2014年12月10日
真夜中の料理人
さてさて、本日は
ちょっとブラックなお話かも
しれませんね
阿刀田高著『真夜中の料理人』
短編集になっていますが
どれもこれも、
結構、ブラック。
やたらめったに現実感があって
もしかして、私も
この主人公のように
なることが、あるかもしれない…
なんて思ってしまうような
リアル感
あまりに浮気のたえない
夫に憎悪の念を燃やす妻
田舎へ出向いた
料理批評家を襲った不幸
お見合い話を断っている
うちに結婚の相手が
なくなってしまった娘
かつて好きだった女性の
表の姿、本当の姿
妻の親友との不倫関係
等々……
うわあ、ゾクリ
ひたひたと怖い
けれども何だか
気になってしまう
そんな作品たち。
表題の
『真夜中の料理人』
は、都会育ちの妻と
田舎育ちの夫の
すれ違い…というか対立
肉の好きな妻
魚の好きな夫
あんたの友達は皆下品で
本当に嫌になっちゃう
とキンキン言われて
しかし、口では勝てずに
ぐう、と怒りを
抑え込んでいる夫
お互いに、
こんな人と一緒になって
ずいぶんと外れくじを
引いたんじゃないか、
と、そんなことまで
思いはじめている
冷戦状態
そんな折、
夫の友達から
鮭が送られてくる
頭がついたままの
立派な鮭
しかし、妻は
勿論、良い顔をしない
夫の方は、
優しかった母親を
思い出したりしながら
意地になって
魚をさばこうとする
しかし、魚臭くなるから
キッチンはだめ
お風呂なんてヤメテ!
妻と口げんかをしながら
あまりに理解の無い
妻に、悲しい、本当に
悲しい、と夫
こういう、しみじみした
といいますか
極限状態の悲しさ
自嘲・罪悪感
の描き方が
本当に、上手い…
ここまで激しい気持ちに
実生活の中では
幸いになったことは
ないのですが
何だか、真に迫って
訴えかけてきます
そして、何よりも
うまいのが…
殺意。
激しい殺意もあれば
ぶすぶすとくすぶらせて
さらっと笑いながら
殺してしまうような
そんな殺意まで
いやはや、身震いする
気分です
しかしですね、
偶にはこういう作品で
毒抜きというのも
悪くないんじゃないでしょうか
ねえ?
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*..管理人による雑記...*
何となく、最近増えたのか
どうかまでは
分からないのですが
過剰な繰り返し表現によって
狂気性を表すという
手法がありますよね
殺してやる殺してやる殺してやる…
許さない許さない許さない……等
ああああああああああああ
とかも、個人的には
同じくくりに入るのですが…
はじめて見た時には
おそらく衝撃的だったん
だろうな、と思うのですが
どうも、ちょっと
苦手だったりして。
うーん、技術的だなぁと
言いますか。
確かに狂気性は
伝わってくるんですが
慣れてしまうと
そっちへ逃げたか、なんて
意地悪になっちゃったり
して。
特に復讐等がメインテーマの
作品でこれをやられると
あぁ…となってしまう
自分がいるんですね
かなり劇的な手法も
使いすぎると
逆に軽く感じて
しまうということでしょうか…
ああ、あともう一つ
しょうもないことなんですが
こういう表現って
見た目が美しくない笑
マイナスな言葉や漢字の
羅列だから余計そう
思うのでしょうか…
とか言いつつ、それほど
こういう作品に触れた
ことはないのですが…苦笑
何で見たんだろう…
ぱっと思い出せない…
そんな訳で、こういう
作品って、読むと
いいな、と思ったりするんですね
ここまで濃く濃く
人のこわーい一面を
緻密な言葉で
描き出しているのって
冷めることなく
そんな感情になるのかなぁ
本当に、
っていう感情を持つ
登場人物に
感情移入とまでは
いかなくても
ちょっと分かる、
くらいの気持ちに
なれたりして
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