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2022年09月09日

Alchemy of Actor epigenetics 05

Alchemy of Actor epigenetics 05

記憶の形成と維持は、
遺伝子転写gene transcription に動的変化を引き 起こすエピジェネティックによるもの。

ニューロン内遺伝子のメチル化をもたらす一連の反応の結果 記憶を形成

記憶に関わる重要な脳の領域には、
海馬、内側前頭前 野(mPFC)、前帯状皮質 扁桃体      。


文脈的恐怖条件付け(CFC,contextual fear conditioning)を受けたラットは、
強い恐怖記憶が作り出されると、初期段階で、海馬 内側前頭前野(mPFC)のニューロン
DNA topoisomerases IIBによっ て100以上のDNA二本鎖切断が形成される。

#DNA topoisomerases; 2本鎖DNAの一方または両方を切断し再結合する酵素の総称



この二本鎖切断は、
記憶形成に重要な Immediate early genes (IEGs) の転写活性化を可能にする特定の位置にあり、
CFC 7〜10分後 mRNA転写を可能にす。

記憶形成に重要なIEGは、EGR1 and DNMT3A2(DNMT3Aの代替プロモーター変異体) である。

EGR1タンパク質は、その結合モチーフ 5'-GCGTGGGCG-3' or 5'-GCGGGGGCGG-3' でDNAに結合、
EGR1タンパク質が結合できるゲノム位置は約12,000箇所。

EGR1タンパ ク質は、遺伝子プロモーターおよびエンハンサー領域におけるDNAに結合す。

#Promoter; 転写(DNA からRNA を合成する段階)の開始に関与する遺伝子の上流領域を指す。
プロモーターに基本転写因子が結合して転写が始まる。

# enhancer; 特定の遺伝子の転写の可能性を高めるために
タンパク質(転写因子アクチベーター)が結合する、短い(50–1500塩基対)DNA領域。
エンハンサーはシスに作用し、遺伝子から最大で100万塩基対も離れている場合もあり、
転写開始部位の上下流に位置する場合もある



EGR1は脱メチル 化酵素TET1をゲノム上約600箇所に導き、遺 伝子を脱メチル化して活性化す。
     

DNAメチルトランスフェラーゼDNMT3A1, DNMT3A2, DNMT3Bは、
遺伝子のプロモーター内ま たは近傍のCpG部位でsytosineをすべてメチル化す。

これら3つのDNAメチルトランスフェラーゼは、
DNMT3A1専用に特化された3,970のゲノム領域、DNMT3A2の3,838領域、DNMT3Bの3,432領域にて活性化 

海馬におけるDnmt3a2のニューロン活動誘導性IEGレベルは長期記憶を形成に関わる。



ラットは、文脈的恐怖条件付け(CFC)の後に長期的な連想記憶を形成す。

CFCから24時間後、海馬ニューロンでは2,097の遺伝子(ラットゲノムの9.17%)がメチル化。

遺伝子のプロモーター領域のCpGにメチル化されたシトシンが存 在すると、
遺伝子は抑制され、脱メチル化されたシトシンが存在すると、 活性化され得る。

CFC後、mRNA発現が低下した遺伝子は1,048個、mRNA発現が上昇した遺伝子は564個。

CFC1時間後 マウス脳の海馬領 域に675の脱メチル化遺伝子と613の高メチル化遺伝子が存在。
しかし、記憶は海馬に残らず、4〜5週間後 前帯状皮質に記憶される。

また マウス CFCの4週間後、
前帯状皮質には少なくとも1,000の差次メチル化遺伝子と1,000以上の差 次的に発現する遺伝子が存在 
同時に海馬ではメチル化は逆転。



新しい記憶が確立された後のエピジェネティックなメチル化は、核mRNAの異なる場を作り出す。

エピジェネティックによる核mRNAの新しい混成体は、
mRNA、大小のリボソームサブユニット、翻訳開始因子、mRNA機能を調節するRNA結合タンパク質
からなるニューロン顆粒、またはメッセンジャーRNPに組み込まれる。
これらニューロン顆粒はニューロン核から輸送され、顆粒中のmRNAの3'非翻訳領域のコードに従って、
ニューロン樹状突起と組む。
およそ2,500mRNAが海馬錐体ニューロンの樹状突起に局在している可能性があり、
おそらく450個の転写物が興奮性シナプス前神経終末(樹状突起スパイン)にある。
変化したシナプス可塑性の基礎であるシグナルに応答して異なる感度を有し、
学習と記憶の神経化学的基盤となる。                   



世代間移行

エピジェネティックな遺伝が従来の遺伝と異なり、進化に重要な結果をもたらす重要な理由
 1,エピミューテーションの速度は突然変異の速度よりもはるかに速い 
エピミューテーションはより容易に可逆的である 
植物では、遺伝性DNAメチル化変異は、DNA変異と比較して100,000倍発生する可能性が高い。
PSI+システムのようなエピジェネティックに継承された要素は、短期間の適応に十分であり、
系統が適応表現型の変化を遺伝的に同化するための突然変異または
組換えのために十分に長く生存することを可能にする。
この可能性は種の進化性を高める。
原核生物、植物、動物など幅広い生物において、
100例以上の世代間エピジェネティック遺伝現象が報告されている。

2’酵母プリオンPSIは、
翻訳終結因子の立体構造変化によって生成され、その後、娘細胞によって継承される。
これは、有害条件下での生存上の利点を提供することができ、
単細胞生物が環境ストレスに迅速に応答することを可能にする、
ゲノムの改変なしに表現型変化を誘導することができるエピジェネティックな因子。





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