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2017年05月09日

黄金の夜明け団と演劇 13

黄金の夜明け団と演劇13

黄金の夜明け団と演劇の関係についての論考の意訳/
研究テーマに絞り を試みております

今回より第4章を観て参りましょう


Chapter 4-1
演劇的秘儀祭典は黄金の夜明け団の
メイザースMacGregor Mathers(1854 – 1918)
と妻モイナMoina Mathers(1865-1928) そして 
クロウリーAleister Crowley(1875-1947)により
公衆に向け興行されるようになった 1899年パリに始まる

『イシス祭典』の公演時 
その度を過ぎた五感への刺激により観客が気を失った 
という逸話に 
アントナン.アルトー Antonin Artaud (仏1896 – 1948
詩人 随筆家 俳優 舞台演出家 
西欧アバンギャルド運動の最中にあって
『残酷演劇』Theatre of Cruelty’ は20世紀演劇に
多大な影響を与えた 
バーチャルリアリティー命名者)との共鳴を覚える

アルトー オカルトの偉大な主唱者は 
タロットカードを学び霊存在の力を信じ 
創造と象徴主義の可能性をみていた

黄金の夜明け団の演劇活動は 
象徴主義 
超現実主義 
ダダイズム 
未来派 
表現主義 そして不条理へと脈づく
アバンギャルド(前衛)芸術運動の流れのなかにあった
これらの芸術運動は西欧に浸透すてゆく 科学的世界観に対し 
理論と実践により反旗を振りかざすものであった

アバンギャルド芸術運動 最初に火をつけたのは
象徴主義芸術家たちである 
黄金の夜明け団秘儀祭典は象徴主義演劇と共にあった

アルフレッド.ジャリAlfred Jarry (1873-1907)
1888年の戯曲『ユビュ王Uber Roi’』1896年パリ初演 
アバンギャルド(前衛)運動の草分けと捉える
その初日を観たイェーツW.B.Yeats(1865-1939)は
『我々の後に野蛮な神』と吐き 
アイルランド文化復興を模索する

アバンギャルド(前衛)運動含まれる演劇について観るならば
アバンギャルド(前衛)運動は 自然主義演劇とその応用への反抗である
そしてアバンギャルド(前衛)演劇と黄金の夜明け団は並行して存在し 
時に交りながら理解を得 影響しあった


次回へ続きます

と たのしい演劇の日々

2017年05月08日

黄金の夜明け団と演劇 12

黄金の夜明け団と演劇12

黄金の夜明け団と演劇の関係についての論考の意訳/
研究テーマに絞り を試みております

今回は第3章の最終回です 次回は第4章へと入ります


Chapter 3-5
英国中上流階級のオカルトブームを巻き起こしたのは 
アルフレッド.パーシー.シネットAlfred Percy  Sinnett
(英1840– 1921 作家 神秘家 インド駐在中1880〜 
ブラヴァツキー婦人  Helena Blavatsky(1831 – 8 May 1891)  
ヘンリー.スティール.オルコット Henry Steel Olcott(1832 – 1907)
と親交を深め『The Occult World』『Esoteric Buddhism』出版 
後神智学協会ロンドン支部長)
そして 1888年黄金の夜明け団は英国に発足する 

会員の多くは神智学協会に属し 
更に英国演劇界関係者が会員に名を連ねたことである
この事実は 黄金の夜明け団の実践と儀式魔術の探求は 
英国演劇界の人々を魅了したと言えるのではないか
これらの会員たちは 
高度な演劇理論と様式を黄金の夜明け団秘儀祭典にもたらした 
また象徴主義運動へのこだわりは 結社へのパスポートであり 
野心溢れる芸術家たちは結社に集結した

黄金の夜明け団の秘儀祭典は 象徴主義運動の影響下にある 
或いは付属するとも云える 事に モーリス.メーテルリンク
Maurice Maeterlinck (1862-1949 劇作家 神秘家 
エリファス.レヴィ Eliphas Levi(仏1810 – 1875儀式魔術師) 
薔薇十字団 の研究家)
の存在なしに語れない

人間の意識に深くこだわるのは 
思索家  歴史家 作家 作詞家たちの特権であり義務だ 
しかし 当時の演劇人のものではなかった
いかなる誘惑があるにせよ 
演劇人はあえて不活発なる意識にはのめり込まない 
単なる哲学者あるいは傍観者でいる 
或る者はそれに驚異を覚えるかもしれないが 
当時 演劇は人間の行動を表現するものであったから
観衆が劇場に求めたものは 
次に何が起こるのか 起承転結する物語 それに尽きた 

メーテルリンクの作劇を 
メイザースSamuel Liddell MacGregor Mathers (1854 – 1918)
が祭典に求めたものと比較するなら そこには 
観客が自ずと知覚変化を体験する テーマが見えてくる  

イエーツが黄金の夜明け団は入会したとき 
彼自身が体験したかったことであり 
そしてそれを彼は戯曲で試みたのだ

1890年まで 彼はフランス象徴主義を学び 詩作に励んでいた
アーサー.ウィリアム.シモンズ
Arthur William Symons (英1865 – 1945詩人 文芸批評家 雑誌編集者)は
イエーツにフランス詩人を紹介する
オカルティストとジョリス-カール・ユイスマンス
Joris-Karl Huysmans(仏1848- 1907代表的なデカダン派作家)を除き
イエーツの関心は専らメーテルリンクMaeterlinckへと注がれた
オカルト考察はイエーツを難解な
Auguste Villiers de l'Isle-Adam (1838 – 1889) 『Axël 』へ導きもする

Frantisek Deakの『Symbolist Theatre(1993)』によると 
象徴主義者は形而上学と神秘主義に興味があった と云う

ところが 象徴主義演劇人はより深く劇場の意味を模索し 
そして観客を超越する演劇を創造したのだ

オカルトは 象徴主義者の創造性と容易に結びつく 
何故なら演劇同様 その多様性による

魔法 霊媒 タロットカード 星占い 超常現象一般は隠秘の見かけの姿 
人間に備わる未知の力の発見 その重要性を問いかけている

西欧が物質主義へと移行する時期に 
その反動としてオカルトは人々を魅了し
古代エジプト アーサー王伝説への回帰は 
隠秘結社を未来へ導く鍵であると信じられたのだ




次回へと続きます

と たのしい演劇の日々

2017年05月02日

フロレンス.ファーFlorence Ferr(7 July 1860 – 29 April 1917) 没後100年忌祭 00

Florence Farr 100 00.JPG





フロレンス.ファーFlorence Ferr
(7 July 1860 – 29 April 1917) 没後100年忌祭00

  フロレンス.ファー女性の一世紀 芸術人生とその叡智 
A Woman's Century; The Art, Life & Wisdom of Florence Farr

人智学協会ロンドン支部The Theosophical Society に於いて
提携 Pater Cage Theatre
オカルティストご用達 Treadwell's Bookshop 
   https://www.treadwells-london.com/ 
乳がん治療基金




100年前の4月29日 乳がんで静かに世を去りました
卓越したオカルティストであったフローレンスの御霊は 
彼女に思いを寄せ 本日慰霊祭に参列した 
オカルティスト 演劇人 女性人権運動家等
と共にありました 


式次
4人の研究者たちによる講演
フローレンスの朗誦を再現 
  イエーツWilliam Butler Yeats (1865 –1939) の詩 サルトリー演奏

フローレンスとオリビアOlivia Shakespear (1863 – 1938) 合作劇 上演
「The Beloved of Hathor」
「The Shrine of the Golden Hawk」


と たのしい演劇の日々





2017年04月25日

黄金の夜明け団と演劇 11

黄金の夜明け団と演劇11

黄金の夜明け団と演劇の関係についての論考の意訳/研究テーマに絞り を試みております

今回も第3章を観て参りましょう

Chapter 3-4

オカルトとパフォーマンスの融合は新たな概念ではない
祭典演劇は20世紀の希望であったと云えるだろう 
それは文化人類学の研究より発展 
多文化に今もみられる超自然現象を扱う 
例えばシャーマンの現存である      
黄金の夜明け団の成したことは 
オカルトと魔法の実践を 観客(大方オカルティストであるが)
に向けパフォーマンスで実証したことだ

論者はパフォーマンスで実証してみせた
他の隠秘結社の存在を見出していない

当時一世を風靡した神智学協会は 霊媒会を催したが 
それは演劇には含まれない
黄金の夜明け団の首領はウエスコットWestcott 
メイザースSamuel Liddell MacGregor Mathers (1854 – 1918)である 
彼らはキャラクター/祭儀の御霊 として
パフォーマンスでは その役を演じるのだ
ところで観客は 
キャラクターは演者に降臨しているとみなす

黄金の夜明け団秘儀祭典の実践面に眼をむけるならば 
詩の朗誦に重きが置かれた事である
クロウリーAleister Crowley (1875-1947)は
秘儀と祭典魔術の公式宣誓に
アルジャーノン・チャールズ・スウィンバーン
Algernon Charles Swinburne (英1837 –1909作家) の
催眠状態の韻律詩の用法を取り入れている
「真の神々を降臨致すに芸術あり」 
とクロウリーは彼の魔法書に記しているが
それは何も新しいことではない
イエーツW.B Yeats (1865 – 1939)  はすでに 
黄金の夜明け団秘儀入門宣誓を詩で表し 
それをフローレンス.ファーFlorence Farr (1860 – 1917)  が
神々しく 神降臨の如し 朗誦している

グスタフ・マイリンクGustav Meyrink
(1868-1932オーストリア作家銀行家 
黄金の夜明け団 神智学協会員) は
オカルトと演劇は並行してある ことを知った体験について
彼の書"The Pilot" に残している
1892年 彼は銃を自身の頭部に当て
引き金を引こうとしていたその瞬間 
何かひっかく音が聞こえ 
誰かの手がドアの隙間から一冊の冊子を差し込んだのを見る 
その本『死後の世界』に 彼は霊感を受け 
以後オカルト研究にのめりこむ 
彼はこれをパフォーマンス/自殺企図 と 
オカルト/本『死後の世界』を
絡みあう存在であると表明するための隠喩であると理解した

黄金の夜明け団にはその後も 演劇関係者が入団している
パメラ・コールマン・スミス Pamela Coleman Smith (1878-1951
アーサー・エドワード・ウェイトArthur Edward Waite (1857 – 1942)
ウェイト版タロット の挿絵を担当で有名 
彼女はウエストエンド ライシアム劇場The Lyceum Theatre
ライオンキングは18年ロングラン現在も公演中)
等の舞台芸術を担当していた 

次回へ続きます

と たのしい演劇の日々

2017年04月23日

黄金の夜明け団と演劇 10

黄金の夜明け団と演劇10

黄金の夜明け団と演劇の関係についての論考の意訳
/研究テーマに絞り を試みております

今回も第3章クロウリーAleister Crowley (1875-1947) を観て参りましょう


Chapter 3-3


1900年黄金の夜明け団内部抗争により
メイザースSamuel Liddell MacGregor Mathers (1854 – 1918) と
クロウリーAleister Crowley (1875-1947)は団を追われる

1904年のカイロへの新婚旅行中に
最初の妻ローズRose Edith Kelly (1874 – 1932) との霊体験より授かった
『法の書The Book of the Law 』を教義とし 
1907年George Cecil Jones, Jr. (1873 –1960) と
『銀の星the A∴A∴』魔術結社創設

『春秋分点The Equinox』発刊による
メイザースとの間で著作権に対する抗争に勝訴 
それがマスコミの眼にとまり大衆に知れ 
『銀の星』のプロモーションの好機とばかり 
魔法義のパフォーマンスthe Rites of Artemis を上演する
続いて
エレウシス祭典 the Rites of Eleusisを
ロンドンのCaxton Hall (アバンギャルド文化人の集いの場)で
レイラ.ワデル Leila Waddell 別名 Laylah,
(豪1880 – 1932 クロウリーのババロンScarlet Woman)
バイオリニストとして迎え 
ビクター.ベンジャミン.ニューバーグ
Victor Benjamin Neuburg
 (英1883 – 1940 クロウリー性魔術sex magickの相手)
そしてクロウリーをメインキャストで上演 

7つのエレウシス祭典 the Rites of Eleusisとは
古代7つの惑星 土星 木星 火星 太陽 金星 水星 月を云い
各々の惑星は意識の体現である 
1つの惑星を1シーンと据える
観客は7つの惑星を移動しながら 
セフィロトの樹との照応と結合の体験へと誘導される

観客は 惑星の意識との深い関連付けを要求され その為 
各惑星を象徴する色の衣装を纏って観劇に臨まねばならない
土星は黒 濃紺 
木星は紫 
火星は茶褐色 
太陽は橙か白 
金星は緑か空色 
水星は玉虫色の絹 
月は金 白 淡い青
観客は厳粛な宗教的儀式に臨むのであるから 始終沈黙を保つよう 
この儀式により観客は『宗教的歓喜』を体験するであろう 
それは教義書を読むだけでは達せない 
自己の最たる能力を啓発する為である とクロウリーは云う

クロウリーは体験としての演劇 象徴主義演劇を観客に提供する

しかし大方の劇評は それは冒涜と官能に溢れた頽廃の極みだ 
驚異と共に眉をひそめたのである


次回へ続きます

と たのしい演劇の日々

2017年04月21日

黄金の夜明け団と演劇 09

黄金の夜明け団と演劇09

黄金の夜明け団と演劇の関係についての論考の意訳/
研究テーマに絞り を試みております

今回も第3章を観て参りましょう

Chapter 3-2
メイザースとモイナのパフォーマンス 『the Right of Isis』は
19世紀後半に現れた象徴主義演劇の要素と主題を多く実証してみせ 
アバンギャルド運動は始まった
象徴主義の顕著な効果は 
抽象概念と停滞への非劇的進行 観客への離反/回避 
はいくつかの戯曲に表現されている 
モーリス・ メーテルリンクMaurice Maeterlinck(ベルギー1862 – 1949)の
『ペレアスとメリザンド 』Pelleas and Melisanda (1882)はその代表作 
初演は舞台を薄いガーゼで囲い上演された

しかしある確かな一面で 続いて起こるであろう生産的発展は予期される

主題によれば 抽象主義演劇は当時の宗教的復興運動と関連していた 
エドモンド.ハレンコートEdmond Harancourt
(仏1856-1941の「キリスト受難劇」1882 1890 1891年 イースター週間) 
ジョセフィン.パラダンJoséphin Péladan (仏1858  – 1918 
オカルティスト 薔薇十字結社Mystic Order of the Rose + Cross創立 
象徴主義文化人の サロンSalon de la Rose + Croix 1890年を開設 ) 
バビロニアの秘儀とオカルトを主題とした演劇 等である

パリで起こっていたアバンギャルド芸術運動の最中にあって 
メイザースSamuel Liddell MacGregor Mathers (1854 – 1918) と
妻モイナMoina Mathers  (1865 – 1928) のパフォーマンスも
その流れに組み込まれたであろう

モイナの手による舞台背景は
当時パリの批評家たちからも高い評価を得ている 
またある評論によると the ‘Rites of Isis’ 上演中 
そのあまりに強烈なパフォーマンスのため 
観客に気絶者が出たと記録されている

メイザースとモイナにとってこれは一般大衆へ向け 
とは云っても観客は大方パリ在のオカルティストたちであった 
黄金の夜明け団の秘儀祭典を公開上演したものであった しかし 
その稽古に ロンドン ウエストエンド俳優
フローレンス.ファーFlorence Farr (1860 – 1917)が当たっている  

1899年のパフォーマンスの時期と同じくして
アレスター.クローリーAleister Crowley (1875-1947) が
黄金の夜明け団に入会している
彼は黄金の夜明け団内で 重要な役割を担う 更に 
彼はオカルティストたちの演劇活動の発展にも影響を与える




次回へ続きます

と たのしい演劇の日々

2017年04月20日

黄金の夜明け団と演劇 08

黄金の夜明け団と演劇08

黄金の夜明け団と演劇の関係についての論考の意訳/
研究テーマに焦点を当てを試みております

今回より第3章を観て参りましょう

Chapter 3-1

黄金の夜明けに団の秘儀祭儀は
団内のみにて執り行われた
19世紀中頃 オカルト表演の一般への公開は
心霊術者たちにより行われた

三人の黄金の夜明け団創設者
ウィスコットDr.William Wynn Westcott ( 1848 –1925)
Dr. William Robert Woodman (1828–1891)  
メイザースSamuel Liddell MacGregor Mathers (1854 – 1918), ,
は魔法術の神秘結社設立を企み実施したのだ

ところが1892年 
メイザースと妻モイナMoina Mathers  (1865 – 1928)はパリに移住 
その地に黄金の夜明け団本部を設立 
が資金繰りの為に 1899年パリのTheatre Bodiniere(1890-1902)
((Charles Bodinier (6 January 1844 - 1911)建立 
学生向けNGO劇場として始めたがパリ文化人の集いの場となる)) において
 イシス祭典the ‘Rites of Isis’ を上演する事となる

この時から 
黄金の夜明け団による儀式パフォーマンスの実践と洗練が始まる

観客は概ねオカルティスト達であった
観衆は俳優たちの発声所作 台詞/台本 舞台設定/音楽/照明/衣装 演出 
その常軌を逸したパフォーマンスを目撃し 
そこには何かある しかし どう反応したものか 言葉に出来なかったとある

フォーマンスは芸術の極みにあった と表現された

芸術の極み という表現を 秘儀祭典に使うことに違和感を覚えるが
聴衆の記録によれば パフォーマンスは略 
黄金の夜明け団で執り行われる秘儀入門式さながらであったと云う

パフォーマンスはパリで3夜行われ 
『これをもってりイシス運動の始まりとする』
とメイザースは記録している
その当時の劇評によれば 
モイナの優雅な立ち居振る舞い 
威厳に満ちたイシスの表演に観衆は魅入った とある 

次回へ続きます

と たのしい演劇の日々

2017年04月19日

黄金の夜明け団と演劇 07

黄金の夜明け団と演劇07

黄金の夜明け団と演劇の関係についての論考の 意訳
/自らの研究テーマを優先し を試みております

今回は第2章の結びを観て参りましょう



Chapter 2-4
3人目の 黄金の夜明け団秘儀祭典に影響を与えた演劇人
アニーAnnie Horniman (1860 –1937)  
彼女は形而上学の側面で 占星術 タロットカード 儀式魔術 
そして演劇に才能を示した

成功した紅茶商人の家に生まれ 
始めての観劇は家庭教師の付き添いで
シェークスピア劇ベニスの商人
 アニー14歳の時でる
美術収集家の父に連れ立ち 
一家で海外を多く旅する

ロンドンのThe Slade School of Fine Art に進学し
Moina Mathers  (1865 – 1928) は学友 
だがアニーの興味は造形芸術より演劇とオペラへ向かう 
事に ワグナーRichard Wagner(1813–1883) の祝祭劇
「ニーベルングの指輪」に心酔し 
イプセンHenrik Johan Ibsen (1828 – 1906) 劇に傾倒する

1980年モイナの紹介で黄金の夜明けに入団 
彼女もまた優れた霊的能力を開花させ 
イエーツW.B Yeats (1865-1939)とも親交を深め
彼の代筆者を勤めていた

1893年祖父の遺産相続 
メイザースとモイナのパトロン 
そしてイエーツ フローレンスを伴い演劇活動に人生と私財を注ぐ 
黄金夜明け団内部抗争により オカルト界より一時身を引くが  
1921年 the Quest Society
George Robert Stowe Mead (1863 –1933)人智学協会脱退後1909年に設立
 に入団する

1933年彼女は英国演劇振興の功績で受勲している

アニーの秘儀参入式はシンボリックでより複雑な手順を求めた
ワーグナーの祝祭劇さながらの 荘厳さと審美を追求した 
実はロンドンにあるパブの一室で会合は持たれていたにも関わらず である
祭儀魔術師で演劇人アニーは 
秘儀祭典に より視覚的 美的演劇要素の取り入れを決定づけた一人だ
Richard Wagner(1813–1883) は
アバンギャルド劇場運動への霊的存在である 
黄金夜明け団秘儀祭典には
1880年代フランス象徴主義演劇との共通点を見出す



次回へ続きます



と たのしい演劇の日々

2017年04月18日

黄金の夜明け団と演劇 06

黄金の夜明け団と演劇06

黄金の夜明け団と演劇の関係についての論考の意訳を試みております

前回に続き第2章を観て参りましょう

Chapter 2-3

1890年 3人の入団は 黄金の夜明け団の秘儀祭典に
演劇的創造力を加える理論と実践に於いて主要な働きをした

先ずイエーツW.B Yeats (1865-1939)は
神秘主義 心霊主義 神秘学に通じ 
1885年ジョージ.ラッセルGeorge Russell(1867-1935) の
ダブリンヘルメス結社 the Dublin Hermetic Order設立に加わり 
また同年には神秘学協会ダブリン支部が置かれ 
モヒニ・チャタージ Brahmin Mohini Chatterjeeによる講演を聞き入り
 1886年より彼による交霊会にも出席 
東洋オカルト ヘルメス主義 薔薇十字団に心酔 
神智学協会に深く関わる 
そんな中 メイザースSamuel Liddell Mathers (1854-1918)とも親交を持ち
1890年黄金の夜明け団に入会 

秩序が統一を保ち続け 団結を効率的にしたならば 
秩序は偉大なタリスマン/護符となる 
我々の内に創造され 世界は我々と共にあり
魔法術の叡智は目覚め 最大の力を発揮する

イエーツの黄金の夜明け入会は 彼の創造性をも開花した

1889年イェーツの永遠の創造の女神 
モード.ゴンMaud Gonne MacBride (1866-1953)に出会う
彼女は 彼に戯曲‘Countess Cathleen’ ‘Shadowy Waters’ を書かせる 

ロンドンウエストエンドの舞台に立つ若き俳優フローレンスファーに
イエーツと George Bernard Shawは一目惚れする 
そして彼女を黄金の夜明けに導いたのもイェーツである  
彼女は黄金の夜明団秘儀式典を
更に芸術性の高いパフォーマンスへと創りかえる
彼女の演劇演技の知識 事に彼女の朗誦の才能は 
秘儀祭典に欠かせない要素となる
 黄金の夜明けは魔法術の理論と実践を探索する結社だ
‘Order of the Round Table’ を主催する Nick Farrellは 
フロレンスファーの秘儀祭典 
その進行においての重要な役割について
 プロの俳優である彼女の劇的朗誦 高貴な声音が いかに 
入信者をして 全身に戦慄が走り恍惚感に満たされたか 
記録を語る 

イェーツに誘われて入会したのだったが
彼女は瞬く間にそのオカルト才能を開花させる   
そしてそれに加え 俳優としての高い資質と魅力は 彼女の出演により
 秘儀祭典 参列者をも虜にするのであった

イェーツは1890年男性詩人たちのクラブthe Rhymers' Club, を組織し
ボヘミアンな文化人の溜り場/酒場/ロンドンのパブ
Ye Olde Cheshire Cheese で会合も持っていた 当然 
象徴主義の流れを敏感に受け取り 彼の詩作に そして勿論 
黄金の夜明け団秘儀祭典の演出 
厳格な儀式性とシンボル群にもその影響を与える




次回へ続きます


と たのしい演劇の日々

2017年04月17日

黄金の夜明け団と演劇 05

黄金の夜明け団と演劇05

黄金の夜明け団と演劇の関係についての論考意訳の試みを続けております

本日も第2章を観て参りましょう

Chapter 2-2

モイナ.ベルクソン.メイザース
Moina Bergson Mathers (1865-1928)は
1887年 メイザースSamuel Liddell Mathers (1854-1918)と大英図書館で出会う

ユダヤ人を父 英人を母に持つ彼女は 
一家で1870年代初期アイルランドのダブリンよりパリへ移住  

兄ヘンリ.ルイ.ベルグソンHenri Bergson (1859-1941)はフランス哲学者 
1882年心霊現象研究協会Society of Psychical Research 会長も務め 
1924年ノーベル文学賞受ける

モイナは美術学校で学び 
アニ-.ホーニマンAnnie Horniman (1860-1937)は親しい学友 
モイナは黄金の夜明け団の初の女性会員にして 
その秘儀典礼実施において重要な役割を担う
エリックポールハウ Ellic Paul Howe
 (1910–1991、英作家 オカルティスト GD関連本の著者)
モイラはコラージュ技法をピカソより20年も先に作品に取り入れている
ヴィクトリア時代の女性アーチストたちは好んだ と書いている

 一方 彼女は魔法術の才能を見出し 
芸術家としてよりも オカルト研究に生涯を捧げる
1888 年メイザースと結婚 
その潜在的オカルトの才能故昇進も早く 秘儀祭司を務める
最上位の女性会員 
祭司である彼女は 彼女の芸術精神を 秘儀祭典の様式に注ぎ込む 
儀式は秘儀を受ける者を卓絶する劇的演出で為され 
舞台設定 道具 照明 衣装 も彼女が全て取り仕切った
  
男女平等な魔法結社は 
当時ロンドンのサロンに集う中上流階級のボヘミアンたちを魅了し
 当然の如く その好奇心は演劇興行へと向けられた 



次回へ続きます


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