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2016年03月28日
去年の冬、きみと別れ
さてさて、本日はこちら
中村文則著『去年の冬、きみと別れ』
異常な程、カメラに執着する
木原坂雄大というカメラマン
彼は被写体を
燃やした罪に問われ、
今、死刑施行を
待つ身となっています
そして、そんな
彼について書こうとする
ライターである僕
僕は、木原坂雄大や
その周囲の人々、
そして彼の姉と
接していく中で
木原坂雄大について
考えようとするのですが……
狂気が伝染しているのか
それとも狂気は
集まるのか、
とにかく、木原坂雄大の
関係者はこぞって
狂人と言われても
仕方のない人々ばかり
木原坂が目指したのは
「地獄変」の境地?
木原坂雄大の姉、
朱里もまた、
敵の多い、人を
人とも思わぬ
人間のようで
そのくせ異常な程
異性を惹きつけてしまう
強烈な、出来れば
一生のうちで
出会いたくは
ないような人々が
自然と結びつき
常人には
理解できないような
理屈で、世界を生きていく
そうして紡ぎ出された
どろどろとおぞましき
悲劇……
なぜ、事件は
起こったのか?
それを、僕が
理解することは
出来るのだろうか?
ひたひたと感じる気味悪さ
何かがおかしい、という
不安感……
なかなか読みごたえの
ある作品です
補足ですが
口コミを見ていると
結構好き嫌いが
分かれているようですね
個人的に思うことは
ミステリーが好きで
ミステリーとして
読もうとすると
無理があるかも
しれないです
ミステリーとかではなく
人のどろどろしている
心を描いている作品
そのどろどろ具合に
引きつつ惹きこまれる作品
だと思います
そのつもりで
読めばなかなかに
満足感のある
ものではないでしょうか?
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2015年06月28日
遮光
すみません…
今月はさぼりっぱなしに
なってしまいましたね…
わざわざお越しいただいたのに
更新してなかったー、
となってしまった方も
いらっしゃるかと思います、
申し訳ありませんm(__)m
本日は、こちらです
中村文則著『遮光』
先に断っておくべきは、
この物語は、暗いということです
この、暗さに惹かれる人は
とてつもなく惹かれると
思うのです
じっとりと、離れられなく
なるような。
淡々と、感情が無いのではないか、
少なくとも、何かが抜け落ちているのではないか、と
思うような、そんな主人公が大切に持っている瓶
一見、激高して相手に向かって
棒を振りおろしている、そんな瞬間
そうして「怒っているふり」を観察し
喜びを覚えている自分がいる……
どんな時も、彼は心から
その言動に到っているのではなく
きっと、こういう場合、こうするだろう、
そう思った人間を演じることに、喜びを覚える
一体この人は何なのだろう……
そう思うのだけれども、どこかに、
訴えかけるものがあるんです
何かを、この人は
抱えている
それも、かなり切実で悲痛な
叫びがずっと、彼の語りの根底には
流れているような…。
彼は、大切に大切に持っている、その瓶の
中身が他人に露見することを
非常におそれています
一体、ではその、遮光布に包まれた
瓶の中身は一体何なのか?
演技なのか、演技でないのか……
読みながら彼に翻弄される
ひたひた心が締め付けられる
けれども、目が離せない
彼は脆い、脆いように感じる
その脆さはどこからきているのか
その瓶は何なのか
何が彼をそこまで無感動にしているのか。
人と繋がるかと思えば、
それをぷつんと切ってしまうような
破壊的衝動へ駆り立てているのか
彼は時にひどく他人を傷つけているのに
どうして、駄目だよ、と思いつつ
何とはなしに憐れに見えるのか
彼のその特異な人格は、
おそらく元々そういうものだったのでしょう
しかし、その人格に僅かばかり変化が現れる
出来事というか存在が
出来たのではないかな、と思います
物語を読んでいくうちに、そんな風に思う
残酷なことは、彼自身がその変化に
気づいていなかったこと
全く理解できない
彼の中に、少しずつ分かった
ような気分になるものを
見つけていく
彼が、全く理解できない
ただの気味悪い人では
なくなっていき、
ついには……
思わず彼の為に
落涙してしまうほどの
共感を見つける瞬間
私だって、彼に
なりうるかもしれない……
そう思う瞬間
癖のある作品といえば癖があります
まずもって主人公の人格が
ひと癖どころではないですし…
でも、残酷ながら、
切々と訴えてくる作品です
切々と訴えてくる?
少し言葉が優しすぎるかも
しれないですね
いいではないですか
暗い作品も。
傑作でしょう
是非是非
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なってしまいましたね…
わざわざお越しいただいたのに
更新してなかったー、
となってしまった方も
いらっしゃるかと思います、
申し訳ありませんm(__)m
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先に断っておくべきは、
この物語は、暗いということです
この、暗さに惹かれる人は
とてつもなく惹かれると
思うのです
じっとりと、離れられなく
なるような。
淡々と、感情が無いのではないか、
少なくとも、何かが抜け落ちているのではないか、と
思うような、そんな主人公が大切に持っている瓶
一見、激高して相手に向かって
棒を振りおろしている、そんな瞬間
そうして「怒っているふり」を観察し
喜びを覚えている自分がいる……
どんな時も、彼は心から
その言動に到っているのではなく
きっと、こういう場合、こうするだろう、
そう思った人間を演じることに、喜びを覚える
一体この人は何なのだろう……
そう思うのだけれども、どこかに、
訴えかけるものがあるんです
何かを、この人は
抱えている
それも、かなり切実で悲痛な
叫びがずっと、彼の語りの根底には
流れているような…。
彼は、大切に大切に持っている、その瓶の
中身が他人に露見することを
非常におそれています
一体、ではその、遮光布に包まれた
瓶の中身は一体何なのか?
演技なのか、演技でないのか……
読みながら彼に翻弄される
ひたひた心が締め付けられる
けれども、目が離せない
彼は脆い、脆いように感じる
その脆さはどこからきているのか
その瓶は何なのか
何が彼をそこまで無感動にしているのか。
人と繋がるかと思えば、
それをぷつんと切ってしまうような
破壊的衝動へ駆り立てているのか
彼は時にひどく他人を傷つけているのに
どうして、駄目だよ、と思いつつ
何とはなしに憐れに見えるのか
彼のその特異な人格は、
おそらく元々そういうものだったのでしょう
しかし、その人格に僅かばかり変化が現れる
出来事というか存在が
出来たのではないかな、と思います
物語を読んでいくうちに、そんな風に思う
残酷なことは、彼自身がその変化に
気づいていなかったこと
全く理解できない
彼の中に、少しずつ分かった
ような気分になるものを
見つけていく
彼が、全く理解できない
ただの気味悪い人では
なくなっていき、
ついには……
思わず彼の為に
落涙してしまうほどの
共感を見つける瞬間
私だって、彼に
なりうるかもしれない……
そう思う瞬間
癖のある作品といえば癖があります
まずもって主人公の人格が
ひと癖どころではないですし…
でも、残酷ながら、
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切々と訴えてくる?
少し言葉が優しすぎるかも
しれないですね
いいではないですか
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タグ:小説