2014年11月05日
ダイアモンドダスト
本日ご紹介するのは、こちら
南木佳士著『ダイアモンドダスト』
病院の医者や、看護士が主人公の短編が4篇おさめられています
表題の『ダイアモンドダスト』では、看護士和夫が
アメリカから帰ってきた悦子という女性と再会するところから
和夫の母の死、父の脳卒中、そんな中で
彼が選んだ(選ばざるを得なかった)職業、看護士
彼の父親が再び脳卒中で倒れ、
彼の病院へ運び込まれた末期癌患者のアメリカ人の
同室へ入院することになり……
明るい話ではなく、どよん、としています
末期の患者を、もう死ぬと分かり切っている患者を前に
和夫は、彼が欲しがったプラモデルを買ったり
彼の昔話を聞いたりはするのですが
和夫がこのアメリカ人と対峙している時、
とても清らかな雰囲気が流れます
このマイクというアメリカ人の一つ一つの言葉が
なかなかに、死を悟りながら、清らかに思われます
一方で、家庭のこととなると、
妙なことを口走るようになってきた父親と
かつての自分とかさなる境遇にいる、母親のいない息子
重苦しくって、寂しくって、やるせない、
やるせない、という言葉がとても当てはまるような
そんな状況下で、和夫は悦子の助けを借りつつ
日々を暮らす
結構のろのろと話がすすむようにも思われますが
父親が退院した後くらいから、話は
きらきらと、美しくなってきます
父親が作ると言いだした、水車
この水車のビジョンと、
父親がかつて運転していたという電車の風景と
「今」は重苦しいのですが、「過去」の話、
電車についての話の時には、本当に、あたたかい感じが
して、目の前に、ゆっくりゆっくり走る電車が
見えてくる、これが、どこか懐かしくって。
ラストは圧巻。全てが凍りついた世界が
鮮やかに描かれていて、一瞬、不幸も何もかも
忘れてしまう、そんな感覚です
どの短編も全体的にどんよりとはしていますが
是非読んでみて下さい
ちなみに、加賀乙彦さんとの対談が最後に収録されています
加賀乙彦さん好きな私としては、
思わず、おぉ!と思ってしまいました笑
お二方とも、医者でありながら小説を書いていますものね
この対談もなかなか興味深いものでした
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南木佳士著『ダイアモンドダスト』
病院の医者や、看護士が主人公の短編が4篇おさめられています
表題の『ダイアモンドダスト』では、看護士和夫が
アメリカから帰ってきた悦子という女性と再会するところから
和夫の母の死、父の脳卒中、そんな中で
彼が選んだ(選ばざるを得なかった)職業、看護士
彼の父親が再び脳卒中で倒れ、
彼の病院へ運び込まれた末期癌患者のアメリカ人の
同室へ入院することになり……
明るい話ではなく、どよん、としています
末期の患者を、もう死ぬと分かり切っている患者を前に
和夫は、彼が欲しがったプラモデルを買ったり
彼の昔話を聞いたりはするのですが
和夫がこのアメリカ人と対峙している時、
とても清らかな雰囲気が流れます
このマイクというアメリカ人の一つ一つの言葉が
なかなかに、死を悟りながら、清らかに思われます
一方で、家庭のこととなると、
妙なことを口走るようになってきた父親と
かつての自分とかさなる境遇にいる、母親のいない息子
重苦しくって、寂しくって、やるせない、
やるせない、という言葉がとても当てはまるような
そんな状況下で、和夫は悦子の助けを借りつつ
日々を暮らす
結構のろのろと話がすすむようにも思われますが
父親が退院した後くらいから、話は
きらきらと、美しくなってきます
父親が作ると言いだした、水車
この水車のビジョンと、
父親がかつて運転していたという電車の風景と
「今」は重苦しいのですが、「過去」の話、
電車についての話の時には、本当に、あたたかい感じが
して、目の前に、ゆっくりゆっくり走る電車が
見えてくる、これが、どこか懐かしくって。
ラストは圧巻。全てが凍りついた世界が
鮮やかに描かれていて、一瞬、不幸も何もかも
忘れてしまう、そんな感覚です
どの短編も全体的にどんよりとはしていますが
是非読んでみて下さい
ちなみに、加賀乙彦さんとの対談が最後に収録されています
加賀乙彦さん好きな私としては、
思わず、おぉ!と思ってしまいました笑
お二方とも、医者でありながら小説を書いていますものね
この対談もなかなか興味深いものでした
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