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2015年06月10日
ほんとうの花を見せにきた
おお、久しぶりの
晴れ間ですね!
本日ご紹介するのは、こちら
桜庭一樹著『ほんとうの花を見せにきた』
竹から生まれた吸血種族バンブー
そんな、バンブーを中心としたお話が
3篇、おさめられています
小さな焦げた顔
ほんとうの花を見せにきた
あなたが未来の国に行く
分量としては、最初の
「小さな焦げた顔」が最も
多いのですが、
これは、バンブーと、
孤児となってしまった男の子のお話
唯一、人間目線のお話で
バンブーについての設定が
細やかに語られつつ
優しいバンブーに見守られながら
時に葛藤し
道を踏み外して
しまったりしつつも
成長していく男の子の物語です
このお話で、バンブーについての
設定はおそらく全て
語られ、この前提条件のもと
次の2篇へうつるのですが…
その後の「ほんとうの花を見せにきた」
「あなたが未来の国に行く」
が素晴らしく心に響きました
1篇で語られたバンブーについての
様々な設定が見事に生かされつつ
話自体が実に上手く
つくられていて、
引き込まれてしまいます
表題「ほんとうの花を見せにきた」は
1篇でのキャラクターが再登場
1篇での出来事を知っているからこそ
胸を打たれます
寿命が約百二十年のバンブーは
年をとる、ということを
しません。ずっとずっと
その見た目は変わらない
対して、成長し、年をとり
やがて一緒に過ごした
妖怪のことなんて、忘れてしまう
人間、、、
この、妖怪と人間の
違いをついた描写は
なかなかに、
切なくて、でも、
現実味があって……
1篇でも、同じような描写は
あったのですが、
こちらは、1篇以上に
妖怪と人間が
いつまでも共には
暮らせない、ということが
つきつけられて
本当に、切ない。
バンブーの過去も語られ
さらに、切ない
それでも、最後は
心が温まるような
終わり方です
個人的に一番好きなのは
「あなたが未来の国に行く」
です。
突然、時代がどこへいったのか
分からなくなり、
バンブーの国のお話へ
一体、このバンブー
誰なんだろう、
と思いながら
読み進めるうちに
平和なバンブーの国に
危機が訪れて……
希望という未来へ
進みたくて
自分の運命に
抗おうと必死な
主人公のバンブーに
思わず涙
してしまいそうに
なります
頑張れ、本当に
頑張れ、と、もう
このバンブーが
誰でもいいから
とにかく
応援したくなる
そんな真っ直ぐさを
持ったバンブーが
主人公
そして、最後の最後で
あぁぁ、このバンブーだったのか
と、種明かしがされ
1篇を思い出し、
唸らされます
いろいろと言いたい
気もしますが
少しでも喋ると
ネタバレになってしまいそう
なので、自重しますね…
うーん、
唸らされます。笑
素晴らしい
ハートフルストーリー
ファンタジーな世界に
浸りつつ、暖かい気分に
なりたい方、
是非是非どうぞ。
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タグ:小説
2015年03月03日
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
さてさて、本日はこちら
桜庭一樹著
『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』
まず、最初に告白しますと、
最初の一ページ、うーん、読もうかな、読まないでおこうかな、
ちょっぴり迷いました…
個人的な趣向ですが、このような文体には
どうも馴染まないところが、あるんですね、私。
しかし、電車で読み始め、パタンと閉じても手持無沙汰だし
電車に乗っている間くらい……
とそのまま読み進め、結局電車を降りた後も読み切ることに…笑
山本なぎさ、中学生の少なくとも見た目にはごく普通の女の子
その山本なぎさのクラスに海野藻屑という転校生がやってくる
かなり奇行の目立つ、藻屑は、その名前のインパクト
彼女の持ち物が全て有名なブランド物であったこと
そして、彼女の父親が有名だった歌手だと言うこともあり
学校の注目をあび、そして浮いていく
しかし、山本なぎさは、知らんぷり。
彼女にとって、大事なのは「実弾」(お金)
自分が生きていく上で、助けとなるもののみ、と悟り
それ以外のことに、関わらない、と決めていたから…
しかし、そんな山本なぎさに、「死んじゃえ」と吐き捨て
さらに「友達になって」と藻屑。
藻屑は、自身を人魚であると言ってはばからず
その為、いつもミネラルウォーターを持ち歩いては
ぐびぐびと所構わず飲んでみたり、
足をひきずっていたり……
嘘で塗り固められた彼女を、山本なぎさは
お金持ちで、だから空想にひたれちゃう、幸せな子と
眺めていたのですが……
まず、中心となる登場人物の、いかにも思春期らしい
心の動きが、何とも生生しく描かれていて、引き込まれます
主人公である山本なぎさ
一見、よくある「自分の不幸を悟った風に
クールに振舞っている女の子」
に見えるのです
所謂引きこもりの兄を理想化し、
うっとりと眺める所に
あなたがするのは兄の世話じゃないでしょ、
と窘めたくもなる
しかし、よくよく読んでいくと、もっと深い
彼女は自分が未成年で力が無いことも、
十分過ぎるくらい分かっているし
自分が「私は不幸」という思いによって
支えられていることさえ認識し
そして、その上で、だから高校へ行かず
自衛隊へ行きたい、
となっている。
彼女の「高校へ行かず自衛隊へ行きたい」だけを見れば、
浅はかな、となりそうなものですが、彼女はただ思考を飛躍させている
だけ、とも言い難い。そういう所が見えてきだしてから
途端に、面白くなってきて、引き込まれてしまいます。
そして、山本なぎさ以上に複雑なのが、海野藻屑
やることなすこと、変で、嘘ばかりつく女の子
そんな、ありえないでしょ、と思いたくなるほどフィクションっぽい女の子
しかし、彼女のその「変」、という表面の裏の事情が見えてくるとまた
読む速度が上がってきます
そしてここらへんから物語も
かなり速い速度で不穏度を増していき
何だか分からないけれどもとにかく
ページをくる手が止まらない笑
お兄さんが、山本なぎさに話すことが、実は藻屑の精神状態を
説明していたりして、彼女の精神状態の複雑さは、かなりすさまじい
山本なぎさは、最後の最後まで、ちょっと悟った感じの女の子で
でも、それは子ども視点から悟った、という点で最後までぶれません
子どもとしての限界を知り尽くしている女の子視点の
強烈に心に残るお話です
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桜庭一樹著
『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』
まず、最初に告白しますと、
最初の一ページ、うーん、読もうかな、読まないでおこうかな、
ちょっぴり迷いました…
個人的な趣向ですが、このような文体には
どうも馴染まないところが、あるんですね、私。
しかし、電車で読み始め、パタンと閉じても手持無沙汰だし
電車に乗っている間くらい……
とそのまま読み進め、結局電車を降りた後も読み切ることに…笑
山本なぎさ、中学生の少なくとも見た目にはごく普通の女の子
その山本なぎさのクラスに海野藻屑という転校生がやってくる
かなり奇行の目立つ、藻屑は、その名前のインパクト
彼女の持ち物が全て有名なブランド物であったこと
そして、彼女の父親が有名だった歌手だと言うこともあり
学校の注目をあび、そして浮いていく
しかし、山本なぎさは、知らんぷり。
彼女にとって、大事なのは「実弾」(お金)
自分が生きていく上で、助けとなるもののみ、と悟り
それ以外のことに、関わらない、と決めていたから…
しかし、そんな山本なぎさに、「死んじゃえ」と吐き捨て
さらに「友達になって」と藻屑。
藻屑は、自身を人魚であると言ってはばからず
その為、いつもミネラルウォーターを持ち歩いては
ぐびぐびと所構わず飲んでみたり、
足をひきずっていたり……
嘘で塗り固められた彼女を、山本なぎさは
お金持ちで、だから空想にひたれちゃう、幸せな子と
眺めていたのですが……
まず、中心となる登場人物の、いかにも思春期らしい
心の動きが、何とも生生しく描かれていて、引き込まれます
主人公である山本なぎさ
一見、よくある「自分の不幸を悟った風に
クールに振舞っている女の子」
に見えるのです
所謂引きこもりの兄を理想化し、
うっとりと眺める所に
あなたがするのは兄の世話じゃないでしょ、
と窘めたくもなる
しかし、よくよく読んでいくと、もっと深い
彼女は自分が未成年で力が無いことも、
十分過ぎるくらい分かっているし
自分が「私は不幸」という思いによって
支えられていることさえ認識し
そして、その上で、だから高校へ行かず
自衛隊へ行きたい、
となっている。
彼女の「高校へ行かず自衛隊へ行きたい」だけを見れば、
浅はかな、となりそうなものですが、彼女はただ思考を飛躍させている
だけ、とも言い難い。そういう所が見えてきだしてから
途端に、面白くなってきて、引き込まれてしまいます。
そして、山本なぎさ以上に複雑なのが、海野藻屑
やることなすこと、変で、嘘ばかりつく女の子
そんな、ありえないでしょ、と思いたくなるほどフィクションっぽい女の子
しかし、彼女のその「変」、という表面の裏の事情が見えてくるとまた
読む速度が上がってきます
そしてここらへんから物語も
かなり速い速度で不穏度を増していき
何だか分からないけれどもとにかく
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お兄さんが、山本なぎさに話すことが、実は藻屑の精神状態を
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