2022年08月31日
Alchemy of Actor epigenetics 04
Alchemy of Actor epigenetics 04
ノンコーディングRNA(non-coding RNA、ncRNA、非コードRNA);
ノンコーディングRNAを発現する遺伝子
タンパク質へ翻訳されずに機能するRNAの総称で、非翻訳性RNA(non-translatable RNA)
塩基数(分子量)や鎖の形状(1本鎖, 2本鎖)が異なるものを一括した総称。
非翻訳性RNAは、
RNA干渉 (RNAi)、ヘテロクロマチン形成への関与、
植物におけるRNA指令型DNAメチル化 (RNA-directed DNA methylation: RdDM) など、
さまざまな過程を通じてエピジェネティックな遺伝子制御に関わる。
従来その構造から遺伝子発現が不活性化されていたセントロメアなどのヘテロクロマチンにおいても、
RNAが転写がされていることが判明、非翻訳性RNAを通しての遺伝子発現制御が注目されている。
RNA干渉 (RNAi) は、非翻訳性RNAによる転写後遺伝子サイレンシングである。
何らかの原因により二本鎖RNA (dsRNA) が存在するとき、
Dicerと名づけられた酵素によってdsRNAは切断され
20数塩基以下の短い二本鎖RNA(低分子干渉 (small interfering) RNA, siRNA)となる。
そのsiRNAと共通の塩基配列を持つmRNAが分解される現象を狭義のRNAiとす。
翻訳型を含めてsiRNAが関与する遺伝子サイレンシング全般をRNAiとする場合や、
RNAサイレンシングという用語をRNAiと同義語として使用する場合もある。
狭義のRNAi現象は、
植物・線虫・哺乳類を含め広範囲の生物で保存されている現象で、
現在ではRNAiは広く遺伝子ノックダウン技術として利用されている。
RdDM
RNA指令型DNAメチル化 (RdDM) は、
植物で観察されるsiRNAによる翻訳型遺伝子サイレンシングであり、
広い意味でのRNAiに含める。
動物においてRdDMと同等の機能があるかについては不明。
RdDMはsiRNAと相同なDNA塩基配列のシトシン残基がメチル化される現象であり、
siRNAの元になるRNAが核内DNAの転写産物でもあっても外来RNAであってもこの現象は発生す。
イネへの遺伝子導入の実験においては、
導入した遺伝子のプロモーターをRdDMによって不活性化したところ、
同時にヒストンにおいてH3K9のジメチル化およびH3とH4の脱アセチル化が起きている
(いずれも発現抑制化の変化)。
RdDMによる遺伝子発現の不活性化は、
外来遺伝子がゲノムに侵入した場合にゲノム内移動を抑える防御作用を持つものと推定。
リボ核酸(RNA: Ribonucleic acid)リボースを糖成分とする核酸。
リボヌクレオチドが多数重合したもの、
一本鎖をなし、Aアデニン、Gグアニン、Cシトシン、Uウラシルの四種の核酸塩基を含む。
一般にDNAを鋳型として合成され、その遺伝情報の伝達やタンパク質の合成を行う。
シトシンは DNA にも同じ構造が見られるが、
DNAにおけるチミン (T) がRNAではウラシルに置き換わっており、相補的な塩基はアデニンとなる。
チミンとウラシルは共にピリミジン環を持つ非常に似た塩基である。
シトシンが化学分解されるとウラシルが生成されてしまうため、
DNAではウラシルの代わりにチミンが用いられるようになった。
これによりシトシンの分解により誤って生成してしまったウラシルを検出し、
修復することが可能になる利点が生じた。
ノンコーディングRNAは、タンパク質に翻訳されるmRNAに相対して付けられた、
「それ以外の」RNAの総称に過ぎず、
20ヌクレオチド程度の低分子量のものから
100 kbにも至るような様々なノンコーディングRNAが報告されている。
その分子量の違いから容易に推測されるように、
機能分子としてのノンコーディングRNAに共通点は見られず、従ってその生理機能も多様。
ノンコーディングRNAはしばしば機能性RNA(functional RNA)と言い表される、
一部のアンチセンスRNAでみられるように、
転写産物であるRNA分子それ自体には生物学的な機能がなく、
その遺伝子座で転写が起こることが重要である場合や、
そもそもノンコーディングRNA遺伝子そのものが生体にとって必要でない場合もみられるため、
厳密にはすべてのノンコーディングRNAが機能性RNAであるわけではない。
最も有名で量も多いノンコーディングRNAは、
翻訳過程で機能する転移RNA(tRNA)とリボソームRNA(rRNA)で、
それ以外にも、1980年代初期の低分子量核内RNAの発見や、
1990年代後期のマイクロRNAの発見など、
基本的な代謝から個体発生や細胞分化とう
様々な生命現象に関与するノンコーディングRNAが数多く見出されており、
ノンコーディングRNAは以前考えられたよりもはるかに重要な役割を有すると考えられる。
ヒトゲノム解読とトランスクプトーム解析により、
ヒトゲノムのわずか2%しかタンパク質をコードしていないことが判明。
ncRNAはこれまで転写、
RNAプロセッシング、RNA分解、翻訳など
遺伝子発現の様々な段階に影響を与えることが知られている。
ペンシルバニア大学のTracy L. Baleらは、
精子中のマイクロRNAの発現量が子に伝わり、父の獲得形質が子に受け継がれることを発表。
オスのマウスに過度なストレスを与え、そのマウスをメスのマウスと交配。
生まれたマウスに過度なストレスを与えたところ、ストレスに対する耐性が父マウスよりも高いと出た。
その原因としてマイクロRNAを挙げ 父マウスの精子中のマイクロRNAの発現量が増加していること、
このマイクロRNAが受精卵内のmRNAを破壊していること より、
父が獲得した形質がマイクロRNAを通し子に伝わることを示唆。
DNAとRNAの物理化学的性質;
DNAとRNAはともに紫外線である波長260nm付近に吸収極大を持ち、230nm付近に吸収極小を持つ。
この吸光度はタンパク質の280nmよりもずっと大きいが、
これはDNAとRNAがプリンまたはピリミジンを塩基として有するため。
ノンコーディングRNA(non-coding RNA、ncRNA、非コードRNA);
ノンコーディングRNAを発現する遺伝子
タンパク質へ翻訳されずに機能するRNAの総称で、非翻訳性RNA(non-translatable RNA)
塩基数(分子量)や鎖の形状(1本鎖, 2本鎖)が異なるものを一括した総称。
非翻訳性RNAは、
RNA干渉 (RNAi)、ヘテロクロマチン形成への関与、
植物におけるRNA指令型DNAメチル化 (RNA-directed DNA methylation: RdDM) など、
さまざまな過程を通じてエピジェネティックな遺伝子制御に関わる。
従来その構造から遺伝子発現が不活性化されていたセントロメアなどのヘテロクロマチンにおいても、
RNAが転写がされていることが判明、非翻訳性RNAを通しての遺伝子発現制御が注目されている。
RNA干渉 (RNAi) は、非翻訳性RNAによる転写後遺伝子サイレンシングである。
何らかの原因により二本鎖RNA (dsRNA) が存在するとき、
Dicerと名づけられた酵素によってdsRNAは切断され
20数塩基以下の短い二本鎖RNA(低分子干渉 (small interfering) RNA, siRNA)となる。
そのsiRNAと共通の塩基配列を持つmRNAが分解される現象を狭義のRNAiとす。
翻訳型を含めてsiRNAが関与する遺伝子サイレンシング全般をRNAiとする場合や、
RNAサイレンシングという用語をRNAiと同義語として使用する場合もある。
狭義のRNAi現象は、
植物・線虫・哺乳類を含め広範囲の生物で保存されている現象で、
現在ではRNAiは広く遺伝子ノックダウン技術として利用されている。
RdDM
RNA指令型DNAメチル化 (RdDM) は、
植物で観察されるsiRNAによる翻訳型遺伝子サイレンシングであり、
広い意味でのRNAiに含める。
動物においてRdDMと同等の機能があるかについては不明。
RdDMはsiRNAと相同なDNA塩基配列のシトシン残基がメチル化される現象であり、
siRNAの元になるRNAが核内DNAの転写産物でもあっても外来RNAであってもこの現象は発生す。
イネへの遺伝子導入の実験においては、
導入した遺伝子のプロモーターをRdDMによって不活性化したところ、
同時にヒストンにおいてH3K9のジメチル化およびH3とH4の脱アセチル化が起きている
(いずれも発現抑制化の変化)。
RdDMによる遺伝子発現の不活性化は、
外来遺伝子がゲノムに侵入した場合にゲノム内移動を抑える防御作用を持つものと推定。
リボ核酸(RNA: Ribonucleic acid)リボースを糖成分とする核酸。
リボヌクレオチドが多数重合したもの、
一本鎖をなし、Aアデニン、Gグアニン、Cシトシン、Uウラシルの四種の核酸塩基を含む。
一般にDNAを鋳型として合成され、その遺伝情報の伝達やタンパク質の合成を行う。
シトシンは DNA にも同じ構造が見られるが、
DNAにおけるチミン (T) がRNAではウラシルに置き換わっており、相補的な塩基はアデニンとなる。
チミンとウラシルは共にピリミジン環を持つ非常に似た塩基である。
シトシンが化学分解されるとウラシルが生成されてしまうため、
DNAではウラシルの代わりにチミンが用いられるようになった。
これによりシトシンの分解により誤って生成してしまったウラシルを検出し、
修復することが可能になる利点が生じた。
ノンコーディングRNAは、タンパク質に翻訳されるmRNAに相対して付けられた、
「それ以外の」RNAの総称に過ぎず、
20ヌクレオチド程度の低分子量のものから
100 kbにも至るような様々なノンコーディングRNAが報告されている。
その分子量の違いから容易に推測されるように、
機能分子としてのノンコーディングRNAに共通点は見られず、従ってその生理機能も多様。
ノンコーディングRNAはしばしば機能性RNA(functional RNA)と言い表される、
一部のアンチセンスRNAでみられるように、
転写産物であるRNA分子それ自体には生物学的な機能がなく、
その遺伝子座で転写が起こることが重要である場合や、
そもそもノンコーディングRNA遺伝子そのものが生体にとって必要でない場合もみられるため、
厳密にはすべてのノンコーディングRNAが機能性RNAであるわけではない。
最も有名で量も多いノンコーディングRNAは、
翻訳過程で機能する転移RNA(tRNA)とリボソームRNA(rRNA)で、
それ以外にも、1980年代初期の低分子量核内RNAの発見や、
1990年代後期のマイクロRNAの発見など、
基本的な代謝から個体発生や細胞分化とう
様々な生命現象に関与するノンコーディングRNAが数多く見出されており、
ノンコーディングRNAは以前考えられたよりもはるかに重要な役割を有すると考えられる。
ヒトゲノム解読とトランスクプトーム解析により、
ヒトゲノムのわずか2%しかタンパク質をコードしていないことが判明。
ncRNAはこれまで転写、
RNAプロセッシング、RNA分解、翻訳など
遺伝子発現の様々な段階に影響を与えることが知られている。
ペンシルバニア大学のTracy L. Baleらは、
精子中のマイクロRNAの発現量が子に伝わり、父の獲得形質が子に受け継がれることを発表。
オスのマウスに過度なストレスを与え、そのマウスをメスのマウスと交配。
生まれたマウスに過度なストレスを与えたところ、ストレスに対する耐性が父マウスよりも高いと出た。
その原因としてマイクロRNAを挙げ 父マウスの精子中のマイクロRNAの発現量が増加していること、
このマイクロRNAが受精卵内のmRNAを破壊していること より、
父が獲得した形質がマイクロRNAを通し子に伝わることを示唆。
DNAとRNAの物理化学的性質;
DNAとRNAはともに紫外線である波長260nm付近に吸収極大を持ち、230nm付近に吸収極小を持つ。
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これはDNAとRNAがプリンまたはピリミジンを塩基として有するため。
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