今回は地下鉄の駅で気軽に江戸城の石垣に触れられる展示室のご紹介です。
<地下展示室から見る石垣>
■江戸城外堀跡地下展示室■
<虎ノ門駅>
地下鉄の出口はたくさんありますが、展示室は11番出口付近。エスカレーター手前の左側の壁に、こんな表示がしてありますのですぐに分かります。
<江戸城外堀跡 地下展示室>
短い階段を上った半地下のような位置に、個室状の展示室があります。あまり人がいないので「ここ入っていいのかな」などと思う方もいるのでは?いいんです。是非立ち寄って下さい。もちろん無料です。展示室奥の正面には石垣が見えています。
<石垣の説明>
説明パネルが充実しています。こちらは石垣の断面の説明です。
説明の冒頭だけご紹介します
『正面の石垣は虎ノ門から続く江戸城外堀の一部です。この石垣は寛永3年(1636)に築かれたものですが部分的に不揃いな積み方があることから数度改修されたと考えられています。』なるほどです。
<室内から見た石垣>
更に説明文によれば、ここからの眺めは水堀の水面の高さからの眺めのようです。展示室を半地下に設けたのはこれが狙いだったのでしょうか。面白い設定です。
<矢穴と刻印の説明>
説明文をまた抜粋すると『石垣表面には石を割った矢穴や大名を示す刻印が見られます。』とのこと。矢穴は石を割る時に彫る穴のこと。くさびを打ち込んで石を割って加工します。刻印の目的は、作業の過程で石の所有者を明らかにしておくためという説が有力ですが、あまりはっきりとはしていません。ただ結果として、刻印が工事を請け負った大名によって違うという楽しみ方ができますね。
<刻印の実物>
あれですね。矢筈(やはず)の刻印
<他パネルいろいろ>
ちょっと言い訳ですが、光の関係で携帯カメラだと上手く撮れませんでした。雰囲気だけでも
<江戸城外堀普請と虎ノ門>
現在の虎の門交差点付近がいわゆる虎ノ門見附(虎御門)だったのですね。
<普請分担>
展示室付近の石垣の工事は毛利高直(豊後国佐伯藩)ということですね。先ほどの『矢筈』の刻印も佐伯藩毛利家のものとされています。ただ、工事の分担の厳密な境がわからないので、その下の池田長常(備中松山藩)による工事が混じっていても私にはわかりません。
<江戸城外堀りと現代の東京>
内側の堀が目立ちますがここは外堀です。外側の水色の線です。
<明治の写真>
虎ノ門見附は「江戸城三十六見附」の一つ。赤坂見附や四谷見附などと同様、江戸城の重要な出入り口です。それらは見張り番が配置された門であることから、見附と呼ばれていました。右側が虎ノ門見附の写真です。構造は高麗門と 渡櫓門からなるいわゆる桝形だったようです。明治7年取り壊されました。そして堀も埋められました。
他に石垣の技術に関する説明もあり、なるほどと感心させられました。具体的には『高石垣を安定させるため上へ行くほど急勾配になるよう反りを入れた』といったことなど。そして心に染みたのは『こうした技術は経験則から培われた』ということですかね。
<石垣(外から撮影)>
先ほどの石垣は、地下鉄の出口から地上に出たところからも見学できます。下のスペースの左手が展示室の設けられている場所ですね。そしてあの付近が水面ということです。納得しました。
ということで
地下鉄の駅で味わえる『江戸城外堀のなごり』でした。現地のパネルによる説明はとても丁寧です。私がご紹介したのはほんの一部。虎ノ門駅をご利用の際は、是非立ち寄ってご自身の目で確認してみて下さい。11番出口です。
<展示室入口付近の石>
■訪問:虎ノ門駅(銀座線 )
『江戸城外堀跡地下展示室』
[東京都千代田区霞が関]3丁目
お城巡りランキング
2019年01月19日
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