(伊豆長浜城のつづきです)
■ 海の山城 ■
海に突き出した小さな半島を利用した城です。山城?と分類して良いと思います。
<第二曲輪>
この区画(画像手前)が一番広い曲輪です。櫓が見えますが、その向こう側が第一曲輪。山の頂上です。
<海に突き出る曲輪>
第一曲輪から撮影。半島先端の頂上から下に向かって高低差のある曲輪が連続して配置されています。それ自体は珍しくありませんが、その先に堀でも湿地でもなく、海が広がっていることがとても新鮮です。
<下から見上げると>
登り降りはできますが、ほぼ確実に城兵に邪魔される構造。防衛施設である曲輪が段々畑状になっていると思って頂ければ良いかと思います。
<更に下ると海>
城(突き出た半島)の両側が入江で舟溜りとなっており、湾の奥で波も穏やかなことから、現在でもたくさんのヨットが。舟の基地としては最適の場所なのですね(舟の知識ありませんが、きっと)。城の機能で言うと「馬出し」といったところでしょうか。
<曲輪と曲輪の間の堀切跡>
「堀切」と表現してよいのか分りませんが、明らかに尾根を削って造られてます。ここに跳ね橋があったようです(柱がその目印です)。この位置、もともと第二曲輪と第三曲輪を切り離す「堀切」で、平時に通行しやすいように跳ね橋が設けられました。のちの時代に埋められ、幅を狭くして虎口に造りかえられたようです(現地説明板を参考に多少私が推定)。虎口とは、曲輪の入り口のことです。
<遺構>
部分的に石垣も残されています。個人的には戦国期のものという気はしませんでしたが、雰囲気はありました。曲輪、土塁、堀切。全体として遺構に満足です。
<展示されていた模型>
ようするに、城全体はこれを見るのが一番分りやすいですね。麓が海なので特殊な構造ではありますが基本的に山城の縄張りです。この山を登ったり下りたりしながら、城のなごりを肌で感じることができました。やはり実際に体感することは大切ですね。
■ 城用語解説 ■
それにしてもこの模型、構造が分りやすいですね。ここでちょっと、城用語について。
山の中腹や頂上付近、平らな部分がありますね。こういう区画を「くるわ」といいます。漢字だと曲輪または郭。当ブログでは曲輪で通しています。その曲輪の重要度で、本丸とか二の丸とかに区分されます。よく耳にする「主郭」は、本丸と同じ意味です。知ってしまえば簡単な理屈ですね。
その曲輪と曲輪の間を堀状に削ってあるのが見えますでしょうか?平地であれば「堀」ですね。山で尾根を削ってつくる堀を堀切(ほりきり)と呼びます。
自然の地形をベースに、曲輪をどこに配置するかとか、堀や堀切りをどこに造るといったことを決めるのが「縄張り」。縄張りはいまでは別の意味で使われますね。
ちょっと脱線しましたが、参考になれば嬉しいです。
■ 希な城 ■
ここ伊豆長浜城跡には、三井家の別荘が建っていた時期もあるようですが、それが取り壊されて以降は荒れる一方だったそうです。沼津市が用地を取得の上で整備し、現在の姿となっています。とてもユニークな城。珍しい山城を体感することができました。維持・管理に感謝致します。沼津市さん、ありがとうございました。
■訪問:伊豆長浜城
[静岡県沼津市内浦重須]
お城巡りランキング
2017年03月15日
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