2014年11月18日
マシアス・ギリの失脚
さてさて、本日ご紹介するのはこちら
池澤夏樹著『マシアスギリの失脚』
読んでも読んでも
終わらない長い物語
波乱万丈で、おかしくて、
不思議で、悲しくて、わくわくする
長い長い話……
このワードにときめきを
感じた方には
もう、問答無用で
読ませたい作品です笑
物語は、タイトルが
壮絶なネタバレですよね。
南洋の島国ナビダード民主共和国で
マシアス・ギリという人物が
大統領として返り咲き、
そして失脚する物語。
マシアス・ギリは、
最初、現実主義、に見えました
政権を握る為には
汚いことも、仕方ないと
言わんばかり
思い切りよく、いつも
判断を下していて
THE政治家、という感じ。
政敵もおらず、
ほぼ独裁状態の
マシアス・ギリなのですが
日本からの慰霊団を乗せた
バスが消えるという事件以降
少しずつ、歯車が狂い始めます。
この、ナビダード民主共和国は
当たり前のように、
不思議が起きる国。
消えたバスは、
星座になっていたり
雑誌の為に撮影した写真に
現像してみれば移り込んでいたり
神出鬼没。
中の人は、手を振っていたりと
無事、のよう?
対応策など分かるはずもなく
マシアス・ギリは頭を抱えます。
しかし、他にも。
マシアス・ギリご用達の
高級婦館では
何やら身元の知れない
恋人同士の男性がいつも
隅っこでいちゃいちゃ。なぜ?
そうかと思えば
不思議な力を持つ女が
現れて……
善良な市民が、
途端に賢くなって、
熱く議論を交わす場所が
あったりだとか
謎のメモ。
差出人不明の手紙。
これらは一体……?
とにかく、独特の雰囲気に
包まれる、不思議で、
孤立した空間
現実からかけ離れているように
思われる、そんな島国で、
マシアス・ギリは
政策を行っていくので
何だか、本当に、
現実と非現実の混ざり合った
奇妙な感覚に陥ります
あの、現実主義のように
見えるマシアス・ギリが
当たり前のように、
亡霊リー・ボー
と話はじめたりするのですから…
しまいには、
バスが消えたり、
不思議な女がいたり、
そんなことこそが、
現実なのではないか、と
思えてくるほど
非現実を描いているのに
その非現実は原色で描かれている
ように、くっきり、濃く
読者に迫ってきます。
もう、浸るしかない。笑
しかし、そうして浸りながら
この長い長い物語を
読んでいても、なかなか
マシアス・ギリが失脚する
決定打が出てこない。
むしろ、しぶとく、
失脚だなんてしなさそうに
見えるマシアス・ギリに
一体何が起こるのか?
この緊張感もたまりません。
現実と非現実の間を
行ったり来たりしながら
この、長い、長い物語に
浸ってみて下さい
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