2022年12月09日
Alchemy of actor epigenetics 13
Alchemy of actor epigenetics 13
親世代が獲得したストレス耐性能力は、エピジェネティック情報の組織間伝達を介し次世代に継承される
モデル生物(線虫)を用い、個体のストレス耐性制御における、組織・臓器の連携についての研究結果、
腸組織でのエピジェネティック変化が生殖腺におけるエピジェネティック変化を誘導、
この組織間コミュニケーションにより、個体のストレス耐性が上昇す。
さらに、この腸-生殖腺の組織間コミュニケーションを介し、ストレス耐性の上昇が子世代へ継承される。
生物は、ストレス応答(生体防御機構)を活性化させることで、外界からのさまざまなストレスに適応。
エピジェネティクスの制御機構が個体のストレス応答において重要な役割を担うことが解明されている。
エピジェネティクスは、DNAやヒストンへの後天的な化学修飾を通し、
塩基配列の変化を伴わずに遺伝子発現が制御される仕組み。
個体は環境刺激に対してエピジェネティック修飾を変化させ、遺伝子発現を調節し、恒常性を維持す。
ストレス応答とエピジェネティクス制御についての、二つの現象
1,ある臓器で生じたストレス応答が、個体全身の統合的なストレス応答を誘導す。
2,環境刺激によって生じたエピジェネティック修飾が世代を超えて伝わる
実験対象モデル生物「線虫」は、
酸化ストレスなどのストレス応答に関わるエピジェネティック修飾として、
ヒストンのメチル化が知られている。
ヒストンメチル化を触媒するエピジェネティック修飾因子の中で、
酸化ストレス耐性に関わる ヒストンH3リジン4トリメチル化(H3K4me3)修飾因子の
ASH-2タンパク質をコードする ash-2遺伝子 を全身でノックダウンすると、
個体のストレス耐性が大きく上昇。
これは、ヒストンのメチル化が減少すると、ストレス耐性が上昇 することを示す。事実、
ヒストンの脱メチル化を触媒する酵素の RBR-2タンパク質
をコードするrbr-2遺伝子 をノックダウンしてヒストンメチル化の減少を抑制すると、
ash-2遺伝子のノックダウンによるストレス耐性上昇の効果は見られなくなる。
組織ごとにash-2遺伝子をノックダウンする実験を行い
ash-2遺伝子の欠損によるストレス応答に関わる組織を特定。
腸組織 生殖腺 のどちらかでash-2遺伝子をノックダウンすると、個体のストレス耐性が上昇、
この効果にはそれぞれの組織でのRBR-2タンパク質の機能(脱メチル化)が必要。
腸組織と生殖腺の関係性
腸組織で特異的にash-2遺伝子を欠損させた変異体を用い解析。その結果、
腸組織でash-2遺伝子を欠損したときのストレス耐性の上昇に、腸組織だけではなく
生殖腺のRBR-2タンパク質も必要。また、
腸組織で特異的にash-2遺伝子を欠損した線虫は、
生殖腺におけるASH-2タンパク質の機能(メチル化)が正常であるにもかかわらず、
生殖腺でのヒストンメチル化レベルが減少。
腸組織におけるヒストンメチル化の減少が、
生殖腺のヒストンメチル化の減少を誘導するエピジェネティック情報の伝達機構が存在し、
この組織間コミュニケーションによって個体のストレス耐性が上昇する。
親世代の腸組織でのash-2遺伝子の欠損により誘導される生殖腺のエピジェネティック変化が、
子世代のストレス耐性に影響を与える。
腸組織のash-2遺伝子を欠損した親から産まれた野生型の子世代の線虫は、
ASH-2タンパク質の機能(メチル化)は正常であるにもかかわらずストレス耐性が上昇、
そしてその効果は孫世代まで継承される。
腸-生殖腺の組織間コミュニケーションとストレス応答の世代間継承を担う分子メカニズム
発現が変化する遺伝子の影響:
ストレス耐性上昇には、腸組織において転写因子DAF-16が機能
腸組織から分泌されると予想し同定したタンパク質F08F1.3の発現が減少することが必要。
腸組織のエピジェネティック変化が生殖腺のエピジェネティック変化を誘導することで、
酸化ストレスに耐性を持つ生存優位性が次世代へと継承される。
消化器官は、外界から摂取したさまざま物質が集積する場所、
環境変化に晒される腸組織から生殖腺へと情報が伝達され、
親と子の生存力を向上させる、生物の生存戦略の一部として機能す。
環境ストレスにより獲得した形質が遺伝する事がさまざまな生物種で報告されている、
ストレス応答、酸化ストレス:
熱ショック、活性酸素、高浸透圧、紫外線、放射線など、環境からのストレスに対して生体が示す反応。
酸化ストレスは、活性酸素によって引き起こされ、
脂質やタンパク質が酸化されることによる分子機能の低下、DNAの損傷による遺伝子変異などを招く。
ノックダウン:
mRNAの分解や翻訳抑制などの操作により、遺伝子機能の発現を大幅に低下させること
転写因子:
遺伝子の発現を調節するタンパク質。
DNA上に存在する遺伝子のシス転写調節領域に結合し、
DNAを鋳型としてRNAが産生(転写)される時期や量を調節す。
と たのしい演劇の日々
親世代が獲得したストレス耐性能力は、エピジェネティック情報の組織間伝達を介し次世代に継承される
モデル生物(線虫)を用い、個体のストレス耐性制御における、組織・臓器の連携についての研究結果、
腸組織でのエピジェネティック変化が生殖腺におけるエピジェネティック変化を誘導、
この組織間コミュニケーションにより、個体のストレス耐性が上昇す。
さらに、この腸-生殖腺の組織間コミュニケーションを介し、ストレス耐性の上昇が子世代へ継承される。
生物は、ストレス応答(生体防御機構)を活性化させることで、外界からのさまざまなストレスに適応。
エピジェネティクスの制御機構が個体のストレス応答において重要な役割を担うことが解明されている。
エピジェネティクスは、DNAやヒストンへの後天的な化学修飾を通し、
塩基配列の変化を伴わずに遺伝子発現が制御される仕組み。
個体は環境刺激に対してエピジェネティック修飾を変化させ、遺伝子発現を調節し、恒常性を維持す。
ストレス応答とエピジェネティクス制御についての、二つの現象
1,ある臓器で生じたストレス応答が、個体全身の統合的なストレス応答を誘導す。
2,環境刺激によって生じたエピジェネティック修飾が世代を超えて伝わる
実験対象モデル生物「線虫」は、
酸化ストレスなどのストレス応答に関わるエピジェネティック修飾として、
ヒストンのメチル化が知られている。
ヒストンメチル化を触媒するエピジェネティック修飾因子の中で、
酸化ストレス耐性に関わる ヒストンH3リジン4トリメチル化(H3K4me3)修飾因子の
ASH-2タンパク質をコードする ash-2遺伝子 を全身でノックダウンすると、
個体のストレス耐性が大きく上昇。
これは、ヒストンのメチル化が減少すると、ストレス耐性が上昇 することを示す。事実、
ヒストンの脱メチル化を触媒する酵素の RBR-2タンパク質
をコードするrbr-2遺伝子 をノックダウンしてヒストンメチル化の減少を抑制すると、
ash-2遺伝子のノックダウンによるストレス耐性上昇の効果は見られなくなる。
組織ごとにash-2遺伝子をノックダウンする実験を行い
ash-2遺伝子の欠損によるストレス応答に関わる組織を特定。
腸組織 生殖腺 のどちらかでash-2遺伝子をノックダウンすると、個体のストレス耐性が上昇、
この効果にはそれぞれの組織でのRBR-2タンパク質の機能(脱メチル化)が必要。
腸組織と生殖腺の関係性
腸組織で特異的にash-2遺伝子を欠損させた変異体を用い解析。その結果、
腸組織でash-2遺伝子を欠損したときのストレス耐性の上昇に、腸組織だけではなく
生殖腺のRBR-2タンパク質も必要。また、
腸組織で特異的にash-2遺伝子を欠損した線虫は、
生殖腺におけるASH-2タンパク質の機能(メチル化)が正常であるにもかかわらず、
生殖腺でのヒストンメチル化レベルが減少。
腸組織におけるヒストンメチル化の減少が、
生殖腺のヒストンメチル化の減少を誘導するエピジェネティック情報の伝達機構が存在し、
この組織間コミュニケーションによって個体のストレス耐性が上昇する。
親世代の腸組織でのash-2遺伝子の欠損により誘導される生殖腺のエピジェネティック変化が、
子世代のストレス耐性に影響を与える。
腸組織のash-2遺伝子を欠損した親から産まれた野生型の子世代の線虫は、
ASH-2タンパク質の機能(メチル化)は正常であるにもかかわらずストレス耐性が上昇、
そしてその効果は孫世代まで継承される。
腸-生殖腺の組織間コミュニケーションとストレス応答の世代間継承を担う分子メカニズム
発現が変化する遺伝子の影響:
ストレス耐性上昇には、腸組織において転写因子DAF-16が機能
腸組織から分泌されると予想し同定したタンパク質F08F1.3の発現が減少することが必要。
腸組織のエピジェネティック変化が生殖腺のエピジェネティック変化を誘導することで、
酸化ストレスに耐性を持つ生存優位性が次世代へと継承される。
消化器官は、外界から摂取したさまざま物質が集積する場所、
環境変化に晒される腸組織から生殖腺へと情報が伝達され、
親と子の生存力を向上させる、生物の生存戦略の一部として機能す。
環境ストレスにより獲得した形質が遺伝する事がさまざまな生物種で報告されている、
ストレス応答、酸化ストレス:
熱ショック、活性酸素、高浸透圧、紫外線、放射線など、環境からのストレスに対して生体が示す反応。
酸化ストレスは、活性酸素によって引き起こされ、
脂質やタンパク質が酸化されることによる分子機能の低下、DNAの損傷による遺伝子変異などを招く。
ノックダウン:
mRNAの分解や翻訳抑制などの操作により、遺伝子機能の発現を大幅に低下させること
転写因子:
遺伝子の発現を調節するタンパク質。
DNA上に存在する遺伝子のシス転写調節領域に結合し、
DNAを鋳型としてRNAが産生(転写)される時期や量を調節す。
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