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2015年01月13日
楽しい古事記
さてさて、本日ご紹介するのは
こちら
阿刀田高著『楽しい古事記』
古事記の注釈書
と言える程お堅いものではなく
かといって、
古事記をもとにした
物語なんて訳でもない
阿刀田さんが
古事記を読みながら
ゆるゆると
例えば娘を持つ父親の
気持ちはこの頃から
変わらなかった
んだろうなぁ分かる。
みたいな
コメントがつきながら
どんどん、
古事記を読み進めていきます
古事記の原文が
載ってて…
という訳でもなく
(勿論引用している
こともありますが!)
阿刀田さんが
書いた小説ですよ
と言わんばかり
すらすらとした筆致で
描かれる古事記の世界
ちょっと原文のままでは
分かりにくいという場合は
著者の想像力を
働かせて
補っている所も
とにかく、読みやすく
そして日本の神々に
親しみやすい、
これにつきる一冊です
先程も言った
著者による
実感のこもった感想や
古事記の場面を見て
思い出した話
古代人の心理を感ずる
ことができるならば
それで私はうれしい
という心持で
行った旅の話
時に小説の
引用などもしながら
とにかく、
楽しく古事記に
触れ合うことができます
聞いたことはあるけれども
詳しくは知らなかったような
神様の名前や
武器の名前
小さい頃読んだ
あのおとぎ話は
古事記だったのか!
という驚き
全く知らないことばかり
というよりもむしろ
ちらっと知っていたことを
さらに深く知る機会に
恵まれて
思わず、ほぉ〜
と感嘆の声を
あげたくなるのでは
ないでしょうか
題名がいくら
『楽しい古事記』でも
古事記という
言葉だけで
敬遠されてしまう
方も多いのでは
と危惧してしまいます
本当に「楽しい」
一品ですので
騙されたと思って
読んで頂ければなぁ
と思います
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2014年12月10日
真夜中の料理人
さてさて、本日は
ちょっとブラックなお話かも
しれませんね
阿刀田高著『真夜中の料理人』
短編集になっていますが
どれもこれも、
結構、ブラック。
やたらめったに現実感があって
もしかして、私も
この主人公のように
なることが、あるかもしれない…
なんて思ってしまうような
リアル感
あまりに浮気のたえない
夫に憎悪の念を燃やす妻
田舎へ出向いた
料理批評家を襲った不幸
お見合い話を断っている
うちに結婚の相手が
なくなってしまった娘
かつて好きだった女性の
表の姿、本当の姿
妻の親友との不倫関係
等々……
うわあ、ゾクリ
ひたひたと怖い
けれども何だか
気になってしまう
そんな作品たち。
表題の
『真夜中の料理人』
は、都会育ちの妻と
田舎育ちの夫の
すれ違い…というか対立
肉の好きな妻
魚の好きな夫
あんたの友達は皆下品で
本当に嫌になっちゃう
とキンキン言われて
しかし、口では勝てずに
ぐう、と怒りを
抑え込んでいる夫
お互いに、
こんな人と一緒になって
ずいぶんと外れくじを
引いたんじゃないか、
と、そんなことまで
思いはじめている
冷戦状態
そんな折、
夫の友達から
鮭が送られてくる
頭がついたままの
立派な鮭
しかし、妻は
勿論、良い顔をしない
夫の方は、
優しかった母親を
思い出したりしながら
意地になって
魚をさばこうとする
しかし、魚臭くなるから
キッチンはだめ
お風呂なんてヤメテ!
妻と口げんかをしながら
あまりに理解の無い
妻に、悲しい、本当に
悲しい、と夫
こういう、しみじみした
といいますか
極限状態の悲しさ
自嘲・罪悪感
の描き方が
本当に、上手い…
ここまで激しい気持ちに
実生活の中では
幸いになったことは
ないのですが
何だか、真に迫って
訴えかけてきます
そして、何よりも
うまいのが…
殺意。
激しい殺意もあれば
ぶすぶすとくすぶらせて
さらっと笑いながら
殺してしまうような
そんな殺意まで
いやはや、身震いする
気分です
しかしですね、
偶にはこういう作品で
毒抜きというのも
悪くないんじゃないでしょうか
ねえ?
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*..管理人による雑記...*