アフィリエイト広告を利用しています

広告

この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
posted by fanblog

2015年08月20日

台所のおと


さてさて、本日はこちらです

幸田文著『台所のおと
台所のおと.png


幸田さんはぶれない。

短篇集です。収録されているのは
「台所のおと」「濃柑」「草履」
「雪もち」「食欲」「祝辞」
「呼ばれる」「おきみやげ」
「ひとり暮し」「あとでの話」
の10篇


幸田さんの描く女性は
みな、しんと強く哀れで
美しい……


幸田さんの、女性への
やわらかな眼差しを感じます

尽きない悩みに
重い息を吐いて、
そんな女性をとりまく
情景はしかしながら
美しく読者の心に
迫ってくる


静かで、派手ではないけれども
美しい小説の代表だと
改めて思わされる作品


それも、幸田さんだからこその
他にはちょっとないような
幸田さんのような女性
でなければ、という文章


読んでいる間は、何にも
邪魔されたくない、と
思うような、そんな短編が
詰まっています。


特に表題の「台所のおと」は
至高です


女性だけではなく
夫婦の間の細やかな
やりとりが描かれ
これが、いい。


料理人である夫が
病に倒れ、
妻の台所のおとを聞く


そんな、病床から聞く
台所のおとが、幸田さんの
絶妙な日本語で
しっとりと描かれていて


はじまりから、もう
映画の中に
迷い込んだような
そんな圧倒的な
雰囲気があります


佐吉曰くあきはもともと
静かな台所をする女
だそうですが、


冒頭、本当にあきは
しめやかに台所をしている


そうして、そのかすかな
音を聞けば
佐吉は、自分が庖丁をとり、
さい箸を持って働いているに
等しいほどに
何がどう料られていくのかが
わかる。

そして、病人の気持ちは
一時、晴れる


佐吉には過去に
2人女房がおり、
この女についての
回想もあるけれども


そのような回想をしてなお
佐吉とあきの間にある
他の何者も入りこめは
しない雰囲気が
巧みに描き出されています


あきの気丈さには
心を打たれるものが
ありますし、


あきの台所のおとで
全てを悟りながら
肝心の自分のことについて
てんで分からない
佐吉の自然な優しさ


本当に、このような
小説には滅多にお目に
かかれないものと
思います、いやはや。



兎にも角にも、まずは
手にとってみて下さい




人気ブログランキングへ



台所のおと (講談社文庫)

新品価格
¥555から
(2015/8/19 15:43時点)






台所のおと

価格:572円
(2015/8/19 15:44時点)
感想(0件)





タグ:幸田文
posted by at 09:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 幸田文

2014年11月25日

きもの

さてさて、本日ご紹介するのはこちら

幸田文著『きもの
きもの.png

いつの時代も、女性って変わらないなぁ、
と感慨を持ったり

いやしかし、やはりこの時代の
女性の心は美しいなぁ、と
感動したりする作品。

主人公のるつ子は、上に姉が二人
兄が一人いる、末っ子の娘

とにかく、幼い頃から
着物には、うるさい子なのですね

彼女がこだわるのは、
着心地。
これ一点なんです
ちょっと、笑ってしまうくらい

そして、そんなるつ子に
着物の着方から、選び方から
着物との向き合い方から
全て教えるのが、
るつ子のおばあ様

もうこのね、おばあ様の
存在感が、圧倒的で
こういう方こそ
素敵なおばあ様であり
素敵な日本女性だと
思わされてしましました

着物をぱぁっと
脱ぐんじゃない、だとか

家族の中でも、絶妙に
舵取りをしてくれている
困った時には、おばあ様。

気づけばもう
読者はそう思って
安心してしまう

慎ましさも備えつつ
芯のしっかりしていて
倹約はするけれども
決してしみったれない

ああ、こんな生き方を
したい、と自分の生きる
お手本にしたくなる人物です

姉二人は、うーん、
女っぽい、そんな印象。
この二人は、ちょっと
女の嫌な面も
描き出している感じです

るつ子は、かなり
この二人と対照的な性格
竹を割ったよう、と言いますか
周りの人々も
あなたが一番いい人だ、
って言われるような……

でも、それって勿論
るつ子の元々の気質も
ありますが、
しっかりもののおばあ様が
躾けてくれていたのが
大きいのじゃないかな、
とそう思えます

おばあ様は生活の知恵から
生きる為の心得から
人として捨ててはならない
心意気まで、
全て、教えていくんです

それも、迷いなく。
絶妙なタイミングで

何度も、彼女の素晴らしさに
唸らされてしまいます

その一方で、
着物が当たり前に
着られていたこの時代、
女性達がどれほど
着物を含めて
様々なものを
大切に大切に扱っていたのか、
これも丁寧に、
しかし自然と描写されています

幸田文さんの文体は
本当に匂い立つようだと
思います。

女性が書きました、
それも、とびっきり
素敵な女性が。

そう思わせる文体

時は流れ、
姉二人が結婚しても
なかなかるつ子には
縁が訪れない

それでも末娘を手放す
惜しさからか
お父さんは割と
のんびり構えていたりして

そんな中関東大震災が
起きる。
この緊急事態でも
やはりおばあ様が、
とてつもなく
頼りになるんですね

るつ子に、うじうじするなと
それまでのお嬢様お嬢様
した生活ではない
生活をさせながら

決して男性との
馴れ合いは許さない所
だとか……

言うまでも無く、
着物を着たくなる一品であり

また、物を慈しみしみたくなり、
大切に使いたくなり

日本を愛したくなる
そんな作品。

この作品中の日本と
今の日本とでは
かなり大きく違うでしょうが苦笑

是非是非、心を清める
と思って、読んでみて下さい





人気ブログランキングへ


きもの (新潮文庫)

新品価格
¥680から
(2014/11/25 00:20時点)




きもの [ 幸田文 ]

価格:680円
(2014/11/25 00:21時点)
感想(7件)




タグ:小説 幸田文
posted by at 00:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 幸田文

2014年10月29日

本日ご紹介するのは、こちら

幸田文著『
木.jpg

幸田文さんによる、
草木花に関するエッセイ集です

彼女の豊かな感性から
草木を慈しみ
花を愛でること
が語られていて

本当に、彼女の優しさや
感性に、感心するばかり

言葉も美しい…

これぞ、日本の女性による
美しき文章です

しかし、幸田さんはなかなか
積極的で、アクティブです

かなりご高齢ではあるものの
縄文杉を見たい一心で
ついには人におぶわれて
見に行ってしまったり

職人さんに苦笑されながらも
材木になりえない
木を自分で確かめなければ
材木になりえないだなんて
信じられぬと
無理に加工してもらったり

「木」に対する彼女の
執着もよくよく現れています

そんな彼女の草木を
いつくしむ心を養ったのは
どうやら、父親である
幸田露半さんのようで、

彼がちらっと語られるところも
あるのですが、私は
それらのエピソードが好きです

例えば、
文さんの幼い娘さんが
高い胡蝶蘭を欲しがって
文さんは一笑にふして
安い他の鉢を買い与えるのですが
露半さんが、それを聞いて
文さんのことを
叱るのですね
孫の感性を大事にしろ!と。
一番高い胡蝶蘭を欲しがるなんて
この子は、見る目があるのに
その芽をお前がつんで
どうする!と。

なるほど、このような
お父様に育てられればこそ
彼女の鋭い観察眼と、
草木に向けた愛情とが
備わるのでしょうか…

この感覚も、何て
豊かなのかと、憧れます

今や、町の中で緑を
見かけることさえ少なくなり
ましたが、

このエッセイを読んだ後だと
思わずいつもみている
木々をまじまじと見てみたくなりますし
花をいつも以上に綺麗と
褒めたくなります

美しく整った日本語で
このような感性を伝えてくれた
ことに、感謝です






人気ブログランキングへ


木 (新潮文庫)

新品価格
¥432から
(2014/10/29 15:47時点)




木 [ 幸田文 ]

価格:432円
(2014/10/29 16:01時点)
感想(1件)


posted by at 15:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 幸田文
本日の一冊
紹介記事は こちら


気ままにもう一冊

きみが住む星 (角川文庫)

とうとう旅に出てしまった。 離陸した飛行機から、 群青の成層圏の空が見えたとき、 ぼくはこの星が好きだと思った。 どうしてなのか考えて、気がついた。 この星には、きみが住んでいる。 きみが住む星をぼくは旅する
検索
此の程
プロフィール
碧さんの画像

ようこそ、ご観覧
ありがとうございます(*- -)(*_ _)
こちら元々は自分の読書ペースを
保つためはじめた
独断と偏見に満ち満ちている
本紹介ブログです…。
※書評ブログではありません
詳しくはプロフィールにて
プロフィール
作者順
愛川晶(1)
碧野圭(1)
青柳碧人(1)
阿刀田高(2)
安部龍太郎(1)
綾辻行人(1)
荒木源(1)
有川浩(2)
今野敏(1)
池井戸潤(1)
池澤夏樹(8)
伊坂幸太郎(5)
稲垣足穂(1)
井上荒野(1)
井上靖(1)
松樹剛史(1)
上橋菜穂子(3)
岩合日出子(1)
ヴァレンタイン デイヴィス(1)
江國香織(2)
遠藤周作(3)
小川洋子(2)
奥田英朗(2)
織田作之助(1)
乙一(4)
カート・ヴォネガット(1)
恩田陸(2)
加賀乙彦(1)
垣根涼介(1)
角田光代(3)
梶尾真治(1)
風野真知雄(1)
川端康成(2)
菊池寛(1)
貴志祐介(1)
窪美澄(2)
幸田文(3)
こうの史代(1)
小松英雄(1)
桜庭一樹(2)
さくらももこ(1)
佐藤賢一(1)
重松清(2)
獅子文六(1)
雫井脩介(1)
シドニィシェルダン(1)
朱川湊人(1)
城山三郎(1)
須川邦彦(1)
高野和明(2)
高橋源一郎(1)
ダニエル・キイス(1)
谷崎潤一郎(4)
ダン・ブラウン(1)
辻村深月(5)
辻征夫(1)
筒井康隆(1)
恒川光太郎(1)
竜門冬二(1)
長野まゆみ(1)
中村文則(2)
南木佳士(1)
梨木香歩(1)
野尻抱影(1)
乃南アサ(1)
橋本紡(2)
長谷川卓(1)
葉室麟(4)
原田マハ(1)
バリー・ライガ(1)
東野圭吾(3)
藤沢周平(1)
本田和子(1)
本多孝好(1)
眉村卓(1)
三浦しをん(2)
ミシェルペイヴァー(1)
三島由紀夫(2)
道尾秀介(1)
宮部みゆき(1)
武者小路実篤(1)
森絵都(2)
森博嗣(2)
森見登美彦(4)
吉本ばなな(2)
山本兼一(1)
山本弘(1)
横山秀夫(1)
絵本(22)
児童文学(7)
その他(7)
アンソロジー(2)
参考書(2)
名言(41)
絵本名場面(3)
意訳シリーズ(13)
北山猛邦(1)
吉村昭(1)
村田 沙耶香(1)
中田永一(1)
<< 2017年05月 >>
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
タグクラウド
B. ロルンゼン 内田麟太郎 田中 奈津子 碧野圭 風野真知雄 Beauty and the Beast Boy Lornsen Disney FROZEN K. グロース lyrics Nickelback One Direction QUEEN Savin&amp;amp;#39; Me Story of My Life Taylor Swift We Will Rock You Web漫画 いまえ よしもと さくらももこ さそうあきら すばらしい新世界 ふりやなな アナと雪の女王 アンソロジー アンドリュー・クレメンツ アンドロイド エッセイ ガブリエルバンサン クレィドゥ・ザ・スカイ シドニィシェルダン ジェンシェスカ スカイ・クロラ スカイ・クロラシリーズ ダウン・ツ・ヘヴン ダール,ロアルド ティーン トミー=アンゲラー ナ・バ・テア ファンタジー フラッタ・リンツ・ライフ フランク・ロジャーズ ブレイク,クェンティン ホラー マルバーン ミシェルペイヴァー ミステリ ミステリー ミヒャエル・エンデ ヤマダ ライトノベル レインスミス ヴァレンタイン デイヴィス ヴァージニア・アイアンサイド 万葉集 三島由紀夫 上橋菜穂子 中村文則 中沢新一 中田永一 乙一 井上荒野 今野敏 伊勢物語 伊坂幸太郎 佐藤さとる 佐藤賢一 児童文学 児童書 写真 加賀乙彦 北山猛邦 南木佳士 原田マハ 参考書 吉本ばなな 吉村 昭 吉田尚令 名場面 名文 名言 味戸ケイコ 和訳 坂木司 垣根涼介 城山三郎 外国文学 大人の恋愛小説 太平洋戦争 奥田英朗 安部龍太郎 宮下 嶺夫 宮沢賢治 宮西達也 宮部みゆき 宵山 小川洋子 小松英雄 小説 山本ゆり 山本兼一 山本容子 山本弘 岡田よしたか 岩合日出子 岩瀬成子 嵐山光三郎 川端康成 幸田文 恒川 光太郎 恩田陸 意訳 扉開けて 推理小説 斎藤隆介 新古今和歌集 新聞小説 日本語訳 時代小説 有川浩 本多孝好 朱川湊人 村上勉 村田 沙耶香 東野圭吾 林明子 柿本人麻呂 梨木 香歩 森博士 森絵都 森見登美彦 横山秀夫 橋本紡 歌詞 武者小路実篤 江國香織 池井戸潤 池内紀 池澤夏樹 浅田次郎 清川あさみ 湯川豊 滝平二郎 獅子 文六 発狂するエラー 百人一首 眉村卓 短篇集 短編集 祇園祭 稲垣足穂 筒井康隆 筒井頼子 絵本 織田作之助 英文解釈 英語 荒木源 菊池寛 葉室麟 藤沢周平 角田光代 解釈 読み聞かせ 読み聞かせ(中学年) 読み聞かせ(低学年) 読み聞かせ(小学校高学年) 谷崎潤一郎 谷川俊太郎 谷村まち子 貴志祐介 辻原登 辻征夫 辻村深月 道尾 秀介 遠藤周作 重松清 野尻抱影 長谷川摂子 長野まゆみ 関川夏央 阿刀田高 青少年読書感想文全国コンクール 青柳碧人 須川邦彦 高野和明 S&Mシリーズ SF
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。