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2022年09月12日
Alchemy of Actor epigenetics 07
Alchemy of Actor epigenetics07
X染色体の不活性化 X-inactivation
哺乳類の性染色体 X染色体が、1本を除いて、残りのX染色体で遺伝子発現が抑制される構造に変化すること。この現象はLyonizationとも呼ばれ、不活性化された染色体を:Barr bodyともいう。
X染色体の不活性化は、
X染色体のほぼ全領域(例外は擬似常染色体領域)がヘテロクロマチン構造をとることで起きる。
この不活性化は遺伝子量補償のために起きると考えられている。
雄では1本しかないX染色体で生存に必要な遺伝子を発現させているが、
雌では2本のX染色体からの過剰な量の遺伝子の発現を避けるために片方のX染色体を不活性化。
どちらのX染色体が不活性化されるかはマウスやヒトのような真獣下綱動物においては無作為に決まる、
いったん不活性化が起こるとそのX染色体の不活性化状態は変化しない。
これに対して有袋類においては父親由来のX染色体が選択的に不活性化される。
真獣下綱動物の雌では胚発生時に各細胞で不活性化されるX染色体が決定され、
それぞれの子孫となる細胞にもその不活性化状態が引き継がれる。そのため、
X染色体上の遺伝子座の遺伝子型がヘテロ接合型の場合、
細胞によって異なった対立遺伝子が発現するモザイク状態となる。
三毛猫は、この状態の代表例として知られる。
また、X染色体に座乗し伴性遺伝をする遺伝子疾患は
、ヘテロ接合型の雌(保因者)では疾患遺伝子が不活性化されていない細胞で発症している場合があり、
モザイクの分布に依存して軽症から重症まで様々となる。
同じ理由で、真獣下綱動物の雌のクローン(一卵性双生児など)は先天的な遺伝子型は一致するが、
器官各部で発現する対立遺伝子が異なる場合があり、
完全に同じ発育をするとは限らない(遺伝子疾患の病状が異なる一卵性双生児の女性の例あり)。
一方、X染色体不活性化が起きない真獣下綱動物の雄、
もしくは父方X染色体が不活性化される有袋類の雌などでは、クローン間でのこのような違いは生じない。
発現時期
胚発生初期の2細胞期-4細胞期に、
雌のマウス細胞は一度、父方X染色体のゲノムインプリンティングによる不活性化を受ける。
胚に栄養を供給する胎盤や羊膜などの胚体外組織になる栄養外胚葉(trophectoderm)は、
この初期刷り込みによる不活性状態を維持し、母方X染色体のみがこれらの組織では活性を持ち続ける。
胚盤胞初期に、後に胚となる内部細胞塊の細胞では前述の刷り込みによるX染色体不活性化は解除され
、それらの細胞では2本のX染色体双方が活性化する。
しかしながら再び、それらの細胞それぞれが独立かつ無作為にX染色体のうち片方を不活性化する。
この不活性化は、生殖細胞系列以外では、その細胞の生涯を通して解除不能であり、
その細胞の子孫となるすべての細胞は特定のX染色体の不活性化を引き継ぐ。これは、
もし雌が伴性遺伝子についてヘテロ接合型であれば、
三毛猫の毛皮の模様として観察されるようなモザイク状態をもたらす。
「独立した細胞」および「系列細胞への引継ぎ」は「無作為ではない」状態を作り出し、
これが伴性の遺伝子疾患保因者である雌において症状が軽くなる結果をもたらしている。
X染色体の不活性化は生殖細胞系列では解除され、すべての卵母細胞は活性型のX染色体を持つ。
X染色体の選択
正常な雌は2つのX染色体を持ち、
任意の細胞において1つのX染色体(Xa)は活性を持ち、1つは(Xi)不活性になる。
過剰なX染色体を持つ個体に関する研究によると、
2つを超えるX染色体を持つ細胞においては、
そのうちの1つだけがXaとなり、残りのX染色体は不活性化される。
このことは、雌のX染色体は基本的には不活性化されるように設定されているが、
常に1つのX染色体だけが活性を持つように選択される。
X染色体に結合して不活性化を阻害する常染色体上のブロッキング因子が仮説として提唱されている。
限られたブロッキング因子があり、
いったん利用可能なブロッキング因子が1つのX染色体に結合すると、
残った他のX染色体は不活性化が可能となる。この仮説は、
「多くのX染色体を持つ細胞でも活性を持つX染色体が1つだけであること」
「常染色体が正常の2倍ある培養細胞株では活性を持つX染色体が2本あること」による。
X染色体上のX不活性化中心(X inacivation center, XIC)塩基配列が、X染色体の不活性化を制御する。
想定のブロッキング因子はXICの内部配列に結合するものと予測す。
X染色体上にXICが存在することが、X染色体の不活性化が起きるための必要十分条件である。
XICが常染色体上に転座した場合、その常染色体が不活性化され、
XICを失ったX染色体は不活性化されない
。XICは、X染色体の不活性化に関係するXistとTsixの2つの非翻訳性RNA遺伝子を含んでいる。
XICはさらに既知および未知の制御タンパク質との結合部位を含む。
分子機構
Xist(X-inactive specific transcript)遺伝子は長大な非翻訳性RNAをコードしており、
それが転写されるX染色体の特異的不活性化に関与す。
不活性なX染色体(Xi)はXist RNAによって包まれており、活性を持つXaは包まれていない。
Xist遺伝子はXiから発現する遺伝子であり、Xaでは発現しない。
Xist遺伝子を欠くX染色体は不活性化されることはない。
人為的にXist遺伝子座を他の染色体に転座させ発現させた場合、
その染色体の遺伝子発現に抑制が起きる。
不活性化が起きる前には、2本のX染色体の双方がXist RNAをわずかに転写している。
不活性化プロセスが進むにつれ、
Xaとなる染色体はXist RNAの転写を止め、一方Xiとなる染色体はXist RNAの転写を劇的に増加させる。
Xiとなる染色体上でXist RNAはXIC領域から他の部分に広がる。
Xiにある遺伝子の抑制はXist RNAによるコーティングの直後に起きる。
Tsix遺伝子は、Xistと同様に長大な非翻訳性RNAをコードしている。
Tsix RNAはXistに対する相補鎖(アンチセンスRNA)として転写される。
すなわち、Tsix遺伝子はXist遺伝子にオーバーラップしており、
Xist遺伝子のDNA鎖の相補鎖から転写されるRNAである。
TsixはXistを抑える制御因子であり、
Tsixの発現を欠きXistが高発現するX染色体は正常なものより不活性化されやすい。
Xistと同様、不活性化が起きる前にはTsix RNAは双方のX染色体でわずかに転写されている。
X染色体の不活性化が始まると、将来のXiはTsix RNAの転写を止め、一方、将来のXaはTsix RNAの転写を数日間にわたって続ける。
Xiの構造
不活性化されたX染色体Xiは、全体的にヘテロクロマチン構造をとり、
多くの遺伝子の発現が抑制されている。
その状態を顕微鏡観察したものがBarr bodyで 、
Xist RNAにコーティングされており、通常は細胞核の周縁部で観察される。
また細胞周期では他の染色体より複製される時期が遅い。
XiではDNAおよびヒストンの修飾がXaと異なっており、それらは遺伝子発現の抑制に関与している。
1,高レベルのDNAのメチル化
2,低レベルのヒストンのアセチル化
3,低レベルのヒストンH3リシン4のメチル化
4,高レベルのヒストンH3リシン9のメチル化
さらに、Xiのヌクレオソームには「マクロH2A」と呼ばれる変異型ヒストンが特異的に見つかっている。
擬似常染色体領域 pseudoautosomal region
X染色体上のいくつかの遺伝子はXiでの不活性化を逃れる。
Xist遺伝子は、Xiでは高レベルで発現し、Xaでは発現しない。
その他のXiでの不活性化を逃れた遺伝子は、XaとXiとで同様に発現する。
ヒトのXiでは染色体の遺伝子のうち最大25%程度が発現
不活性化を逃れる遺伝子の多くはX染色体上で、
他のX染色体領域と似ておらずY染色体にある遺伝子の一部を含む、特定の領域に属している。
この領域は「擬似常染色体領域」と呼ばれ、Y染色体と擬似常染色体領域の間での乗換えも起きる。
このY染色体および擬似常染色体領域にある遺伝子座では、
常染色体と同じように、
雌雄どちらの個体でも(性染色体にある伴性遺伝子と違って)2つの遺伝子が遺伝する。
そのためこの領域では雌の遺伝子量補償が必要なく、
X染色体不活性化を逃れるメカニズムを発達させたと推定。
Xiの擬似常染色体領域の遺伝子は、典型的なヘテロクロマチン構造を持たず、Xist RNA結合もほとんど無い。
Xi中に不活性化されない遺伝子が存在することは 染色体異常による症状が現れる原因となる。
X染色体不活性化は、
理論的には常染色体で起きる様な染色体数の異状による発現量異状の影響を除去することができるが、
擬似常染色体領域の遺伝子についてはその機構が当てはまっていない。ただし、
常染色体数の異状に比べ、X染色体数の異状の影響は目立たないほど軽度。
と たのしい演劇の日々
X染色体の不活性化 X-inactivation
哺乳類の性染色体 X染色体が、1本を除いて、残りのX染色体で遺伝子発現が抑制される構造に変化すること。この現象はLyonizationとも呼ばれ、不活性化された染色体を:Barr bodyともいう。
X染色体の不活性化は、
X染色体のほぼ全領域(例外は擬似常染色体領域)がヘテロクロマチン構造をとることで起きる。
この不活性化は遺伝子量補償のために起きると考えられている。
雄では1本しかないX染色体で生存に必要な遺伝子を発現させているが、
雌では2本のX染色体からの過剰な量の遺伝子の発現を避けるために片方のX染色体を不活性化。
どちらのX染色体が不活性化されるかはマウスやヒトのような真獣下綱動物においては無作為に決まる、
いったん不活性化が起こるとそのX染色体の不活性化状態は変化しない。
これに対して有袋類においては父親由来のX染色体が選択的に不活性化される。
真獣下綱動物の雌では胚発生時に各細胞で不活性化されるX染色体が決定され、
それぞれの子孫となる細胞にもその不活性化状態が引き継がれる。そのため、
X染色体上の遺伝子座の遺伝子型がヘテロ接合型の場合、
細胞によって異なった対立遺伝子が発現するモザイク状態となる。
三毛猫は、この状態の代表例として知られる。
また、X染色体に座乗し伴性遺伝をする遺伝子疾患は
、ヘテロ接合型の雌(保因者)では疾患遺伝子が不活性化されていない細胞で発症している場合があり、
モザイクの分布に依存して軽症から重症まで様々となる。
同じ理由で、真獣下綱動物の雌のクローン(一卵性双生児など)は先天的な遺伝子型は一致するが、
器官各部で発現する対立遺伝子が異なる場合があり、
完全に同じ発育をするとは限らない(遺伝子疾患の病状が異なる一卵性双生児の女性の例あり)。
一方、X染色体不活性化が起きない真獣下綱動物の雄、
もしくは父方X染色体が不活性化される有袋類の雌などでは、クローン間でのこのような違いは生じない。
発現時期
胚発生初期の2細胞期-4細胞期に、
雌のマウス細胞は一度、父方X染色体のゲノムインプリンティングによる不活性化を受ける。
胚に栄養を供給する胎盤や羊膜などの胚体外組織になる栄養外胚葉(trophectoderm)は、
この初期刷り込みによる不活性状態を維持し、母方X染色体のみがこれらの組織では活性を持ち続ける。
胚盤胞初期に、後に胚となる内部細胞塊の細胞では前述の刷り込みによるX染色体不活性化は解除され
、それらの細胞では2本のX染色体双方が活性化する。
しかしながら再び、それらの細胞それぞれが独立かつ無作為にX染色体のうち片方を不活性化する。
この不活性化は、生殖細胞系列以外では、その細胞の生涯を通して解除不能であり、
その細胞の子孫となるすべての細胞は特定のX染色体の不活性化を引き継ぐ。これは、
もし雌が伴性遺伝子についてヘテロ接合型であれば、
三毛猫の毛皮の模様として観察されるようなモザイク状態をもたらす。
「独立した細胞」および「系列細胞への引継ぎ」は「無作為ではない」状態を作り出し、
これが伴性の遺伝子疾患保因者である雌において症状が軽くなる結果をもたらしている。
X染色体の不活性化は生殖細胞系列では解除され、すべての卵母細胞は活性型のX染色体を持つ。
X染色体の選択
正常な雌は2つのX染色体を持ち、
任意の細胞において1つのX染色体(Xa)は活性を持ち、1つは(Xi)不活性になる。
過剰なX染色体を持つ個体に関する研究によると、
2つを超えるX染色体を持つ細胞においては、
そのうちの1つだけがXaとなり、残りのX染色体は不活性化される。
このことは、雌のX染色体は基本的には不活性化されるように設定されているが、
常に1つのX染色体だけが活性を持つように選択される。
X染色体に結合して不活性化を阻害する常染色体上のブロッキング因子が仮説として提唱されている。
限られたブロッキング因子があり、
いったん利用可能なブロッキング因子が1つのX染色体に結合すると、
残った他のX染色体は不活性化が可能となる。この仮説は、
「多くのX染色体を持つ細胞でも活性を持つX染色体が1つだけであること」
「常染色体が正常の2倍ある培養細胞株では活性を持つX染色体が2本あること」による。
X染色体上のX不活性化中心(X inacivation center, XIC)塩基配列が、X染色体の不活性化を制御する。
想定のブロッキング因子はXICの内部配列に結合するものと予測す。
X染色体上にXICが存在することが、X染色体の不活性化が起きるための必要十分条件である。
XICが常染色体上に転座した場合、その常染色体が不活性化され、
XICを失ったX染色体は不活性化されない
。XICは、X染色体の不活性化に関係するXistとTsixの2つの非翻訳性RNA遺伝子を含んでいる。
XICはさらに既知および未知の制御タンパク質との結合部位を含む。
分子機構
Xist(X-inactive specific transcript)遺伝子は長大な非翻訳性RNAをコードしており、
それが転写されるX染色体の特異的不活性化に関与す。
不活性なX染色体(Xi)はXist RNAによって包まれており、活性を持つXaは包まれていない。
Xist遺伝子はXiから発現する遺伝子であり、Xaでは発現しない。
Xist遺伝子を欠くX染色体は不活性化されることはない。
人為的にXist遺伝子座を他の染色体に転座させ発現させた場合、
その染色体の遺伝子発現に抑制が起きる。
不活性化が起きる前には、2本のX染色体の双方がXist RNAをわずかに転写している。
不活性化プロセスが進むにつれ、
Xaとなる染色体はXist RNAの転写を止め、一方Xiとなる染色体はXist RNAの転写を劇的に増加させる。
Xiとなる染色体上でXist RNAはXIC領域から他の部分に広がる。
Xiにある遺伝子の抑制はXist RNAによるコーティングの直後に起きる。
Tsix遺伝子は、Xistと同様に長大な非翻訳性RNAをコードしている。
Tsix RNAはXistに対する相補鎖(アンチセンスRNA)として転写される。
すなわち、Tsix遺伝子はXist遺伝子にオーバーラップしており、
Xist遺伝子のDNA鎖の相補鎖から転写されるRNAである。
TsixはXistを抑える制御因子であり、
Tsixの発現を欠きXistが高発現するX染色体は正常なものより不活性化されやすい。
Xistと同様、不活性化が起きる前にはTsix RNAは双方のX染色体でわずかに転写されている。
X染色体の不活性化が始まると、将来のXiはTsix RNAの転写を止め、一方、将来のXaはTsix RNAの転写を数日間にわたって続ける。
Xiの構造
不活性化されたX染色体Xiは、全体的にヘテロクロマチン構造をとり、
多くの遺伝子の発現が抑制されている。
その状態を顕微鏡観察したものがBarr bodyで 、
Xist RNAにコーティングされており、通常は細胞核の周縁部で観察される。
また細胞周期では他の染色体より複製される時期が遅い。
XiではDNAおよびヒストンの修飾がXaと異なっており、それらは遺伝子発現の抑制に関与している。
1,高レベルのDNAのメチル化
2,低レベルのヒストンのアセチル化
3,低レベルのヒストンH3リシン4のメチル化
4,高レベルのヒストンH3リシン9のメチル化
さらに、Xiのヌクレオソームには「マクロH2A」と呼ばれる変異型ヒストンが特異的に見つかっている。
擬似常染色体領域 pseudoautosomal region
X染色体上のいくつかの遺伝子はXiでの不活性化を逃れる。
Xist遺伝子は、Xiでは高レベルで発現し、Xaでは発現しない。
その他のXiでの不活性化を逃れた遺伝子は、XaとXiとで同様に発現する。
ヒトのXiでは染色体の遺伝子のうち最大25%程度が発現
不活性化を逃れる遺伝子の多くはX染色体上で、
他のX染色体領域と似ておらずY染色体にある遺伝子の一部を含む、特定の領域に属している。
この領域は「擬似常染色体領域」と呼ばれ、Y染色体と擬似常染色体領域の間での乗換えも起きる。
このY染色体および擬似常染色体領域にある遺伝子座では、
常染色体と同じように、
雌雄どちらの個体でも(性染色体にある伴性遺伝子と違って)2つの遺伝子が遺伝する。
そのためこの領域では雌の遺伝子量補償が必要なく、
X染色体不活性化を逃れるメカニズムを発達させたと推定。
Xiの擬似常染色体領域の遺伝子は、典型的なヘテロクロマチン構造を持たず、Xist RNA結合もほとんど無い。
Xi中に不活性化されない遺伝子が存在することは 染色体異常による症状が現れる原因となる。
X染色体不活性化は、
理論的には常染色体で起きる様な染色体数の異状による発現量異状の影響を除去することができるが、
擬似常染色体領域の遺伝子についてはその機構が当てはまっていない。ただし、
常染色体数の異状に比べ、X染色体数の異状の影響は目立たないほど軽度。
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2022年09月09日
Alchemy of Actor epigenetics 05
Alchemy of Actor epigenetics 05
記憶の形成と維持は、
遺伝子転写gene transcription に動的変化を引き 起こすエピジェネティックによるもの。
ニューロン内遺伝子のメチル化をもたらす一連の反応の結果 記憶を形成
記憶に関わる重要な脳の領域には、
海馬、内側前頭前 野(mPFC)、前帯状皮質 扁桃体 。
文脈的恐怖条件付け(CFC,contextual fear conditioning)を受けたラットは、
強い恐怖記憶が作り出されると、初期段階で、海馬 内側前頭前野(mPFC)のニューロン
DNA topoisomerases IIBによっ て100以上のDNA二本鎖切断が形成される。
#DNA topoisomerases; 2本鎖DNAの一方または両方を切断し再結合する酵素の総称
この二本鎖切断は、
記憶形成に重要な Immediate early genes (IEGs) の転写活性化を可能にする特定の位置にあり、
CFC 7〜10分後 mRNA転写を可能にす。
記憶形成に重要なIEGは、EGR1 and DNMT3A2(DNMT3Aの代替プロモーター変異体) である。
EGR1タンパク質は、その結合モチーフ 5'-GCGTGGGCG-3' or 5'-GCGGGGGCGG-3' でDNAに結合、
EGR1タンパク質が結合できるゲノム位置は約12,000箇所。
EGR1タンパ ク質は、遺伝子プロモーターおよびエンハンサー領域におけるDNAに結合す。
#Promoter; 転写(DNA からRNA を合成する段階)の開始に関与する遺伝子の上流領域を指す。
プロモーターに基本転写因子が結合して転写が始まる。
# enhancer; 特定の遺伝子の転写の可能性を高めるために
タンパク質(転写因子アクチベーター)が結合する、短い(50–1500塩基対)DNA領域。
エンハンサーはシスに作用し、遺伝子から最大で100万塩基対も離れている場合もあり、
転写開始部位の上下流に位置する場合もある
EGR1は脱メチル 化酵素TET1をゲノム上約600箇所に導き、遺 伝子を脱メチル化して活性化す。
DNAメチルトランスフェラーゼDNMT3A1, DNMT3A2, DNMT3Bは、
遺伝子のプロモーター内ま たは近傍のCpG部位でsytosineをすべてメチル化す。
これら3つのDNAメチルトランスフェラーゼは、
DNMT3A1専用に特化された3,970のゲノム領域、DNMT3A2の3,838領域、DNMT3Bの3,432領域にて活性化
海馬におけるDnmt3a2のニューロン活動誘導性IEGレベルは長期記憶を形成に関わる。
ラットは、文脈的恐怖条件付け(CFC)の後に長期的な連想記憶を形成す。
CFCから24時間後、海馬ニューロンでは2,097の遺伝子(ラットゲノムの9.17%)がメチル化。
遺伝子のプロモーター領域のCpGにメチル化されたシトシンが存 在すると、
遺伝子は抑制され、脱メチル化されたシトシンが存在すると、 活性化され得る。
CFC後、mRNA発現が低下した遺伝子は1,048個、mRNA発現が上昇した遺伝子は564個。
CFC1時間後 マウス脳の海馬領 域に675の脱メチル化遺伝子と613の高メチル化遺伝子が存在。
しかし、記憶は海馬に残らず、4〜5週間後 前帯状皮質に記憶される。
また マウス CFCの4週間後、
前帯状皮質には少なくとも1,000の差次メチル化遺伝子と1,000以上の差 次的に発現する遺伝子が存在
同時に海馬ではメチル化は逆転。
新しい記憶が確立された後のエピジェネティックなメチル化は、核mRNAの異なる場を作り出す。
エピジェネティックによる核mRNAの新しい混成体は、
mRNA、大小のリボソームサブユニット、翻訳開始因子、mRNA機能を調節するRNA結合タンパク質
からなるニューロン顆粒、またはメッセンジャーRNPに組み込まれる。
これらニューロン顆粒はニューロン核から輸送され、顆粒中のmRNAの3'非翻訳領域のコードに従って、
ニューロン樹状突起と組む。
およそ2,500mRNAが海馬錐体ニューロンの樹状突起に局在している可能性があり、
おそらく450個の転写物が興奮性シナプス前神経終末(樹状突起スパイン)にある。
変化したシナプス可塑性の基礎であるシグナルに応答して異なる感度を有し、
学習と記憶の神経化学的基盤となる。
世代間移行
エピジェネティックな遺伝が従来の遺伝と異なり、進化に重要な結果をもたらす重要な理由
1,エピミューテーションの速度は突然変異の速度よりもはるかに速い
エピミューテーションはより容易に可逆的である
植物では、遺伝性DNAメチル化変異は、DNA変異と比較して100,000倍発生する可能性が高い。
PSI+システムのようなエピジェネティックに継承された要素は、短期間の適応に十分であり、
系統が適応表現型の変化を遺伝的に同化するための突然変異または
組換えのために十分に長く生存することを可能にする。
この可能性は種の進化性を高める。
原核生物、植物、動物など幅広い生物において、
100例以上の世代間エピジェネティック遺伝現象が報告されている。
2’酵母プリオンPSIは、
翻訳終結因子の立体構造変化によって生成され、その後、娘細胞によって継承される。
これは、有害条件下での生存上の利点を提供することができ、
単細胞生物が環境ストレスに迅速に応答することを可能にする、
ゲノムの改変なしに表現型変化を誘導することができるエピジェネティックな因子。
と たのしい演劇の日々
記憶の形成と維持は、
遺伝子転写gene transcription に動的変化を引き 起こすエピジェネティックによるもの。
ニューロン内遺伝子のメチル化をもたらす一連の反応の結果 記憶を形成
記憶に関わる重要な脳の領域には、
海馬、内側前頭前 野(mPFC)、前帯状皮質 扁桃体 。
文脈的恐怖条件付け(CFC,contextual fear conditioning)を受けたラットは、
強い恐怖記憶が作り出されると、初期段階で、海馬 内側前頭前野(mPFC)のニューロン
DNA topoisomerases IIBによっ て100以上のDNA二本鎖切断が形成される。
#DNA topoisomerases; 2本鎖DNAの一方または両方を切断し再結合する酵素の総称
この二本鎖切断は、
記憶形成に重要な Immediate early genes (IEGs) の転写活性化を可能にする特定の位置にあり、
CFC 7〜10分後 mRNA転写を可能にす。
記憶形成に重要なIEGは、EGR1 and DNMT3A2(DNMT3Aの代替プロモーター変異体) である。
EGR1タンパク質は、その結合モチーフ 5'-GCGTGGGCG-3' or 5'-GCGGGGGCGG-3' でDNAに結合、
EGR1タンパク質が結合できるゲノム位置は約12,000箇所。
EGR1タンパ ク質は、遺伝子プロモーターおよびエンハンサー領域におけるDNAに結合す。
#Promoter; 転写(DNA からRNA を合成する段階)の開始に関与する遺伝子の上流領域を指す。
プロモーターに基本転写因子が結合して転写が始まる。
# enhancer; 特定の遺伝子の転写の可能性を高めるために
タンパク質(転写因子アクチベーター)が結合する、短い(50–1500塩基対)DNA領域。
エンハンサーはシスに作用し、遺伝子から最大で100万塩基対も離れている場合もあり、
転写開始部位の上下流に位置する場合もある
EGR1は脱メチル 化酵素TET1をゲノム上約600箇所に導き、遺 伝子を脱メチル化して活性化す。
DNAメチルトランスフェラーゼDNMT3A1, DNMT3A2, DNMT3Bは、
遺伝子のプロモーター内ま たは近傍のCpG部位でsytosineをすべてメチル化す。
これら3つのDNAメチルトランスフェラーゼは、
DNMT3A1専用に特化された3,970のゲノム領域、DNMT3A2の3,838領域、DNMT3Bの3,432領域にて活性化
海馬におけるDnmt3a2のニューロン活動誘導性IEGレベルは長期記憶を形成に関わる。
ラットは、文脈的恐怖条件付け(CFC)の後に長期的な連想記憶を形成す。
CFCから24時間後、海馬ニューロンでは2,097の遺伝子(ラットゲノムの9.17%)がメチル化。
遺伝子のプロモーター領域のCpGにメチル化されたシトシンが存 在すると、
遺伝子は抑制され、脱メチル化されたシトシンが存在すると、 活性化され得る。
CFC後、mRNA発現が低下した遺伝子は1,048個、mRNA発現が上昇した遺伝子は564個。
CFC1時間後 マウス脳の海馬領 域に675の脱メチル化遺伝子と613の高メチル化遺伝子が存在。
しかし、記憶は海馬に残らず、4〜5週間後 前帯状皮質に記憶される。
また マウス CFCの4週間後、
前帯状皮質には少なくとも1,000の差次メチル化遺伝子と1,000以上の差 次的に発現する遺伝子が存在
同時に海馬ではメチル化は逆転。
新しい記憶が確立された後のエピジェネティックなメチル化は、核mRNAの異なる場を作り出す。
エピジェネティックによる核mRNAの新しい混成体は、
mRNA、大小のリボソームサブユニット、翻訳開始因子、mRNA機能を調節するRNA結合タンパク質
からなるニューロン顆粒、またはメッセンジャーRNPに組み込まれる。
これらニューロン顆粒はニューロン核から輸送され、顆粒中のmRNAの3'非翻訳領域のコードに従って、
ニューロン樹状突起と組む。
およそ2,500mRNAが海馬錐体ニューロンの樹状突起に局在している可能性があり、
おそらく450個の転写物が興奮性シナプス前神経終末(樹状突起スパイン)にある。
変化したシナプス可塑性の基礎であるシグナルに応答して異なる感度を有し、
学習と記憶の神経化学的基盤となる。
世代間移行
エピジェネティックな遺伝が従来の遺伝と異なり、進化に重要な結果をもたらす重要な理由
1,エピミューテーションの速度は突然変異の速度よりもはるかに速い
エピミューテーションはより容易に可逆的である
植物では、遺伝性DNAメチル化変異は、DNA変異と比較して100,000倍発生する可能性が高い。
PSI+システムのようなエピジェネティックに継承された要素は、短期間の適応に十分であり、
系統が適応表現型の変化を遺伝的に同化するための突然変異または
組換えのために十分に長く生存することを可能にする。
この可能性は種の進化性を高める。
原核生物、植物、動物など幅広い生物において、
100例以上の世代間エピジェネティック遺伝現象が報告されている。
2’酵母プリオンPSIは、
翻訳終結因子の立体構造変化によって生成され、その後、娘細胞によって継承される。
これは、有害条件下での生存上の利点を提供することができ、
単細胞生物が環境ストレスに迅速に応答することを可能にする、
ゲノムの改変なしに表現型変化を誘導することができるエピジェネティックな因子。
と たのしい演劇の日々
2022年09月07日
Alchemy of Actor epigenetics 06
Alchemy of Actor epigenetics 06
発達心理学
「エピジェネティック」という用語は、
遺伝と環境間の双方向の交換の結果として発達心理学においても使用されてきた。
発生学の創始声明の中で、
Karl Ernst Ritter von Baer (1792 – 1876) によって初期のバージョンが提案され
Ernst Haeckel (German: 1834- 1919) によって普及。
生理学的エピジェネシス physiological epigenesis は
Paul Wintrebert (1867–1966) French) によって開発された。
確率的エピジェネシス probabilistic epigenesis は、
2003年 Gilbert Gottlieb ( 1929 – 2006) American) によって提示された。
この見解は、生物に起こりうるすべての発達因子と、生物との相互関係だけでなく、
生物それ自体の発達にどのように影響するかを網羅す。
exc, 典型的な母親のケアを乳児期受ず育ち
セロトニン serotonin / 5-hydroxytryptamine (5-HT) を欠いたアカゲザルの例を挙げ、
成長に伴いより攻撃性を帯びたと述べる。
また、エピジェネティックな発生プロセスであるシナプス形成 synaptogenesis が
ニューラルネットワーク内のそれぞれのシナプスの活動に依存すると主張するHebbian theory を支持。
経験がニューロンの興奮性を変える場合、神経活動の増加は脱メチル化の増加と関連。
発達心理学者 Erik Erikson (1902 – 1994) は、
1968年の著書『アイデンティティ:若さと危機』の中で
”氏と育ちと”エピジェネティックな両面が影響を及ぼす概念を網羅す。
ヘッブの法則hebbian theory、
脳のシナプス可塑性についての法則。
心理学者の Donald Olding Hebb (1904 –1985) Canadian Neuropsychology 提唱。
ニューロン間の接合部シナプスにおいて、
シナプス前ニューロンの発火によってシナプス後ニューロンに発火が起こると、
そのシナプスの伝達効率が増強される。また逆に、
発火が長期間起こらないと、そのシナプスの伝達効率は減退するというもの。
セロトニン( 5-hydroxytryptamine: 5-HT)は、
必須アミノ酸トリプトファンから生合成される脳内の神経伝達物質のひとつ
ヒトではドパミン・ノルアドレナリンを制御し精神を安定させる働きをするほか
生体リズム・神経内分泌・睡眠・体温調節などに関与す。
と たのしい演劇の日々
発達心理学
「エピジェネティック」という用語は、
遺伝と環境間の双方向の交換の結果として発達心理学においても使用されてきた。
発生学の創始声明の中で、
Karl Ernst Ritter von Baer (1792 – 1876) によって初期のバージョンが提案され
Ernst Haeckel (German: 1834- 1919) によって普及。
生理学的エピジェネシス physiological epigenesis は
Paul Wintrebert (1867–1966) French) によって開発された。
確率的エピジェネシス probabilistic epigenesis は、
2003年 Gilbert Gottlieb ( 1929 – 2006) American) によって提示された。
この見解は、生物に起こりうるすべての発達因子と、生物との相互関係だけでなく、
生物それ自体の発達にどのように影響するかを網羅す。
exc, 典型的な母親のケアを乳児期受ず育ち
セロトニン serotonin / 5-hydroxytryptamine (5-HT) を欠いたアカゲザルの例を挙げ、
成長に伴いより攻撃性を帯びたと述べる。
また、エピジェネティックな発生プロセスであるシナプス形成 synaptogenesis が
ニューラルネットワーク内のそれぞれのシナプスの活動に依存すると主張するHebbian theory を支持。
経験がニューロンの興奮性を変える場合、神経活動の増加は脱メチル化の増加と関連。
発達心理学者 Erik Erikson (1902 – 1994) は、
1968年の著書『アイデンティティ:若さと危機』の中で
”氏と育ちと”エピジェネティックな両面が影響を及ぼす概念を網羅す。
ヘッブの法則hebbian theory、
脳のシナプス可塑性についての法則。
心理学者の Donald Olding Hebb (1904 –1985) Canadian Neuropsychology 提唱。
ニューロン間の接合部シナプスにおいて、
シナプス前ニューロンの発火によってシナプス後ニューロンに発火が起こると、
そのシナプスの伝達効率が増強される。また逆に、
発火が長期間起こらないと、そのシナプスの伝達効率は減退するというもの。
セロトニン( 5-hydroxytryptamine: 5-HT)は、
必須アミノ酸トリプトファンから生合成される脳内の神経伝達物質のひとつ
ヒトではドパミン・ノルアドレナリンを制御し精神を安定させる働きをするほか
生体リズム・神経内分泌・睡眠・体温調節などに関与す。
と たのしい演劇の日々
2022年08月31日
Alchemy of Actor epigenetics 04
Alchemy of Actor epigenetics 04
ノンコーディングRNA(non-coding RNA、ncRNA、非コードRNA);
ノンコーディングRNAを発現する遺伝子
タンパク質へ翻訳されずに機能するRNAの総称で、非翻訳性RNA(non-translatable RNA)
塩基数(分子量)や鎖の形状(1本鎖, 2本鎖)が異なるものを一括した総称。
非翻訳性RNAは、
RNA干渉 (RNAi)、ヘテロクロマチン形成への関与、
植物におけるRNA指令型DNAメチル化 (RNA-directed DNA methylation: RdDM) など、
さまざまな過程を通じてエピジェネティックな遺伝子制御に関わる。
従来その構造から遺伝子発現が不活性化されていたセントロメアなどのヘテロクロマチンにおいても、
RNAが転写がされていることが判明、非翻訳性RNAを通しての遺伝子発現制御が注目されている。
RNA干渉 (RNAi) は、非翻訳性RNAによる転写後遺伝子サイレンシングである。
何らかの原因により二本鎖RNA (dsRNA) が存在するとき、
Dicerと名づけられた酵素によってdsRNAは切断され
20数塩基以下の短い二本鎖RNA(低分子干渉 (small interfering) RNA, siRNA)となる。
そのsiRNAと共通の塩基配列を持つmRNAが分解される現象を狭義のRNAiとす。
翻訳型を含めてsiRNAが関与する遺伝子サイレンシング全般をRNAiとする場合や、
RNAサイレンシングという用語をRNAiと同義語として使用する場合もある。
狭義のRNAi現象は、
植物・線虫・哺乳類を含め広範囲の生物で保存されている現象で、
現在ではRNAiは広く遺伝子ノックダウン技術として利用されている。
RdDM
RNA指令型DNAメチル化 (RdDM) は、
植物で観察されるsiRNAによる翻訳型遺伝子サイレンシングであり、
広い意味でのRNAiに含める。
動物においてRdDMと同等の機能があるかについては不明。
RdDMはsiRNAと相同なDNA塩基配列のシトシン残基がメチル化される現象であり、
siRNAの元になるRNAが核内DNAの転写産物でもあっても外来RNAであってもこの現象は発生す。
イネへの遺伝子導入の実験においては、
導入した遺伝子のプロモーターをRdDMによって不活性化したところ、
同時にヒストンにおいてH3K9のジメチル化およびH3とH4の脱アセチル化が起きている
(いずれも発現抑制化の変化)。
RdDMによる遺伝子発現の不活性化は、
外来遺伝子がゲノムに侵入した場合にゲノム内移動を抑える防御作用を持つものと推定。
リボ核酸(RNA: Ribonucleic acid)リボースを糖成分とする核酸。
リボヌクレオチドが多数重合したもの、
一本鎖をなし、Aアデニン、Gグアニン、Cシトシン、Uウラシルの四種の核酸塩基を含む。
一般にDNAを鋳型として合成され、その遺伝情報の伝達やタンパク質の合成を行う。
シトシンは DNA にも同じ構造が見られるが、
DNAにおけるチミン (T) がRNAではウラシルに置き換わっており、相補的な塩基はアデニンとなる。
チミンとウラシルは共にピリミジン環を持つ非常に似た塩基である。
シトシンが化学分解されるとウラシルが生成されてしまうため、
DNAではウラシルの代わりにチミンが用いられるようになった。
これによりシトシンの分解により誤って生成してしまったウラシルを検出し、
修復することが可能になる利点が生じた。
ノンコーディングRNAは、タンパク質に翻訳されるmRNAに相対して付けられた、
「それ以外の」RNAの総称に過ぎず、
20ヌクレオチド程度の低分子量のものから
100 kbにも至るような様々なノンコーディングRNAが報告されている。
その分子量の違いから容易に推測されるように、
機能分子としてのノンコーディングRNAに共通点は見られず、従ってその生理機能も多様。
ノンコーディングRNAはしばしば機能性RNA(functional RNA)と言い表される、
一部のアンチセンスRNAでみられるように、
転写産物であるRNA分子それ自体には生物学的な機能がなく、
その遺伝子座で転写が起こることが重要である場合や、
そもそもノンコーディングRNA遺伝子そのものが生体にとって必要でない場合もみられるため、
厳密にはすべてのノンコーディングRNAが機能性RNAであるわけではない。
最も有名で量も多いノンコーディングRNAは、
翻訳過程で機能する転移RNA(tRNA)とリボソームRNA(rRNA)で、
それ以外にも、1980年代初期の低分子量核内RNAの発見や、
1990年代後期のマイクロRNAの発見など、
基本的な代謝から個体発生や細胞分化とう
様々な生命現象に関与するノンコーディングRNAが数多く見出されており、
ノンコーディングRNAは以前考えられたよりもはるかに重要な役割を有すると考えられる。
ヒトゲノム解読とトランスクプトーム解析により、
ヒトゲノムのわずか2%しかタンパク質をコードしていないことが判明。
ncRNAはこれまで転写、
RNAプロセッシング、RNA分解、翻訳など
遺伝子発現の様々な段階に影響を与えることが知られている。
ペンシルバニア大学のTracy L. Baleらは、
精子中のマイクロRNAの発現量が子に伝わり、父の獲得形質が子に受け継がれることを発表。
オスのマウスに過度なストレスを与え、そのマウスをメスのマウスと交配。
生まれたマウスに過度なストレスを与えたところ、ストレスに対する耐性が父マウスよりも高いと出た。
その原因としてマイクロRNAを挙げ 父マウスの精子中のマイクロRNAの発現量が増加していること、
このマイクロRNAが受精卵内のmRNAを破壊していること より、
父が獲得した形質がマイクロRNAを通し子に伝わることを示唆。
DNAとRNAの物理化学的性質;
DNAとRNAはともに紫外線である波長260nm付近に吸収極大を持ち、230nm付近に吸収極小を持つ。
この吸光度はタンパク質の280nmよりもずっと大きいが、
これはDNAとRNAがプリンまたはピリミジンを塩基として有するため。
ノンコーディングRNA(non-coding RNA、ncRNA、非コードRNA);
ノンコーディングRNAを発現する遺伝子
タンパク質へ翻訳されずに機能するRNAの総称で、非翻訳性RNA(non-translatable RNA)
塩基数(分子量)や鎖の形状(1本鎖, 2本鎖)が異なるものを一括した総称。
非翻訳性RNAは、
RNA干渉 (RNAi)、ヘテロクロマチン形成への関与、
植物におけるRNA指令型DNAメチル化 (RNA-directed DNA methylation: RdDM) など、
さまざまな過程を通じてエピジェネティックな遺伝子制御に関わる。
従来その構造から遺伝子発現が不活性化されていたセントロメアなどのヘテロクロマチンにおいても、
RNAが転写がされていることが判明、非翻訳性RNAを通しての遺伝子発現制御が注目されている。
RNA干渉 (RNAi) は、非翻訳性RNAによる転写後遺伝子サイレンシングである。
何らかの原因により二本鎖RNA (dsRNA) が存在するとき、
Dicerと名づけられた酵素によってdsRNAは切断され
20数塩基以下の短い二本鎖RNA(低分子干渉 (small interfering) RNA, siRNA)となる。
そのsiRNAと共通の塩基配列を持つmRNAが分解される現象を狭義のRNAiとす。
翻訳型を含めてsiRNAが関与する遺伝子サイレンシング全般をRNAiとする場合や、
RNAサイレンシングという用語をRNAiと同義語として使用する場合もある。
狭義のRNAi現象は、
植物・線虫・哺乳類を含め広範囲の生物で保存されている現象で、
現在ではRNAiは広く遺伝子ノックダウン技術として利用されている。
RdDM
RNA指令型DNAメチル化 (RdDM) は、
植物で観察されるsiRNAによる翻訳型遺伝子サイレンシングであり、
広い意味でのRNAiに含める。
動物においてRdDMと同等の機能があるかについては不明。
RdDMはsiRNAと相同なDNA塩基配列のシトシン残基がメチル化される現象であり、
siRNAの元になるRNAが核内DNAの転写産物でもあっても外来RNAであってもこの現象は発生す。
イネへの遺伝子導入の実験においては、
導入した遺伝子のプロモーターをRdDMによって不活性化したところ、
同時にヒストンにおいてH3K9のジメチル化およびH3とH4の脱アセチル化が起きている
(いずれも発現抑制化の変化)。
RdDMによる遺伝子発現の不活性化は、
外来遺伝子がゲノムに侵入した場合にゲノム内移動を抑える防御作用を持つものと推定。
リボ核酸(RNA: Ribonucleic acid)リボースを糖成分とする核酸。
リボヌクレオチドが多数重合したもの、
一本鎖をなし、Aアデニン、Gグアニン、Cシトシン、Uウラシルの四種の核酸塩基を含む。
一般にDNAを鋳型として合成され、その遺伝情報の伝達やタンパク質の合成を行う。
シトシンは DNA にも同じ構造が見られるが、
DNAにおけるチミン (T) がRNAではウラシルに置き換わっており、相補的な塩基はアデニンとなる。
チミンとウラシルは共にピリミジン環を持つ非常に似た塩基である。
シトシンが化学分解されるとウラシルが生成されてしまうため、
DNAではウラシルの代わりにチミンが用いられるようになった。
これによりシトシンの分解により誤って生成してしまったウラシルを検出し、
修復することが可能になる利点が生じた。
ノンコーディングRNAは、タンパク質に翻訳されるmRNAに相対して付けられた、
「それ以外の」RNAの総称に過ぎず、
20ヌクレオチド程度の低分子量のものから
100 kbにも至るような様々なノンコーディングRNAが報告されている。
その分子量の違いから容易に推測されるように、
機能分子としてのノンコーディングRNAに共通点は見られず、従ってその生理機能も多様。
ノンコーディングRNAはしばしば機能性RNA(functional RNA)と言い表される、
一部のアンチセンスRNAでみられるように、
転写産物であるRNA分子それ自体には生物学的な機能がなく、
その遺伝子座で転写が起こることが重要である場合や、
そもそもノンコーディングRNA遺伝子そのものが生体にとって必要でない場合もみられるため、
厳密にはすべてのノンコーディングRNAが機能性RNAであるわけではない。
最も有名で量も多いノンコーディングRNAは、
翻訳過程で機能する転移RNA(tRNA)とリボソームRNA(rRNA)で、
それ以外にも、1980年代初期の低分子量核内RNAの発見や、
1990年代後期のマイクロRNAの発見など、
基本的な代謝から個体発生や細胞分化とう
様々な生命現象に関与するノンコーディングRNAが数多く見出されており、
ノンコーディングRNAは以前考えられたよりもはるかに重要な役割を有すると考えられる。
ヒトゲノム解読とトランスクプトーム解析により、
ヒトゲノムのわずか2%しかタンパク質をコードしていないことが判明。
ncRNAはこれまで転写、
RNAプロセッシング、RNA分解、翻訳など
遺伝子発現の様々な段階に影響を与えることが知られている。
ペンシルバニア大学のTracy L. Baleらは、
精子中のマイクロRNAの発現量が子に伝わり、父の獲得形質が子に受け継がれることを発表。
オスのマウスに過度なストレスを与え、そのマウスをメスのマウスと交配。
生まれたマウスに過度なストレスを与えたところ、ストレスに対する耐性が父マウスよりも高いと出た。
その原因としてマイクロRNAを挙げ 父マウスの精子中のマイクロRNAの発現量が増加していること、
このマイクロRNAが受精卵内のmRNAを破壊していること より、
父が獲得した形質がマイクロRNAを通し子に伝わることを示唆。
DNAとRNAの物理化学的性質;
DNAとRNAはともに紫外線である波長260nm付近に吸収極大を持ち、230nm付近に吸収極小を持つ。
この吸光度はタンパク質の280nmよりもずっと大きいが、
これはDNAとRNAがプリンまたはピリミジンを塩基として有するため。
2022年08月27日
Alchemy of Actor epigenetics 03
Alchemy of Actor epigenetics 03
ヒストン修飾
クロマチンはヒストンにDNAが巻き付いたヌクレオソーム構造を持つ複合体。
DNAがヒストンに巻き付いている状態が変われば、
クロマチンリモデリング(再構築・再構成)がおき、遺伝子発現もまた変化す。
ヒストンのメチル化は1964年に発見されたが、その生理的意義は長い間不明であった。
その後の研究によって数多くの化学修飾が発見され、
それら翻訳後修飾の役割は酵母・動物・植物で共通していることが多いことも判明。
ヒストン修飾はアミノ酸配列全体を通して発生するが、
ヒストンのN末端(ヒストンテール)が特に高頻度で修飾される。
これらの修飾には、アセチル化、メチル化、ユビキチン化、リン酸化 SUMO化が含まれる。
よく研究されている化学修飾 アセチル化
Exc,ヒストンアセチル基転移酵素 (HAT;histone acetyltransferase ) による
ヒストンH3テールのK9、K14のリジン アセチル化は、高い転写能力と相関す。
ヒストンのリジン残基は、(+)に荷電したN窒素原子を含むアミノ基を側鎖に持ち、
DNA骨格の(-)に帯電したリン酸基と結合しやすい。
リジン残基のアセチル化はアミノ基の(+)を中和し、
ヒストンとDNA間の相互作用を弱めることにより、転写因子がDNAに接近することを可能にす。
このように
ヒストン修飾がヌクレオソームの構造を変化させることによって転写に影響を与える説明:「シス」モデル。
ヒストン修飾による機能「トランス」モデル;
ヒストン修飾酵素が作用して他のタンパク質との結合部位を作り、
そのタンパク質がクロマチンに会合することによって転写を制御す。
Exc,トランスモデル概念は、H3K9メチル化により裏付けされている。
H3K9のメチル化は恒常的な転写不活性クロマチン(構造的ヘテロクロマチン)と関連付けられてきた。
メチル化されたH3K9は、
クロモドメイン(メチルリジン特異的結合ドメイン)を持つ転写抑制タンパク質HP1をリクルートする。
リジン残基メチリジン残基メチル化は、
修飾を受ける残基・同一残基が受けるメチル化状態(モノ, ジ, トリ)の種類が多く、
作用も転写の活性化と抑制の双方があり、他のヒストン修飾に比べて複雑。
H3K9メチル化とHP1の関係は、
ショウジョウバエの位置効果による斑入り (PEV) でのヘテロクロマチン領域の拡大とも関連している。
他方、H3K4のメチル化は
ユークロマチンでの遺伝子発現の活性化と関連し、複数の因子がH3K4トリメチル化を誘導する。
ヒストンリジンメチル基転移酵素 (KMT;lysine methyltransferase ) は、
ヒストンH3,H4に対してメチル化活性を担っている。
この酵素は
SETドメイン (Suppressor of variegation, Enhancer of zeste, Trithorax) と呼ばれる触媒活性部位を利用。
SETドメインは遺伝子活性の調整に関与する130アミノ酸配列。
SETはヒストンテールに結合し、ヒストンのメチル化を引き起こす。
ヒストンH3,H4は、
ヒストンリジン脱メチル化酵素 (KDM,lysine demethylase )によって脱メチル化されることも。
この酵素は十文字ドメイン (JmjC) と呼ばれる触媒活性部位を持っている。
十文字ドメインが複数の補因子を使ってメチル基をヒドロキシル化して除去したとき、
脱メチル化が起きる。
十文字ドメインは、メチル基を1-3個持つ基質を脱メチル化することが可能。
ヒストンコード
複数,動的なヒストンの化学修飾による遺伝子制御の概念,仮説
この仮説は、
「ヒストン化学修飾の特定の組み合わせが、あたかも暗号(コード)のように働くことにより、
多種多様な反応を誘導してクロマチン機能を制御する」という。
個別のヒストン修飾の影響が明らかになってきている一方で、
複数の修飾が協調的あるいは対立的な影響を持ちながら共存する例や、
同一の修飾が存在する条件によって異なる影響をもたらす例が知られている。
このことから、
数種類のヒストン修飾に制御されるエピジェネティックな過程の複雑さを理解するには、
ヒストンコード仮説が有効であると考える。
クロマチンリモデリング
クロマチンリモデリングは、DNAとヒストンの間の位置関係が変化すること、
およびそれによって遺伝子発現が促進あるいは抑制されること。
ヒストン修飾とATP依存リモデリング因子(SWI/SNFなど)によるクロマチンの変化を指す。
神経系細胞分化におけるヒストン修飾の役割
哺乳類 中枢神経系は、発生段階に共通の神経幹細胞から分化・産生される
ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトにより構成され、
精妙な相互作用で高度な神経活動が維持される
マウスでは細胞の増殖や神経管形成、心臓の発達が起こらずに胎生致死
神経系遺伝子のプローター領域のヒストンのアセチル化増進を介して神経発生を制御し
マウスでは胎生期の神経発生異常に起因するとする疾病を引き起こす
成体ラット海馬由来の神経幹細胞にニューロン分化促進 中枢神経障害疾患に作用
ヒストンのメチル化やメチル化酵素、脱メチル化酵素の働きが脳機能や多くの精神疾患に関与
ヒストン修飾は脳の発達や機能にさまざまな役割を果たしており、脳において重要な機構。
H3K9のメチル化酵素;
成熟ニューロンにおいて非神経性遺伝子やニューロン前駆遺伝子の働きを抑制し、
この複合体の欠損は、学習や意欲、環境への適応などの脳の高次機能に影響を与える
H3K4のメチル化酵素,変異マウスでは海馬の可塑性やシグナルの異常に伴い、
学習能力と記憶形成能の低下がみられる
H3K27のメチル化は、うつ様行動の発生に関与。
マウスに社会的ストレスを繰り返し与えることにより
ヒトのうつ患者と同様な行動や神経化学的変化を引き起こす。
うつモデルマウスでは海馬の脳由来神経栄養因子遺伝子
(brain-derived neurotrophic factor:BDNF)プロモーターでのH3K27のメチル化が増加
これはうつモデルマウスがストレスのない環境へ移されたとしても持続する。
と たのしい演劇の日々
ヒストン修飾
クロマチンはヒストンにDNAが巻き付いたヌクレオソーム構造を持つ複合体。
DNAがヒストンに巻き付いている状態が変われば、
クロマチンリモデリング(再構築・再構成)がおき、遺伝子発現もまた変化す。
ヒストンのメチル化は1964年に発見されたが、その生理的意義は長い間不明であった。
その後の研究によって数多くの化学修飾が発見され、
それら翻訳後修飾の役割は酵母・動物・植物で共通していることが多いことも判明。
ヒストン修飾はアミノ酸配列全体を通して発生するが、
ヒストンのN末端(ヒストンテール)が特に高頻度で修飾される。
これらの修飾には、アセチル化、メチル化、ユビキチン化、リン酸化 SUMO化が含まれる。
よく研究されている化学修飾 アセチル化
Exc,ヒストンアセチル基転移酵素 (HAT;histone acetyltransferase ) による
ヒストンH3テールのK9、K14のリジン アセチル化は、高い転写能力と相関す。
ヒストンのリジン残基は、(+)に荷電したN窒素原子を含むアミノ基を側鎖に持ち、
DNA骨格の(-)に帯電したリン酸基と結合しやすい。
リジン残基のアセチル化はアミノ基の(+)を中和し、
ヒストンとDNA間の相互作用を弱めることにより、転写因子がDNAに接近することを可能にす。
このように
ヒストン修飾がヌクレオソームの構造を変化させることによって転写に影響を与える説明:「シス」モデル。
ヒストン修飾による機能「トランス」モデル;
ヒストン修飾酵素が作用して他のタンパク質との結合部位を作り、
そのタンパク質がクロマチンに会合することによって転写を制御す。
Exc,トランスモデル概念は、H3K9メチル化により裏付けされている。
H3K9のメチル化は恒常的な転写不活性クロマチン(構造的ヘテロクロマチン)と関連付けられてきた。
メチル化されたH3K9は、
クロモドメイン(メチルリジン特異的結合ドメイン)を持つ転写抑制タンパク質HP1をリクルートする。
リジン残基メチリジン残基メチル化は、
修飾を受ける残基・同一残基が受けるメチル化状態(モノ, ジ, トリ)の種類が多く、
作用も転写の活性化と抑制の双方があり、他のヒストン修飾に比べて複雑。
H3K9メチル化とHP1の関係は、
ショウジョウバエの位置効果による斑入り (PEV) でのヘテロクロマチン領域の拡大とも関連している。
他方、H3K4のメチル化は
ユークロマチンでの遺伝子発現の活性化と関連し、複数の因子がH3K4トリメチル化を誘導する。
ヒストンリジンメチル基転移酵素 (KMT;lysine methyltransferase ) は、
ヒストンH3,H4に対してメチル化活性を担っている。
この酵素は
SETドメイン (Suppressor of variegation, Enhancer of zeste, Trithorax) と呼ばれる触媒活性部位を利用。
SETドメインは遺伝子活性の調整に関与する130アミノ酸配列。
SETはヒストンテールに結合し、ヒストンのメチル化を引き起こす。
ヒストンH3,H4は、
ヒストンリジン脱メチル化酵素 (KDM,lysine demethylase )によって脱メチル化されることも。
この酵素は十文字ドメイン (JmjC) と呼ばれる触媒活性部位を持っている。
十文字ドメインが複数の補因子を使ってメチル基をヒドロキシル化して除去したとき、
脱メチル化が起きる。
十文字ドメインは、メチル基を1-3個持つ基質を脱メチル化することが可能。
ヒストンコード
複数,動的なヒストンの化学修飾による遺伝子制御の概念,仮説
この仮説は、
「ヒストン化学修飾の特定の組み合わせが、あたかも暗号(コード)のように働くことにより、
多種多様な反応を誘導してクロマチン機能を制御する」という。
個別のヒストン修飾の影響が明らかになってきている一方で、
複数の修飾が協調的あるいは対立的な影響を持ちながら共存する例や、
同一の修飾が存在する条件によって異なる影響をもたらす例が知られている。
このことから、
数種類のヒストン修飾に制御されるエピジェネティックな過程の複雑さを理解するには、
ヒストンコード仮説が有効であると考える。
クロマチンリモデリング
クロマチンリモデリングは、DNAとヒストンの間の位置関係が変化すること、
およびそれによって遺伝子発現が促進あるいは抑制されること。
ヒストン修飾とATP依存リモデリング因子(SWI/SNFなど)によるクロマチンの変化を指す。
神経系細胞分化におけるヒストン修飾の役割
哺乳類 中枢神経系は、発生段階に共通の神経幹細胞から分化・産生される
ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトにより構成され、
精妙な相互作用で高度な神経活動が維持される
マウスでは細胞の増殖や神経管形成、心臓の発達が起こらずに胎生致死
神経系遺伝子のプローター領域のヒストンのアセチル化増進を介して神経発生を制御し
マウスでは胎生期の神経発生異常に起因するとする疾病を引き起こす
成体ラット海馬由来の神経幹細胞にニューロン分化促進 中枢神経障害疾患に作用
ヒストンのメチル化やメチル化酵素、脱メチル化酵素の働きが脳機能や多くの精神疾患に関与
ヒストン修飾は脳の発達や機能にさまざまな役割を果たしており、脳において重要な機構。
H3K9のメチル化酵素;
成熟ニューロンにおいて非神経性遺伝子やニューロン前駆遺伝子の働きを抑制し、
この複合体の欠損は、学習や意欲、環境への適応などの脳の高次機能に影響を与える
H3K4のメチル化酵素,変異マウスでは海馬の可塑性やシグナルの異常に伴い、
学習能力と記憶形成能の低下がみられる
H3K27のメチル化は、うつ様行動の発生に関与。
マウスに社会的ストレスを繰り返し与えることにより
ヒトのうつ患者と同様な行動や神経化学的変化を引き起こす。
うつモデルマウスでは海馬の脳由来神経栄養因子遺伝子
(brain-derived neurotrophic factor:BDNF)プロモーターでのH3K27のメチル化が増加
これはうつモデルマウスがストレスのない環境へ移されたとしても持続する。
と たのしい演劇の日々
2022年08月25日
Alchemy of Actor epigenetics 02
Alchemy of Actor epigenetics02
DNAメチル化methylated cytosine
DNA中の塩基の炭素原子にメチル基修飾が付加される化学反応。
真核生物から原核生物、ウイルスに到るまで、生物に広く見られる。
特に真核生物の場合、CpG アイランド部分などのゲノム領域でよく見られ、
エピジェネティクスに深く関わり複雑な生物の体を正確に形づくるために必須の仕組み
DNAメチル化は、
cシトシンのピリミジン環の5位炭素原子 アデニンのプリン環の6位窒素原子への
メチル基の付加反応である(シトシンとアデニンはDNAを構成する4種の塩基のうちの2種)。
この修飾は細胞分裂を経ても受け継がれる。
通常DNAメチル化は、接合体形成の間に除去され、発生の間に続く細胞分裂を介して再建される。
しかし、最近、接合子では
メチル基の完全な除去よりも メチル基のヒドロキシル化が起こっていることが示されている。
DNAメチル化は高等生物において正常な発生と細胞の分化において極めて重要な役割を担っている。
DNAメチル化は、
細胞が「自分がどこにいるのか」を記憶できるように安定的に遺伝子発現パターンを変化させたり、
遺伝子発現を減少させたりする
exs, 胚発生の間に膵臓ランゲルハンス島となるようにプログラムされた細胞は、
ランゲルハンス島であるようにシグナルを受け続けなくても、
生物の一生に渡って膵臓ランゲルハンス島であり続ける。
DNAメチル化は
時間と共に宿主のゲノムに取り込まれたウイルスやその他の有害な要素の遺伝子の発現を抑制する。
DNAメチル化は、クロマチン構造の基礎を形作る。
これにり、細胞は単一不変のDNA配列から多細胞生物に必要な無数の特徴を形成することができる。
DNAメチル化は、ほとんど全ての種類のがんの発達において極めて重要な役割を果たしている
DNAメチル化は、DNAへのメチル基の付加を伴う − 例えば、シトシンのピリミジン環5位炭素原子 −
この場合、遺伝子発現の減少という特異的効果がある。
シトシンの5位のメチル化は、調べられた全ての脊椎動物で発見されている。
成体の体細胞組織では、
DNAメチル化は通常CpGジヌクレオチド部位(シトシン-ホスホジエステル結合-グアニン)で起こる。
非CpGメチル化は、胚性幹細胞で広く行き渡っている
哺乳類のDNAメチル化は、
連続するcシトシン残基と gグアニン残基
(隣接するCとGはホスホジエステル結合によってつながれており、
二重らせんの相補鎖において、水素結合により対合するC G と区別するため、リン酸を表す"p"を用い、
CpGと示す)
中のシトシン残基において見られる。
シトシン残基のピリミジン環5位の炭素に
DNAメチルトランスフェラーゼ (DNMT; DNMT1, DNMT3A, DNMT3B)によってメチル基が付加され、
5-メチルシトシンが生成される。
ゲノム中CpGが豊富に含まれる領域CpG island、遺伝子のプロモーター領域に多く認められる。
ゲノム中のCpG配列の約60〜70%はメチル化されているが、CpG island中のCpGは一般的に低メチル化状態。
DNAメチル化状態は細胞分裂後も受け継がれる。
DNA複製後、維持メチラーゼDNMT1がヘミメチル化状態のDNA
(メチル化された親DNAとまだメチル化されていない娘DNAの二重鎖)を認識し、
娘DNA鎖に相補的にメチル基を付加する
発生過程では、受精直後に維持メチラーゼ活性が抑制されたり
脱メチル化が生じたりすることによって、ゲノム全体で脱メチル化がおこる。
メチル化されてないDNAの最初のメチル化は、
新規修飾DNAメチラーゼ (de novo DNA methyltransferase; DNMT3AやDNMT3B)によっておこり、
新たにDNAメチル化状態のプロフィールが形成される
と たのしい演劇の日々
DNAメチル化methylated cytosine
DNA中の塩基の炭素原子にメチル基修飾が付加される化学反応。
真核生物から原核生物、ウイルスに到るまで、生物に広く見られる。
特に真核生物の場合、CpG アイランド部分などのゲノム領域でよく見られ、
エピジェネティクスに深く関わり複雑な生物の体を正確に形づくるために必須の仕組み
DNAメチル化は、
cシトシンのピリミジン環の5位炭素原子 アデニンのプリン環の6位窒素原子への
メチル基の付加反応である(シトシンとアデニンはDNAを構成する4種の塩基のうちの2種)。
この修飾は細胞分裂を経ても受け継がれる。
通常DNAメチル化は、接合体形成の間に除去され、発生の間に続く細胞分裂を介して再建される。
しかし、最近、接合子では
メチル基の完全な除去よりも メチル基のヒドロキシル化が起こっていることが示されている。
DNAメチル化は高等生物において正常な発生と細胞の分化において極めて重要な役割を担っている。
DNAメチル化は、
細胞が「自分がどこにいるのか」を記憶できるように安定的に遺伝子発現パターンを変化させたり、
遺伝子発現を減少させたりする
exs, 胚発生の間に膵臓ランゲルハンス島となるようにプログラムされた細胞は、
ランゲルハンス島であるようにシグナルを受け続けなくても、
生物の一生に渡って膵臓ランゲルハンス島であり続ける。
DNAメチル化は
時間と共に宿主のゲノムに取り込まれたウイルスやその他の有害な要素の遺伝子の発現を抑制する。
DNAメチル化は、クロマチン構造の基礎を形作る。
これにり、細胞は単一不変のDNA配列から多細胞生物に必要な無数の特徴を形成することができる。
DNAメチル化は、ほとんど全ての種類のがんの発達において極めて重要な役割を果たしている
DNAメチル化は、DNAへのメチル基の付加を伴う − 例えば、シトシンのピリミジン環5位炭素原子 −
この場合、遺伝子発現の減少という特異的効果がある。
シトシンの5位のメチル化は、調べられた全ての脊椎動物で発見されている。
成体の体細胞組織では、
DNAメチル化は通常CpGジヌクレオチド部位(シトシン-ホスホジエステル結合-グアニン)で起こる。
非CpGメチル化は、胚性幹細胞で広く行き渡っている
哺乳類のDNAメチル化は、
連続するcシトシン残基と gグアニン残基
(隣接するCとGはホスホジエステル結合によってつながれており、
二重らせんの相補鎖において、水素結合により対合するC G と区別するため、リン酸を表す"p"を用い、
CpGと示す)
中のシトシン残基において見られる。
シトシン残基のピリミジン環5位の炭素に
DNAメチルトランスフェラーゼ (DNMT; DNMT1, DNMT3A, DNMT3B)によってメチル基が付加され、
5-メチルシトシンが生成される。
ゲノム中CpGが豊富に含まれる領域CpG island、遺伝子のプロモーター領域に多く認められる。
ゲノム中のCpG配列の約60〜70%はメチル化されているが、CpG island中のCpGは一般的に低メチル化状態。
DNAメチル化状態は細胞分裂後も受け継がれる。
DNA複製後、維持メチラーゼDNMT1がヘミメチル化状態のDNA
(メチル化された親DNAとまだメチル化されていない娘DNAの二重鎖)を認識し、
娘DNA鎖に相補的にメチル基を付加する
発生過程では、受精直後に維持メチラーゼ活性が抑制されたり
脱メチル化が生じたりすることによって、ゲノム全体で脱メチル化がおこる。
メチル化されてないDNAの最初のメチル化は、
新規修飾DNAメチラーゼ (de novo DNA methyltransferase; DNMT3AやDNMT3B)によっておこり、
新たにDNAメチル化状態のプロフィールが形成される
と たのしい演劇の日々
2022年08月24日
Alchemy of Actor epigenetics01
Alchemy of Actor epigenetics01
具体的なエピジェネティック過程
エピジェネティクスは、
DNAメチル化 と ヒストンの化学的修飾の重要性が解説されるが、
多くの生物で RNA干渉 などの 非翻訳性RNA による制御も知られており、
ヒストンバリアント(変異体)の関与 や
クロマチンモデリング因子などのヒストン以外のタンパク質の関与も知られている。
DNAメチル化・ヒストン修飾・非翻訳性RNAはそれぞれ別の事象として発見されたが、
これら3種類の事象が互いに連携しあって
クロマチン構造の変化・遺伝子発現制御 に関わる例も多く、その典型として X染色体不活化 がある。
エピジェネティックな遺伝子発現の制御は 促進と抑制 に大別される
抑制は
遺伝子サイレンシングとほぼ同じ。
遺伝子サイレンシングは、さらに転写型遺伝子サイレンシング (transcriptional gene silencing) と
転写後遺伝子サイレンシング (post-transcriptional gene silencing) に分けられる。
DNAメチル化は 転写抑制(脱メチル化は転写促進)
ヒストンの化学的修飾を中心としたクロマチン構造の変化は 転写促進と転写型遺伝子サイレンシングに、
非翻訳性RNAによる制御は 転写型遺伝子サイレンシング 転写後遺伝子サイレンシング と関係す。
分子レベルの機能
DNAメチル化;
DNAメチル化 脱メチル化により、塩基配列情報自体には変化なく遺伝子発現のオン/オフが切り替わる
ヒストンの化学的修飾 ;
メチル化・アセチル化・リン酸化などの修飾によりヌクレオソーム中のヒストンに物理化学的な変化がおき、遺伝子発現に直接的(シス型) 間接的(トランス型)に影響す
非翻訳性RNAによる制御
細胞機能に影響する変化
細胞記憶;
細胞自体が経歴・位置に依存した遺伝子発現状態を維持している
X染色体の不活性化;
哺乳類では性染色体 X染色体の本数が雌雄で異なるため(雌2本・雄1本)、
1本のX染色体の活性を残して他のX染色体の遺伝子発現を抑制する
ゲノムインプリンティング;
哺乳類などの配偶子で雄雌それぞれ特異的なDNAメチル化がなされ、
受精後の個体で父性・母性の遺伝子の使い分けがなされる
リプログラミング;
細胞(細胞核)の記憶を初期化する
(分化能を狭められた体細胞が分化能を再獲得するために必要な過程)
その他(より広範囲な現象・より限定された現象)
遺伝子サイレンシング;
転写レベル 翻訳レベルで 遺伝子発現を抑制・中断する
位置効果;
遺伝子が存在する位置の上流域の構造が与える発現抑制 発現活性化の効果
催奇形物質の影響;
催奇性物質の中にはDNA塩基配列自体の変異ではなく、エピジェネティック効果で異常をもたらすものがある
発がん過程;
発がんには複数の遺伝子の変異が必要、その内 ピジェネティックな発現制御が異常化した遺伝子
プリオン;
出芽酵母には突然変異発生を制御するプリオンが存在す
パラ変異;
ある対立遺伝子がヘテロ状態のときに、同じ遺伝子座の対立遺伝子の発現を変えてしまう。
発現が変わった対立遺伝子は、その状態のまま数世代に渡って遺伝しえる
と たのしい演劇の日々
具体的なエピジェネティック過程
エピジェネティクスは、
DNAメチル化 と ヒストンの化学的修飾の重要性が解説されるが、
多くの生物で RNA干渉 などの 非翻訳性RNA による制御も知られており、
ヒストンバリアント(変異体)の関与 や
クロマチンモデリング因子などのヒストン以外のタンパク質の関与も知られている。
DNAメチル化・ヒストン修飾・非翻訳性RNAはそれぞれ別の事象として発見されたが、
これら3種類の事象が互いに連携しあって
クロマチン構造の変化・遺伝子発現制御 に関わる例も多く、その典型として X染色体不活化 がある。
エピジェネティックな遺伝子発現の制御は 促進と抑制 に大別される
抑制は
遺伝子サイレンシングとほぼ同じ。
遺伝子サイレンシングは、さらに転写型遺伝子サイレンシング (transcriptional gene silencing) と
転写後遺伝子サイレンシング (post-transcriptional gene silencing) に分けられる。
DNAメチル化は 転写抑制(脱メチル化は転写促進)
ヒストンの化学的修飾を中心としたクロマチン構造の変化は 転写促進と転写型遺伝子サイレンシングに、
非翻訳性RNAによる制御は 転写型遺伝子サイレンシング 転写後遺伝子サイレンシング と関係す。
分子レベルの機能
DNAメチル化;
DNAメチル化 脱メチル化により、塩基配列情報自体には変化なく遺伝子発現のオン/オフが切り替わる
ヒストンの化学的修飾 ;
メチル化・アセチル化・リン酸化などの修飾によりヌクレオソーム中のヒストンに物理化学的な変化がおき、遺伝子発現に直接的(シス型) 間接的(トランス型)に影響す
非翻訳性RNAによる制御
細胞機能に影響する変化
細胞記憶;
細胞自体が経歴・位置に依存した遺伝子発現状態を維持している
X染色体の不活性化;
哺乳類では性染色体 X染色体の本数が雌雄で異なるため(雌2本・雄1本)、
1本のX染色体の活性を残して他のX染色体の遺伝子発現を抑制する
ゲノムインプリンティング;
哺乳類などの配偶子で雄雌それぞれ特異的なDNAメチル化がなされ、
受精後の個体で父性・母性の遺伝子の使い分けがなされる
リプログラミング;
細胞(細胞核)の記憶を初期化する
(分化能を狭められた体細胞が分化能を再獲得するために必要な過程)
その他(より広範囲な現象・より限定された現象)
遺伝子サイレンシング;
転写レベル 翻訳レベルで 遺伝子発現を抑制・中断する
位置効果;
遺伝子が存在する位置の上流域の構造が与える発現抑制 発現活性化の効果
催奇形物質の影響;
催奇性物質の中にはDNA塩基配列自体の変異ではなく、エピジェネティック効果で異常をもたらすものがある
発がん過程;
発がんには複数の遺伝子の変異が必要、その内 ピジェネティックな発現制御が異常化した遺伝子
プリオン;
出芽酵母には突然変異発生を制御するプリオンが存在す
パラ変異;
ある対立遺伝子がヘテロ状態のときに、同じ遺伝子座の対立遺伝子の発現を変えてしまう。
発現が変わった対立遺伝子は、その状態のまま数世代に渡って遺伝しえる
と たのしい演劇の日々
2022年08月14日
Alchemy of Actor エピジェネティクスEpigenetics 00
Alchemy of Actor, Epigenetics00
「活動状態変化を記録し、伝え、永続させるような、染色体領域の構造的な順応」
Conrad Hal Waddington (1905 – 26 1975)
エピジェネティクスとは「遺伝物質からはじまり最終的な生物を形づくるすべての制御された過程」
「遺伝子が表現型を作るために周辺環境とどのように相互作用するのか」と表現
脳科学とエピジェネティクス
神経活動との関連
初代培養神経細胞へKCl投与し脱分極を誘導すると、
Bdnf遺伝子のプロモーターIV領域のCpGが脱メチル化される。
脱メチル化に伴いMeCP2が解離しプロモーターIVからの転写量上昇が認められる。
神経細胞における長期増強(LTP)の誘導は
、神経伝達に関わる遺伝子のプロモーター領域におけるヒストンH3およびH4のアセチル化と関連す
脳部位 細胞種類との関連
脳内の部位により、DNAメチル化状態が異なる。
脳の特徴は、種々の神経細胞やグリア細胞が混在した組織である。
神経細胞と非神経細胞では、DNAメチル化状態に違いが見られ そのため、
脳のDNAのメチル化を調べた場合、
その変化は細胞種の変化の反映か、特定の細胞におけるDNAメチル化変化の反映か 区別がつかない
脳神経系細胞内シトシン修飾状態と機能
メチルシトシンが
ten-eleven translocation (TET)タンパク質によって酸化された
ヒドロキシメチルシトシン (5-hydroxymethylcytosine; 5-hmc)が
脳神経系細胞に豊富に含まれる。
TET存在下で
カルボキシルシトシン(5-carboxylcytosine; 5-cac)
、フォルミルシトシン (5-formylcytosine; 5-fc) が生成される。
これら多様なシトシン修飾は
、分裂しない神経細胞における 脱メチル化過程の中間産物であろう。
盛んに分裂する細胞では、
維持メチラーゼの活性が抑制され
、メチル化されていない細胞が増加することによる脱メチル化passive demethylation
に対し、5-hmcを介したシトシンへの脱メチル化active demethylation、は哺乳類では確認されていなかった。
現在提唱されているモデルでは、
5-fcから5-cacに変換された後、未同定のcarboxylaseによって再びシトシンに変換されるか
、5-fc/5-cacがactivation-induced cytidine deaminase (AID)や
apolipoprotein B mRNA editing enzyme catalytic polypeptide (APOBEC)の作用により
チミンに変換され
、thymine-DNA glycosylase (TDG)や
他のDNA修復関連酵素群による塩基除去修復系によって シトシンに戻るモデルが提案されている。
、近年MeCP2が5-hmcに結合することが明らかにされ
また、5-hmc結合タンパク質のスクリーニングも進み
脱メチル化過程の中間産物以外の機能を持つことを示唆す。
と たのしい演劇の日々
「活動状態変化を記録し、伝え、永続させるような、染色体領域の構造的な順応」
Conrad Hal Waddington (1905 – 26 1975)
エピジェネティクスとは「遺伝物質からはじまり最終的な生物を形づくるすべての制御された過程」
「遺伝子が表現型を作るために周辺環境とどのように相互作用するのか」と表現
脳科学とエピジェネティクス
神経活動との関連
初代培養神経細胞へKCl投与し脱分極を誘導すると、
Bdnf遺伝子のプロモーターIV領域のCpGが脱メチル化される。
脱メチル化に伴いMeCP2が解離しプロモーターIVからの転写量上昇が認められる。
神経細胞における長期増強(LTP)の誘導は
、神経伝達に関わる遺伝子のプロモーター領域におけるヒストンH3およびH4のアセチル化と関連す
脳部位 細胞種類との関連
脳内の部位により、DNAメチル化状態が異なる。
脳の特徴は、種々の神経細胞やグリア細胞が混在した組織である。
神経細胞と非神経細胞では、DNAメチル化状態に違いが見られ そのため、
脳のDNAのメチル化を調べた場合、
その変化は細胞種の変化の反映か、特定の細胞におけるDNAメチル化変化の反映か 区別がつかない
脳神経系細胞内シトシン修飾状態と機能
メチルシトシンが
ten-eleven translocation (TET)タンパク質によって酸化された
ヒドロキシメチルシトシン (5-hydroxymethylcytosine; 5-hmc)が
脳神経系細胞に豊富に含まれる。
TET存在下で
カルボキシルシトシン(5-carboxylcytosine; 5-cac)
、フォルミルシトシン (5-formylcytosine; 5-fc) が生成される。
これら多様なシトシン修飾は
、分裂しない神経細胞における 脱メチル化過程の中間産物であろう。
盛んに分裂する細胞では、
維持メチラーゼの活性が抑制され
、メチル化されていない細胞が増加することによる脱メチル化passive demethylation
に対し、5-hmcを介したシトシンへの脱メチル化active demethylation、は哺乳類では確認されていなかった。
現在提唱されているモデルでは、
5-fcから5-cacに変換された後、未同定のcarboxylaseによって再びシトシンに変換されるか
、5-fc/5-cacがactivation-induced cytidine deaminase (AID)や
apolipoprotein B mRNA editing enzyme catalytic polypeptide (APOBEC)の作用により
チミンに変換され
、thymine-DNA glycosylase (TDG)や
他のDNA修復関連酵素群による塩基除去修復系によって シトシンに戻るモデルが提案されている。
、近年MeCP2が5-hmcに結合することが明らかにされ
また、5-hmc結合タンパク質のスクリーニングも進み
脱メチル化過程の中間産物以外の機能を持つことを示唆す。
と たのしい演劇の日々
2022年07月21日
Alchemy of Actor オーディション向け動画
Alchemy of Actor audition tape for stage acting
A4一枚に収まる台詞を覚える
先ずは ドラマの背景をリサーチする
Internetが未だ不自由であった頃は 図書館や博物美術館へ足を運んだものだが
家に居てパソコンを介し情報を手に入れる
田舎暮らしで身近に大きな図書館も 博物館も無い身には パソコンが頼り
だが やはり 身をもって素材収集する法が 演技の助けになるには違いない
かつて 〈水死体の身元確認をするシーン〉で 何も出来なかったことを思い出す
日本語の台詞だったが 最後の一行と共に『怒り』が湧上った以外は 何も起こらなかった
今回は英語の台詞なので いつもながら 先ず 音韻調べ IPAと共に書き込む
日本語のカタカナと大いに違う発音があるから要注意(昨今はパソコンが発音してくれる)
また 英語 米語の 違いも注意 役によっては使い分けが求められる
相方の台詞も同様にして シーン全てに取り組む
そして ステッピング
ステッピングは魔法だ 之無しで 英語の台詞は語れない
時間の赦す限り 飛んで飛んで身に染渡らす
次は 録音し聞く 相方の台詞は音色を変えて発声
(キャスティングダイレクターの為に)
ステッピングの成果が現れる
録音しては聞き返し を何度も繰り返す
台詞が身体に馴染んでくると 発声と共に 情景やら感情やら物語が湧いては消えする
毎回同じものが現れたり 又は 違ったものが現れたり
以外な台詞回しが現れば 物語も変化し 面白い
そして『その終了』は 直観に頼る
ステージ演技のデモ動画を 自宅にて モバイルで?
オーディション向け動画作成の講習を受けたが ステージ演技はなかったなぁ。。。
少し声を張ってはみたものの カメラ演技になってしまう。。。皆どうしているのだろう?
と たのしい演劇の日々
A4一枚に収まる台詞を覚える
先ずは ドラマの背景をリサーチする
Internetが未だ不自由であった頃は 図書館や博物美術館へ足を運んだものだが
家に居てパソコンを介し情報を手に入れる
田舎暮らしで身近に大きな図書館も 博物館も無い身には パソコンが頼り
だが やはり 身をもって素材収集する法が 演技の助けになるには違いない
かつて 〈水死体の身元確認をするシーン〉で 何も出来なかったことを思い出す
日本語の台詞だったが 最後の一行と共に『怒り』が湧上った以外は 何も起こらなかった
今回は英語の台詞なので いつもながら 先ず 音韻調べ IPAと共に書き込む
日本語のカタカナと大いに違う発音があるから要注意(昨今はパソコンが発音してくれる)
また 英語 米語の 違いも注意 役によっては使い分けが求められる
相方の台詞も同様にして シーン全てに取り組む
そして ステッピング
ステッピングは魔法だ 之無しで 英語の台詞は語れない
時間の赦す限り 飛んで飛んで身に染渡らす
次は 録音し聞く 相方の台詞は音色を変えて発声
(キャスティングダイレクターの為に)
ステッピングの成果が現れる
録音しては聞き返し を何度も繰り返す
台詞が身体に馴染んでくると 発声と共に 情景やら感情やら物語が湧いては消えする
毎回同じものが現れたり 又は 違ったものが現れたり
以外な台詞回しが現れば 物語も変化し 面白い
そして『その終了』は 直観に頼る
ステージ演技のデモ動画を 自宅にて モバイルで?
オーディション向け動画作成の講習を受けたが ステージ演技はなかったなぁ。。。
少し声を張ってはみたものの カメラ演技になってしまう。。。皆どうしているのだろう?
と たのしい演劇の日々
2022年07月18日
Alchemy of Actor quantum & mind
Alchemy of Actor Quantum & mind
The Science of Consciousness (TSC) での発表
カナダのUniversity of Alberta 米のPrinceton Universityの研究、
『量子意識仮説』 ヒトの意識は量子的な効果で発生している を支持する発見
脳科学は、ヒトの意識は脳細胞ネットワークを流れる電気信号パターンによって形成されると考える
意識がどこからかやってきてネットワークに宿るのではなく、
ネットワーク構造と電気活動が一定のパターンをとったときに「意識」が現れるとす
量子生物学は、物理現象の一形態である生命活動も量子力学がかかわっていると考える
「量子生物学」は
光合成は光エネルギーから栄養(化合物)が作られる過程で
電子が量子的なふるまいにより突然位置を変え
、従来の古典物理学では説明困難な化学反応を実現している様子が示されている
渡り鳥のナビゲーション機能、動物の嗅覚、DNAやタンパク質がかかわる酵素反応など
生命現象に、量子効果が関連していることが報告されている
光合成が量子効果で進むのと同じように
、「意識」もまた量子効果によって説明できる部分があると考える脳科学者たちもいる
微小管は「細胞の骨格」として細胞の運動や構造維持を受け待つほか
、細胞内に敷設された「レール」や「けん引ロープ」として物質輸送に関与し
、細胞の各地に回路のように張り巡らされている
細胞分裂時には染色体が微小管によって左右に引っ張られる
微小管の構成単位であるタンパク質には
自由な電子が存在する場所や電気的な影響を受けにくい領域が
nm/nanometre の幅で設置されており
、この特性と距離は電子に量子効果を起こすのに十分と考えられている
研究グループは この微小管に対し、青色のレーザー光を当て量子効果が起こるかを確かめた
結果、照射された光が微小管にとらえられ、
その半分が数百ms〜1秒s以上が経過した段階で放出される「遅延発光」を観察
遅延発光は量子効果の結果として生じる
数百msから1sという範囲は、意識が発生するタイムスケールと一致
米のプリストン大学も同様に 微小管の特定の場所に光レーザーをあて
、電子の励起状態が予想よりもはるかに広範囲で微小管を介し拡散していく様子を観察
また 麻酔薬を微小管に加えた場合、この異常な微小管のふるまいが抑制されることを発見
結果は
麻酔薬が微小管と何らかの相互作用をし「意識」の形成に必要な量子効果を妨げている可能性を示す。
2つの研究において
、微小管に起こる量子効果が脳細胞における「意識」の形成に重要となる可能性があると結論
量子意識仮説の1つ「Orch OR」は
意識が微小管上に存在する量子ビットによって形成されている と主張すも
果たして ヒトの脳において、量子効果が起きているだろうか?
と たのしい演劇の日々
The Science of Consciousness (TSC) での発表
カナダのUniversity of Alberta 米のPrinceton Universityの研究、
『量子意識仮説』 ヒトの意識は量子的な効果で発生している を支持する発見
脳科学は、ヒトの意識は脳細胞ネットワークを流れる電気信号パターンによって形成されると考える
意識がどこからかやってきてネットワークに宿るのではなく、
ネットワーク構造と電気活動が一定のパターンをとったときに「意識」が現れるとす
量子生物学は、物理現象の一形態である生命活動も量子力学がかかわっていると考える
「量子生物学」は
光合成は光エネルギーから栄養(化合物)が作られる過程で
電子が量子的なふるまいにより突然位置を変え
、従来の古典物理学では説明困難な化学反応を実現している様子が示されている
渡り鳥のナビゲーション機能、動物の嗅覚、DNAやタンパク質がかかわる酵素反応など
生命現象に、量子効果が関連していることが報告されている
光合成が量子効果で進むのと同じように
、「意識」もまた量子効果によって説明できる部分があると考える脳科学者たちもいる
微小管は「細胞の骨格」として細胞の運動や構造維持を受け待つほか
、細胞内に敷設された「レール」や「けん引ロープ」として物質輸送に関与し
、細胞の各地に回路のように張り巡らされている
細胞分裂時には染色体が微小管によって左右に引っ張られる
微小管の構成単位であるタンパク質には
自由な電子が存在する場所や電気的な影響を受けにくい領域が
nm/nanometre の幅で設置されており
、この特性と距離は電子に量子効果を起こすのに十分と考えられている
研究グループは この微小管に対し、青色のレーザー光を当て量子効果が起こるかを確かめた
結果、照射された光が微小管にとらえられ、
その半分が数百ms〜1秒s以上が経過した段階で放出される「遅延発光」を観察
遅延発光は量子効果の結果として生じる
数百msから1sという範囲は、意識が発生するタイムスケールと一致
米のプリストン大学も同様に 微小管の特定の場所に光レーザーをあて
、電子の励起状態が予想よりもはるかに広範囲で微小管を介し拡散していく様子を観察
また 麻酔薬を微小管に加えた場合、この異常な微小管のふるまいが抑制されることを発見
結果は
麻酔薬が微小管と何らかの相互作用をし「意識」の形成に必要な量子効果を妨げている可能性を示す。
2つの研究において
、微小管に起こる量子効果が脳細胞における「意識」の形成に重要となる可能性があると結論
量子意識仮説の1つ「Orch OR」は
意識が微小管上に存在する量子ビットによって形成されている と主張すも
果たして ヒトの脳において、量子効果が起きているだろうか?
と たのしい演劇の日々