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2014年12月02日

流星ワゴン

さてさて、本日
ご紹介するのはこちら

重松清著『流星ワゴン
流星.png

主人公の永田一雄は
死んじゃってもいいかなぁ
もう……

と考える38歳
リストラ

妻の不倫

息子の暴力

家族は崩壊寸前

そんな時に、
不思議なワゴンが
永田の前に
現れる

ワゴン車に乗っていた
橋本義明・健太親子は
永田のことを
知った風で
話をしながら

「大切なところ」
へ永田を連れていく

過去と現在を
行き来するワゴン車

何と、永田は
自分と同じ年齢の時の
父親と対面までする

若い父親も、永田の
「大切なところ」

すなわち、家族の
分岐点へとついて来たり
するんですね

それまで知らなかった
妻や息子が
つまづくきっかけと
なった事

あの時、僕は
こう声をかけていれば…

過去のその場所に
いながら
しかし僕は
過去を変えられる
訳じゃない。

そんな安易に
過去を訪れて
今なら分かるベストの
ことをして
現状を変えるだなんて
そんなことは出来ない

それでも、ワゴン車は
永田の「大切なところ」
廻りを続ける

そんな中で永田は
時に辛く思いながらも
少しずつ
家族に対する見方
(それは自身の父親に
対する見方も含む
のでしょうが)
を変えていく

すれ違いから目を
そらして
死んじゃってもいいや
なんて心持が
変化していく……

永田一雄は別に
悪い父親じゃ、ないんだと
思うんですね
でも、失敗してしまった
優しいけれども
痛い父親

ワゴン車の運転手
橋本義明も

永田の父親もそう。

皆、悪い訳じゃないのに
どこかで何かを
踏み間違えて
しまった、そんな
父親達

欠点が何だか
目だってしまう

しかし、似ているけれども
それぞれまた
異なっている

父親と息子の関係も
また違っている

現在と過去

非現実と現実

これらが混ざり合い
しかし混沌とはせず

非現実的な
ワゴン車の設定と

家族のすれ違い、問題
そういうものの
リアリティの対比が

すごい。

ありえない、設定なのに
とてつもなく
ありえる状況。

うーむ。憎い。笑

まだ読んでいない方は
是非是非




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タグ:重松清 小説
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2014年10月05日

その日のまえに

さてさて、本日ご紹介するのはこちら

その日のまえに

その日のまえに.png

何だか今まで、笑えます!が多かった気がしたので
思いっきり泣きたい時におすすめの一冊

「その日」というのは…
主人公の妻が癌によって亡くなる日のこと

不自然なくらい、明るく振るまっているこの二人の
お話からはじまる、ゆるゆるとつながった短編集です

とにかく……
哀しいのですが、哀しいものは美しい

「その日」をどう迎えるか
「その日」までに何をすればいいのか
残された子どもには、何を……

残りすくない「その日」のまえを
彼らは一緒に悩み考えながら
過ごしていく

時に目を逸らしてしまいそうになっても、
またどんなに悩んでも泣いても、着実に
病は彼女の体を蝕んでいく

彼女は本当に子ども思いな人で
心配させまい、心配させまいと
頑張ろうとはするんですが
子どもというのは敏感で……

なんでお母さんなんだよ、サイテーだ
と、真っ直ぐ吐き捨てる
長男の言葉が胸に刺さります

そして、彼ら彼女らとはまた違う人々で
癌になって、余命を宣告された人、
闘う人がいる……

この病気に向き合う様々な人々の
お話が続いて…

「その日」はきます

この「その日」がとにかく…
涙で読むのが大変なくらいなのですが
「その日」を迎えた
妻を、母を、そして娘を…
それぞれの立場から見つめる人々

ここにきて、彼女の父親・母親が登場するんですが
病院のベッドで、様々な機器を取り付けられて
眠っている彼女を見て、
まず父親が発した一言が
本当に、もう、忘れられません…

極限まで哀しい状況下で、
極限まで相手を想った時の言葉というのは

それぞれ、人によってどんなに違っていても
例え一見乱暴に見えても

何か、とてつもなく哀しくて綺麗なものが
滲み出ていて、
後半に入れば入る程号泣してしまいます

身近にいる人を、その人といる時間を
ちゃんと大事にしよう、とそう
思わされる作品です



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タグ:重松清 小説
posted by at 14:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 重松清
本日の一冊
紹介記事は こちら


気ままにもう一冊

きみが住む星 (角川文庫)

とうとう旅に出てしまった。 離陸した飛行機から、 群青の成層圏の空が見えたとき、 ぼくはこの星が好きだと思った。 どうしてなのか考えて、気がついた。 この星には、きみが住んでいる。 きみが住む星をぼくは旅する
検索
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