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2015年07月17日
旅のラゴス
さてさて、こんな
時間になってしまいました…。
休みになるかな、と思ったけれど
休みにならなかった時の
無念さ。
本日はこちらです
筒井 康隆 著『旅のラゴス』
この表紙もなかなか
魅力的ですよね。
ラゴス、は主人公の
旅人の名前
「この世界」
は、どうやら全くもって
私達の世界とは
違う世界らしい、というのが
冒頭から滲み出ています
スカシウマやミドリウシ
という動物が
当たり前のように
記述され、その説明もなく
そう、当たり前。
そして、彼らは
動物に
感情移入をする
最初は、何か
テキトウなことを
言っているのかと
思ったら
彼らは本気で、
感情移入が出来る
すなわち
スカシウマの思っている
ことが分かる!
なるほど、こんな
世界かぁ、と
納得したら
今度はまた、とんでもない
能力をしれっと
皆が使いだす……
ラゴスが、なぜ
旅を続けているのか
これは、読んでいくうちに
分かってきます
彼が旅先で出会う
出来事というのは、
まるで、ぶつぎりの
短篇集のようでありながら
彼の人生を組み立てている
かけがえのない
パーツになっている
よくよく考えたら
人生なんて、そんな
ものなのでしょうか。
確実に、あの出来事と
今が繋がっている、という
感覚はなくっても
「あの出来事」はどこか
自分の根底を
なしている
ふっと、昔出会った人を
思い出したりする
でも、彼は旅を続ける
出会い、別れ、出会って
最後はやっぱり別れる
この淡々としながらも
人々を惹きつけてやまない
主人公ラゴス
一体、彼の魅力は
何なのだろう?
不思議だけれども
でも、何となく
誰もかれもが
彼のペースに
乗せられてしまっている
ことに、納得がいく
そんな主人公
「この世界」では、一瞬
思考が停止して
意味が呑み込めないような
「ありえない」ことが
当たり前のように
何度も何度もおきます
よくもまぁ、こう絶妙に
ありえないけど、ありえそう、な
出来事を重ねられたなぁ、と
感心するほど、
最後の最後まで
なかなか慣れないと
いいますか
読者をぎょっとさせたり、
憧れさせたりしながら
「この世界」の住人は
暮らしていて
ラゴスは旅をする
だんだん、「この世界」の
ことが分かってきて
気づいたら物語の世界に
いるような、不思議な小説
劇的に面白いか、と言われると
そういう訳ではなく(語弊があるでしょうか
最初は、本当に
何の脈絡もなく、
小さなエピソードを
羅列してあるだけなのかと
思うほど、ちょっと
不思議なエピソードが
ぽんぽんと
書かれているだけ、
それだけなのですが
多分、人により
違うでしょうけれども
どうも忘れられない
エピソードがあって
ちょっと、心の片隅に
ひっかかってしまって。
でも、ラゴスは
呆れるくらい、淡々としていて
最後まで入り込めるような
入り込めないような
何とも不思議なお話というのが
個人的な印象です
熱狂的なファンも
結構いらっしゃるようですが
それも、分かる
好きな人はとてつもなく
好きになりそうな小説
私的には、読んでいて
ふっと、このエピソードを
思い出したいなぁ、と
思えるような
人生の中でこの小説を
読んだことが
大きく未来のどこかに
繋がる訳ではないとはいえ
どこかで、ああ、と
腑に落ちるような形で
思い出せるんじゃないか
そう思わせる一品です
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