2015年06月23日
キッチン
おはようございます
本日は、こちら
吉本ばなな著『キッチン』
台所を愛する主人公みかげ
祖母と二人暮らし
そして、その祖母が
亡くなり天涯孤独に
なってしまった時
彼女が眠れるのは
台所でした
冷蔵庫のぶーんという
音に守られて
はじめて、孤独な思想から
逃れ、安らかに眠れる
しかし、祖母が亡くなった後の
事後処理が彼女にはある
部屋だって、うつらないと
いけない
けれども、彼女は
動き出せない
ごろごろ、してしまう
そして、そんな折に
田辺雄一が訪れる
そして、結局
田辺雄一の家に
居候することが決まる
彼は、母と二人で暮らす
このお母さんが
結構強烈で、驚くような
秘密(?)を持っているのですが
それは、読んでから。
とにかく、田辺家に
居候して、みかげは
少し孤独から解放される
田辺も、そのお母さんも
本当に良いキャラクターです
祖母が亡くなってすぐは
心が追いつかなくて
泣くこともできたのか
できなかったのか、
そんな状態だったみかげは
少しずつ、自分が
生きることを見つめはじめる
そうやって、みかげが
自分の人生をもう一度
見つけられることを
踏み込み過ぎもせず
かといって突き放すでもなく
田辺親子はそっと
寄り添って、見守る
助けている
生きなくては、と思う
そして、いつかは
田辺家を出ていかないと
いけない、とも思う
そう思いながら
自分の台所を夢想する
ゆっくり、ゆっくり
一人の女の子が
死に向き合っていく
この「キッチン」も
本当に、この雰囲気から
みかげの心の中から
素晴らしいのですが
その続編の「満月」
これが、たまらない
あらすじを
ご紹介したいのだけれど
全くネタバレをしないまま
読んで欲しいと思う。
だから、言わない
でも、本当に、たまらない
「キッチン」の雰囲気を
受け継いで、いや、それ以上の
切なさと透明感で
満たされて、また、
女の子は成長していく
そして、もう一つ
収録されている
「ムーンライト・シャドウ」
これもですね、いいんです
大切な人を亡くした
女の子がまた、主人公
恋人を亡くしたのだと
すぐ分かる
その理由は後々分かる
本当に本当に
愛していた人が
いない朝、現実
そんな孤独が辛くて辛くて
ジョギングをはじめる
そして、橋の上。
不思議な女性に
出会う。
彼女は、100年に一度
見られる不思議なもの、が
見られるかも、と言う
橋の上に来るように、と言う。
この不思議な女性が
導く方向は、何となく
途中から分かってしまうのですが
いざ、その時になると
変にご都合主義でもなく
川の音が、ごうごうと
聞こえてきそうな
切なくも、確かに
一つのきっかけになってくれる
最後の彼女の言葉が
澄みきっていて、切なさもあるけれど
とっても爽やかで、
こんな言葉を紡げる著者に
憧れを抱いてしまいますね
と、いう訳で
どれも良いのです
読み終わった直後は
この著者の
他の作品は読みたくないなぁ
と思う程良かったですね笑
普通は良い作品を読めば
その著者の他のも
読もう、と思うわけで、
こんな風に思うことは
少ないのですが、
何となく、そう思わせるような
良さなんですね
非常に有名な傑作ですが
まだ、読んでいないという方は
是非是非。
また、読んだことが
ある方も……
久しぶりに再読など
いかがでしょうか?
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