新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2014年11月09日
各書名言集(小説pert8)
昨日に引き続き
各書名言集になります。
是非是非、好きになっちゃった!
みたいな本、見つけて下さいね
『ダイアモンドダスト』
―「いざというときに人工呼吸器を用いますか」
香坂は見おろす自分の目の位置が耐えられないのか、
腰をかがめてマイクの枕もとに顔をもっていった
「No.」
マイクは肩をすくめてみせようとして激しく咳こんだ。
「十分に闘いましたか」
香坂はマイクの咳がやむのを待って、洗練された微笑を浮かべた。
「Yes.Thank you.」―
何なんでしょう、この、切ないはずなのに
清々しい感じ。マイクさん、この短編集の中でも
かなり異端のキャラクターですが
このキャラクターの存在は大きいと思います
紹介記事はこちら
『楊貴妃伝』
―則天武后がその競争相手に対してやったように、
自分も亦、玄宗から取り上げた梅妃を酒樽の中に漬けるだろう。
その時のことを考えると、今まで知らなかった疼くような快感が玉環の体を走った―
「今まで知らなかった」んですよね……
寵愛を一挙に受けて、誇り高い女人へと
変貌した楊貴妃が、最初のいかにも
弱弱しい感じから雰囲気を変えていきます
この過程を見るのが、恐ろしいけれども
興味深くて、目が離せなくなってしまいます
紹介記事はこちら
『夜は短し歩けよ乙女』
―かくして、私はなるべく彼女の目にとまるよう心がけてきた。
夜の木屋町先斗町で、夏の下鴨神社の古本市で、さらには日々の行動範囲で---。
附属図書館で、大学生協で、自動販売機コーナーで、吉田神社で、
出町柳駅で、百万遍交差点で、銀閣寺で、哲学の道で、「偶然の」出会いは頻発した。
それは偶然と呼ぶべき回数をはるかに超え、
「これはもう運命の赤い糸でがんじがらめだよ、キミたち!」
と万人が納得してうけあいというべき回数に達していた。―
間違ってる、完全に間違ってるよ!
という読者の悲鳴が上がりそうですが
これに対して「まぁ、偶然ですね!」と
超ど天然の乙女ちゃん。頑張れ、先輩!
紹介記事はこちらa>
如何でしたか…?
いやはや、日本語って好きです
各書名言集になります。
是非是非、好きになっちゃった!
みたいな本、見つけて下さいね
『ダイアモンドダスト』
―「いざというときに人工呼吸器を用いますか」
香坂は見おろす自分の目の位置が耐えられないのか、
腰をかがめてマイクの枕もとに顔をもっていった
「No.」
マイクは肩をすくめてみせようとして激しく咳こんだ。
「十分に闘いましたか」
香坂はマイクの咳がやむのを待って、洗練された微笑を浮かべた。
「Yes.Thank you.」―
何なんでしょう、この、切ないはずなのに
清々しい感じ。マイクさん、この短編集の中でも
かなり異端のキャラクターですが
このキャラクターの存在は大きいと思います
紹介記事はこちら
『楊貴妃伝』
―則天武后がその競争相手に対してやったように、
自分も亦、玄宗から取り上げた梅妃を酒樽の中に漬けるだろう。
その時のことを考えると、今まで知らなかった疼くような快感が玉環の体を走った―
「今まで知らなかった」んですよね……
寵愛を一挙に受けて、誇り高い女人へと
変貌した楊貴妃が、最初のいかにも
弱弱しい感じから雰囲気を変えていきます
この過程を見るのが、恐ろしいけれども
興味深くて、目が離せなくなってしまいます
紹介記事はこちら
『夜は短し歩けよ乙女』
―かくして、私はなるべく彼女の目にとまるよう心がけてきた。
夜の木屋町先斗町で、夏の下鴨神社の古本市で、さらには日々の行動範囲で---。
附属図書館で、大学生協で、自動販売機コーナーで、吉田神社で、
出町柳駅で、百万遍交差点で、銀閣寺で、哲学の道で、「偶然の」出会いは頻発した。
それは偶然と呼ぶべき回数をはるかに超え、
「これはもう運命の赤い糸でがんじがらめだよ、キミたち!」
と万人が納得してうけあいというべき回数に達していた。―
間違ってる、完全に間違ってるよ!
という読者の悲鳴が上がりそうですが
これに対して「まぁ、偶然ですね!」と
超ど天然の乙女ちゃん。頑張れ、先輩!
紹介記事はこちらa>
如何でしたか…?
いやはや、日本語って好きです
【このカテゴリーの最新記事】
2014年11月08日
各書名言集(小説pert7)
ではでは、各書名言集
溜まっていますが
ちょびちょび、いきましょう
『中江藤樹』
―「与右衛門、こんな父親ですまない。おまえのために何もしてやれなかった」
そんなことはありません、という強い叫びが与右衛門の口から
ほとばしりかけた。しかし、与右衛門はその言葉を口にしなかった。
父親の懐に顔を埋めて泣き続けることだけが、
その時の与右衛門のすべてだった。
それだけで与右衛門は本当に幸福だったのである―
中江藤樹が、父母の元から、祖父母の元へ
引き取られる前日、彼は父親と一緒に寝るのですが
彼がやがて「孝」を大切にしていくのには
この経験と、一心に与右衛門を思う
父母あってこそ、だったのでしょう
紹介記事はこちら
『死神の精度』
―生まれてくる前のことを覚えてるのか?
生まれてくる前、怖かったか?痛かったか?
死ぬというのはそういうことだろ。
生まれる前の状態に戻るだけだ。
怖くないし、痛くもない。―
死神千葉さんの的を射ているような、
少し冷たい死生観。
クール、とはまた違った彼の
キャラクターは本当に魅力的です
紹介記事はこちら
『夕凪の街 桜の国』
―原爆を落とした人はわたしを見て
「やった! またひとり殺せた」とちゃんと思ってくれとる?―
この場面、本当に身が震えるようなところなんです。
幸せを掴めるかも!とやっとなった女性が病に倒れて
病床で、どんどん、意識が薄れていって、ぽつん、と
心の中で上のセリフを吐く……
原爆を落とした人が原爆を落とした時から
ずっとずっと時間の経った後に、彼女は死ぬ
無念さがひしひしと伝わってきます
紹介記事はこちら
少ないようにも思いますが
一度、切りますね
好きだな、と思うような
文章、ありましたか?
溜まっていますが
ちょびちょび、いきましょう
『中江藤樹』
―「与右衛門、こんな父親ですまない。おまえのために何もしてやれなかった」
そんなことはありません、という強い叫びが与右衛門の口から
ほとばしりかけた。しかし、与右衛門はその言葉を口にしなかった。
父親の懐に顔を埋めて泣き続けることだけが、
その時の与右衛門のすべてだった。
それだけで与右衛門は本当に幸福だったのである―
中江藤樹が、父母の元から、祖父母の元へ
引き取られる前日、彼は父親と一緒に寝るのですが
彼がやがて「孝」を大切にしていくのには
この経験と、一心に与右衛門を思う
父母あってこそ、だったのでしょう
紹介記事はこちら
『死神の精度』
―生まれてくる前のことを覚えてるのか?
生まれてくる前、怖かったか?痛かったか?
死ぬというのはそういうことだろ。
生まれる前の状態に戻るだけだ。
怖くないし、痛くもない。―
死神千葉さんの的を射ているような、
少し冷たい死生観。
クール、とはまた違った彼の
キャラクターは本当に魅力的です
紹介記事はこちら
『夕凪の街 桜の国』
―原爆を落とした人はわたしを見て
「やった! またひとり殺せた」とちゃんと思ってくれとる?―
この場面、本当に身が震えるようなところなんです。
幸せを掴めるかも!とやっとなった女性が病に倒れて
病床で、どんどん、意識が薄れていって、ぽつん、と
心の中で上のセリフを吐く……
原爆を落とした人が原爆を落とした時から
ずっとずっと時間の経った後に、彼女は死ぬ
無念さがひしひしと伝わってきます
紹介記事はこちら
少ないようにも思いますが
一度、切りますね
好きだな、と思うような
文章、ありましたか?
タグ:名言
オオカミ族の少年
さてさて、本日ご紹介するのは
こちら
ミシェルペイヴァー著
『オオカミ族の少年』
舞台は6000年前の北ヨーロッパ
霊が当たり前のように信じられ、
人が森や自然が圧倒的な存在として
心から敬っている、そんな時代です
ストーリーは、劇的なはじまりかたです
まだ少年のトラクが、父親を「悪霊のとりついた」クマ
に襲われ、殺されてしまいます
彼自身も怪我を負い、心も体も傷を負ったトラクは
しかし、落ち込んでいる間もなく、厳しい自然の中で
突如一人になって生きていかなければならなくなります
そうして、父親を殺したクマが一体何なのか
誰が、何の目的で、そのようなクマを「つくりだした」のか
森全体がクマの脅威に怯えるなか、
次々にトラクを襲う試練
明かされていくクマについての謎
訳の分からぬまま死ぬ間際の父親に
〈天地万物の精霊の宿る山〉へ行くことを誓わされますが
そこは、人間が決して辿り着けぬ山…
トラクは近いを守れるのか
クマを倒して父親の仇をうてるのか……
とにかく、圧倒的な世界観
森に暮らすのは皆キツいけれども、真っ直ぐな人々
人々が守っている掟などにも、どこか
心惹かれてしまいます
トラク達にとって、森に住む動物は
自分の命をつないでくれる糧であり、
敬愛すべきものであり
守り神であり……
物語が面白い!のは勿論なのですが
狩った動物の肉は勿論、皮から血液から内臓から
決して無駄にはしない、その生き方にもきっと
魅せられてしまうのではないでしょうか?
とにかく、シリーズの第一作から、手に取って
みては如何ですか?
同シリーズの続きはまたいつか。。。
人気ブログランキングへ
【中古】単行本(小説・エッセイ) オオカミ族の少年 クロニクル千古の闇 1【画】 価格:190円 |
【中古】単行本(小説・エッセイ) オオカミ族の少年 クロニクル千古の闇 1【画】 価格:190円 |
*..管理人による雑記...*
2014年11月07日
楊貴妃伝
本日ご紹介するのはこちら
井上靖著『楊貴妃伝』
世界三大美女としても有名で
その数奇で、哀しい激動の運命は
長恨歌で歌われているものが一番有名かな、と
思いますが
しかし、あれだけの権勢を極めた女性が
可憐な美しさしか持っていなかった、だなんて
そんな事はあるまい、と誰もが思うところでしょう
では、楊貴妃は、元から、野心に満ち溢れた
女性であったのか……?
この作品で描かれているのは、
玄宗皇帝という、「運命」によって、どんどん
変わっていく楊貴妃です
権力というものに触れて変わらざるをえない人間の姿です
はじまりは、楊貴妃の元夫であり、
玄宗皇帝の息子にあたる寿王のもとに
楊貴妃を遣わすようにという達しがくるところから。
その意味が、後宮に入れ、ということは明らか
彼女は、決意を持って、玄宗の元へ行くことになります
そこから……
他の妃に対する嫉妬、憎しみ、
自分が生きる為に、手に入れるべき権力
罪悪感を感じようと、感じまいと
先代の妃がやってきたように
楊貴妃も、様々な対立関係にある人間を
退ける必要性に迫られていきます
玄宗に対する楊貴妃の
見方・態度も少しずつ変わっていきつつ
楊貴妃によって、楊一族の勢力は
ぐんぐん増していき……
しかし一方で楊貴妃は笑うということを忘れ
いないはずの刺客に怯えなければならなくなり……
美しい女性としての誇り、
権力者としての栄華と悲哀
全てがしっかりと描かれています
玄宗の描かれ方も印象的です。
最大権力者でありながらどこか、哀しい。
登場人物の名前が少しややこしいですが
引き込まれてしまう、面白い作品です
人気ブログランキングへ
井上靖著『楊貴妃伝』
世界三大美女としても有名で
その数奇で、哀しい激動の運命は
長恨歌で歌われているものが一番有名かな、と
思いますが
しかし、あれだけの権勢を極めた女性が
可憐な美しさしか持っていなかった、だなんて
そんな事はあるまい、と誰もが思うところでしょう
では、楊貴妃は、元から、野心に満ち溢れた
女性であったのか……?
この作品で描かれているのは、
玄宗皇帝という、「運命」によって、どんどん
変わっていく楊貴妃です
権力というものに触れて変わらざるをえない人間の姿です
はじまりは、楊貴妃の元夫であり、
玄宗皇帝の息子にあたる寿王のもとに
楊貴妃を遣わすようにという達しがくるところから。
その意味が、後宮に入れ、ということは明らか
彼女は、決意を持って、玄宗の元へ行くことになります
そこから……
他の妃に対する嫉妬、憎しみ、
自分が生きる為に、手に入れるべき権力
罪悪感を感じようと、感じまいと
先代の妃がやってきたように
楊貴妃も、様々な対立関係にある人間を
退ける必要性に迫られていきます
玄宗に対する楊貴妃の
見方・態度も少しずつ変わっていきつつ
楊貴妃によって、楊一族の勢力は
ぐんぐん増していき……
しかし一方で楊貴妃は笑うということを忘れ
いないはずの刺客に怯えなければならなくなり……
美しい女性としての誇り、
権力者としての栄華と悲哀
全てがしっかりと描かれています
玄宗の描かれ方も印象的です。
最大権力者でありながらどこか、哀しい。
登場人物の名前が少しややこしいですが
引き込まれてしまう、面白い作品です
人気ブログランキングへ
中古価格 |
【中古】文庫 楊貴妃伝【10P13Jun14】【画】【中古】afb 価格:250円 |
2014年11月05日
ダイアモンドダスト
本日ご紹介するのは、こちら
南木佳士著『ダイアモンドダスト』
病院の医者や、看護士が主人公の短編が4篇おさめられています
表題の『ダイアモンドダスト』では、看護士和夫が
アメリカから帰ってきた悦子という女性と再会するところから
和夫の母の死、父の脳卒中、そんな中で
彼が選んだ(選ばざるを得なかった)職業、看護士
彼の父親が再び脳卒中で倒れ、
彼の病院へ運び込まれた末期癌患者のアメリカ人の
同室へ入院することになり……
明るい話ではなく、どよん、としています
末期の患者を、もう死ぬと分かり切っている患者を前に
和夫は、彼が欲しがったプラモデルを買ったり
彼の昔話を聞いたりはするのですが
和夫がこのアメリカ人と対峙している時、
とても清らかな雰囲気が流れます
このマイクというアメリカ人の一つ一つの言葉が
なかなかに、死を悟りながら、清らかに思われます
一方で、家庭のこととなると、
妙なことを口走るようになってきた父親と
かつての自分とかさなる境遇にいる、母親のいない息子
重苦しくって、寂しくって、やるせない、
やるせない、という言葉がとても当てはまるような
そんな状況下で、和夫は悦子の助けを借りつつ
日々を暮らす
結構のろのろと話がすすむようにも思われますが
父親が退院した後くらいから、話は
きらきらと、美しくなってきます
父親が作ると言いだした、水車
この水車のビジョンと、
父親がかつて運転していたという電車の風景と
「今」は重苦しいのですが、「過去」の話、
電車についての話の時には、本当に、あたたかい感じが
して、目の前に、ゆっくりゆっくり走る電車が
見えてくる、これが、どこか懐かしくって。
ラストは圧巻。全てが凍りついた世界が
鮮やかに描かれていて、一瞬、不幸も何もかも
忘れてしまう、そんな感覚です
どの短編も全体的にどんよりとはしていますが
是非読んでみて下さい
ちなみに、加賀乙彦さんとの対談が最後に収録されています
加賀乙彦さん好きな私としては、
思わず、おぉ!と思ってしまいました笑
お二方とも、医者でありながら小説を書いていますものね
この対談もなかなか興味深いものでした
人気ブログランキングへ
南木佳士著『ダイアモンドダスト』
病院の医者や、看護士が主人公の短編が4篇おさめられています
表題の『ダイアモンドダスト』では、看護士和夫が
アメリカから帰ってきた悦子という女性と再会するところから
和夫の母の死、父の脳卒中、そんな中で
彼が選んだ(選ばざるを得なかった)職業、看護士
彼の父親が再び脳卒中で倒れ、
彼の病院へ運び込まれた末期癌患者のアメリカ人の
同室へ入院することになり……
明るい話ではなく、どよん、としています
末期の患者を、もう死ぬと分かり切っている患者を前に
和夫は、彼が欲しがったプラモデルを買ったり
彼の昔話を聞いたりはするのですが
和夫がこのアメリカ人と対峙している時、
とても清らかな雰囲気が流れます
このマイクというアメリカ人の一つ一つの言葉が
なかなかに、死を悟りながら、清らかに思われます
一方で、家庭のこととなると、
妙なことを口走るようになってきた父親と
かつての自分とかさなる境遇にいる、母親のいない息子
重苦しくって、寂しくって、やるせない、
やるせない、という言葉がとても当てはまるような
そんな状況下で、和夫は悦子の助けを借りつつ
日々を暮らす
結構のろのろと話がすすむようにも思われますが
父親が退院した後くらいから、話は
きらきらと、美しくなってきます
父親が作ると言いだした、水車
この水車のビジョンと、
父親がかつて運転していたという電車の風景と
「今」は重苦しいのですが、「過去」の話、
電車についての話の時には、本当に、あたたかい感じが
して、目の前に、ゆっくりゆっくり走る電車が
見えてくる、これが、どこか懐かしくって。
ラストは圧巻。全てが凍りついた世界が
鮮やかに描かれていて、一瞬、不幸も何もかも
忘れてしまう、そんな感覚です
どの短編も全体的にどんよりとはしていますが
是非読んでみて下さい
ちなみに、加賀乙彦さんとの対談が最後に収録されています
加賀乙彦さん好きな私としては、
思わず、おぉ!と思ってしまいました笑
お二方とも、医者でありながら小説を書いていますものね
この対談もなかなか興味深いものでした
人気ブログランキングへ
新品価格 |
価格:504円 |
夕凪の街 桜の国
一日あいてしまいました、すみません…
さて、本日ご紹介するのはこちらです
こうの史代著
『夕凪の街 桜の国』
珍しく、漫画のご紹介になりますね。
これはヒロシマの話を扱ったものです。
ヒロシマ・原爆の漫画と聞いて、おそらく多くの人が
思い浮かべるのは
『はだしのゲン』でしょうか?
この作品は非常に衝撃的な形で原爆の残酷さを伝えていますね
今回紹介する作品も、確かに衝撃的、ではあるのですがいわゆる
グロイ、と言われるような描写は一切ありません。
ないといっていいと思います
なぜって、描かれるヒロシマは原爆が落ちて
もう10年も経った広島であり
見た目には、もう、元通りに戻っている、
そんな町の姿だからです
ただ、実際ヒロシマで生きた人々の、言葉……
いくら月日が経とうとちらちらとちらつく川を埋める死体……
あまりにもありふれた日常を送りながら、
人知れずあの日を思い出して苦しまなければならない……
そして、さあ、これから幸せに生きていこう
というところで襲う原爆症……
やはり、理不尽な話ばかりです。
読んでいて胸が痛くなります
これだけごくごくありふれた日常を描きながら、
ごくごく普通の人を描きながら
ふっと気付けば胸が締め付けられるように感じるという、
このような伝え方もとても心に残るなぁ、と思いました
変な話、軽い気持ちでも良いのです。
是非読んで欲しいと思います
知らなければ辛くないとはいえ、
知らない、で済まして逃げしてしまう訳にもいかない
気分の悪くなるような、血腥い描写はありませんので、
そのようなものが苦手、という方も読んでみて下さい
人気ブログランキングへ
さて、本日ご紹介するのはこちらです
こうの史代著
『夕凪の街 桜の国』
珍しく、漫画のご紹介になりますね。
これはヒロシマの話を扱ったものです。
ヒロシマ・原爆の漫画と聞いて、おそらく多くの人が
思い浮かべるのは
『はだしのゲン』でしょうか?
この作品は非常に衝撃的な形で原爆の残酷さを伝えていますね
今回紹介する作品も、確かに衝撃的、ではあるのですがいわゆる
グロイ、と言われるような描写は一切ありません。
ないといっていいと思います
なぜって、描かれるヒロシマは原爆が落ちて
もう10年も経った広島であり
見た目には、もう、元通りに戻っている、
そんな町の姿だからです
ただ、実際ヒロシマで生きた人々の、言葉……
いくら月日が経とうとちらちらとちらつく川を埋める死体……
あまりにもありふれた日常を送りながら、
人知れずあの日を思い出して苦しまなければならない……
そして、さあ、これから幸せに生きていこう
というところで襲う原爆症……
やはり、理不尽な話ばかりです。
読んでいて胸が痛くなります
これだけごくごくありふれた日常を描きながら、
ごくごく普通の人を描きながら
ふっと気付けば胸が締め付けられるように感じるという、
このような伝え方もとても心に残るなぁ、と思いました
変な話、軽い気持ちでも良いのです。
是非読んで欲しいと思います
知らなければ辛くないとはいえ、
知らない、で済まして逃げしてしまう訳にもいかない
気分の悪くなるような、血腥い描写はありませんので、
そのようなものが苦手、という方も読んでみて下さい
人気ブログランキングへ
新品価格 |
価格:864円 |
2014年11月03日
夜は短し歩けよ乙女
本日ご紹介するのは、こちら
『夜は短し歩けよ乙女』
森見さんらしい、笑いに溢れた作品でありながらも、乙女目線の語りもあり
ただの阿呆で読んでいて頭の痛くなるような(笑)学生による話という訳でもなく
なかなかに愛らしいお話となっています
乙女に恋する「先輩」と、乙女と、交互に語り手が変わっていきますが
とにかく、「先輩」があり得ない程乙女を神格化しているのが滑稽で
また、彼女とお近づきになるために、あれやこれやと頑張っているのですが
頑張っている方向が何か間違っていて、
よくよく考えてみるとただのストーカーなのですが(苦笑)
あまりにひたむきすぎて、段々と応援せずにはいられなくなっていきます笑
しかしながら、その一方で、ど天然な乙女が全く気付かないで
さらりさらりと「先輩」をかわしてしまうのが
(だからこそ、「先輩」を応援する気にもなるのかもしれませんね)
「先輩」には悪いのですが、面白くて、
私はこの半ば矛盾した気分のまま楽しく読み進めていきました。
また重要なことには、この乙女が非常に読者を惹きつけるキャラクターになっています。
ど天然ですが、うっとうしさが無く、
本当に微笑みながら眺めてしまう感じというのでしょうか。
ど天然という性格の、その良さ、無垢さ純真さ人を疑わぬ所……が全面に出て、
人に迷惑をかけてしまうようなマイナス面がほとんど無いのです
(先輩を落胆させているのは別として)
そして、彼女の独特な喋り方にもご注目。先に断っておきますが、
語尾がいかにもあざとらしいようなもの、という訳ではなく、
可愛らしくそして少しふふ、となってしまうような言葉をを
それはそれは多用しているのです、例えば、
「はむはむ」「ぽっこり」「おともだちパンチ」「むくむく」「なむなむ」等々……。
いや、こうしてあげてみるとあざといかもしれない笑
これをまた絶妙なタイミングで使ってきます。
何というか、少しイタい「先輩」と、
ほっこりさせる乙女のバランスがきっと素晴らしいのだろうと思います。
一応、「先輩」が乙女に恋をしてはじまっていく恋愛小説であり、
表紙などもそれっぽいですが、むずむずするようなベタな恋愛小説ではありません。
本当にほっこりする感じ。声を出しての大笑いというよりも、
この作品はふふ、と笑ってしまうようなことの方が多かったように思います。
読了後気分は爽やかです。
森見さんの作品の中でも、かなり人気の高い作品になっていますよね
これだけメジャーな作品になってしまうと
果たしてご紹介になるのやらどうやら分かりませんが
是非、読んでみて下さい
人気ブログランキングへ
*..管理人による雑記...*
『夜は短し歩けよ乙女』
森見さんらしい、笑いに溢れた作品でありながらも、乙女目線の語りもあり
ただの阿呆で読んでいて頭の痛くなるような(笑)学生による話という訳でもなく
なかなかに愛らしいお話となっています
乙女に恋する「先輩」と、乙女と、交互に語り手が変わっていきますが
とにかく、「先輩」があり得ない程乙女を神格化しているのが滑稽で
また、彼女とお近づきになるために、あれやこれやと頑張っているのですが
頑張っている方向が何か間違っていて、
よくよく考えてみるとただのストーカーなのですが(苦笑)
あまりにひたむきすぎて、段々と応援せずにはいられなくなっていきます笑
しかしながら、その一方で、ど天然な乙女が全く気付かないで
さらりさらりと「先輩」をかわしてしまうのが
(だからこそ、「先輩」を応援する気にもなるのかもしれませんね)
「先輩」には悪いのですが、面白くて、
私はこの半ば矛盾した気分のまま楽しく読み進めていきました。
また重要なことには、この乙女が非常に読者を惹きつけるキャラクターになっています。
ど天然ですが、うっとうしさが無く、
本当に微笑みながら眺めてしまう感じというのでしょうか。
ど天然という性格の、その良さ、無垢さ純真さ人を疑わぬ所……が全面に出て、
人に迷惑をかけてしまうようなマイナス面がほとんど無いのです
(先輩を落胆させているのは別として)
そして、彼女の独特な喋り方にもご注目。先に断っておきますが、
語尾がいかにもあざとらしいようなもの、という訳ではなく、
可愛らしくそして少しふふ、となってしまうような言葉をを
それはそれは多用しているのです、例えば、
「はむはむ」「ぽっこり」「おともだちパンチ」「むくむく」「なむなむ」等々……。
いや、こうしてあげてみるとあざといかもしれない笑
これをまた絶妙なタイミングで使ってきます。
何というか、少しイタい「先輩」と、
ほっこりさせる乙女のバランスがきっと素晴らしいのだろうと思います。
一応、「先輩」が乙女に恋をしてはじまっていく恋愛小説であり、
表紙などもそれっぽいですが、むずむずするようなベタな恋愛小説ではありません。
本当にほっこりする感じ。声を出しての大笑いというよりも、
この作品はふふ、と笑ってしまうようなことの方が多かったように思います。
読了後気分は爽やかです。
森見さんの作品の中でも、かなり人気の高い作品になっていますよね
これだけメジャーな作品になってしまうと
果たしてご紹介になるのやらどうやら分かりませんが
是非、読んでみて下さい
人気ブログランキングへ
新品価格 |
価格:604円 |
*..管理人による雑記...*
2014年11月02日
死神の精度
さてさて、本日はこちら
伊坂幸太郎著『死神の精度』
短編集…と言いますか、
とある一人(?)の死神、のお話です
死神、と聞いて、当たり前のように思い出すようなものとは
かなりかけ離れた死神が主人公
まずは、死神世界の制度から。
調査本部とやらいうところから、死神たちに
仕事が与えられます。この人間を調査しなさい、と。
その、選ばれた人間は、すなわち
死ぬ予定、の人々。
死神たちは、一週間人間を調査し、
特に問題が無ければ「可」と報告
そして、実際に人間が死ぬのを見届けて、任務終了
その、調査、ですが、死神は人間の恰好をして
人間と接触することになっています。
主人公の、人間の時に千葉、と呼ばれる死神さんは
ひっじょうに、真面目な性格
クールな男の人(死神
屈指の雨男(雨死神?
そして、音楽が大好き(これは死神みんななのですが
そして、人間と、感性がどこか、ずれている
その、ずれている感じが、とても、良い。
クセになってしまう、そんなキャラクターなんです
本人はいたって真面目なのですが、そりゃないよ、という
言動に加えて、死神なので、
人間のために何かしてやろう、という気はさらさらないのですが
案外人間のためになっていたり…
面倒くさそうに、ぼそっと呟いたことが
案外的を射ていて、聞いた人間に影響を与えたり。
勿論、人間は自分がまさか、死ぬ予定だなんて知りませんから
悩んでいたり、信念を貫こうとしていたり
それぞれの生き方があって、
それに、千葉さんが、何とも妙な形で絡む
このやりとりの描き方が本当にうまいんだと思います
「死神」だなんて、少しまがまがしいタイトルですが
内容は、もっと、うーん。爽やか、系…なのだろうか?
しかし最後のお話の終わり方はなかなかに圧巻でしたね。
うん。爽やかでした
ちなみに千葉さんは、死神なので、時間感覚も人間と違います
短編集のような形の中で、あー、そういえばうん十年前に…
という千葉さんの記憶とともに、ゆるゆるとお話が繋がったりして
なんだかそれも、感動的だったり…
キャラクターの魅力が、とてつもない作品になっています
是非、読んでみて下さい
人気ブログランキングへ
伊坂幸太郎著『死神の精度』
短編集…と言いますか、
とある一人(?)の死神、のお話です
死神、と聞いて、当たり前のように思い出すようなものとは
かなりかけ離れた死神が主人公
まずは、死神世界の制度から。
調査本部とやらいうところから、死神たちに
仕事が与えられます。この人間を調査しなさい、と。
その、選ばれた人間は、すなわち
死ぬ予定、の人々。
死神たちは、一週間人間を調査し、
特に問題が無ければ「可」と報告
そして、実際に人間が死ぬのを見届けて、任務終了
その、調査、ですが、死神は人間の恰好をして
人間と接触することになっています。
主人公の、人間の時に千葉、と呼ばれる死神さんは
ひっじょうに、真面目な性格
クールな男の人(死神
屈指の雨男(雨死神?
そして、音楽が大好き(これは死神みんななのですが
そして、人間と、感性がどこか、ずれている
その、ずれている感じが、とても、良い。
クセになってしまう、そんなキャラクターなんです
本人はいたって真面目なのですが、そりゃないよ、という
言動に加えて、死神なので、
人間のために何かしてやろう、という気はさらさらないのですが
案外人間のためになっていたり…
面倒くさそうに、ぼそっと呟いたことが
案外的を射ていて、聞いた人間に影響を与えたり。
勿論、人間は自分がまさか、死ぬ予定だなんて知りませんから
悩んでいたり、信念を貫こうとしていたり
それぞれの生き方があって、
それに、千葉さんが、何とも妙な形で絡む
このやりとりの描き方が本当にうまいんだと思います
「死神」だなんて、少しまがまがしいタイトルですが
内容は、もっと、うーん。爽やか、系…なのだろうか?
しかし最後のお話の終わり方はなかなかに圧巻でしたね。
うん。爽やかでした
ちなみに千葉さんは、死神なので、時間感覚も人間と違います
短編集のような形の中で、あー、そういえばうん十年前に…
という千葉さんの記憶とともに、ゆるゆるとお話が繋がったりして
なんだかそれも、感動的だったり…
キャラクターの魅力が、とてつもない作品になっています
是非、読んでみて下さい
人気ブログランキングへ
新品価格 |
価格:604円 |
2014年11月01日
人質の朗読会
さてさて、本日ご紹介するのはこちら
小川洋子著『人質の朗読会』
小川洋子さん、といえば
やはり、『博士の愛した数式』が
有名でしょうか???
でも、この『人質の朗読会』も
ドラマ化?されたようですね
私、そちらは見ておりませんが
内容は、タイトル通り
とある旅行者の8人が
ゲリラに襲撃され、人質と
なってしまったその時に
行われた
彼らの、一番印象的だった
時を語る、そんな
朗読会です
そして、この朗読会は
人質たちが
犯人と共に、全員死亡したことが
淡々と告げられた後に
語られ始めます
読者は、もうこの世にいない人の
話を、これから聞いて行くのです
8人の物語に耳を傾けていく……
人質の人々は、ちゃんと
下書きをして、
淡々と、理論整然と語っていきます
他愛が無い、といえば
他愛が無いのかもしれない
その人の大切な「日常」もしくは
思い出ではありますが
劇的な何か、という訳でもない
しかし、人質たちは
静かにその話を聞き、
最後に拍手を贈る
何とも言えない、緊張感とも違う
静けさ……
8人いるうち、何となく
個人的に印象的なのは
「槍投げの青年」6人目の、
女性が語ったお話です
電車の中で、偶々、
大きな荷物を持った青年を
見かけて、
気づけば、彼の後を
つけてしまう
着いた先は、楕円競技場で
青年は、荷物をあけて
槍を出し、それを投げ始める
私は、それを眺める
ずーっと眺める
青年との会話はない
しーん、と静かな空間で
槍が空を切る音
地に刺さる音
それだけが、聞こえている
そんな光景が、
目の前に見えてきて、
心に残っています
何とも言えず、ゆっくりと
余韻が心の中を締めていく
お話でした。
人質、なのだから
不安が胸を締めていて
それでいて、もしかしたら…
という希望も捨てきれず
しかし、誰も、未来の話はしない
静かに、静かに過去を語る
それは朗読会であって
朗読大会ではないから
それぞれのお話を
評価するだとか、そういう
こともなくて
切ないながらも
悲劇的とは言えない、
何とも、個人的に好みな
雰囲気が満ち満ちている
作品です
人気ブログランキングへ
新品価格 |
価格:596円 |
2014年10月31日
各書名言集(小説pert6)
明日明後日明々後日…
くらいまでおそらく
バタバタするので、少しだけ
名文集…です。
素敵な一文、見つけてください……
『一千一秒物語』
―何をちょこざいなお月様―
一時的にマイブームにまでなったこのセリフ、とっても
響きがコミカルで可愛くて、素敵だと思いませんか?
お月様と殴り合いをしたりする場面、よくよく考えたら
生生しいはずなのに、「ポカスカ」みたいな
擬音語がぴったりの世界観。飽きません
紹介記事はこちら
『木』
―杉はたて縞のきものを着ている。縄文杉もたて縞だった―
この短編集、好きな言葉が沢山なので迷ったのですが、
これはもう、幸田文さんだからこそ、こんなことが言える
んじゃないかというような、感性のほとばしる一言では
ないでしょうか?
紹介記事はこちら
『空中庭園』
―今、テーブルを囲んでここには五つのドアがある。頑丈な鍵のかかったおそろいのドア。
五つのドアのそれぞれの向こう側に、きっとグロテスクでみっともない、しかしはたから見たら
ずいぶんみみっちい秘密がわんさとひしめいて――これから先ずっと繁殖しつつひしめき続けるのだろう―
ここの家族全員がそれぞれに持っている秘密……
傍から見たら、とても仲の良い家族
しかし、実際は、堅いドアがそれぞれの間に
そびえたっている……
紹介記事はこちら
如何でしょう?
興味をひく作品は
ございましたか?
ではでは(●´∀`)ノ
くらいまでおそらく
バタバタするので、少しだけ
名文集…です。
素敵な一文、見つけてください……
『一千一秒物語』
―何をちょこざいなお月様―
一時的にマイブームにまでなったこのセリフ、とっても
響きがコミカルで可愛くて、素敵だと思いませんか?
お月様と殴り合いをしたりする場面、よくよく考えたら
生生しいはずなのに、「ポカスカ」みたいな
擬音語がぴったりの世界観。飽きません
紹介記事はこちら
『木』
―杉はたて縞のきものを着ている。縄文杉もたて縞だった―
この短編集、好きな言葉が沢山なので迷ったのですが、
これはもう、幸田文さんだからこそ、こんなことが言える
んじゃないかというような、感性のほとばしる一言では
ないでしょうか?
紹介記事はこちら
『空中庭園』
―今、テーブルを囲んでここには五つのドアがある。頑丈な鍵のかかったおそろいのドア。
五つのドアのそれぞれの向こう側に、きっとグロテスクでみっともない、しかしはたから見たら
ずいぶんみみっちい秘密がわんさとひしめいて――これから先ずっと繁殖しつつひしめき続けるのだろう―
ここの家族全員がそれぞれに持っている秘密……
傍から見たら、とても仲の良い家族
しかし、実際は、堅いドアがそれぞれの間に
そびえたっている……
紹介記事はこちら
如何でしょう?
興味をひく作品は
ございましたか?
ではでは(●´∀`)ノ