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2015年07月20日
箱庭図書館
今日も暑いですね
本日はこちら
乙一著『箱庭図書館』
短篇集ですが、
面白いのは、この中に
収録されているのは
読者のボツ案を募集して
それを乙一さんが
リメイクした、という
ちょっと珍しい
短篇集ということです
収録作品は
「小説家のつくり方」「コンビニ日和」
「青春絶縁体」「ワンダーランド」
「王国の旗」「ホワイト・ステップ」
書籍そのものには、
元々の作品は
のっていないのですが
実はコチラ
で読むこともできます
(どちらを先に読むのは
個人の好みによりますかね…
生きることへの不安というか
漠然とした辛さみたいな
ものが描き出されている
そんな作品が多くて
圧倒的な絶望感などは
あまりなく
どんどんと、一つ一つ
読み進めていったのですが
でも、どこか希望を感じるような
爽やかな終わり方のものが
多かった印象です
登場人物の鬱屈とした
気持ちも十分分かるし
それが、少し晴れる過程も
違和感なく受け取れる
全体的に
爽やかだった印象です
超鬱乙一はなりを
ひそめているご様子。笑
だから、結構気張らずに
読める短編集ですね
最後の「ホワイト・ステップ」が
個人的に、極上です
雪が降る。
つくはずのない足跡を見つける
おかしい、怪しんだ僕は
その足跡の主をつきとめる
その出会いによって
衝撃的な事実を
僕は知ることになる…。
素晴らしい設定と物語展開
この設定を思いついた
読者さんも素敵ですし
そんな元作品を
こうまで素敵なお話に
リメイクした乙一さんも素敵
かなり、元作品とは
雰囲気を変えてあるんですね
変えてあるというか
乙一になっていると
言うべきか。
はじめて読んだ時は
最後に泣いた記憶があります
不思議なのに、どこかリアルな
乙一さんらしいお話とも言えます
確かご本人も
一番僕っぽい発想の
話だったと
あとがきで書いておられましたし
何と言いますか、
暑いせいか、最近雪の話が
頭に浮かんでくる…のかな。笑
あぁ、お祭りでかき氷が
食べたいなぁ、など思いつつ……
是非是非、読んでみて下さい
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2014年12月23日
暗いところで待ち合わせ
さてさて、本日はこちら
乙一著『暗いところで待ち合わせ』
設定が絶妙です
起きている事態は非現実的なのに
描かれている登場人物が
本当に、感情移入してしまうほど
身近な、そんな存在で
まずは、アキヒロからいきましょう
彼の方が、おそらく
読者にとって身近な
印象になるかと…
どうしてそんなことに
なったんだ、と
言いたくなったりもしますが
でも、そうなるもの
なのかなぁ……
アキヒロは
同僚の松永トシオに
とてつもなく嫌悪感を
抱いていました
とはいえ、アキヒロの
心の声を見る限り
明らかに松永が悪い…
性質の悪い嫌がらせを
してくるようで
アキヒロはついに
殺してやりたい
と思ってしまうほど
でも、気持ちは分かる
と、思わず
慰めたくなって
しまうような、そんな状況
そして……
松永が、電車のホームから
突き落とされる
事件が起きる
アキヒロは、警察に
追われることになり
ミチルの家へ転がり込む
そして、ミチルの家で
隠れて暮らすようになる
なぜ、そんなことが
可能だったか
ミチルが、実は
事故で失明して、
一人暮らしをしている
女性だったのですね
奇妙な同棲生活が
はじまる訳です
アキヒロは、ミチルに
気づかれないように
息をつめて部屋の
隅に縮こまっている
この作品の大きな見どころの
一つは、この、
奇妙な関係の中で
お互いの存在を
少しずつ認めていく
二人の描写です
自分がいることを
知らせる訳にはいかない
アキヒロ
しかし、感覚的に
誰かがいることに
気づくミチル
アキヒロとミチルだけでなく
ミチルの友人となった
カズミやハルミといった
登場人物も出てきて
物語は、ゆっくりと
ほどけながら
気づけばどんどん
複雑になっていきます
犯罪者としての
切迫感
視力を失ったこと
からくる閉鎖感
しかし交わる
温かな人間関係
静かに、じわじわと
心が温まるようなお話です
さすがは乙一さん、
目を疑うようなラスト
乙一さん、と聞くと
何となく、ホラーなイメージ
やグロイ、イメージが
ある、かもしれませんが
こちらの作品は
その点でも
大丈夫だと思います
ので、
乙一さんはじめて、
だなんて方も
是非、手に取ってみて下さい
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暗いところで待ち合わせ
さてさて、本日はこちら
乙一著『暗いところで待ち合わせ』
設定が絶妙です
起きている事態は非現実的なのに
描かれている登場人物が
本当に、感情移入してしまうほど
身近な、そんな存在で
まずは、アキヒロからいきましょう
彼の方が、おそらく
読者にとって身近な
印象になるかと…
どうしてそんなことに
なったんだ、と
言いたくなったりもしますが
でも、そうなるもの
なのかなぁ……
アキヒロは
同僚の松永トシオに
とてつもなく嫌悪感を
抱いていました
とはいえ、アキヒロの
心の声を見る限り
明らかに松永が悪い…
性質の悪い嫌がらせを
してくるようで
アキヒロはついに
殺してやりたい
と思ってしまうほど
でも、気持ちは分かる
と、思わず
慰めたくなって
しまうような、そんな状況
そして……
松永が、電車のホームから
突き落とされる
事件が起きる
アキヒロは、警察に
追われることになり
ミチルの家へ転がり込む
そして、ミチルの家で
隠れて暮らすようになる
なぜ、そんなことが
可能だったか
ミチルが、実は
事故で失明して、
一人暮らしをしている
女性だったのですね
奇妙な同棲生活が
はじまる訳です
アキヒロは、ミチルに
気づかれないように
息をつめて部屋の
隅に縮こまっている
この作品の大きな見どころの
一つは、この、
奇妙な関係の中で
お互いの存在を
少しずつ認めていく
二人の描写です
自分がいることを
知らせる訳にはいかない
アキヒロ
しかし、感覚的に
誰かがいることに
気づくミチル
アキヒロとミチルだけでなく
ミチルの友人となった
カズミやハルミといった
登場人物も出てきて
物語は、ゆっくりと
ほどけながら
気づけばどんどん
複雑になっていきます
犯罪者としての
切迫感
視力を失ったこと
からくる閉鎖感
しかし交わる
温かな人間関係
静かに、じわじわと
心が温まるようなお話です
さすがは乙一さん、
目を疑うようなラスト
乙一さん、と聞くと
何となく、ホラーなイメージ
やグロイ、イメージが
ある、かもしれませんが
こちらの作品は
その点でも
大丈夫だと思います
ので、
乙一さんはじめて、
だなんて方も
是非、手に取ってみて下さい
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2014年10月22日
失はれる物語
本日ご紹介するのはこちら
乙一著「失はれる物語」
短編集です。収録作品は
1.Calling You
2.失はれる物語
3.傷
4.手を握る泥棒の物語
5.しあわせは子猫のかたち
6.マリアの指
に、文庫本版には
「ボクの賢いパンツくん」
「ウソカノ」
が追加されています
表題の「失はれる物語」も勿論ですが
他の作品も、本当に、心に残ります
乙一さんの作品に出てくる
自分に自信のないキャラクター達って
本当に嫌味がないというか
嘘っぽくないというか
感情移入してしまいます
「Calling You」の主人公の女の子
リョウなんて絶妙ですね
頭の中で携帯を思い浮かべて
てきとうに番号を押しているうちに
相手と繋がってしまう
その相手も、自分と同じ孤独を抱えていて
お互いにとても大切な人になっていく
現実に、会ってみようとなって
胸をどきどきさせながら
待ち合わせ場所へ向かいますが……
相手のシンヤも本当に素敵な子で
だからこその、切なさ
しかしこれを乗り越えて
リョウが大人になったのも事実
表題「失はれる物語」は
さらに救いようがなくて
主人公の気持ちがちょっと
上手く描かれ過ぎだと思います
ここまで訴えてくるのか…
とにかく、
涙なしには読めませんでした
意識はあるけれども
動かせるのはたった指一本だけ
死にたくても、自分で死ぬことも出来ない
辛さ。苦しいお話です
全ての短編について語ってしまいそうなので
(本当に、この短編集は、このお話が一番!
とかではなく、どのお話もとても好きなんです、私
何とか無理やりまとめると
1〜5は、人の感情の機微を描いた
物語という感じです
切ないものが多いですが
切ない中に希望を感じることも多く
「傷」や「手を握る泥棒の物語」なんて
なかなか清々しい読了感です
5のねこのお話は
主人公や周りの人間(?←?にしている理由は読めば分かります
の関係だとか、心情に加えて
最後に推理ちっくな場面もありますが
個人的な感想では、
心情を描いている方に比重が重いかと
とても、優しい物語です
ラストの方、ご主人様がいなくなった
ことが分からないねこちゃんが
これまた切なかったり、します
6の「マリアの指」は
かなり不穏で、最初から
推理がメインだと思います
犯人は、誰なのか?
これがやはり一番気になる
電車の線路に、飛び降り自殺した女性の
指が、見つからない
僕と付き合うつもりならば
指輪をはめてきてほしい
そう言っていた芳和は、彼女の指を
必死で探す。
ところが、その指は白猫に
くわえられて、恭介の元へ
届いてしまう
この指から、実は女性は
自殺ではなく、殺されたのでは?
と考えた恭介による推理がはじまります
犯人は一体誰なのか…
全体的に暗い雰囲気ではありますが
しかし、何ともくせになる
素敵なお話ばかりです
是非、ご一読ください
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乙一著「失はれる物語」
短編集です。収録作品は
1.Calling You
2.失はれる物語
3.傷
4.手を握る泥棒の物語
5.しあわせは子猫のかたち
6.マリアの指
に、文庫本版には
「ボクの賢いパンツくん」
「ウソカノ」
が追加されています
表題の「失はれる物語」も勿論ですが
他の作品も、本当に、心に残ります
乙一さんの作品に出てくる
自分に自信のないキャラクター達って
本当に嫌味がないというか
嘘っぽくないというか
感情移入してしまいます
「Calling You」の主人公の女の子
リョウなんて絶妙ですね
頭の中で携帯を思い浮かべて
てきとうに番号を押しているうちに
相手と繋がってしまう
その相手も、自分と同じ孤独を抱えていて
お互いにとても大切な人になっていく
現実に、会ってみようとなって
胸をどきどきさせながら
待ち合わせ場所へ向かいますが……
相手のシンヤも本当に素敵な子で
だからこその、切なさ
しかしこれを乗り越えて
リョウが大人になったのも事実
表題「失はれる物語」は
さらに救いようがなくて
主人公の気持ちがちょっと
上手く描かれ過ぎだと思います
ここまで訴えてくるのか…
とにかく、
涙なしには読めませんでした
意識はあるけれども
動かせるのはたった指一本だけ
死にたくても、自分で死ぬことも出来ない
辛さ。苦しいお話です
全ての短編について語ってしまいそうなので
(本当に、この短編集は、このお話が一番!
とかではなく、どのお話もとても好きなんです、私
何とか無理やりまとめると
1〜5は、人の感情の機微を描いた
物語という感じです
切ないものが多いですが
切ない中に希望を感じることも多く
「傷」や「手を握る泥棒の物語」なんて
なかなか清々しい読了感です
5のねこのお話は
主人公や周りの人間(?←?にしている理由は読めば分かります
の関係だとか、心情に加えて
最後に推理ちっくな場面もありますが
個人的な感想では、
心情を描いている方に比重が重いかと
とても、優しい物語です
ラストの方、ご主人様がいなくなった
ことが分からないねこちゃんが
これまた切なかったり、します
6の「マリアの指」は
かなり不穏で、最初から
推理がメインだと思います
犯人は、誰なのか?
これがやはり一番気になる
電車の線路に、飛び降り自殺した女性の
指が、見つからない
僕と付き合うつもりならば
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そう言っていた芳和は、彼女の指を
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自殺ではなく、殺されたのでは?
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