル化は
ヒストン蛋白質の修飾などのエピジェネティックな機構と協調してインプリンティングを制御する。



始原生殖細胞(PGC)
精子/卵子を作りだす元になる細胞、発生の初期に体細胞系列とは別に分化。
この細胞が腸間膜を移動し 、胎仔精巣や卵巣にはいって、分化過程を経て精子や卵子になる。



インプリンティングの最初の段階は、
雌雄の配偶子形成過程で父由来、母由来のインプリントが刷り込まれる。
配偶子形成途中の生殖細胞が父型・母型のインプリントを獲得しているかどうかは、
核移植や顕微受精の技術で発生能を調べると推定できる。
母型インプリントの大部分が卵形成過程のうち第一減数分裂前期の卵成長期(一次卵母細胞)に獲得される。父型インプリントは精子形成過程の減数分裂以前に刷り込まれる。

一方、初期の発生過程で生殖系列に入った細胞は、
新たな刷り込みが起こる前に両親由来のインプリントが消去される。
始原生殖細胞は8.0〜8.5日齢胚の移動期の始原生殖細胞から樹立されたEGembryonic germ細胞は、
正常胚とキメラを形成する能力を持ち、移動期の始原生殖細胞はインプリントを保持。
しかし11.5~12.5日齢胚の始原生殖細胞から樹立したEG細胞は
、キメラ形成実験にて異常な表現型を示し、すでにインプリントの消去 or 書き換えが始まっている。
始原生殖細胞が生殖隆起に達し、性分化が始まるころには、新たなサイクルに入る。

ノックアウトマウスの解析結果(2004)から、
Dnmt3aメチルトランスフェラーゼ酵素が
雌雄の配偶子形成過程で父親型・母親型のインプリントを刷り込んでいること発見。
Dnmt3aは非メチル化状態のDNAに新たなメチル化を導入活性化、

どうして雌雄の配偶子形成過程で異なるインプリントが生じるのか 
どのようにして異なる遺伝子群がメチル化されるのかは未だ不明。



と たのしい演劇の日々

2022年09月12日

Alchemy of Actor epigenetics 07

Alchemy of Actor epigenetics07

X染色体の不活性化 X-inactivation

哺乳類の性染色体 X染色体が、1本を除いて、残りのX染色体で遺伝子発現が抑制される構造に変化すること。この現象はLyonizationとも呼ばれ、不活性化された染色体を:Barr bodyともいう。

X染色体の不活性化は、
X染色体のほぼ全領域(例外は擬似常染色体領域)がヘテロクロマチン構造をとることで起きる。
この不活性化は遺伝子量補償のために起きると考えられている。
雄では1本しかないX染色体で生存に必要な遺伝子を発現させているが、
雌では2本のX染色体からの過剰な量の遺伝子の発現を避けるために片方のX染色体を不活性化。
どちらのX染色体が不活性化されるかはマウスやヒトのような真獣下綱動物においては無作為に決まる、
いったん不活性化が起こるとそのX染色体の不活性化状態は変化しない。
これに対して有袋類においては父親由来のX染色体が選択的に不活性化される。

真獣下綱動物の雌では胚発生時に各細胞で不活性化されるX染色体が決定され、
それぞれの子孫となる細胞にもその不活性化状態が引き継がれる。そのため、
X染色体上の遺伝子座の遺伝子型がヘテロ接合型の場合、
細胞によって異なった対立遺伝子が発現するモザイク状態となる。
三毛猫は、この状態の代表例として知られる。

また、X染色体に座乗し伴性遺伝をする遺伝子疾患は
、ヘテロ接合型の雌(保因者)では疾患遺伝子が不活性化されていない細胞で発症している場合があり、
モザイクの分布に依存して軽症から重症まで様々となる。
同じ理由で、真獣下綱動物の雌のクローン(一卵性双生児など)は先天的な遺伝子型は一致するが、
器官各部で発現する対立遺伝子が異なる場合があり、
完全に同じ発育をするとは限らない(遺伝子疾患の病状が異なる一卵性双生児の女性の例あり)。
一方、X染色体不活性化が起きない真獣下綱動物の雄、
もしくは父方X染色体が不活性化される有袋類の雌などでは、クローン間でのこのような違いは生じない。



発現時期

胚発生初期の2細胞期-4細胞期に、
雌のマウス細胞は一度、父方X染色体のゲノムインプリンティングによる不活性化を受ける。
胚に栄養を供給する胎盤や羊膜などの胚体外組織になる栄養外胚葉(trophectoderm)は、
この初期刷り込みによる不活性状態を維持し、母方X染色体のみがこれらの組織では活性を持ち続ける。

胚盤胞初期に、後に胚となる内部細胞塊の細胞では前述の刷り込みによるX染色体不活性化は解除され
、それらの細胞では2本のX染色体双方が活性化する。
しかしながら再び、それらの細胞それぞれが独立かつ無作為にX染色体のうち片方を不活性化する。
この不活性化は、生殖細胞系列以外では、その細胞の生涯を通して解除不能であり、
その細胞の子孫となるすべての細胞は特定のX染色体の不活性化を引き継ぐ。これは、
もし雌が伴性遺伝子についてヘテロ接合型であれば、
三毛猫の毛皮の模様として観察されるようなモザイク状態をもたらす。
「独立した細胞」および「系列細胞への引継ぎ」は「無作為ではない」状態を作り出し、
これが伴性の遺伝子疾患保因者である雌において症状が軽くなる結果をもたらしている。
X染色体の不活性化は生殖細胞系列では解除され、すべての卵母細胞は活性型のX染色体を持つ。




X染色体の選択

正常な雌は2つのX染色体を持ち、
任意の細胞において1つのX染色体(Xa)は活性を持ち、1つは(Xi)不活性になる。
過剰なX染色体を持つ個体に関する研究によると、
2つを超えるX染色体を持つ細胞においては、
そのうちの1つだけがXaとなり、残りのX染色体は不活性化される。
このことは、雌のX染色体は基本的には不活性化されるように設定されているが、
常に1つのX染色体だけが活性を持つように選択される。

X染色体に結合して不活性化を阻害する常染色体上のブロッキング因子が仮説として提唱されている。
限られたブロッキング因子があり、
いったん利用可能なブロッキング因子が1つのX染色体に結合すると、
残った他のX染色体は不活性化が可能となる。この仮説は、
「多くのX染色体を持つ細胞でも活性を持つX染色体が1つだけであること」
「常染色体が正常の2倍ある培養細胞株では活性を持つX染色体が2本あること」による。

X染色体上のX不活性化中心(X inacivation center, XIC)塩基配列が、X染色体の不活性化を制御する。
想定のブロッキング因子はXICの内部配列に結合するものと予測す。
X染色体上にXICが存在することが、X染色体の不活性化が起きるための必要十分条件である。
XICが常染色体上に転座した場合、その常染色体が不活性化され、
XICを失ったX染色体は不活性化されない
。XICは、X染色体の不活性化に関係するXistとTsixの2つの非翻訳性RNA遺伝子を含んでいる。
XICはさらに既知および未知の制御タンパク質との結合部位を含む。



分子機構

Xist(X-inactive specific transcript)遺伝子は長大な非翻訳性RNAをコードしており、
それが転写されるX染色体の特異的不活性化に関与す。
不活性なX染色体(Xi)はXist RNAによって包まれており、活性を持つXaは包まれていない。
Xist遺伝子はXiから発現する遺伝子であり、Xaでは発現しない。
Xist遺伝子を欠くX染色体は不活性化されることはない。
人為的にXist遺伝子座を他の染色体に転座させ発現させた場合、
その染色体の遺伝子発現に抑制が起きる。

不活性化が起きる前には、2本のX染色体の双方がXist RNAをわずかに転写している。
不活性化プロセスが進むにつれ、
Xaとなる染色体はXist RNAの転写を止め、一方Xiとなる染色体はXist RNAの転写を劇的に増加させる。
Xiとなる染色体上でXist RNAはXIC領域から他の部分に広がる。
Xiにある遺伝子の抑制はXist RNAによるコーティングの直後に起きる。

Tsix遺伝子は、Xistと同様に長大な非翻訳性RNAをコードしている。
Tsix RNAはXistに対する相補鎖(アンチセンスRNA)として転写される。
すなわち、Tsix遺伝子はXist遺伝子にオーバーラップしており、
Xist遺伝子のDNA鎖の相補鎖から転写されるRNAである。
TsixはXistを抑える制御因子であり、
Tsixの発現を欠きXistが高発現するX染色体は正常なものより不活性化されやすい。

Xistと同様、不活性化が起きる前にはTsix RNAは双方のX染色体でわずかに転写されている。
X染色体の不活性化が始まると、将来のXiはTsix RNAの転写を止め、一方、将来のXaはTsix RNAの転写を数日間にわたって続ける。



Xiの構造

不活性化されたX染色体Xiは、全体的にヘテロクロマチン構造をとり、
多くの遺伝子の発現が抑制されている。
その状態を顕微鏡観察したものがBarr bodyで 、
Xist RNAにコーティングされており、通常は細胞核の周縁部で観察される。
また細胞周期では他の染色体より複製される時期が遅い。

XiではDNAおよびヒストンの修飾がXaと異なっており、それらは遺伝子発現の抑制に関与している。

1,高レベルのDNAのメチル化

2,低レベルのヒストンのアセチル化

3,低レベルのヒストンH3リシン4のメチル化

4,高レベルのヒストンH3リシン9のメチル化

さらに、Xiのヌクレオソームには「マクロH2A」と呼ばれる変異型ヒストンが特異的に見つかっている。



擬似常染色体領域 pseudoautosomal region

X染色体上のいくつかの遺伝子はXiでの不活性化を逃れる。
Xist遺伝子は、Xiでは高レベルで発現し、Xaでは発現しない。
その他のXiでの不活性化を逃れた遺伝子は、XaとXiとで同様に発現する。
ヒトのXiでは染色体の遺伝子のうち最大25%程度が発現

不活性化を逃れる遺伝子の多くはX染色体上で、
他のX染色体領域と似ておらずY染色体にある遺伝子の一部を含む、特定の領域に属している。
この領域は「擬似常染色体領域」と呼ばれ、Y染色体と擬似常染色体領域の間での乗換えも起きる。
このY染色体および擬似常染色体領域にある遺伝子座では、
常染色体と同じように、
雌雄どちらの個体でも(性染色体にある伴性遺伝子と違って)2つの遺伝子が遺伝する。
そのためこの領域では雌の遺伝子量補償が必要なく、
X染色体不活性化を逃れるメカニズムを発達させたと推定。
Xiの擬似常染色体領域の遺伝子は、典型的なヘテロクロマチン構造を持たず、Xist RNA結合もほとんど無い。

Xi中に不活性化されない遺伝子が存在することは 染色体異常による症状が現れる原因となる。
X染色体不活性化は、
理論的には常染色体で起きる様な染色体数の異状による発現量異状の影響を除去することができるが、
擬似常染色体領域の遺伝子についてはその機構が当てはまっていない。ただし、
常染色体数の異状に比べ、X染色体数の異状の影響は目立たないほど軽度。



と たのしい演劇の日々

2022年09月09日

Alchemy of Actor epigenetics 05

Alchemy of Actor epigenetics 05

記憶の形成と維持は、
遺伝子転写gene transcription に動的変化を引き 起こすエピジェネティックによるもの。

ニューロン内遺伝子のメチル化をもたらす一連の反応の結果 記憶を形成

記憶に関わる重要な脳の領域には、
海馬、内側前頭前 野(mPFC)、前帯状皮質 扁桃体      。


文脈的恐怖条件付け(CFC,contextual fear conditioning)を受けたラットは、
強い恐怖記憶が作り出されると、初期段階で、海馬 内側前頭前野(mPFC)のニューロン
DNA topoisomerases IIBによっ て100以上のDNA二本鎖切断が形成される。

#DNA topoisomerases; 2本鎖DNAの一方または両方を切断し再結合する酵素の総称



この二本鎖切断は、
記憶形成に重要な Immediate early genes (IEGs) の転写活性化を可能にする特定の位置にあり、
CFC 7〜10分後 mRNA転写を可能にす。

記憶形成に重要なIEGは、EGR1 and DNMT3A2(DNMT3Aの代替プロモーター変異体) である。

EGR1タンパク質は、その結合モチーフ 5'-GCGTGGGCG-3' or 5'-GCGGGGGCGG-3' でDNAに結合、
EGR1タンパク質が結合できるゲノム位置は約12,000箇所。

EGR1タンパ ク質は、遺伝子プロモーターおよびエンハンサー領域におけるDNAに結合す。

#Promoter; 転写(DNA からRNA を合成する段階)の開始に関与する遺伝子の上流領域を指す。
プロモーターに基本転写因子が結合して転写が始まる。

# enhancer; 特定の遺伝子の転写の可能性を高めるために
タンパク質(転写因子アクチベーター)が結合する、短い(50–1500塩基対)DNA領域。
エンハンサーはシスに作用し、遺伝子から最大で100万塩基対も離れている場合もあり、
転写開始部位の上下流に位置する場合もある



EGR1は脱メチル 化酵素TET1をゲノム上約600箇所に導き、遺 伝子を脱メチル化して活性化す。
     

DNAメチルトランスフェラーゼDNMT3A1, DNMT3A2, DNMT3Bは、
遺伝子のプロモーター内ま たは近傍のCpG部位でsytosineをすべてメチル化す。

これら3つのDNAメチルトランスフェラーゼは、
DNMT3A1専用に特化された3,970のゲノム領域、DNMT3A2の3,838領域、DNMT3Bの3,432領域にて活性化 

海馬におけるDnmt3a2のニューロン活動誘導性IEGレベルは長期記憶を形成に関わる。



ラットは、文脈的恐怖条件付け(CFC)の後に長期的な連想記憶を形成す。

CFCから24時間後、海馬ニューロンでは2,097の遺伝子(ラットゲノムの9.17%)がメチル化。

遺伝子のプロモーター領域のCpGにメチル化されたシトシンが存 在すると、
遺伝子は抑制され、脱メチル化されたシトシンが存在すると、 活性化され得る。

CFC後、mRNA発現が低下した遺伝子は1,048個、mRNA発現が上昇した遺伝子は564個。

CFC1時間後 マウス脳の海馬領 域に675の脱メチル化遺伝子と613の高メチル化遺伝子が存在。
しかし、記憶は海馬に残らず、4〜5週間後 前帯状皮質に記憶される。

また マウス CFCの4週間後、
前帯状皮質には少なくとも1,000の差次メチル化遺伝子と1,000以上の差 次的に発現する遺伝子が存在 
同時に海馬ではメチル化は逆転。



新しい記憶が確立された後のエピジェネティックなメチル化は、核mRNAの異なる場を作り出す。

エピジェネティックによる核mRNAの新しい混成体は、
mRNA、大小のリボソームサブユニット、翻訳開始因子、mRNA機能を調節するRNA結合タンパク質
からなるニューロン顆粒、またはメッセンジャーRNPに組み込まれる。
これらニューロン顆粒はニューロン核から輸送され、顆粒中のmRNAの3'非翻訳領域のコードに従って、
ニューロン樹状突起と組む。
およそ2,500mRNAが海馬錐体ニューロンの樹状突起に局在している可能性があり、
おそらく450個の転写物が興奮性シナプス前神経終末(樹状突起スパイン)にある。
変化したシナプス可塑性の基礎であるシグナルに応答して異なる感度を有し、
学習と記憶の神経化学的基盤となる。                   



世代間移行

エピジェネティックな遺伝が従来の遺伝と異なり、進化に重要な結果をもたらす重要な理由
 1,エピミューテーションの速度は突然変異の速度よりもはるかに速い 
エピミューテーションはより容易に可逆的である 
植物では、遺伝性DNAメチル化変異は、DNA変異と比較して100,000倍発生する可能性が高い。
PSI+システムのようなエピジェネティックに継承された要素は、短期間の適応に十分であり、
系統が適応表現型の変化を遺伝的に同化するための突然変異または
組換えのために十分に長く生存することを可能にする。
この可能性は種の進化性を高める。
原核生物、植物、動物など幅広い生物において、
100例以上の世代間エピジェネティック遺伝現象が報告されている。

2’酵母プリオンPSIは、
翻訳終結因子の立体構造変化によって生成され、その後、娘細胞によって継承される。
これは、有害条件下での生存上の利点を提供することができ、
単細胞生物が環境ストレスに迅速に応答することを可能にする、
ゲノムの改変なしに表現型変化を誘導することができるエピジェネティックな因子。





と たのしい演劇の日々

2022年09月07日

Alchemy of Actor epigenetics 06

Alchemy of Actor epigenetics 06

発達心理学

「エピジェネティック」という用語は、
遺伝と環境間の双方向の交換の結果として発達心理学においても使用されてきた。

発生学の創始声明の中で、
Karl Ernst Ritter von Baer (1792 – 1876) によって初期のバージョンが提案され
Ernst Haeckel (German: 1834- 1919) によって普及。

生理学的エピジェネシス physiological epigenesis は
Paul Wintrebert (1867–1966) French) によって開発された。

確率的エピジェネシス probabilistic epigenesis は、
2003年 Gilbert Gottlieb ( 1929 – 2006) American) によって提示された。
この見解は、生物に起こりうるすべての発達因子と、生物との相互関係だけでなく、
生物それ自体の発達にどのように影響するかを網羅す。
exc, 典型的な母親のケアを乳児期受ず育ち
セロトニン serotonin / 5-hydroxytryptamine (5-HT) を欠いたアカゲザルの例を挙げ、
成長に伴いより攻撃性を帯びたと述べる。

また、エピジェネティックな発生プロセスであるシナプス形成 synaptogenesis が
ニューラルネットワーク内のそれぞれのシナプスの活動に依存すると主張するHebbian theory を支持。
経験がニューロンの興奮性を変える場合、神経活動の増加は脱メチル化の増加と関連。

発達心理学者 Erik Erikson (1902 – 1994) は、
1968年の著書『アイデンティティ:若さと危機』の中で
”氏と育ちと”エピジェネティックな両面が影響を及ぼす概念を網羅す。



ヘッブの法則hebbian theory、
脳のシナプス可塑性についての法則。
心理学者の Donald Olding Hebb (1904 –1985) Canadian Neuropsychology 提唱。
ニューロン間の接合部シナプスにおいて、
シナプス前ニューロンの発火によってシナプス後ニューロンに発火が起こると、
そのシナプスの伝達効率が増強される。また逆に、
発火が長期間起こらないと、そのシナプスの伝達効率は減退するというもの。



セロトニン( 5-hydroxytryptamine: 5-HT)は、
必須アミノ酸トリプトファンから生合成される脳内の神経伝達物質のひとつ
ヒトではドパミン・ノルアドレナリンを制御し精神を安定させる働きをするほか
生体リズム・神経内分泌・睡眠・体温調節などに関与す。





と たのしい演劇の日々

2022年08月31日

Alchemy of Actor epigenetics 04

Alchemy of Actor epigenetics 04

ノンコーディングRNA(non-coding RNA、ncRNA、非コードRNA);

ノンコーディングRNAを発現する遺伝子

タンパク質へ翻訳されずに機能するRNAの総称で、非翻訳性RNA(non-translatable RNA)

塩基数(分子量)や鎖の形状(1本鎖, 2本鎖)が異なるものを一括した総称。

非翻訳性RNAは、
RNA干渉 (RNAi)、ヘテロクロマチン形成への関与、
植物におけるRNA指令型DNAメチル化 (RNA-directed DNA methylation: RdDM) など、
さまざまな過程を通じてエピジェネティックな遺伝子制御に関わる。

従来その構造から遺伝子発現が不活性化されていたセントロメアなどのヘテロクロマチンにおいても、
RNAが転写がされていることが判明、非翻訳性RNAを通しての遺伝子発現制御が注目されている。

RNA干渉 (RNAi) は、非翻訳性RNAによる転写後遺伝子サイレンシングである。
何らかの原因により二本鎖RNA (dsRNA) が存在するとき、
Dicerと名づけられた酵素によってdsRNAは切断され
20数塩基以下の短い二本鎖RNA(低分子干渉 (small interfering) RNA, siRNA)となる。
そのsiRNAと共通の塩基配列を持つmRNAが分解される現象を狭義のRNAiとす。

翻訳型を含めてsiRNAが関与する遺伝子サイレンシング全般をRNAiとする場合や、
RNAサイレンシングという用語をRNAiと同義語として使用する場合もある。

狭義のRNAi現象は、
植物・線虫・哺乳類を含め広範囲の生物で保存されている現象で、
現在ではRNAiは広く遺伝子ノックダウン技術として利用されている。



RdDM

RNA指令型DNAメチル化 (RdDM) は、
植物で観察されるsiRNAによる翻訳型遺伝子サイレンシングであり、
広い意味でのRNAiに含める。
動物においてRdDMと同等の機能があるかについては不明。
RdDMはsiRNAと相同なDNA塩基配列のシトシン残基がメチル化される現象であり、
siRNAの元になるRNAが核内DNAの転写産物でもあっても外来RNAであってもこの現象は発生す。
イネへの遺伝子導入の実験においては、
導入した遺伝子のプロモーターをRdDMによって不活性化したところ、
同時にヒストンにおいてH3K9のジメチル化およびH3とH4の脱アセチル化が起きている
(いずれも発現抑制化の変化)。
RdDMによる遺伝子発現の不活性化は、
外来遺伝子がゲノムに侵入した場合にゲノム内移動を抑える防御作用を持つものと推定。



リボ核酸(RNA: Ribonucleic acid)リボースを糖成分とする核酸。
リボヌクレオチドが多数重合したもの、
一本鎖をなし、Aアデニン、Gグアニン、Cシトシン、Uウラシルの四種の核酸塩基を含む。
一般にDNAを鋳型として合成され、その遺伝情報の伝達やタンパク質の合成を行う。
シトシンは DNA にも同じ構造が見られるが、
DNAにおけるチミン (T) がRNAではウラシルに置き換わっており、相補的な塩基はアデニンとなる。
チミンとウラシルは共にピリミジン環を持つ非常に似た塩基である。

シトシンが化学分解されるとウラシルが生成されてしまうため、
DNAではウラシルの代わりにチミンが用いられるようになった。
これによりシトシンの分解により誤って生成してしまったウラシルを検出し、
修復することが可能になる利点が生じた。



ノンコーディングRNAは、タンパク質に翻訳されるmRNAに相対して付けられた、
「それ以外の」RNAの総称に過ぎず、
20ヌクレオチド程度の低分子量のものから
100 kbにも至るような様々なノンコーディングRNAが報告されている。
その分子量の違いから容易に推測されるように、
機能分子としてのノンコーディングRNAに共通点は見られず、従ってその生理機能も多様。

ノンコーディングRNAはしばしば機能性RNA(functional RNA)と言い表される、
一部のアンチセンスRNAでみられるように、
転写産物であるRNA分子それ自体には生物学的な機能がなく、
その遺伝子座で転写が起こることが重要である場合や、
そもそもノンコーディングRNA遺伝子そのものが生体にとって必要でない場合もみられるため、
厳密にはすべてのノンコーディングRNAが機能性RNAであるわけではない。

最も有名で量も多いノンコーディングRNAは、
翻訳過程で機能する転移RNA(tRNA)とリボソームRNA(rRNA)で、
それ以外にも、1980年代初期の低分子量核内RNAの発見や、
1990年代後期のマイクロRNAの発見など、
基本的な代謝から個体発生や細胞分化とう
様々な生命現象に関与するノンコーディングRNAが数多く見出されており、
ノンコーディングRNAは以前考えられたよりもはるかに重要な役割を有すると考えられる。


ヒトゲノム解読とトランスクプトーム解析により、
ヒトゲノムのわずか2%しかタンパク質をコードしていないことが判明。
ncRNAはこれまで転写、
RNAプロセッシング、RNA分解、翻訳など
遺伝子発現の様々な段階に影響を与えることが知られている。


ペンシルバニア大学のTracy L. Baleらは、
精子中のマイクロRNAの発現量が子に伝わり、父の獲得形質が子に受け継がれることを発表。
オスのマウスに過度なストレスを与え、そのマウスをメスのマウスと交配。
生まれたマウスに過度なストレスを与えたところ、ストレスに対する耐性が父マウスよりも高いと出た。
その原因としてマイクロRNAを挙げ 父マウスの精子中のマイクロRNAの発現量が増加していること、
このマイクロRNAが受精卵内のmRNAを破壊していること より、
父が獲得した形質がマイクロRNAを通し子に伝わることを示唆。


DNAとRNAの物理化学的性質;
DNAとRNAはともに紫外線である波長260nm付近に吸収極大を持ち、230nm付近に吸収極小を持つ。
この吸光度はタンパク質の280nmよりもずっと大きいが、
これはDNAとRNAがプリンまたはピリミジンを塩基として有するため。
<< 2024年02月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29    
月別アーカイブ
2024年02月(1)
2024年01月(2)
2023年11月(1)
2023年10月(1)
2023年09月(4)
2023年08月(7)
2023年07月(4)
2023年06月(2)
2023年05月(2)
2023年04月(2)
2023年03月(3)
2023年02月(6)
2023年01月(4)
2022年12月(3)
2022年11月(1)
2022年10月(2)
2022年09月(4)
2022年08月(5)
2022年07月(4)
2022年06月(3)
2022年05月(1)
2022年04月(3)
2022年03月(2)
2022年02月(2)
2022年01月(3)
2021年12月(8)
2021年11月(5)
2021年10月(8)
2021年09月(10)
2021年08月(25)
2021年07月(9)
2021年06月(12)
2021年05月(16)
2021年04月(11)
2021年03月(11)
2021年02月(13)
2021年01月(11)
2020年12月(10)
2020年11月(7)
2020年10月(11)
2020年09月(9)
2020年08月(8)
2020年07月(15)
2020年06月(11)
2020年05月(27)
2020年04月(15)
2020年03月(11)
2020年02月(10)
2020年01月(6)
2019年12月(16)
2019年11月(12)
2019年10月(17)
2019年09月(5)
2019年08月(18)
2019年07月(11)
2019年06月(18)
2019年05月(14)
2019年04月(14)
2019年03月(14)
2019年02月(14)
2019年01月(19)
2018年12月(21)
2018年11月(22)
2018年10月(30)
2018年09月(23)
2018年08月(20)
2018年07月(14)
2018年06月(13)
2018年05月(11)
2018年04月(7)
2018年03月(14)
2018年02月(7)
2018年01月(10)
2017年12月(13)
2017年11月(3)
2017年10月(12)
2017年09月(2)
2017年08月(14)
2017年07月(10)
2017年06月(5)
2017年05月(5)
2017年04月(16)
2017年03月(5)
2017年02月(5)
2017年01月(4)
2016年12月(8)
2016年11月(5)
2016年10月(8)
2016年09月(13)
2016年08月(6)
2016年07月(12)
2016年06月(11)
2016年05月(11)
2016年04月(4)
2016年03月(11)
2016年02月(6)
2016年01月(6)
2015年12月(6)
2015年11月(2)
2015年10月(2)
最新記事
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。