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2016年03月18日
TUGUMI
春が見えてきた
のでしょうか?
そんな本日はこちら
吉本ばなな著『TUGUMI』
確かにつぐみは、
いやな女の子だった。
そんな一行から始まる
この物語。
語り手は白河まりあ
聖母の名を持つ女の子。
そんなまりあが、
少女時代を過ごした
海辺の町に、
最後の帰省をした時の
夏の思い出が
語られる、そんな物語。
まりあが、「良くも悪くも」
仲良くなってしまった
つぐみという少女は
病弱で、その為に
甘やかされた結果
悪魔みたいに
開き直った性格に
なってしまった
とびっきりの美少女です
そんな、つぐみという
少女と共に
過ごした最後の青春
この、つぐみという少女が
魅力的なキャラクターで
彼女が、この物語の全て、
この物語にある
きらめき、切なさ、力強さ
はかなさ、透明感
などなどを
つくりだしている
ように思えます
この物語はつぐみの
魅力でとにかく
成り立っていると
感じるほどです
まりあの言葉を借りれば
この物語は
彼女たちの全てを
凝縮した物語であるのに
重量感を感じさせない
手のひらから
するすると吹き流れて
しまう砂みたいに
軽い気がするんですね。
けれども、
その軽さ、
儚さがいい。
ただ、センチメンタルな
ものが好きな方でないと
ちょっと辛いかもしれない
話の流れは特に
起伏があるかと言われると
微妙ではあるし、
その起伏に見える場所も
特段劇的な書かれ方を
しないから、
はらはら、どきどきも
しない。
多分、この小説は
時間がさらさらと
物凄いはやさで
過ぎていくのを
眺めて、ちょっと
切ないな、と感じて
その「切ないな」
という感覚が
本当に切なくて
切なくて
胸が締め付けられる
感覚に酔える小説です
物語としての
エンターテイメント性ではなく、
その「切なさ」が
群を抜いている、そんな
小説。
青春小説だけれども
若くて泥臭い
見ていてはらはらするような、
そんなものを
期待して詠み始めると
拍子抜けしてしまう
かもしれないですね
この小説はあくまで
透明で、きらめきに
満ちていて、
なんだか、とてつもなく
清らかなんです
よくよく考えると
別に登場人物達が
特別清らかという
訳ではないし
むしろ、つぐみは
清らかから最も
反対側にいる
キャラクターである
ように思えるのに、
時につぐみが見せる
ぞっとするほどの
純粋さと儚さは
秀逸です
二度と戻らない癖に
とてつもない速さで
あっけなく過ぎてしまう
時間が非常にうまく
描かれていて、
唸らされてしまいます
そんな時間の
切なさ以上に
美しさが強調されている
ような気がするところも
また一興
個人的に
お気に入りなのが
お祭りの場面で、
もう、目の前に
風景が浮かんで
涙が出そうに
なっちゃいます
この、
情景描写の
透明感は
さすがだなぁ。
さらりと読める
けれども
心の奥深くに
沁みていく、
そんな名作です
是非是非
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タグ:吉本ばなな
2015年06月23日
キッチン
おはようございます
本日は、こちら
吉本ばなな著『キッチン』
台所を愛する主人公みかげ
祖母と二人暮らし
そして、その祖母が
亡くなり天涯孤独に
なってしまった時
彼女が眠れるのは
台所でした
冷蔵庫のぶーんという
音に守られて
はじめて、孤独な思想から
逃れ、安らかに眠れる
しかし、祖母が亡くなった後の
事後処理が彼女にはある
部屋だって、うつらないと
いけない
けれども、彼女は
動き出せない
ごろごろ、してしまう
そして、そんな折に
田辺雄一が訪れる
そして、結局
田辺雄一の家に
居候することが決まる
彼は、母と二人で暮らす
このお母さんが
結構強烈で、驚くような
秘密(?)を持っているのですが
それは、読んでから。
とにかく、田辺家に
居候して、みかげは
少し孤独から解放される
田辺も、そのお母さんも
本当に良いキャラクターです
祖母が亡くなってすぐは
心が追いつかなくて
泣くこともできたのか
できなかったのか、
そんな状態だったみかげは
少しずつ、自分が
生きることを見つめはじめる
そうやって、みかげが
自分の人生をもう一度
見つけられることを
踏み込み過ぎもせず
かといって突き放すでもなく
田辺親子はそっと
寄り添って、見守る
助けている
生きなくては、と思う
そして、いつかは
田辺家を出ていかないと
いけない、とも思う
そう思いながら
自分の台所を夢想する
ゆっくり、ゆっくり
一人の女の子が
死に向き合っていく
この「キッチン」も
本当に、この雰囲気から
みかげの心の中から
素晴らしいのですが
その続編の「満月」
これが、たまらない
あらすじを
ご紹介したいのだけれど
全くネタバレをしないまま
読んで欲しいと思う。
だから、言わない
でも、本当に、たまらない
「キッチン」の雰囲気を
受け継いで、いや、それ以上の
切なさと透明感で
満たされて、また、
女の子は成長していく
そして、もう一つ
収録されている
「ムーンライト・シャドウ」
これもですね、いいんです
大切な人を亡くした
女の子がまた、主人公
恋人を亡くしたのだと
すぐ分かる
その理由は後々分かる
本当に本当に
愛していた人が
いない朝、現実
そんな孤独が辛くて辛くて
ジョギングをはじめる
そして、橋の上。
不思議な女性に
出会う。
彼女は、100年に一度
見られる不思議なもの、が
見られるかも、と言う
橋の上に来るように、と言う。
この不思議な女性が
導く方向は、何となく
途中から分かってしまうのですが
いざ、その時になると
変にご都合主義でもなく
川の音が、ごうごうと
聞こえてきそうな
切なくも、確かに
一つのきっかけになってくれる
最後の彼女の言葉が
澄みきっていて、切なさもあるけれど
とっても爽やかで、
こんな言葉を紡げる著者に
憧れを抱いてしまいますね
と、いう訳で
どれも良いのです
読み終わった直後は
この著者の
他の作品は読みたくないなぁ
と思う程良かったですね笑
普通は良い作品を読めば
その著者の他のも
読もう、と思うわけで、
こんな風に思うことは
少ないのですが、
何となく、そう思わせるような
良さなんですね
非常に有名な傑作ですが
まだ、読んでいないという方は
是非是非。
また、読んだことが
ある方も……
久しぶりに再読など
いかがでしょうか?
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