2019年11月24日

城用語 本陣

今回は『本陣』について。厳密には城用語とは言えませんが、古戦場などを訪ねると◯◯本陣跡なんていう石碑があったりしますよね。かと思えば、宿場の本陣などという言葉を耳にしたりもします。まぁあまりこだわらず聞き流す方も多いと思いますが、敢えて説明させて頂きます。

■総大将がいる場所■
戦場において総大将がいる場所。これが一般的な本陣です。
<菅沢山本陣>説明板のみ
shirononagori385a.jpg
こちらは直江兼続が長谷堂城攻めの時に本陣を置いた所とされる菅沢山にて撮影しました。

<菅沢山から見た長谷堂城>
sirononagori20sakenobe2028729.jpg
この時の兼続は約2万の大軍を率いる総大将。独立峰に築かれた長谷堂城を包囲し、自らは戦況を見守れる菅沢山の中腹に陣を敷きました。総大将の陣。つまり本陣です。


■大名などの宿泊場所■
江戸時代における宿場で、大名や公家といった身分の人たちが宿泊した旅宿も『本陣』と呼ばれます。まぁ旗本やある程度の身分の役人なども含みます。

宿といっても、一般人がお世話になる旅籠屋とは全く異なります。地元の名主の家をイメージした方がいいかもしれません(大筋の話として)。かつての宿場町を訪ねて、本陣跡などと標記されていたら、それなりの身分の人たちが宿泊、あるいは休息するための公認の家と思って間違いありません。

公認と敢えていわせてもらったのは、これは参勤交代が始まった時にしっかりと制度化されたものだからです。『本陣役』に指定される。これは名誉なことです。ただし、それなりの代金は受け取れるものの、現実的にはそれ以上の『おもてなし』が必要なため、ある程度の経済力が伴っていないと務まらない役割でした。

<蕨宿本陣跡>観光用
shirononagori385 (2).JPG
shirononagori385 (1).JPG
蕨宿は中山道の宿場として栄えました。説明板によれば『公家大名などが宿泊』とのこと。蕨宿では加兵衛家と五郎兵衛家の2家が代々『本陣役』の大役を勤めました。加兵衛本陣には、あの老中水野忠邦なども宿泊したそうです。

ということで
戦での本陣と宿場での本陣の説明でした。


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城用語 陣屋

今回は陣屋についてです。

<永田陣屋跡>
shirononagori289 (4).JPG
shirononagori289 (7).JPG
こちらはさいたま市西区土屋の陣屋跡。江戸後期創建の長屋門が立派です。徳川家康の家臣で、関東郡代をつとめた伊奈忠次が築いたことに始まります。伊奈陣屋、又は地名から土屋陣屋とも呼ばれています。

よく耳にするこの『陣屋』という言葉。当ブログでは『代官などの館あるいは役所、又は城を持てない大名や旗本の屋敷』といった表現で説明してきました。間違いではないのですが、ちょっと整理してみたいと思います。恒例のようにウィキペディアさんから情報を頂きます。

『一般的に3万石以下の城を持たない大名が陣屋を持った、また上級旗本も知行地に陣屋を構えた。さらに大藩の家老の所領地である知行所の政庁が置かれた屋敷も含まれる。飛地を所領に持つ大名が、現地の出張所として陣屋を設置することもあった。また、箱館奉行所や長崎奉行所なども陣屋として扱われることがある。さらには幕府直轄領地である支配所に置かれた代官所を含む場合もある。領主の領地の居地をあらわす用語は、城主の居城に対して、陣屋を居地とする場合は在所という。』
(出典:Wikipedia 2019/11/24)

とのこと。小大名というイメージでしたが、3万石くらいが目安のようですね。あとはだいたいイメージ通りですが、そう『飛び地』の出張所も陣屋でしたね。

<松山陣屋跡>
shirononagori318 (1).JPG
こちらは石碑しかありませんが、埼玉県東松山市にある『前橋藩』の陣屋跡です。埼玉で群馬の前橋?諸事情により、前橋藩には現在の埼玉県内に領地がありました。これにより、藩の出先機関を設ける必要がありました。これも『陣屋』ということですね。

ということで、やはり大筋では
『城を持たない小大名や上級旗本の屋敷』『それなりの役人の詰め所』といった理解で良いかと思います。ただ、これらは概ね江戸時代の呼び方なので、もうちょっと幅のある使い方がされていることや、戦においける陣所のような使われ方もしていることだけ追加しておきます。

以上
私と同じく、かなり漠然と受け入れてきた方と共有できれば嬉しいです。あと念のためですが、城好き素人のブログに過ぎませんので、その点はご理解下さい。


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2019年03月03日

城用語 曲輪・郭(くるわ)

お城関係の話でよく耳にする「くるわ」という言葉。漢字だと曲輪、またはと書きます。堀や土塁と並んで最も基本的な城用語の一つですが、今回あえて説明させて頂きます。

■曲輪■ くるわ
まず簡単に言ってしまうと「平らに造成された区画」と思って下さい。
<曲輪>
shirononagori Zen (19).JPG
[膳城跡]ぜんじょう
こちらは膳城の曲輪。なにこれ?と感じられると思いますので、こくの平らな区画の隅の方を見てみましょう。

<曲輪の隅>
shirononagori Zen (15).JPG
右手が曲輪の上。曲輪の外側は堀になっています。平らに造成した場所は、建物を設置したり兵が詰めたりする区画。いわば自分の家の中。ここへの侵入を防ぐために堀が設けられているわけですね。

<堀>
shirononagori Zen (17).JPG
曲輪への侵入を拒む堀

<曲輪の入口>
shirononagori Zen (14).JPG
曲輪を外側から撮影。周辺より高くなっていますね。もともとの地形を巧みに利用し、ここぞという場所を平らに造成し、曲輪とします。ちなみに、曲輪への入り口のことを、城用語では虎口(こぐち)といいます。

<堀の底の案内板>
shirononagori Zen (18).JPG
先程の曲輪は、実はここ膳城にとっては一番大切な曲輪。よく知られる言葉で表現すると本丸ということになります。主郭(しゅかく)ともいいますね。この一番大事な曲輪の周りには、これを補う曲輪がたくさん設けられるのが普通です。勿論、防衛上の理由を意識して。それらの曲輪はその重要度から、二の丸・三の丸というふうに呼ばれます。つまり「丸」は曲輪のことです。上の堀は、二の丸と本丸を隔てるための堀ということになります。


ちょっと別な城も見てみますかね

<山城>
shirononagori311ad.JPG
[茅ヶ崎城跡]ちがさきじょう
山に築かれた城。自然の山の中に、真っ平な場所なんてありえませんよね

<曲輪>
shirononagori313 (9).JPG
でも平らな場所があります。人が城として造成した区画です。

<土塁で補強>
shirononagori313 (16).JPG
膳城を例に曲輪の内側と外側を堀で隔てる例をご紹介しましたが、こちらは曲輪の周囲を土塁で囲んでいる画像です。堀を設ける時に出た土を、曲輪に盛るケースが多いですね。堀の深さと土塁の高さが、すなわち高低差ということになります。攻める側はこれを克服しながら戦わなくてはなりません。

■曲輪の配置■
もともとの地形や外部環境を意識して、この曲輪をどのように配置するのか。そして堀や土塁でどう補うのか。これは築城者の腕の見せ所です。軍事的な意志をもって、なるべく守る側が有利になるようにそれらの配置を決め「城の形」を決める。この設計のことを「縄張り」と呼びます。
※曲輪が軍事的な意味とは無関係の配置となるケースもありますが、今回は省略します。


ということで「くるわ」のご紹介でした。ただ平らな区画にも築城者の思惑がある。それを共有できれば幸いです。

最後に、蒲原城跡で撮影した絵図を貼っておきます。独立峰に築かれた典型的な山城です。山頂の本丸を中心に、外側へ向かって、高低差を意識した城の仕掛けが散りばめられています。平らな区画は全て、今回のテーマ『曲輪』です。

<蒲原城址鳥観図>
shirononagori317B.jpg

拙い説明にお付き合い頂き、ありがとうございました。


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■お勧め本(入門者向き)■
当ブログ内でも『枡形』とか『野面積み』『狭間』といった城用語をときどき説明させて頂いてますが、この本ではもっとわかりやすく、そしてなにより「実感」がわくような説明がなされています。科学というとひいてしまう方?いますでしょうか。いえいえ、本当に分りやすい。私自身も愛読者のひとりです。


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2019年01月01日

城用語 空堀(からぼり)

今回は最も基本的な城用語のご紹介です。

<空堀の説明板>
shirononagori294 (14).JPG

先日小机城跡を訪問した際に、城用語が丁寧に説明されていることに感心しました。当ブログにも「お城初心者」の方が来てくれることを期待して投稿させて頂きます。

■水の無い堀■
お城の堀というと、まず水のある堀を想像するのが一般的ですね。そもそも城と聞いてまず頭に浮かぶのが、江戸期に造られた近代城郭である場合が多いので、これは自然なことかもしれませんね。ただ、水の無い堀は特別なものではなく、むしろ普通なのです。

■空堀が基本■
土を掘って造るから堀。字の如くです。これが基本なので、土を掘っただけの溝、つまり「空堀」が堀のもともとの意味です。のちに水を引き入れた水堀も登場しますが、中世の城の多くは山城で、水を引き込んだり溜めておくことが困難。よって堀は水のない空堀が中心でした。空堀は古い城の堀?というわけでもなく、江戸時代の城郭でも使用されています。

<空堀>
shirononagori294 (13).JPG
[小机城]

<空堀の底>
shirononagori294 (21).JPG
[小机城]

■堀切ってなに■
丘陵地帯や山に築かれる城で見かけるのが「堀切」です。これも大きな意味では空堀とお考え下さい。

山で比較的移動しやすいのは?山の尾根ですね。これを削るのが代表的な堀切です。まるでナタで切ったかのように、鋭角に土を削り取ります。堀切を設ける場所は、曲輪の手前とか、曲輪と曲輪の間が多いですが、必要とあらば山のどこでも削るので、決まった形はありません。

<堀切>
shirononsgori249D (6).JPG
[山上城]
この例は曲輪と曲輪を分断するための堀切です。城が現役の時には、もっとシャープな角度だったと思われます。


■空堀の効果は?■
<大空堀>
shirononagori278 (19).JPG
[興国寺城]
この例は巨大な空堀(大空堀)です。実際、凄い迫力でした。

ただこういうのはレアケース。なんでもかんでも「敵の侵入を防ぐ」と思わないで、敵の進攻を遅らせるとか、体力を奪うとか嫌な思いをさせるとか、広い意味で空堀を見てやって下さい。要するに、守る側が有利になるなら、効果の大小に関わらず意味があるのです。そこに込められた思いを感じると、どれも感心させられます。


■水堀■
山城の麓や平城については、中世末期から江戸時代にかけて水堀が用いられるようになります。城の防衛施設であると同時に、水運にも利用するケースもありますね。

<水掘>
sn284ad.JPG
[新庄城]
お城の堀として普通に連想される姿ですね。


■最後に漢字の話■
。どちらもホリ又はゴウと読みますね。ただもうお気づきの通り、土を掘るという意味なら壕、水をはる場合は濠になります。壕の字は空堀に限らず、防空壕とか「土を掘る」ことに幅広く使用されてますね。

<道灌濠>
sn225hanzomon (10).JPG
[江戸城:半蔵門付近]


以上、堀の基本は空堀というお話でした。見てくれた人の参考になれば幸いです。

shirononagori294 (33).JPG
[小机城]
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2018年06月20日

城用語 枡形 (ますがた)・枡形虎口・枡形門

城の出入り口の説明で、よく「ますがたもん」とか「ますがたこぐち」なんていう言葉を耳にしますね。今回はその「枡形」についてです。

<江戸城和田倉門跡>
sirononagori194 (4).JPG
この石垣も枡形のなごりです。石垣の内側が、方形の広場のようになっていること、伝わりますでしょうか。

■枡形■ますがた
まず「枡形」の枡ですが、これは字の通り。計量するための四角形の容器のことです。まぁ身近なところでは、日本酒を飲む時などに使うあの枡のことですね。あの形を想像してみて下さい。綺麗な方形をしていますよね。その形こそが、城でいう枡形の呼び名の由来です。

■枡形虎口■ますがたこぐち
二の丸とか三の丸といった区画への出入り口のことを、城用語では虎口といいます。四方を壁で囲む枡形と、2つの虎口を組み合わせた出入り口の構造を枡形虎口といいます。ご紹介している画像は石垣ですが、別に土塁でも木製の壁でも、構造が同じならそれはやはり「枡形虎口」です。侵入者はまず最初の虎口を通過すると、直進を拒まれた上に壁で囲まれた窮屈な区画に入り込むことになります。次の虎口を通過できて、ようやく城内への侵入を果たすことになります。

■枡形門■
守るための施設で、出入り口が開けっ放しということはありませんよね。枡形の虎口には当然のように門が設置されます。枡形門です。枡形の構造は時代とともに進化を続け、外側に面した虎口に高麗門、次の虎口には櫓とセットになった重厚な門が築かれるようになりました。この構造は枡形のほぼ完成形です。冒頭の和田倉門跡は石垣しか残っていないので、大手門で説明させて頂きます。

■枡形門の実例■ますがたもん
こちらは石垣と門をセットで見られる枡形です。

<大手門>
shirononagori239aa.JPG
このケースだと手前は水堀。虎口に通じる道を通るしかありません。攻め手は大勢で押しかけても、この道の幅に合わせて縦長になって進むしかありませんね。桝形門に到着する以前に、既に動線が制限されているわけです。さて、門については、画像に加筆して説明させて頂きます。

<大手門>加筆
shirononagoriP (1).JPG
青は人の動線です。まずは最初の門。オレンジの門が高麗門です。死角を減らすためにやや低めに造られています。攻め手がこの一つ目の門をくぐると、四角く囲まれた小部屋のような空間、つまり枡状の区画が待ち受けています。攻め手が更に城内へ進むには、次の虎口がある右手に曲がらざるを得ません。そこに設けられているのが二つ目の櫓門(やぐらもん)。門の上が頑丈な櫓となっており、枡に入り込んだ敵を狙い撃ちすることができます。

櫓門で良いのですが、この枡形の場合、石垣と石垣との間を渡すように(まるで渡廊下のように)櫓門が築かれていますよね。こういう場合、渡櫓門(わたりやぐらもん)とよぶ場合もあります。まぁ櫓門で良いですが、念のため。

<枡形図解>門は省略
SN239AD.JPG
ちょっとシンプルな図ですが、構造としてはこんな感じです。この方形の区画ですが、まずは外敵に備えて城兵が待機できる場所であり、最初の門を破られた場合は、攻め手の直進を防ぎ、徹底的に迎え撃つ機能を持っています。

<もう一回大手門>
shirononagoriO2.jpg

枡形という構造
なんとなく伝わりましたでしょうか?


■高麗門■こうらいもん
門についてもうちょっと補足します。高麗門。これは城用語というより、門そのものの型式の一つです。

城の大手門はいわば家の玄関のようなもの。威厳を保ちたいところですね。戦国期以前は、薬医門と呼ばれる形の門が流行りました。屋根が大きく、風格があります。ただ、これだと城内からの視界を遮るので、死角が増えてしまいます。戦乱の時代に突入すると、屋根がコンパクトな高麗門が主流となりました。造られ始めたのは1590年代のようです。豊臣秀吉の朝鮮出兵以降に導入された形式ということですかね。

<桜田門>
sirononagori sakuradamon (2).jpg
有名な門ですね。厳密に言うと外桜田門といいます。ここも桝形、そして最初の門は高麗門です。

<桜田門の高麗門>
sirononagori sakuradamon (1).jpg
屋根が重厚過ぎないことが防衛上のポイントです。シンプルでありながら、格式も感じる門です。


■外枡形と内枡形■
今回は枡形が伝われば充分ですが、構造によって外枡形と内枡形の二種類に分類できます。時々耳にする言い方ですので、最後にご紹介させて頂きます。要するに、枡形を城から飛び出したところに築くか、内包するように築くかの違いです。言葉より図解の方が分りやすいですね。

<図解>
shirononsgori243M.jpg
左が外枡形、右が内枡形です。図の上方向が城内だと思って下さい。

以上です。典型的な枡形を例に説明させて頂きましたが、実際には城によっていろんな工夫が施されています。基本さえ知ってしまえば、その違いすら楽しめます。この記事が、そのきっかけになれば嬉しいです。

拙い説明、お付き合い頂きありがとうございました。


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■お勧め本(入門者向き)■
当ブログ内でも『枡形』とか『野面積み』『狭間』といった城用語をときどき説明させて頂いてますが、この本ではもっとわかりやすく、そしてなにより「実感」がわくような説明がなされています。科学というとひいてしまう方?いますでしょうか。いえいえ、本当に分りやすい。私自身も愛読者のひとりです。

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2018年06月19日

城用語 狭間 (さま)

お城関係の話でよく登場する狭間という言葉。この漢字は「はざま」とも読みますが、城用語の場合は普通「さま」と読みます。城郭の建物の壁や塀に穴が開けてあるのを、皆さんも目にしているはず。あれが「狭間」です。

■狭間の種類■
<忍城にて>
SN242SAMA3.jpg
縦長の長方形は弓矢を射るための狭間ですね。矢狭間といいます。一方、丸の小さな狭間は鉄砲用、鉄砲狭間と呼びます。鉄砲狭間は穴が小さいことが特徴で、三角形だったり方形だったりさまざまです(←多少はダシャレのつもり)。攻め手から撃ち返されることを考えれば、小さい方が安心ですよね。ただ弓は小さすぎると矢を射ることができませんので仕方ありません。

<忍城にて>
shirononagori242SAMA.jpg
同じ穴でも、広くなっている方が城の内側です。外側からは狙いづらく、内側ではなるべく動き安いよう工夫されています。外を様子を見る時も、狙いを定める時も、角度があった方がいいですよね。逆に外側からは、中の様子をうかがい知ることはできません。

以上、矢狭間と鉄砲狭間という攻撃方法による分類でした。他に大砲狭間というのもあります。


■狭間の高さ■
狭間が横まっすぐに並んでいる場合もありますが、高さがまちまちの場合があります。

例えば、弓は立って射る。鉄砲は片膝をついて撃つ。こう想定している場合なんかはそれぞれ高さが異なります。昔の男性の平均身長は160p弱と思われますので、そのへんも考慮して段違いの狭間を眺めると、納得性があります。また、遠くを狙うのと、高い位置からすぐ下の敵を狙うのとでは、やはり狭間の高さが違う方が合理的ですね。

まぁ城郭のどんなところに設置されているかで、狭間の事情は異なるのですが、実際に訪問してみて、このヘンの違いも考えながら壁の穴を眺めると、城探索が一層面白くなります。

どういうつもりなのか

当ブログで何度も繰り返している言葉ですが、これを想像するのも城郭巡りの楽しみの一つです。

<小田原城にて>
shirononagoriSAMA (2).jpg

<二本松城にて>
SN242cc.jpg


最後にやや珍しい狭間を

<江戸城大手門にて>
SN242dd.JPG
石垣のもっとも上の石に切込みを入れた狭間。石狭間といいます。四角い穴、見えますでしょうか。目立たないですが、しっかり外を銃で狙えるようになっています。

<内側から撮影>
shirononagoriP (4).JPG
石狭間を内側から撮影するとこんな感じです。江戸城の大手門で撮影しました。訪問する機会があったら、立派な門だけでなく、ぜひこんなところも見てやって下さい。

ということで「狭間」のご紹介でした。ただの穴にも思惑がある。それを共有できれば幸いです。


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■お勧め本(入門者向き)■
当ブログ内でも『枡形』とか『野面積み』『狭間』といった城用語をときどき説明させて頂いてますが、この本ではもっとわかりやすく、そしてなにより「実感」がわくような説明がなされています。科学というとひいてしまう方?いますでしょうか。いえいえ、本当に分りやすい。私自身も愛読者のひとりです。

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2017年12月07日

城用語 乱積み (らんづみ)

城用語と題し、以前「野面積み(のづらづみ)」など石垣に関する用語を説明をさせて頂きましたところ、思いのほかアクセスが多いため追記させて頂きます。「野面積み」「打込み接ぎ」「切込み接ぎ」は石の加工の具合を基準にした石垣の分類。今回は石の積み方を基準とした分類です。といっても二種類だけ。実例は訪問記でご紹介済の盛岡城です。同じ城跡でも場所によって「積み方」が異なります。ちなみに、これは珍しいことではありません。

■石の積み方を基準とした分類■

<@乱積み>らんづみ
shirononagori moriokajo ishigaki2.JPG
不均一なままの石を積み上げます。

<A布積み>ぬのづみ
shirononagori moriokajo ishigaki.JPG
ほぼ同じサイズの石を横方向に揃えて並べます。

たったこれだけ。聞き慣れないだけで、解りやすい分類ですね。実際にはもっと多くの分類がありますが、研究家の方は別として、大きな分類としてこの2種類で充分かと思います(私は)。

■応用■
このまま終わるとあっけないので、ちょっと応用編を。

その前に前回の復習)
●石の加工の具合による分類
@野面積み(のづらづみ):自然の石のまま積む。A打込み接ぎ(うちこみはぎ):石の角や面を平たくして隙間を減らして積む。B切込み接ぎ:石を四角に整形して密着させて積む。以上です。
もうちょっと丁寧な説明はこちらを

→『城用語 野面積み


■複合技で細分化してみよう■

[基準]積み方
@乱積みA布積み

[基準]石の加工具合
@野面積みA打込み接ぎB切込み接ぎ   

【問題】
ではこの2種類の基準を両方使って石垣を分類したら何種類に分類できるでしょうか?

【計算式】 2×3
【正 解】 6種類

【解 説】
自然の石は大きさがまちまちです。それを普通に積んでいけばまぁ石の加工具合は「野面積み」で積み方は「乱積み」。野面乱積となります。四文字熟語のようですが、そのまま「のづら らんづみ」と読んで下さい。。
自然な石が工業製品のように同規格なはずはありませんが、まぁほぼ似た大きさを横に向かって揃えて並べていけば「野面積み」でありながら「布積」となるので野面布積(のづら ぬのづみ)ということになります。まぁこんな感じです。

【補足】布積み
タテもヨコもほぼ同規格の自然の石は希なので、高さをなるべく統一して横方向に積んでいくのが「布積」と思って良いです。レゴのようにキッチリ仕上がるはずないので、多少の歪みは容認し、あと明らかに調整のために使っている小石などは一旦無視して眺めた方が分類そのものはしやすいです。ただまぁこれは分類する時のコツに過ぎないので、せっかくなら、如何に石の不規則を調整しながら石を積んでいるか、そっちを見て欲しいですね。予定通りの石などほとんどない。それを扱う人間業の凄さ、ここに深みがあります。


ということで、石垣は「積み方」で2種類、「石の加工具合」で3種類の分け方があり、両方を使うと6種類に分類できるというお話でした。城跡で石垣を見かけたとき、ちょっと思い出してくれれば嬉しいです。


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■お勧め本(入門者向き)■
当ブログ内でも城用語をときどき説明させて頂いてますが、この本ではもっとわかりやすく、そしてなにより「実感」がわくような説明がなされています。私自身も愛読者のひとりです。

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2017年11月24日

城用語 山城(やまじろ)平城(ひらじろ)

<唐沢山城の縄張り図>山城
karsawayama nawabari.jpg
[現地の説明板を撮影]

先日「暗渠」のイベントに参加させて頂き、きっと「城にはあまり関心が無いだろうなぁ」という人を想定した上で「城」の説明をさせてもらいました。今回はその一部、山城と平城について投稿させてもらいます。当ブログにお越しいただく方の大半にとっては「釈迦に説法」。でもどんな趣味の世界にもビギナーはいます。勿論私も最初はそうでした。お役に立てれば幸いです。

城の分類
当ブログでは分かり安いように「山城」と「平城」の2分類にしています。ただ城好きの人たちは山城と平城に加えて「平山城」という言葉を使います。城用語としてはこの3分類が主流。江戸時代の軍学者による分類です。

分類の基準
城の地勢による分類。そういうと難しいですが、要するに「どこに築かれたか」を基準に分類する方法です。

<図解>
ankyo&shiro11.jpg
素人っぽい図解ですみません。私の手作り。イベントで使用しました(挿入している絵図はそれぞれの城の現地説明板を撮影したものです)。

山城(やまじろ)
名の通り山に築かれた城です。戦国時代に多く築城された「戦闘用」の軍事拠点。高さと山の地形を最大限に生かした縄張りで「地の利」を得る。これが強み。反面、戦うこと以外では何かと不便という弱点もあります。山城も時代とともに進化しますが、初期においては「生活は城の外、戦の時は城に籠る」といった感じですね。

平山城(ひらやまじろ)
真っ平らなところにポツンとある山。いわゆる独立峰ですね。ここに築かれるのが平山城です。まぁ山城なんですが、構造的に山の麓は堀で囲んだり土塁を設けたりと、平城とやや似たところもあります。一概に言えませんが、武器の進化とともに飛び道具の割合が増えてくると、平地に陣取るしかない敵を高所から攻撃できるため有利だった言えますね。

平城(ひらじろ)
平地に建てられる城です。山城ほどの地の利はありませんが、湿地や川を利用し、更に堀などで人工的に「地の利」を創り、守りを固めます。沼地の城などもこの分類に属します。山城とは逆に、平地なので何かと便利。軍事拠点という側面のほかに、統治の拠点としても活躍。争いの世が終わると、平城が増え始めます。

■実 例■
⇒まず上の図解にある城は長谷堂城米沢城です。

<長谷堂城>平山城
SironoNagori  hasedojo (9).jpg
<長谷堂城からの眺め>
SN hasedojo.JPG
[山形市]上は秋 下は夏の訪問

<米沢城本丸跡>平城
sirononsgori yonezawajo10 (3).JPG
<本丸の水堀>
sirononsgori yonezawajo S.jpg
[米沢市]


⇒山城は遠くから撮影のものが手元になく、こんな画像でご容赦下さい。冒頭の縄張り図の実物です。

<唐沢山城からの眺め>山城
SN sano karasawayama (3).jpg
<唐沢山の登山道>
shirononagori karasawayama130 (2).jpg
[佐野市]

いかかでしょうか?知ってしまえば簡単ですね。山・独立峰・平地。この3つだけ。それぞれ「山城」「平山城」「平城」です。

ただ、こんな説明をしておきながらなんですが、当ブログは今後とも山城と平城の2分類で通します。初めて読んでくれた方が分かりやすいように。


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