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2014年10月22日

失はれる物語

本日ご紹介するのはこちら

乙一著「失はれる物語
失はれる物語.png

短編集です。収録作品は
1.Calling You
2.失はれる物語
3.傷
4.手を握る泥棒の物語
5.しあわせは子猫のかたち
6.マリアの指
に、文庫本版には
「ボクの賢いパンツくん」
「ウソカノ」
が追加されています

表題の「失はれる物語」も勿論ですが
他の作品も、本当に、心に残ります

乙一さんの作品に出てくる
自分に自信のないキャラクター達って
本当に嫌味がないというか
嘘っぽくないというか
感情移入してしまいます
「Calling You」の主人公の女の子
リョウなんて絶妙ですね

頭の中で携帯を思い浮かべて
てきとうに番号を押しているうちに
相手と繋がってしまう

その相手も、自分と同じ孤独を抱えていて
お互いにとても大切な人になっていく

現実に、会ってみようとなって
胸をどきどきさせながら
待ち合わせ場所へ向かいますが……

相手のシンヤも本当に素敵な子で
だからこその、切なさ
しかしこれを乗り越えて
リョウが大人になったのも事実

表題「失はれる物語」は
さらに救いようがなくて
主人公の気持ちがちょっと
上手く描かれ過ぎだと思います
ここまで訴えてくるのか…
とにかく、
涙なしには読めませんでした
意識はあるけれども
動かせるのはたった指一本だけ
死にたくても、自分で死ぬことも出来ない
辛さ。苦しいお話です

全ての短編について語ってしまいそうなので
(本当に、この短編集は、このお話が一番!
とかではなく、どのお話もとても好きなんです、私

何とか無理やりまとめると
1〜5は、人の感情の機微を描いた
物語という感じです
切ないものが多いですが
切ない中に希望を感じることも多く
「傷」や「手を握る泥棒の物語」なんて
なかなか清々しい読了感です

5のねこのお話は
主人公や周りの人間(?←?にしている理由は読めば分かります
の関係だとか、心情に加えて
最後に推理ちっくな場面もありますが
個人的な感想では、
心情を描いている方に比重が重いかと
とても、優しい物語です
ラストの方、ご主人様がいなくなった
ことが分からないねこちゃんが
これまた切なかったり、します

6の「マリアの指」は
かなり不穏で、最初から
推理がメインだと思います
犯人は、誰なのか?
これがやはり一番気になる
電車の線路に、飛び降り自殺した女性の
指が、見つからない

僕と付き合うつもりならば
指輪をはめてきてほしい

そう言っていた芳和は、彼女の指を
必死で探す。

ところが、その指は白猫に
くわえられて、恭介の元へ
届いてしまう

この指から、実は女性は
自殺ではなく、殺されたのでは?
と考えた恭介による推理がはじまります

犯人は一体誰なのか…

全体的に暗い雰囲気ではありますが
しかし、何ともくせになる
素敵なお話ばかりです
是非、ご一読ください





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posted by at 00:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 乙一

2014年10月21日

各書名言集(小説pert4)

さてさて、各書名言集小説のpert4
でございます。。。
遅いですよね、苦笑
そろそろばれていると思いますが
割と性格は適当です。
家にある本や、メモをとってあるものから
順々に、振り返っていきますね

細雪
細雪.png
―雪子はそっと足の甲を裾の中に入れて居ずまいを直した。貞之助は、そこらに散らばっているキラキラ光る爪の屑を、妙子がスカートの膝をつきながら一つ一つ掌の中に拾い集めている有様をちらと見ただけで、又襖を締めたが、その一瞬間の、姉と妹の美しい情景が長く印象に残っていた。―

これは、妙子が姉、雪子の爪を切ってあげるシーンなのですが。
美しい!このシーン、実は姉妹間で、いろいろとごたごたがあった後の場面だったので
特に印象的です。何があっても、仲違いなんてしない、美しい姉妹の、姉妹愛。
あれだけ、いろいろあっても、こんな、当たり前のように仲が麗しゅうて…敵いません


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新釈走れメロス
走れメロス.png
―芽野史郎は激怒した。必ずかの邪知暴虐の長官を凹ませねばならぬと決意した。
芽野はいわゆる阿呆学生である。汚い下宿で惰眠をむさぼり、落第を重ねて暮らしてきた。
しかし厄介なことに、邪悪に対しては人一倍敏感であった。―

この、インパクトのありすぎる序文ですよ!
歴史に残る名文(迷文?)ではありませんでしょうか?
このものすごいテンションで、話は駆け抜けてゆきます

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君のためのバラ
きみのためのバラ.png
―「Una rosa para ti きみのためのバラ」と言って、黄色い花を彼女に差し出した―
ほぼ表題やないか! と突っ込まれそうですが
いや、本当にこのお話はお洒落で、すごい素敵なんです
語り手が、この黄色い花を渡すために
混んでいる電車の中を、相手の女の子を探して
かきわけ、かきわけ進み、そしてこのセリフ。
この短編集の一番おしまいのお話になるのですが
読了後の余韻が…いつまでも浸れます


紹介記事はこちら

晴天の迷いクジラ
晴天.png
―大丈夫じゃない。だけど僕は死なない―
安直なハッピーエンドなんかではないんですね
だって、「大丈夫じゃない」んですから。
でも、死なないことに理由なんていらない。
この物語を全て読み、涙を流したりしながらも
なぜだかすっきりとした心地の頭に、このセリフは
驚く程心地よく入って、浸透して、残ります
辛い時に思い出せるといいなぁ。


紹介記事はこちら


如何で御座いましょうか?
気になった!そんな文章がありましたら
是非、その本を手に取ってみて下さいね
どれも素敵な時間を提供してくれる本達です

ではでは。
posted by at 08:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 名言

2014年10月20日

晴天の迷いクジラ


さてさて、本日ご紹介するのは、こちら

窪​美​澄著『晴天の迷いクジラ
晴天.png


こちらの作品、かなりブルーなお話です

何せ、3人いる主人公は皆
自ら命を絶とう、とう思っている人々

偶然がいくつか重なって
死ぬ前に、
湾に迷い込んだと話題になっている
クジラを見に行こうと

元々は見ず知らずの3人は
共に行動をはじめます

まず、前半、その3人の過去が
順番に語られていきます

本当に、自分とは全くもって
関係の無い話なのに
どうしてこうも感情が移入してしまうのか
不思議なくらい
当時の状況と共に、
彼らの心が絶妙に描き出されています

生きる希望なんて無い、そう
言っている彼ら彼女達を
もう、何だかどのように止めたらいいのかも
分からないくらい

思い詰めているのが伝わってきて
胸が苦しくなってしまう

それくらい思い詰めているというのに
三人は三人とも、
自分でない誰かが
自分の目の前で自殺することに
嫌悪感を覚えずにはいられない

いやー、もう、死んじゃおうっかな
どーせ、私が死んだって、忘れるでしょ、皆

そう思う一方で

私の目の前で、あんたに死なれるのは嫌

な訳ですね。

そんな3人が、クジラのいる湾に到着し
仕方が無いから親子のふりをしながら
そこの人々と触れ合い

そして、またここでも
様々な痛みを抱える人に出会う

そんな中で、三人に、読者に
このお話は語りかける

自殺って一体どういう死に方なのか?

残された者の後悔とはどのようなものなのか?

ずきずきと伝わってきて、
そして、そんな人間達と並行して
「死」が見えているクジラの描写

これほど暗くありながら、
これほど人に希望というか
生きる勇気を与える作品というのが
素晴らしいと思います

是非、読んでみて下さい









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posted by at 20:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 窪美澄

2014年10月19日

きみのためのバラ

こんばんは。最近朝昼夜で
どうも、気温差が激しくって…
寒がりの私はもうすでに辛いのですが
みなさまも、体調にはお気をつけくださいね

明日はバタバタとする為、本の紹介が
出来ないと思います…m(__)m

そんな訳でこの時間から、2冊目。

ご紹介したい本はこちら

『きみのためのバラ』
きみのためのバラ.png

こちらは短編集になっています。
収録されているのは、
都市生活・レギャンの花嫁・連夜・レシタションのはじまり
ヘルシンキ・人生の広場・20マイル四方で唯一のコーヒー豆
そして表題、きみのためのバラ

池田夏樹さんらしい、静かなこことにすーっと染みてくるお話が多いです。
爽やか、というとまた少し違う気がするのですが…。
例え悲しいお話であったとしても、
何というか、おそらく、小説と同じような体験をしたのでなければ、
号泣などすることもなく静かに読み進めていくようなお話ばかりです。

極端な表現をしてしまうと、まるで詩のようなお話が多いのではないでしょうか

私はこの、池澤さんの言葉の美しさに心を射抜かれて以来
ファンになってしまいましたが
池澤さんをはじめて読む方も、試しに読んでみて、と言いやすい一書です。

このような言い方をして、マイナスにとられると不本意なのですが、
劇的なストーリー展開はありません。
全体を通して、どのお話も静かなのです。雰囲気が。
だから、号泣してしまうこともないし、心臓がはねるほど驚くこともないし、
しかしながら何だか気持ちがいい…。

透明感に溢れる美しい話、
とでも言いましょうか、

これは読んで下されば分かると思います。

静かな部屋で、
何にも邪魔されずに読んでみて下さい…



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posted by at 20:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 池澤夏樹

エリカ奇跡のいのち

本日ご紹介するのは、こちら

ロース バンダージー著
ロベルト インノチェンティ絵
『エリカ奇跡のいのち』
エリカ.png

こちらは絵本です。
本日のご紹介は非常にネタバレの
多いものになっていますが
ご了承願います……

エリカはユダヤ人の女性です。
作者に対して、エリカはこう語りはじめます
『わたくし、強制収容所に入れられるところでしたの』

エリカが強制収容所に入れられるところだった、その運命の日
エリカはまだ赤ん坊でした。
強制収容所へ向かう電車へ、母親の腕に抱かれてエリカは乗り込んだのです
つまり、エリカが話す内容は、全て聞いた話であり、さらに想像も大半を占めます

一体彼女の両親はどうして電車に乗ってしまったのか、やはり強制だったのか
それとも、騙されて乗ってしまったのか、
ぎゅうぎゅうに押し込まれてどれだけ長い間立っていたのだろうか
いつ、その電車が『死』に向かっているものだと
気付いたのだろう
いつ……いつ、彼女の両親は、
その大きな決断を、下したのだろう……
エリカは様々な回想をしながら、それをそのまま語ります

エリカはきっぱりと言うのです
きっと私のお母さんは、私にごめんね、
ごめんねと謝ってくれただろうと。
そして、きっと愛していると言って
キスをしてくれたに違いないと。
やがて、電車は踏切へ近づきます。
それにつれて電車の速度が少し落ちていきます
その時―――
電車の窓、それも大人ならば決して
通り抜けられないような小さな窓から
母親はその愛する赤ん坊を……
自分は『死』に向かいながら……
せめて、せめて赤ん坊だけはと、
――どれほど切実な願いを抱きながらだったか――
『生』に向かって、投げたのです。

きっと赤ん坊は驚いて、泣いたことでしょう。
突然母親の腕の温もりを失い、
タオルにくるまれたまま草の上で……
その泣き声を、一体どのような気持ちで両親は聞いたでしょう
その、元気な泣き声が、どうか、どうか途絶えませぬようにと……

そう、そして、両親のその切実な願いは、叶ったのです
エリカは親切な人に育ててもらうことになりました

あなたはきっとエリカという名前に違いない!と言って
エリカとして育てられました。

本当に、天国というものがあるならば、
きっと彼女の両親はそんな
エリカを見て涙を流していると、そう思いたいものです

そして、最後に……

当時、ユダヤ人は星の数だけいると言われていました。
そして、その大半が本当に流れ星となって消えてしまった。

いくら数がいようと、その人には、その人にそれぞれの生があり、
それぞれの感情があり、そしてきっと大切な人がいる

自分の死を諦めても(これにも語弊はあると思いますが)、
決して赤ん坊の死は諦められない、そのような親の気持ちを、
一体何だと思って、星の数ほどいる、等と言えるのか……

非常に語りかけることの多い話でありながら、
絵はシンプルなもので、
エリカの話も、想像している部分が多いので
お子様と読む時にも、様々なことを一緒にたくさん考えられると思います

低学年、、、だと赤ん坊を窓から投げるなんて
ヒドイ!となりかねませんが
(勿論家庭で一緒に読むのであれば、
ゆっくりと説明していくことが出来ると思いますが)
中学年、高学年ならば、きっと読み聞かせの絵本としても良いのではないでしょうか
ただ、本そのものは太い割に、言葉が少なく
以外と時間がかからないので、
他の絵本との兼ね合いが
必要かもしれませんね


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posted by at 08:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 絵本

2014年10月17日

伊勢物語の表現を掘り起こす

本日ご紹介するのは、こちら

小松英雄著
『伊勢物語の表現を掘り起こす』
伊勢物語.png

伊勢物語、皆さま学校で習ったことがあるはずです。名前を聞いただけでは思い出せない?
では、きっと知ってるであろう伊勢物語冒頭と、一般的とされている現代語訳を少しのせてみましょう。
ちなみに、実際の原文では句読点というものは存在しません。
現代人の私達が分かりやすいために、句読点をふっていますが…。
また、現代語訳も今回は分かりやすさ現代語としての自然さ重視なので助動詞等あまり厳密ではないですが。
(今日はちょっといつもに輪をかけて話が長いです…

【原文】
昔、男初冠して、平城の京、春日の里に、しるよしして、狩りに往にけり。その里に、いとなまめいたる女はらから住みけり。この男かいまみてけり。思ほえず、ふる里にいとはしたなくてありければ、心地まどひにけり。男の、着たりける狩衣の裾を切りて、歌を書きてやる。 その男、しのぶずりの狩衣をなむ着たりける
春日野の若紫のすりごろも しのぶの乱れかぎりしられず
となむ追ひつきて言ひやりける。ついでおもしろきことともや思ひけむ。
陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにし我ならなくに
といふ歌の心ばへなり。昔人は、かくいちはやきみやびをなむしける。

【現代語訳】
昔、男が初冠(成人の儀式)をして、平城の京、春日の里に、治めているゆかりの地があって、そこへ狩りをしにいった。その里に、非常に若々しくて美しい姉妹が住んでいた。この男は、この姉妹を覗き見てしまい、思いがけなく田舎の里に非常に不似合(な程の姉妹の様子)であったので、心が乱れてしまった。男は、来ていた狩衣の裾を切って、歌を書いて、姉妹へ届ける。その男は、まさしくしのぶずりの狩衣を着ていた。
(男の贈った歌はこのようなものである)
春日野にいるみずみずしい若草のように、若々しく美しいあなたがた姉妹。私の今着ているしのぶずりの衣が、紫草によって乱れ模様を織りなすように、若草のようなあなたがたを見て、私の心はあなたがたを恋い慕って限りなく乱れています。
と、すぐに言って贈ったのである。このような歌を詠む機会を、風流な事と思ったのであろうか。(ちなみにこの歌は)
陸奥で染められるしのぶもぢすりのように、私の心がしのぶ心(恋い慕う心)で乱れはじめてしまったのは、一体誰のせいでしょうね。私のせいではありませんというのに(あなたのせいなのですよ)
という歌の趣である。昔の人というのは、このように若い頃から雅なことをしていたのだなぁ。

現代語訳、……変かもしれませんが、大方このような感じでいいはずです。。。
さて、皆様思い出しましたか? そして改めてこのお話を見て、何か変だなぁと思うことはありませんか? 
え、現代語訳の日本語がちぐはぐだとかそういうのは置いておきまして…… 
話の内容で、話の内容に違和感を覚えませんか? 
私ははじめて中学生の時に授業でこのお話を知って、
違和感を感じずにはいられなかったのですが……
あまりにも自然と流されてしまったので、聞くに聞けずにもやもやとしていて…
一体何を言ってるんだコイツと思われていそうなので、質問しますね
この男の人は、どうして、最後に褒められているんですか? 
もう少し原文に沿って言うと雅なことをしていたと言われているんですか?
え、なぜって、上手いこと着ていた服と田舎で見た姉妹達を絡ませて歌を詠んだからじゃないの? 
という答えが返ってきそうですが……

いえいえ、そのような歌の巧拙など以前に、中学生の私が真っ先に思ったのは、
どうして、姉妹とはいえ、女の人二人に同時に一枚の恋の告白の歌を送った
失礼な男の人が、雅だと言われているの?
と、いう事でした。不思議ではありませんか?
現代風に置き換えてみれば、体育館裏に可愛らしい姉妹を呼び出して、
あなたたちどちらも可愛くて大好きなんです、と告白するようなものです。感覚的に変ではないですか?

だって、その頃って所謂一夫多妻制でしょ? だからじゃないの?
という声も返ってきそうですが、断っておきますが、いくら一夫多妻制でも、
一応男の人は、女の人の前では、それなりの建前を言うものだと思うんです
ちょっと身分の関係であの女の人のもとにいくけど、でも、あなたが嫌いな訳じゃないよ
だとか、、、 それくらいの建前を言う世界で、上記の出来事って変じゃないですか?
(その女の人に愛想を尽かしていればまた別だったのかもしれませんが)

また、姉妹であっても、例えば源氏物語の大君・中君姉妹など、
二人とも非常に美しいと言われますが、薫の君も、遊び好きな匂宮もそれぞれ大君・中君
に決めて、一方のみに猛烈アタックをしかけています。
どう考えてもそちらの方が自然なはず。
百歩譲って、仮に二人の女人にひとつの歌をまとめて贈るようなことが
行われていたとして(伊勢物語以外で私はそのような例を知らないので)
それを雅なことをしていた、と評価するものなのでしょうか? 
むしろ、中学生の私は若気の至りだとか、そのような評価をされている方が普通なのに…
と思ってしまったものです。そして、それは高校へ入って後ももやもや。
そんなもやもやを払拭してくれたのが、この一書です。

こちらの作者の小松さんも、同じようにもやもやを感じたところから、
従来の現代語訳という偏見に左右されない、全く新しい解釈が出来ないかと、
まさに一から伊勢物語の表現を掘り起こしていきます。
全く新しいと書きましたが、勿論好き勝手にお話を作ってしまうのではありません。
原文をより忠実に、忠実に読み進めていくとどうなるか、という試みをしていくのです。

そして、そうすることで見えてきた、この初冠のより自然で、
こちらが真実なのであろうと(私は)思えるようなストーリー。
初冠だけでなく、伊勢物語の様々な章でもそのような試みをし、
伊勢物語全体としての起承転結を浮かび上がらせていきます。

本当に、面白い。もやもやを感じて、とりあえず
伊勢物語のつく本を探しては読み探しては読みしてよかった
と、この本を読んだときは思ったものです笑

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posted by at 13:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 小松英雄

2014年10月16日

新釈走れメロス

さて、本日ご紹介するのは、こちら

森見登美彦著
『【新釈】走れメロス』
走れメロス.png

表題の【新釈】走れメロス はとにかく、涙が出る程笑ってしまうような中身の無い、
阿呆らしい、もっと言うと何が何だか分からないお話です。

あくまでも『走れメロス』を元にしているので、ストーリーも一応
『走れメロス』と大枠は外れず(?)展開していきますが、あくまでそれは
現代の京都のとある大学で起こったことでありまして……

結局のところ、これは阿呆学生によるどんちゃん騒ぎのようなもの
内容など無いんですね(そこまで言うと言い過ぎでしょうか)
阿呆なことが嫌いな方には向きません

何も考えず、ページを繰りながら笑い転げるという
こういうことが好きな方にこそお勧めするお話であります。

他に収録されているのは、
山月記、藪の中、走れメロス、桜の森の満開の下、百物語
等々有名な話のパロディになりますが
何にせよ、ツッコミだしたらキリがありません。
あまり難しく考えず、エリイトぶるようなことはせず、
軽い気持ちで、楽しもう!と思って
読んでみて下さい。と、いいますかそうしないとおそらく楽しめません。
ちなみに、はしたない言葉や描写も出てくるので、苦手な方はご注意くださいね。

他4編もなかなかに面白いですが
走れメロスのように笑い転げるものばかりかというと
そうでもありませんね。
それぞれにそれぞれの楽しみ方があります。
笑いポイントの少ない、余韻のある味のあるお話もこうして
書き出し、見直してみると結構あるのですが、
如何せん、走れメロスが
個人的には衝撃的だったもので。

ちなみに、原作を知っていても知っていなくても楽しめると思います。
原作知らないから、と敬遠する必要はないのでは?
知っている方が、ふふ……となる回数が少し増えるかな、とは思いますが

是非、ご一読ください


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2014年10月15日

グスコーブリの伝記

こんな時間になってしましました…
本日いらして下さった方、すみませんm(__)m

ジャンルもバラバラ、更新時間もバラバラ
何だか何から何までバラバラで
私のイキアタリバッタリな性格そのまんまな
ブログに、いつもお付合い頂き
本当に、有難うございます
感謝感激もひとつ感謝
でいつも楽しく更新させて
頂いております。

のに、すみません。
この時間からご紹介してもいいのですが
そうなると何といいますか、
本日の一冊として
注目される時間が余りに
少なくて、紹介された本が可哀そうなので

本日は、以前ご紹介した
『グスコーブドリの伝記』

グスコーブドリの伝記





こちらだけ、名場面集を載せれずに
いましたので、
少うし、詳しめに
雰囲気等を紹介しようと
思います…
(忘れていた訳ではないんですよ!
 とかいう苦しい言い訳

この絵本の名場面なのは
個人的にラストだと思う為、
どのような雰囲気なのか、
少し絵本にしては特異でもあるため
そこをお伝えしていきますね

例えば、特に綺麗だなぁと思ってしまう
このような絵。
幻想的で、きらきらしていて。
71776.jpg
―とうとう森を出切ったとき、ブドリは思わず眼をみはりました。
野原の眼の前から、遠くのまっしろなくもまで、美しい桃いろと緑と灰いろのカードでできているようでした―


ちなみに、引用している文章は、このページのほんの一部です。

71778.jpg

こんな風に、絵の隣が文字スペースになっていて
上の写真のようにびっちりと文字が敷き詰められていることも
しばしば。そんな、絵本。

もしかして、挿絵がとびきり綺麗で
贅沢な本、と言った方がよいのでしょうか?
この絵が本当に、物語の世界観に
あっています。

最後にもう一枚。

71775.jpg

宮沢賢治さんの綺麗な言葉
そして清川あさみさんの美しき絵
哀しい雰囲気が漂っているのに
ページをめくってもめくっても
夢心地。
そんな、極上の時間を
過ごすにもってこいの
一品です。

ちなみに、紹介記事は
コチラ

ではでは。
こんな感じで申し訳ないですが
これからもよろしく
お願いいたしますm(__)m


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posted by at 19:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 絵本名場面

2014年10月14日

アーモンド入りチョコレートのワルツ

本日は久しぶりに2冊目
いってみましょう

森絵都著
『アーモンド入りチョコレートのワルツ』
アーモンド.png

こちらは短編集となっているのですが、収録されている短編のタイトルは
表題も含めて全て、ピアノ曲のタイトルなのです。

この短編集に収録されている3つの曲は次の通り
「子供は眠る」
〜ロベルト・シューマン<子供の情景>より〜

「彼女のアリア」
〜J・S・バッハ<ゴルドベルグ変奏曲>より〜

「アーモンド入りチョコレートのワルツ」
〜エリック・サティ<童話音楽の献立表>より〜

どれもクラッシック曲です。詳しく知らなくてもお話を読むうえで支障はありませんが
まさしくどのお話もまるで、これらのピアノの音色にのって
漂ってきたかのような、そのようなお話
クラッシック好きにはたまりませんね

中学生が主人公の、ありえないはずなのに
なぜだか共感してしまうような、どこか懐かしくて切ない物語達

自分の大切なところを凝縮しているといいますか……
ずっと忘れてしまっていた感覚を、自然と思い出していく感じがあります。
主人公と同年代の方ならば、これから先あらゆる場面でふと
思い出して読み返すような、一生の友になるのでしょうね

どの作品もとにかくクオリティが高く
気づけば引き込まれてしまって
落涙するようなこともあるかもしれませんね

あの頃の自分を、少し覗きたくなったら……
是非読んでみて下さい

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六月六日生まれの天使

本日ご紹介するのは、こちら

愛​川​晶著『六月六日生まれの天使
6月6日.png

読んでいる間中ずーっと
心臓がドキドキ

はらはらしながら読む
刺激的な作品です

まずもって、はじまりからが
とてつもない緊迫感と
恐怖感、と、言いますかそれ以上に
意味が不明すぎて
何?何これ?となります

一人の女性がふっと目を覚ます
そして、思い出せない
なぜ、自分がここにいるのか
自分は誰なのか

隣に目をやると
仮面を被った男が寝ていて
余計に混乱する

誰、この男は、誰!?

大混乱に陥っている内に
男も目覚め、思わず悲鳴を
上げて外へ飛び出してしまう

季節外れな寒い恰好で
コンビニへ行って
思案していると
今度は見知らぬ男に
外から手招きされ……

女性の感じる恐怖というのは
想像に難くないもので
一体、どうなってしまうのか?
と心臓の音が高く鳴るのを
聞きながら読み進めてしまいます

女性は、自分がなぜ、
先程の部屋にいたのか、
男は一体誰なのか
自分にとって危険なのか
それとも安全な人物なのか、
必死に推理をしていき、
自分があの部屋にいた目的を
探り当てるのですが…

それが分かった途端に余計に
意味が分からなくなってしまう

どうして、私はそんなことを
しようとしていたの!?

思い出して!
はやく思い出して!

と読者はもどかしく思いつつ
思い出さないが故の
危険も何となく感じて
本当にもう、心臓が痛い笑

結局の所、あの仮面の男は
何者だったのか

彼女自身は一体何者なのか

結末はなかなかに衝撃的です

ゆるゆる穏やかな
はっぴーえんど。
それだけの話じゃ物足りません!

そんな方は、是非。




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posted by at 07:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 愛川晶
本日の一冊
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気ままにもう一冊

きみが住む星 (角川文庫)

とうとう旅に出てしまった。 離陸した飛行機から、 群青の成層圏の空が見えたとき、 ぼくはこの星が好きだと思った。 どうしてなのか考えて、気がついた。 この星には、きみが住んでいる。 きみが住む星をぼくは旅する
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