2014年10月20日
晴天の迷いクジラ
さてさて、本日ご紹介するのは、こちら
窪美澄著『晴天の迷いクジラ』
こちらの作品、かなりブルーなお話です
何せ、3人いる主人公は皆
自ら命を絶とう、とう思っている人々
偶然がいくつか重なって
死ぬ前に、
湾に迷い込んだと話題になっている
クジラを見に行こうと
元々は見ず知らずの3人は
共に行動をはじめます
まず、前半、その3人の過去が
順番に語られていきます
本当に、自分とは全くもって
関係の無い話なのに
どうしてこうも感情が移入してしまうのか
不思議なくらい
当時の状況と共に、
彼らの心が絶妙に描き出されています
生きる希望なんて無い、そう
言っている彼ら彼女達を
もう、何だかどのように止めたらいいのかも
分からないくらい
思い詰めているのが伝わってきて
胸が苦しくなってしまう
それくらい思い詰めているというのに
三人は三人とも、
自分でない誰かが
自分の目の前で自殺することに
嫌悪感を覚えずにはいられない
いやー、もう、死んじゃおうっかな
どーせ、私が死んだって、忘れるでしょ、皆
そう思う一方で
私の目の前で、あんたに死なれるのは嫌
な訳ですね。
そんな3人が、クジラのいる湾に到着し
仕方が無いから親子のふりをしながら
そこの人々と触れ合い
そして、またここでも
様々な痛みを抱える人に出会う
そんな中で、三人に、読者に
このお話は語りかける
自殺って一体どういう死に方なのか?
残された者の後悔とはどのようなものなのか?
ずきずきと伝わってきて、
そして、そんな人間達と並行して
「死」が見えているクジラの描写
これほど暗くありながら、
これほど人に希望というか
生きる勇気を与える作品というのが
素晴らしいと思います
是非、読んでみて下さい
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