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2016年08月14日
命売ります
さて、本日はこちらです
三島由紀夫著『命売ります』
三島由紀夫さんの
作品は今までにも
いくつかご紹介しましたが……
それらとかなり
毛色が違います
何と言いますか……
どなたでも楽しく
軽くさくさく読めちゃう
そんな、通俗小説です
けれども、やっぱり
主人公は三島だなぁ…。
主人公は突然
生きていることに
意味を見いだせなくなり
自殺を図るも失敗
そこで、自分の命を
売る、ということを
考えつく。
そうして、新聞に
「命売ります」の広告
を載せて
自分が死ぬ時を待つ
さて、どんなお客が
来るのか……
基本的には
本当にとても読みやすい
ドタバタ劇です
死ぬことに恐れを
抱いていない主人公
羽仁男と、
そんな羽仁男に
命を売ってくれ!と
依頼する珍妙なお客達
「死ぬつもり」で
その依頼に応える羽仁男
けれども……?
この珍妙なお客達含む
羽仁男を取り巻く
キャラクターが
段々と非現実感を
増していきながら
やっぱり、彼らの
抱えている精神的に
暗い部分の
描き出され方は
お見事、という感じで
生々しい
(でも、全然作品は
暗くない)
主人公羽仁男の
一見凡人とは
全く違うようで
ごく普通にも
思える
精神的な動き等も
非常に読み応えが
あります
三島由紀夫の
世界観といいますか
人間観といいますか
そういうものを
味わえつつも
非常に楽しく読める
そんな作品です
三島が好きな方は勿論
今までに三島作品で
挫折したことのあるかたも
是非是非読んでみてほしい
一冊です。
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2015年07月16日
春の雪
さてさて、台風が近づいて
風が強いですね……
私はレポートの嵐に
直撃されております
(言い訳)
本日はこちら
三島由紀夫著『春の雪』
よくよく考えたら
春か冬かに紹介した方が
いろいろと良かったのでは
とか思われそうですが
この際良いでしょう…←
美青年の松枝清顕と
圧倒的な美貌を持つ綾倉聡子
松枝清顕は、男らしさを失い
女々しくしかしそれが
雅に映るような形で
成長していった青年
その、美しさ
しかしその裏にある危うさ
歪んだ自負の念を持ち
そして、その歪みは
聡子にも向けられる
聡子からの、好意に
気づきつつ
彼は、彼女を傷つける
ことに躍起になり
つまらなくなり
しかし、彼は確かに
彼女に恋をしていた、
はずなのに、本当に
聡子のことが
嫌いなのだろうかと
思えてしまうほど
乙女心……ではなく
美青年心は難しいですね笑
しかし、そんな歪んでいて
進展などしそうになくて
案外、進展しそう、
それぞれが幸せな形で
結ばれるのかしら、と
思ったところで
再び、松枝清顕は
その心の歪みを出してしまう
疑心暗鬼になり
聡子が自分を子ども
扱いをしていると憤り
誇りを傷つけられたと
恨み、そうして……
聡子との関係が
描かれる前から
破滅の色を濃く
滲み出させている
美青年
彼は、こわれるしか
ないのではないか、と
そう思わせる
彼が聡子への
愛情をはっきりと自覚し
燃え上がるのは
その恋が互いの
破滅を導くものに
なってから、
狂おしい程
聡子を求め、
むしろ、破滅を
望むかのような二人
さて、その恋愛模様のすえ
二人はどのような
結論を出していくのか……
歪んだ人間が好きな方は
是非是非読んでください
存分に歪みっぷりを
堪能できる美しい一品
そう、美しいというのが
やはりポイント高いと
思うのです
題名は春の雪ですが
本当に雪の降っている
描写はいくつかありますが
どれもこれも美しい。
二人の初めての逢瀬の
描写も、美しく
歪んで恐ろしい雰囲気の
内面と対照的に
描かれる情景の
美しさに麻痺を起して
本当に、彼らの歪みが
美しく思えてくる
しかし、美しいものは
何と儚いことか……
しかし儚いこともまた
美しいの要因でありまして……
是非是非、読んで頂きたい
傑作でございます
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