2014年12月23日
暗いところで待ち合わせ
さてさて、本日はこちら
乙一著『暗いところで待ち合わせ』
設定が絶妙です
起きている事態は非現実的なのに
描かれている登場人物が
本当に、感情移入してしまうほど
身近な、そんな存在で
まずは、アキヒロからいきましょう
彼の方が、おそらく
読者にとって身近な
印象になるかと…
どうしてそんなことに
なったんだ、と
言いたくなったりもしますが
でも、そうなるもの
なのかなぁ……
アキヒロは
同僚の松永トシオに
とてつもなく嫌悪感を
抱いていました
とはいえ、アキヒロの
心の声を見る限り
明らかに松永が悪い…
性質の悪い嫌がらせを
してくるようで
アキヒロはついに
殺してやりたい
と思ってしまうほど
でも、気持ちは分かる
と、思わず
慰めたくなって
しまうような、そんな状況
そして……
松永が、電車のホームから
突き落とされる
事件が起きる
アキヒロは、警察に
追われることになり
ミチルの家へ転がり込む
そして、ミチルの家で
隠れて暮らすようになる
なぜ、そんなことが
可能だったか
ミチルが、実は
事故で失明して、
一人暮らしをしている
女性だったのですね
奇妙な同棲生活が
はじまる訳です
アキヒロは、ミチルに
気づかれないように
息をつめて部屋の
隅に縮こまっている
この作品の大きな見どころの
一つは、この、
奇妙な関係の中で
お互いの存在を
少しずつ認めていく
二人の描写です
自分がいることを
知らせる訳にはいかない
アキヒロ
しかし、感覚的に
誰かがいることに
気づくミチル
アキヒロとミチルだけでなく
ミチルの友人となった
カズミやハルミといった
登場人物も出てきて
物語は、ゆっくりと
ほどけながら
気づけばどんどん
複雑になっていきます
犯罪者としての
切迫感
視力を失ったこと
からくる閉鎖感
しかし交わる
温かな人間関係
静かに、じわじわと
心が温まるようなお話です
さすがは乙一さん、
目を疑うようなラスト
乙一さん、と聞くと
何となく、ホラーなイメージ
やグロイ、イメージが
ある、かもしれませんが
こちらの作品は
その点でも
大丈夫だと思います
ので、
乙一さんはじめて、
だなんて方も
是非、手に取ってみて下さい
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