<暗渠と車止め>
杉並区で撮影した独特の車止め。「車は進入禁止」というメッセージですね。しかし見る人によっては「ここに暗渠がありますよ」というサインとなります。
■ 暗渠イベント ■
先日(11月18日)、杉並区西荻窪で開催されたイベント「西荻暗渠サロン」に参加させて頂きました。ちょっとだけ、本当にちょっとだけ時間を頂き、暗渠と城跡の楽しみ方についてお話させてもらいました。
<会場>
場所は西荻窪の商店街「西荻マイロード」内。駅からすぐ近くです。
<会場外より撮影>
中は熱気ムンムンでした。
■ 暗渠と城跡 ■そもそも
当ブログでは、過去何度かにわたり「暗渠と城跡」というテーマで記事を書かせてもらっています。訪ねる城はその都度異なりますが、結局いつも同じことを言ってます。
暗渠(あんきょ)とは
⇒地下に埋設された川や水路
暗渠と城跡
⇒暗渠に気付くアンテナがあると、街の中の城跡巡りが一層楽しくなる。天然の堀だった川のなごりを感じることは、城のなごりを感じるのと同じ。
ある意味ワンパターン。ただ、本当に「ちょっとした気付き」だけで、見えている世界が違うように映ります。
<山城さんぽ>
幸運にも1ページ頂けた雑誌「山城さんぽ」。この時も文字数制限があるなか、無理やりこのことに言及させて頂きました(そこはボツかと思いきや、そのまま掲載してくれました。編集者に感謝してます)。
こんなブログをのぞいてくれる皆さん、雑誌を手にしてくださった皆さん。つまり城跡にその「なごり」を感じられる皆さんにこそ、暗渠を知って欲しい・・・。そんな思いです。
■ 暗渠マニアが集うイベント ■
城跡好きにこそ「暗渠」を知って欲しい。今回のイベント参戦はその逆です。暗渠を知っている人たちに「城跡」を知って欲しい。お誘いを受けた時点では、正直不安もありました。人前で話すなんて機会、普段はありませんので。ただまぁ特に失うものもない。覚悟して出陣しました。
参加してビックリしたのは、暗渠は常識であって説明が不要なこと。イベントの話し手さんは当然として、聞き手の皆様もです。自分も「暗渠初級」くらいのレベルには達しているだろうと思っていましたが、まだまだ。イベント会場内は一般の人から見たらきっと異次元空間。
この人たちはなんだ〜
という感じでしょう。
好きですけどね。そういうの。
■ 西荻暗渠サロン ■
イベントの主催者は、既に暗渠の本を複数出版しているお二人。形としては期間限定の「西荻案内所」の「日替り案内人」という立場のようです。
集いしは暗渠好き、暗渠マニア。つまり暗渠界の「つわものども」です。ここに中途半端な暗渠好きが、低いレベルながらせめて矛盾が無いように理論武装し、「城跡マニア」の旗を掲げて突入しました。
【勝算】
暗渠界の皆さんは地形に敏感。高低差にも敏感。川には超敏感。
【敗色】
緊張して話せない・・・
皆さんが地形に敏感なことは追い風になります。そこに城の情報を添えるだけで、ご本人達の頭の中で化学反応が起きますから。問題の「緊張して話せない」という心配は、始まってすぐに払しょくされました。これはもう聞き手の皆さんの素晴らしさとしか言いようがありません。聞いているのではなく、参加している。そんな雰囲気でした。やや異分子として乗り込んだつもりが、気づけば味方ばかり。これでは緊張するはずがありませんよね。
■ 内 容 ■
さて、内容ですが
このブログで既に記事にしているものを、更にポイントだけに絞って説明させて頂きました。
まず「城」のイメージを狭い範囲に絞りこみ。どうしても天守閣とか石垣を連想しますよね。それはそれで魅力の世界ですが、テーマである「暗渠」の話へ繋げるのに時間がかかってしまいます。城のなかでも「中世の土の城」を紹介。まぁ城好きの中でも、ややマニアックな人たちに好まれるカテゴリですね。ただ暗渠好きの皆さんは既に地形の凸凹に敏感。知ってしまえば、逆に馴染みやすいような気がします。
『もともとの地形を活かす』
いろいろ言ったらきりがありませんので、築城についてはここをセールスポイントとさせて頂きました。もちろん、周辺の地形を含みます。もともとの地形を活かした上で具体的な縄張りを決め、地の利を得る。説明はそんな感じですかね。
<事例:世田谷城跡>
悩みましたが、世田谷城を題材にしました。「暗渠と城跡」の関係、これが一番図解しやすいので・・・。
※題材とした当ブログ記事↓
暗渠と城跡2(世田谷城)
<図解>
世田谷城址公園より、もう少し高い位置がかつての本丸。現在の姿は豪徳寺。そして低い位置がかつての川。現在の緑道です。川の姿はありませんが、暗渠として存在している。高低差に加えて、三方が天然堀である川となっていることを説明。城跡巡りの視点として、とにかく『地の利』を強調させてもらいました。地形の凸凹にも川にも詳しい皆さん、納得されていたようです。私の説明が上手いのではなく、みなさんが暗渠を通して「実感する」という経験を積まれているからですね。
<まとめ>
暗渠に気づくことは、城跡の一部に気づくことと同じ。言い換えると、暗渠を感じることは、「城のなごり」を感じるのと同じ。まぁこんな結論で締めさせて頂きました。
気が付けば制限時間を大幅にオーバー。主催者にご迷惑をお掛けしたはずですが、笑って許してくれました。関係者、そして聞き手として参加されていた皆様にただただ感謝しております。
■ つわものどもが夢の跡 ■
暗渠好きの方の城跡を見る目が、少しでも変わってくれたら嬉しいです。繰り返しになりますが、漠然と城跡を眺める人と比べると、暗渠好きの方は既に地形に敏感。そして暗渠で鍛えた「とんでもない想像力」をお持ちです。ちょっとした気づきだけで、城の「地の利」もぞんぶんに味わってもらえるような気がします。そして思いを馳せて欲しいですね・・・
どんなつもりだったのか・・・
城跡はそんな思惑がなごりとして残る場所なのです。
お城巡りランキング
■お勧め本■
静かなブームになりつつある『暗渠』に関する本のご紹介です。当ブログでは下記をお勧め致します。
はじめての暗渠散歩(ちくま文庫)
:本田創/山英男/吉村生/三土たつお
※広告掲載期限切れのため書名のみ
2017年11月21日
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/6994424
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック
トークは初めてとは思えないようなおしゃべりとマテリアル!すばらしかったです。
ほんとうに、こころから感謝です。
イベント後のツイートでも「城址と暗渠の話がおもしろかった」と投稿してるかたも多く、あの場で話をしてもらってすごくよかったなあ、と噛みしめています。
また、なんかあったらよろしくお願いいたしますw