今回は石垣の話でよく耳にする
隅石(すみいし)という言葉についてです。簡単に言えば、
石垣の面と面が出合う角に据え付けられた石のことです。
〈山形城の石垣〉
見事な石垣です。石を組み上げて作られた壁が石垣、角に位置する石を隅石といいます。『角石』と表記して、意味も読み方も同じように扱っている場合もあります。ただ、角石は厳密には『かくいし』と読み、四角い石材のことを指しています。
<山形城の説明板>
この説明板がきっかけで隅石をブログで紹介しようと思いました。冒頭を抜粋させて頂きます。
『隅石は石垣の角に使われる長方形の切石です。石垣は出隅を算木(隅石の交互積み)として高さに耐える構造とするほか、稜線部には「江戸切り」とよぶ先端を鋭利にみせる加工を施しています。』とのこと。
出隅(でずみ)は二つの面が出合う角の部分。
算木(さんぎ)は縦横交互にという意味で受け止めて下さい。ここでは長方形の石を揃えて積むのではなく、長辺と短辺を交互に組み合わせて積むことが説明されています。
稜線(りょうせん)は山でいうと尾根のことですので、この場合は石垣の角そのもののことですね。「
江戸切り」はあまり耳にしない言葉ですが、石の面の仕上げ方の一種で、縁を平らにするのに対し、中央を少し高くして凹凸をつける手法のようです。これだと、石垣の角が尖っているように映りますね。
<算木積み>
算木積みは隅石の部分に使われる技法です。石が長辺と短辺を交互に組み合わせて積まれていることがわかりますね
説明文は山形城の一文字門の石垣に関する解説が続きますが、ここでは省略させて頂きます。文の後半に
『隅石は石垣の要であり、石垣造りにおいて最も慎重さが必要だったと思われます』と記されています。まさにその通りで、隅石は石垣全体の強度がアップする重要ポイントとなります。
ちょっと当ブログで力学的な説明は難しいですが、熊本地震の直後、崩壊した熊本城の石垣で角に残った石が建物を支えていた光景は記憶に新しいですね。
石を積む技術は時代とともに進化していきましたので、訪れる城によって石垣の姿はまちまちです。算木積みが普及するのは関ヶ原の戦いより後と思われます。積み方だけでなく、石を切る技術の進化具合も影響しています。
<二の丸の石垣>
こちらは山形城西門付近。隅石の稜線がシャープですね
ついでに
<隅石と隅脇石>
すみわきいし隅石の隣に寄り添うように供えられた石を
隅脇石といいます。隅石とセットで、角を強固にする役割を担っています。
ということで
石垣は角が重要!
そこに積まれた石材を隅石という
というお話でした。
■撮影:山形城跡 ( 霞城公園 )
[山形県山形市霞城町]
■参考及び出典
・現地説明板
・Wikipedia:2021/11/30
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