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2014年11月27日
九つの物語
橋本紡著『九つの物語』
主人公ゆきなのお兄ちゃんは、読書好き。
お兄ちゃんの部屋には沢山の古本があって
お兄ちゃんの影響で読書が好きになった
ゆきなは、そこから借りて
いつもいつも、本を読んでいます
そんな、彼女がその時に読んでいるお話に
呼応するようにして、
彼女の物語も、またすすんでいく
そんな、九つの物語は以下の通り
『縷紅新草』『待つ』『蒲団』『あぢさゐ』『ノラや』
『山椒魚(改変前)』『山椒魚(改変後)』『わかれ道』
『コネティカットのひょこひょこおじさん』
はじまりは、お兄ちゃんが帰ってきたところから。
ゆきなは、最初驚いてしまいます。
それでも、ゆきなは何気ない風を装って
お兄ちゃんと、それまでと変わらない軽口を叩き合う
初対面の人にも決して臆さず、
呆れるくらいマメで、だからこそ、とってもモテる
ゆきなのお兄ちゃん。
付き合っている女の子も、ころころ変わります
そして、お兄ちゃんは、料理が大の得意。
彼女の読む作品も核になっていますが、
お兄ちゃんの料理も、なかなかにな存在感
とにかく、美味しそう……
お腹の減ってしまう小説です笑
しかし、そうやって帰ってきたお兄ちゃんと、
軽口を叩き合い、お兄ちゃんの美味しい料理を食べる
生活を当たり前のように送っていたゆきなでしたが
ちょっとしたきっかけで、
どうしてお兄ちゃんが
いなくなっていたのかを思い出すことになり
ゆきなは、それを忘れていたことも含め
衝撃的な痛みに襲われてしまう
たった10ページそこらの『わかれ道』が
読めなくなってしまうほどに……
大好きなお兄ちゃんの料理を
食べられなくなってしまう程に……
そうして、ゆきなが悶々と歩いて行きついた先は……
かなり、チャラチャラしたお兄ちゃんですが、
大事な時には格好良い素敵なお兄ちゃんです
ちょっとだけ憧れる、かも。
切ない物語ではありますが、
物語が進むにつれて
目が離せなくなってしまう……
わりと、実はこうこうだった、
という情報ははっきり出すのですが
絶妙に小出しなので、どうしても、先が気になる
ゆきなと、ゆきなの家族の過去は
どのようなものだったのか…
その過去と向き合って、
ゆきながどう成長していく過程が
非常に愛おしい物語です。
ちなみに、最後には、お兄ちゃんの
オリジナルトマトスパゲッティの
レシピがついています!
これは、つくりたい!一度つくって食べてみたい!!!
と作品を読めば思わずにはいられません笑
なるほど、ニンニクは、刻むのではなく、
潰すのですね。
いいこと知りました!笑
(あれ、これはもしやネタバレ…?
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2014年11月26日
空中ブランコ
こちら。
奥田英朗著『空中ブランコ』
さてさて、こちらは、ちょっと…
いえ、とてつもない変人奇人の
精神科医が毎回登場する短編集になっています
メインキャラクターは変わらないけれども
それぞれのお話のつながりは
無いタイプ。
伊良部総合病院の、
神経科の戸をノックすると、どうぞー!
と素っ頓狂な声が聞こえ、
開けてみればこの伊良部先生、そして
美人だけども愛想のかけらもない
女性の看護師さんがいます
まず、この短編集、初っ端で
表題にもなっている
『空中ブランコ』でやってくれるんです
話の流れと言い、伊良部先生の
ハチャメチャなキャラクタと言い
最後に、患者が感じる不安を拭いきれぬまま
しかし感じる希望、興奮
そして、話の落とし方まで。
もうね、伊良部先生の話をもっと
読みたい!とすっかり読者に思わせてしまう、超傑作。
この短さで、こうまで楽しめたのも珍しいかもしれない…
構成も上手いんですねー医者としての伊良部先生、
こんな性格なら、他の医者からどう思われてるんだろう?
と思ったところで、他の医者が登場する短編が出てきたりして笑
唯愛想が無いだけかと思っていた看護師さんも、
何やら気になるキャラクター
伊良部先生は、子どものように天真爛漫なだけかと思えば
案外理論家っぽかったり、ちょっと黒いところもあったり
全く持って読めない…
どんどん読者をドツボに落とし込んでくれる
良いキャラクターです
伊良部先生のところへ通う
患者たちは、皆最初は
自分の持っていた弱い部分を認めたがらず、
それでもって深刻に悩んでいるのですが
伊良部先生は治そうという気が
あるんだかないんだか
ハイ注射!と目を輝かせて
とりあえず注射をして、
後は患者の話を聞こうとしやしない。
子どものように目をきらきらさせて、
気付けば先生が一方的に
しかも支離滅裂なことを喋って、
ついには患者をあっちこっちへ
引っ張りまわしてしまう
そんな中で、伊良部先生のお陰のような、
お陰じゃないような
うーん、やはり先生のお陰…なのか?
という感じで少しずつ、患者の心境に変化が生じてくる
治りました!と終わるかというと、
そうでもないのですが
何となく、希望を感じるような、
爽やかなお話ばかりだと思います
そして、全体的に先生のせいで
ドタバタ感が生じている。これもいい
どうしても精神的に参っちゃうようなことがあったら、
先生のような人に
診てもらい…たいようなたくないような苦笑
是非、ご一読ください
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2014年11月25日
きもの
幸田文著『きもの』
いつの時代も、女性って変わらないなぁ、
と感慨を持ったり
いやしかし、やはりこの時代の
女性の心は美しいなぁ、と
感動したりする作品。
主人公のるつ子は、上に姉が二人
兄が一人いる、末っ子の娘
とにかく、幼い頃から
着物には、うるさい子なのですね
彼女がこだわるのは、
着心地。
これ一点なんです
ちょっと、笑ってしまうくらい
そして、そんなるつ子に
着物の着方から、選び方から
着物との向き合い方から
全て教えるのが、
るつ子のおばあ様
もうこのね、おばあ様の
存在感が、圧倒的で
こういう方こそ
素敵なおばあ様であり
素敵な日本女性だと
思わされてしましました
着物をぱぁっと
脱ぐんじゃない、だとか
家族の中でも、絶妙に
舵取りをしてくれている
困った時には、おばあ様。
気づけばもう
読者はそう思って
安心してしまう
慎ましさも備えつつ
芯のしっかりしていて
倹約はするけれども
決してしみったれない
ああ、こんな生き方を
したい、と自分の生きる
お手本にしたくなる人物です
姉二人は、うーん、
女っぽい、そんな印象。
この二人は、ちょっと
女の嫌な面も
描き出している感じです
るつ子は、かなり
この二人と対照的な性格
竹を割ったよう、と言いますか
周りの人々も
あなたが一番いい人だ、
って言われるような……
でも、それって勿論
るつ子の元々の気質も
ありますが、
しっかりもののおばあ様が
躾けてくれていたのが
大きいのじゃないかな、
とそう思えます
おばあ様は生活の知恵から
生きる為の心得から
人として捨ててはならない
心意気まで、
全て、教えていくんです
それも、迷いなく。
絶妙なタイミングで
何度も、彼女の素晴らしさに
唸らされてしまいます
その一方で、
着物が当たり前に
着られていたこの時代、
女性達がどれほど
着物を含めて
様々なものを
大切に大切に扱っていたのか、
これも丁寧に、
しかし自然と描写されています
幸田文さんの文体は
本当に匂い立つようだと
思います。
女性が書きました、
それも、とびっきり
素敵な女性が。
そう思わせる文体
時は流れ、
姉二人が結婚しても
なかなかるつ子には
縁が訪れない
それでも末娘を手放す
惜しさからか
お父さんは割と
のんびり構えていたりして
そんな中関東大震災が
起きる。
この緊急事態でも
やはりおばあ様が、
とてつもなく
頼りになるんですね
るつ子に、うじうじするなと
それまでのお嬢様お嬢様
した生活ではない
生活をさせながら
決して男性との
馴れ合いは許さない所
だとか……
言うまでも無く、
着物を着たくなる一品であり
また、物を慈しみしみたくなり、
大切に使いたくなり
日本を愛したくなる
そんな作品。
この作品中の日本と
今の日本とでは
かなり大きく違うでしょうが苦笑
是非是非、心を清める
と思って、読んでみて下さい
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2014年11月24日
各書名言集(小説pert11)
名言集、いってみたいと
思います、のんびりと。
『時間の砂』
―群衆から歓声があがった。最初に雄叫びをあげたのはハイメだったが、
またたく間に大群衆の叫びとなって、町中に響き渡った。
それは、自由への歓声であり、圧政に対する戦いへの励ましであり、
やがてやって来る勝利への歓呼であった―
政府から見ればテロリストも、バスクの人々にとっては英雄
ハイメ・ミロという人物は、一方から見れば残酷で、
そしてまたもう一方から見れば全く違う顔が見えてくる……
彼の、仲間や修道女達とのやりとりからは、残酷なテロリスト
という言葉がなかなか浮かんでこないから、不思議です
紹介記事はこちら
『銀漢の賦』
―もし、ここに十蔵がいたら、十蔵もともに闘ってくれたであろう。
三人がともに闘うという生き方もあったのかもしれんな―
切なくも心に染み入る一言…
将監・源五・十蔵の三人の関係は、
周りの及びも付かないほど固いもの
であったと思うと
彼らの間にあった身分の差や立場の差が
いっそう辛く思えてきてなりません
紹介記事はこちら
『空の中』
―間違うことをごまかしたらいかんがよね。
次は間違われんと思いながら生きていくしかないがよ。
けんど、わしはこの年になってもまだまだ間違うぜよ。
げに人間は業が深い。
死ぬまで我と我が身を律しちょかないかんがやき―
悟りを開いてばんばん名言を言いまくる宮じい…笑
しかし、この作品の中で宮じいの存在は
とてつもなく大きく、個人的に
作品の中で一番好きなキャラクターかも…
紹介記事はこちら
『半分の月がのぼる空』
―ひとつ、断っておく。
これは、なんでもない、ごく普通の話だ。
男の子と女の子が出会う、ただそれだけの話だ。
つけくわえることはなにもない。
もちろん、僕たちにとって、それは特別なことだったけれど。
いや、ちょっと違うかな……。
僕たちにとっては、本当に本当に特別なことだったけれど。 ―
このお話、僕、が一気に成長する話だと
思うんですよね…
本当に本当に特別なこと、を経験して
紹介記事はこちら
いかがでしたか…?
載せる名文を見る為に
本をぱらぱらと読んでいるうちに
気づけば引き込まれて
ほぼ再読状態になってしまいました…笑
どの作品も
面白いので是非、
読んでみて下さいね
2014年11月23日
書店ガール
さてさて、本日ご紹介するのはこちら
碧野圭著『書店ガール』
書店のアラフォー副店長理子は
まさに、仕事人、という印象の
格好いい女性
しかし、理子は、
若くて自由奔放で強調性ナシの
亜紀にほとほと手を焼いていました
本を棚に入れる時に、
奥まで入れてしまうのではなく
少しだけ、手前に引いておく
そうすることで
お客様が本を手に取りやすくなる
こういうことを大事にする
理子と、
次々に斬新なアイデアを
臆することなく提案する亜紀。
二人はことごとく反発しあい
やがてそれは憎悪のような
ものにまで発展……
二人とも、自分の生き方に
自信はあるのはいいのだけれども
ちょっと性格がキツすぎるというか…
悪い意味で、固定観念的な
女性らしさを持っているというか…
女の戦いはなかなかに
恐ろしいのですが…笑
しかし、そんな折
理子のつとめる支店を
潰せという本社からの命令が…
店が大好きな理子は
必死になって
再建しようと頑張る
しかし、そんな理子を
「女」だから、と
見下し足を引っ張る男がいる
そんな男に、
亜紀が今度は猛反発する…
女の関係は、どろどろしていて
非常に複雑で
それでいて、すっぱりしている
理子も、亜紀も、
根はすごく、すっきりと
まっすぐ。
最初と違って、
どんどん彼女達の
カッコイイところが
見えてきて
憧れてしまいます。
特に女性には
是非ともお勧めしたい
一品です。
逆に、男性キャラは
なかなか、トンデモナイ奴が
多いので、
もしかすると男性は
読むと少し凹む…かも!?
しかし、最初のどろどろしている
ところでは、はらはらしながら、
ぐいぐいと読めますし、
二人の関係が変化し、
最後の方になると、もう
文字を追うのが
まどろっこしいくらい
スピード感があって
爽快な物語です。
舞台が書店ということで、
本好きにはなかなか
たまらない場面も沢山。
書店が一丸となって
何とか店を盛り上げようとする
のは、見ていて本当に
心から応援したくなってしまいます
とんでもないエネルギー
元気をもらいたい時に、
いかがでしょうか?
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2014年11月22日
半分の月がのぼる空
ので……
もう一冊。
橋本紡著『半分の月がのぼる空』
ご紹介、とはいえ
普段私がここに載せている
ような作品が
好き、という方は
読んでむちゃくちゃ
面白い!とは
ならないかも、と
思ったりもするのですが
なかなか、興味深い作品。
表紙を見て分かるように
いわゆる、
ライトノベルというんですね
おそらく、私
このようなジャンルのものは
はじめて読んだのですが…
(あぁ、でも有川さんのものって
元はライトノベルでしたっけ…
定義が難しいなぁ
主人公の語り口なんかは
ラノベ節ですし
キャラクターもはっきり
属性が添加されているのが
分かります
へたれ男子
薄幸の美少女ツンデレ属性
元ヤン美女
くえないエロジジイ
ただ、興味深いのは
ライトノベルですが
かなり現実味のある
「死」をテーマにしている
ことですね…
とてつもない深さを
感じる訳ではないのですが
ライトノベルしか
読まない、という層
(私の周りにも
そういう方がいらっしゃるので
にとっては、なかなか
衝撃的なのかもしれないなぁ、
と思ったり…
中学生くらいに、読んでみ、
と勧めてみたいなぁ
「死」を扱っていて
それなりに真剣だけれども
重すぎない
心にダメージはこないというか
ライトノベルというジャンルも
こんなの扱うんだなぁ、と
(とはいえ、ほとんど
ライトノベルに関しては
知らない、のですが苦笑)
今まで知らなかった一面を
見た気がする作品です
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めっきらもっきら どおん どん
長谷川摂子作 ふりやなな絵
『めっきらもっきら どおん どん』
表紙がちょっぴり
不気味なこの絵本。
やけになって、かんたくんが
歌っためちゃくちゃな歌。
それを聞いて
誰かが笑う
かんたは神木に
吸い込まれて……
現れたのは
「もんもんびゃっこ」
「しっかかもっかか」
「おたからまんちん」
という3人の化け物
やっぱり、ちょっぴり
見た目の不気味な
化け物達はしかし、
何とも人懐っこくて
かんたは、
しぶしぶ、
順番に一緒に
遊んでやることに
したのですが
この遊びが、
驚くほど面白い
夢を見ているようで
かんたも夢中に
なわとび名人もんもんびゃっこ
モモンガごっこをする
しっかかもっかか
そして最後に、沢山の
水晶玉を持っている
おたからまんちん
どれもこれも、
あーっと憧れたくなる
遊びばかり
最後はみんなで遊んで、
おもちのなる木の
おもちを食べて
(これも、あーっ笑
最後は……!?
リズミカルにぽんぽんぽん
と飛び跳ねるような言葉と
ストーリー
異世界に迷い込んだ、
そのわくわく感に
気づけば吸い込まれて
しまいます
嵐のように
3人の化け物が
やってきて、
嵐のように
去っていく、そんな感じ
実際にはかんたが
あちらの世界に
行っているんですが笑
読み聞かせならば
読んでいる方も
楽しくなってしまう
そんな絵本です
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2014年11月20日
異文化としての子ども
本日ご紹介するのはこちら
本田和子著『異文化としての子ども』
子どもと交流することは
異文化交流するようなもの…
異文化としての子どもを
優しく、
憧れを含んだ
眼差しをもって
分析している本書
小説じゃない、評論も
面白いじゃない!
と、感激し
個人的に読む本の幅が
広がるきっかけになって
くれたなぁ、と思います
説明文ではありますが
言葉がとても柔らかい
ので、肩の力を抜いて、
読んで見て欲しいですね
まずは、「子ども」とは?から
べとべと神の泥遊び。
ばらばらな今を生き、
わくわくする祝祭日を担い、
晴れがましく病気になる
(この言葉選びが
素敵だなぁ、と思う訳です
子どもの描かれている絵や
文学作品をとりあげながら
子どもが、どのような存在で
どのような世界に生きるのかを
考察していきます
そして、今度はさらに
文学作品をたくさん。。。
有名な、
もじゃもじゃペータ
この異端者たるペータの
価値が見直され
つい先日ご紹介した
モモ、さらには
アルプスの少女ハイジ
が生まれたというお話
その後が、個人的には
一番好きなのですが
「子どもの死」
についてです。
哀しいけれども、本当に
きらきらして見えるように
綺麗。
マッチ売りの少女や
星の王子様が
取り上げられています
なぜ、文学作品の中で
子どもは死ななければ
ならなかったのか
子どもの死が悲しいものに
変わったその契機
非常に興味深くて
その文体のせいか
小説を読んでいる時のように
純粋に楽しめてしまいます
最後に、少女漫画にみられる
「ひらひら」について
ここの章は
本田さんの
ひらひらに対する情熱が
ほとばしり
ともすれば
暴走しているのかも…
少女漫画が
蔑まれていた時代
だったからこその
情熱なのかもしれません
これは、子ども、というより
少女、という感じ
こうして、読了、大満足。
発売が1992年という
ことですから、
かなり昔に書かれた
ものであるというのに
古さを感じさせません
だまされたと思って
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2014年11月19日
綱渡りの男
本日は久しぶりに絵本です
モーティカイ・ガースティン/作・絵
『綱渡りの男』
この表紙ですよ。
高所恐怖症の方には
心臓に悪いかもしれませんが
本来ならば
目がくらみそうなこの
絵が、なぜだか
とても爽やか
母が読み聞かせで
用いたらしいのですが
これは、まだ
アメリカにツインタワーのあった
頃、本当にあったお話です。
この大前提があったからか
どうか、
小学生はお目目きらきら
ほんとのほんとにほんとなの!?
ツインタワーの高さって
どれくらい!?
(通天閣の4倍くらいかな!?
えーっテレビ中継してた!?
(その頃テレビはそんなに
普及していなかったような苦笑
と、読み聞かせ中
じっと耳をすまして聞いて、
終わった途端に
質問の嵐だったそうです笑
何だか、分かる、
冒険心、挑戦心
男がさあ、綱渡りを
するぞっと
足を踏み出すその
瞬間の緊張感
そして……
綱渡りの綱の上で、
男は自由に
歩くだけでなく
走って、踊って、飛んで!
警察が何をわめいても
綱の上にいる限り
男は自由で、
そして、注目を全て
集めてしまう。
こんな、信じられないことを
した人が、いたんですね…
さて、終わった男は
大人しく警察に
両手を差し出しますが
裁判で……
とてつもない爽快感を
感じさせる絵と、
子どもは勿論、大人も
憧れずにはいられない
男の夢
綱渡りをする場面では、
縦横1ページづつ
折り込み開き型になって
いますので、
読み聞かせの時には
そこだけ、少し
注意。
少し練習確認を
しておくと
よいかもしれませんね
そして、ツインタワーといえば
2001年9月11日
アメリカ同時多発テロ
を思い出しますね……
このことについて、
じっくり話してみるのも
いいかもしれません
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2014年11月18日
マシアス・ギリの失脚
さてさて、本日ご紹介するのはこちら
池澤夏樹著『マシアスギリの失脚』
読んでも読んでも
終わらない長い物語
波乱万丈で、おかしくて、
不思議で、悲しくて、わくわくする
長い長い話……
このワードにときめきを
感じた方には
もう、問答無用で
読ませたい作品です笑
物語は、タイトルが
壮絶なネタバレですよね。
南洋の島国ナビダード民主共和国で
マシアス・ギリという人物が
大統領として返り咲き、
そして失脚する物語。
マシアス・ギリは、
最初、現実主義、に見えました
政権を握る為には
汚いことも、仕方ないと
言わんばかり
思い切りよく、いつも
判断を下していて
THE政治家、という感じ。
政敵もおらず、
ほぼ独裁状態の
マシアス・ギリなのですが
日本からの慰霊団を乗せた
バスが消えるという事件以降
少しずつ、歯車が狂い始めます。
この、ナビダード民主共和国は
当たり前のように、
不思議が起きる国。
消えたバスは、
星座になっていたり
雑誌の為に撮影した写真に
現像してみれば移り込んでいたり
神出鬼没。
中の人は、手を振っていたりと
無事、のよう?
対応策など分かるはずもなく
マシアス・ギリは頭を抱えます。
しかし、他にも。
マシアス・ギリご用達の
高級婦館では
何やら身元の知れない
恋人同士の男性がいつも
隅っこでいちゃいちゃ。なぜ?
そうかと思えば
不思議な力を持つ女が
現れて……
善良な市民が、
途端に賢くなって、
熱く議論を交わす場所が
あったりだとか
謎のメモ。
差出人不明の手紙。
これらは一体……?
とにかく、独特の雰囲気に
包まれる、不思議で、
孤立した空間
現実からかけ離れているように
思われる、そんな島国で、
マシアス・ギリは
政策を行っていくので
何だか、本当に、
現実と非現実の混ざり合った
奇妙な感覚に陥ります
あの、現実主義のように
見えるマシアス・ギリが
当たり前のように、
亡霊リー・ボー
と話はじめたりするのですから…
しまいには、
バスが消えたり、
不思議な女がいたり、
そんなことこそが、
現実なのではないか、と
思えてくるほど
非現実を描いているのに
その非現実は原色で描かれている
ように、くっきり、濃く
読者に迫ってきます。
もう、浸るしかない。笑
しかし、そうして浸りながら
この長い長い物語を
読んでいても、なかなか
マシアス・ギリが失脚する
決定打が出てこない。
むしろ、しぶとく、
失脚だなんてしなさそうに
見えるマシアス・ギリに
一体何が起こるのか?
この緊張感もたまりません。
現実と非現実の間を
行ったり来たりしながら
この、長い、長い物語に
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