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2015年09月01日

ツナグ



おおお、9月初っ端から
こんな時間に…
昨日もさぼったので
更新してしまいます
本日はこちらでございます

辻村深月著『ツナグ
ツナグ.png



使者と書いて、ツナグ

ツナグとは、
亡くなった人と
生きている人を
会わせる
仲介人のことです


亡くなった人に
もう一度会えるなら…?


ある意味ありふれたとも
言える設定でも
あるのですが
非常に新鮮に
感じる作品です


連作短編集になっており

ツナグに依頼をした
4人のお話と
もう一つ。


まずもって、最初の
「アイドルの心得」から
既視感というものを
きっちり払拭して
独特な『ツナグ』の世界へ
連れて行ってくれます


如何せん、最初の一篇は
亡くなった人と会えるなら……
と聞いてまず浮かぶ
肉親や恋人ではなく、
突然死したアイドルに
会いたい、という
女性が主人公の
お話しなのですから


この話で明かされる
ツナグによって
使者と会うことのできる
条件もなかなか
秀逸で、
生きている者は
勿論のこと、死者だって
一人の人間である、ということが
きっちり強調されている
ように感じられます


そんな、条件をクリアした
生きている人と
亡くなった人との
出会いは


生きている人を
励まし、生きる希望を
与えることもあれば、
取り戻せない後悔の念に
とらわれる結果を
生むこともある


どの話も、それぞれ
独立した話でありますが
どれもこれも
非常に生と死について
考えさせられるような

人として生きることに
ついて考えさせられる
ような、素晴らしいものに
なっています


しかし、そんな4人の
話の後、もう一つだけ。


個人的に、この最後の
話がなくっても
勿論この短編集は非常に
面白くお勧めしていたに
違いないのですが


最後、これは秀逸


このようなお話し
このような設定で
そうか、こうくるか!
と思わず感心してしまい
ました。


うまいなぁ、うまい。


この私の反応を見て
最後どんな話なのか
ちらっとズルをすることなく

きっちり、最初から
一つ一つ、心で消化して
言ってください


そして、最後に
うーむ、と唸らされて
ください


ネタばらしを
しないでどうにか
伝えられるのは
ここまでです


いやはや。


とても読みやすい
作品でもありますので
ぜひぜひ






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タグ:辻村深月
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2015年08月30日

利休にたずねよ


ご無沙汰しております
本日はこちらです

山本兼一『利休にたずねよ
利休にたずねよ.png


場面は秀吉に
切腹を命じられた
千利休の
まさに、その
切腹する朝から
幕を開けます


妻である宗恩との
最後の会話にて
宗恩は利休に、
自分よりも
お好きな女人が
おいでだったのでは…
とたずねます


利休は一笑にふし、
宗恩が実際に
一番の女だと
思っている様子
なのですが……


読者としては
気になるところです。



その後は、利休だけではなく
様々な人物、
秀吉や石田三成は勿論
細川忠興や古田織部等々
利休の弟子から
敵対する人々まで


皆に共通しているのは
利休の鑑識眼については
(たとえ悔しくても)
認めざるをえない


それほど彼が
自然と美に
生きているという
利休への評価です



ある人は美を
支配していると言い、
ある人は美に驕り
他人を見下していると憤り
またある人は
美に怯えているのだと
うすやかに笑う


利休と美の関係は
濃密でありながら
どこか謎めいています


他の人から見ると
一寸の隙もないように
見える利休ですが
果たして、本人の
思いはどのような
ものであったのか



そして、宗恩の
たずねたあの内容は
一体何だったのか



時代小説、というよりも
少しミステリーっぽいような


謎が見えてくるようで
見えてこない


大きなテーマは
美のようでいて
最終的には
宗恩の疑問に
収束していくような
感触があります


利休の人物像も
個人的には今まで
抱いていたものと
違っていて
こんな見方も
あるのか、と新鮮に
思いました


そして、なかなかに
構成が凝っていると
言いますか、
面白いです



解説にも書いて
ありましたが
確かに、進んでいく
途中途中で
前をもう一度
読み返したくなる
ことが何度もあります


これ以上言ってしまうと
ネタばらしに
なりそうなので
口を噤みましょう



ぜひ一度
手にとってみてください





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posted by at 10:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 山本兼一

2015年08月21日

イン・ザ・プール


さてさて、こんな
時間になってしまいましたが


奥田英朗著『イン・ザ・プール
インザプール.png



以前ご紹介した、『空中ブランコ』
と同じ、伊良部シリーズになりますが
こちらのほうが、第一作目。



「いらっしゃーい」という声で
迎えられる神経科


普通じゃない医者
普通じゃない看護師


なのに、軽く
はい、また来てね
と言われて、
通ってしまう病院


収録されているのは
「イン・ザ・プール」「勃ちっ放し」
「コンパニオン」「フレンズ」
「いてもたっても」
の5作品


どれもこれも、
ある意味変わった人が
患者というか、
なんというか


普通、だった日常が
突然、普通じゃなくなって
しまう


プールで泳がなければ
体調が悪くなったり、


誰かにずっと
つけられていると
思い込んでしまったり


火事が怖くて家から
出られなくなったり……


患者自身は本当に
悩んでいるというのに


伊良部先生は
軽く、注射を打ちましょう
マユミちゃーん
と、看護婦を呼ぶ


ちょっとした、精神的な
無理が、ある日どん、と
襲ってきて
パニックに陥る
そんな患者たちと


どんな精神的な
苦痛も感じた事が
ありません、という
風な伊良部先生


伊良部先生は
一見話も聞かず
ついには
患者の不安を
増幅させるような
ことまで言ってのけたり
するのですが、
果たして……



伊良部先生、
どこまで本気で
どこから演技なのか

いや、演技なんぞ
していないにしても
案外鮮やかに
患者を治して
しまったりして


しかし、患者自身が
自分の心と向き合って
解決したりもして



伊良部先生の
ずけずけと
いう物言いは
めちゃくちゃなようで
実は的を射ている……
ようでめちゃくちゃ……



一つ一つの短編は
かなり短く
さらっと読める
快適さ


それぞれの短編が
繋がっているという
こともないので、
ちょっとした時間に
読むにもってこいの
一冊ではないでしょうか




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2015年08月20日

台所のおと


さてさて、本日はこちらです

幸田文著『台所のおと
台所のおと.png


幸田さんはぶれない。

短篇集です。収録されているのは
「台所のおと」「濃柑」「草履」
「雪もち」「食欲」「祝辞」
「呼ばれる」「おきみやげ」
「ひとり暮し」「あとでの話」
の10篇


幸田さんの描く女性は
みな、しんと強く哀れで
美しい……


幸田さんの、女性への
やわらかな眼差しを感じます

尽きない悩みに
重い息を吐いて、
そんな女性をとりまく
情景はしかしながら
美しく読者の心に
迫ってくる


静かで、派手ではないけれども
美しい小説の代表だと
改めて思わされる作品


それも、幸田さんだからこその
他にはちょっとないような
幸田さんのような女性
でなければ、という文章


読んでいる間は、何にも
邪魔されたくない、と
思うような、そんな短編が
詰まっています。


特に表題の「台所のおと」は
至高です


女性だけではなく
夫婦の間の細やかな
やりとりが描かれ
これが、いい。


料理人である夫が
病に倒れ、
妻の台所のおとを聞く


そんな、病床から聞く
台所のおとが、幸田さんの
絶妙な日本語で
しっとりと描かれていて


はじまりから、もう
映画の中に
迷い込んだような
そんな圧倒的な
雰囲気があります


佐吉曰くあきはもともと
静かな台所をする女
だそうですが、


冒頭、本当にあきは
しめやかに台所をしている


そうして、そのかすかな
音を聞けば
佐吉は、自分が庖丁をとり、
さい箸を持って働いているに
等しいほどに
何がどう料られていくのかが
わかる。

そして、病人の気持ちは
一時、晴れる


佐吉には過去に
2人女房がおり、
この女についての
回想もあるけれども


そのような回想をしてなお
佐吉とあきの間にある
他の何者も入りこめは
しない雰囲気が
巧みに描き出されています


あきの気丈さには
心を打たれるものが
ありますし、


あきの台所のおとで
全てを悟りながら
肝心の自分のことについて
てんで分からない
佐吉の自然な優しさ


本当に、このような
小説には滅多にお目に
かかれないものと
思います、いやはや。



兎にも角にも、まずは
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タグ:幸田文
posted by at 09:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 幸田文

2015年08月19日

ユーウツなつうしんぼ


さてさて、本日はこちら

アンドリュー・クレメンツ著
田中奈津子訳
ユーウツなつうしんぼ
ユーウツなつうしんぼ.png


マチルダで思いだし
読書感想文に!とお勧めできる
天才少女ものは、むしろ
こちらかな、と思われる一品


Cなんて!


絶叫する主人公のノラ

彼女の通信簿を持った
仲の良い男の子スティーブンは
おずおずと


でも、他はオールDなんだよ……

分かってるわよ!!!


当たり散らすようにしてノラは
やはり散々Cを罵倒し
最後に、不思議なことを


スティーブンはいい成績を
取ろうとして頑張った?

それなら、よく頑張ったわ
すごいこと


さて、そんなノラが
家へ帰ると、
さあ、通信簿を見せて。


この場面で、ノラの家が
かなり子どもの成績に熱心な
家庭であるということが
分かります


うん、今時よく
ありそうな、そんな家庭


しかし、ノラはわざと
通信簿でDをとろうとしていた
のでした。

そして、実際には
Dをとろうとしても
間違ってCをとって
しまうような、天才少女


そう、彼女は
天才少女だったのです。



彼女の幼少期の
天才エピソードは
読んでいてわくわくすると
同時に、はっとさせられます


彼女は、自分が天才だから
といって、奢ることもなく
むしろ、成績が良いとはいえない
スティーブンを心から
尊敬しています


彼女は、自分がとっても
頭が良いにも関わらず
成績という物差しで
人を見ないのです


そして、成績という
物差しで人から見られるのが
嫌いになっていく


自分が、天才であるから
といった理由で
人からチヤホヤされる
ことに嫌悪感を感じて


スティーブンが成績が
悪いからといって
友達から馬鹿にされることに
心底腹を立てて……


彼女は、わざと
テストでは平均点をとり、
(この為に、テストの
平均がどれくらいなのか、等を
事前に調べておくあたり
本当に天才っぽくって好き)


学校や親に静かに
反抗していたのです


しかし……


成績が良い、という理由で
威張り散らして
スティーブンのような
生徒を馬鹿にする生徒
(こんな子、いるいる…)


ノラが天才であることに
気づく少数の大人達


そんな学校で生活しつつ
ノラはどうしても、
成績が良いことが全て
なのか、ということを
考えずにはいられない


そうこうしているうちに
大事件を巻き起こす
ことになってしまい……


通信簿、と言えば
良ければ良いほど嬉しいし
親は、悪ければ怒り
良ければ褒める
そんな当たり前のことを
果たして、本当に
これでいいのかな?と
読みながら考えさせられます


大人以上に、ノラと
同じ立場の子どもこそ
思わず考え込んで
しまうのではないでしょうか


スティーブンを、ノラが
どうしてここまで
尊敬しているのか


ここには、ノラが
大切だ、と思うことは
何なのか、に繋がるでしょう


スティーブンを馬鹿にする
子達の、なんと心の
貧しいことか、
そして、彼らより
はるかに賢いノラが
いる前で、威張り散らす
滑稽さ。


天才だからこそ、
成績至上主義の矛盾に
気づいてしまった少女は
さあ、どんな活躍を見せ
どんな風に成長していくのか


なかなか痛快な場面も
あったりして、楽しい。


話のテンポがとても
はやくて、読みやすく、
ぽんぽんと読めるのですが


この本を読んで、
考えようとすれば、
いくらでも深く
考えられそうな、
実はどっしりとした作品でもあります


うーん、こういう作品
やはり読書感想文に
向いている気がする


むしろ、この作品は
読んであーおもしろかった
おしまい。
ではなく、折角ならば
ちょっと、「お勉強」について
そして、
「人として素敵であること」
について、
是非とも少年少女に
考えてみて
ほしいな、と思います







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posted by at 07:58| Comment(54) | TrackBack(0) | 児童文学

2015年08月18日

マチルダは小さな大天才


さてさて、もう少し
児童文学をご紹介
したく思います。


ダール ロアルド著『マチルダは小さな大天才
マチルダは小さな大天才.png


かなりダークな面も
垣間見えつつ、
とてもわくわくと
するお話です


題名の通り、大天才の
少女、マチルダが主人公

どれ程の天才って、
3歳になる前から字が
読めるようになって

4歳になった頃からは
図書館で、
ディケンズや
ヘミングウェイを
漁っては読む


とにかく、とにかく
大天才であることは
間違いないのですが


彼女の家族が、
なかなかに、シビア


マチルダを、馬鹿だ、
物知らず、と
決めつけて
怒鳴り散らす父親に


TVが大好きで
マチルダに興味0な母親


両親揃ってマチルダを
目障り扱い


さらに、読んでいくと
予想以上に彼女の両親は
ブラックな世界に
浸かっている模様です。


そんなマチルダは
しかし、理不尽な父親に
復讐を誓い


学校では、唯一の
理解者、ミス・ハニー先生に
出会うのですが


ミス・ハニー先生は
学校の、子どもが大っ嫌いな
校長先生にいじめられて
いて……


さあ、マチルダが
大活躍していきます


大天才のマチルダは
ついに、大天才の領域さえ
超えて、何やらすごいことに笑


さて、マチルダは校長を
どうこらしめるのか


そして、両親との関係は
どうしていくのか


とてつもないスピードで
ぐんぐんと気持ちよく進んでいく
作品。


読書感想文……は
もしかすると書きにくい部分も
あるのかもしれませんが


きっと、これを読んで
読書が好きになった、
という少年少女が
いるに違いない、と思う


それくらい、わくわくに
満ちている小説


ダークなのは、
ダークなのですが。


マチルダが大天才なのに
どうして、こうも可愛らしい
少女らしいキャラクターなのか
不思議なほどに
少女です。


気の強い天才少女は
果たして、その能力を
どのように発揮していくのか


楽しくってしょうがない
読みやすさ抜群の作品です




さて、本当はこの作品で
読書感想文シリーズ(?)を
終えるつもりだったのですが
明日もう一冊だけ。
この作品から思い出してしまった
作品をば。
『マチルダは小さな大天才』よりも
読書感想文に向いているなぁ、
と思われる作品です


マチルダは、本に親しむ為の本、
という感じもしますし…ね。


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posted by at 08:49| Comment(62) | TrackBack(0) | 児童文学

2015年08月17日

夢のバレリーナ


さてさて、昨日申し上げました通り、
児童文学をまたまた。

マルバーン著 谷村まち子訳
夢のバレリーナ
夢のバレリーナ.png

物語進行そのものは
王道なのですが
少女が夢中になるような、
そんな名作だと思うのです

『家なき娘』
(『家なき少女』の方が
私には馴染み深いのですが)
に通じるものを
感じたりもしますが
何となく、こちらより
『夢のバレリーナ』は
知名度が低い……
気がする。
ので紹介します笑


物語はまず、
主人公グローリアが沈んだ
面持で登場するところから


彼女は、大好きな
バレーを金銭的な
事情によって
やめなければならない
という状況に
立たされていました


彼女がバレーに
出会ったのは6年前。
同居人のデミトリおじさんが
劇場へ連れて行って
くれたのです

深く感激したグローリアは
バレーを習いたいとせがみ
そして念願を叶えた後は
お稽古を一日だって
欠かすことなく
同じ教室の少女たちに
「いちばん上手ね」
と褒められる程にまで
成長しました

それなのに。


元々、金銭的に余裕が
あるとは決していえない
家庭の事情


同じ年頃の女の子のように
お洒落も出来ないような
そんな環境の中で、
しかし、全くすれず
素直に、ただ真っ直ぐに
バレーが好きという
気持ちだけは
きっと誰にも負けない
グローリア


とても現実主義的な
姉ジュリーや


やはり、金銭的な問題から
安定しないバレリーナへの
憧れを捨てきれない
グローリアを諭そうと
する両親


しかし、そんな彼女を
支えるのは、同居人で
元ピアニストの
デミトリおじさんです


そして、彼女の
バレーの先生である
オルガ先生
彼女も本当に素敵な
人で、グローリアに才を
見出して、応援する


それでも、やはり
彼女がバレーをするという
ことの圧倒的な困難さ


裕福で、彼女程の
熱意を持っている訳では
ないのに、楽々と
気楽にバレーが出来る
少女がいるという理不尽


彼女の、貧しさを示す
描写がなかなか
絶妙で、子どもながらに
心にくるものが
ありました


嬉しい時に、公衆電話から
母親に電話をしてしまい
そのせいで電車賃が
無くなったので、
歩いて家まで帰る羽目に
なっていたりする


こんな描写を見ると、
そして、こんな状況でも
前を向いて明るく
生きようとしている
グローリアを見ていると、
本当に、今自分の
生きていることが
幸福に思えて
感謝をしなければ
罰が当たると思えてくる


貧しくても彼女は
バレーを通じて
幸せとは何なのかを
知って、その
幸せを噛みしめていく
何度も何度も
私は幸福だわ、と
呟く。


そんな彼女に出会うことが
少年少女にとって
どれ程の意味を
持つことか。


グローリアは、
何度も何度も
つまずかなければ
なりません。


舞い上がるような
嬉しいニュースの後に
何度も叩き落され


その度に、家族から
やんわり、ときにきっぱり
バレーを諦めるよう
説得され、


それでも、彼女は
バレーから離れることが
出来ない


読者としては、
現実的なジュリーのような
そんな意見には納得しながら
(それも、一理ある)


それでもグローリアや
デミトリおじさんの
芸術に生きる生き方に
思わず憧れてしまいたくなる


この物語の中で
芸術に携わる人々の
交流は、本当に
素晴らしいの一言です


お互いの芸術を
尊敬し、尊重し、そうして
語り合っている


そして、そんな人々は
グローリアの背中を押す


グローリアは夢の為に
人よりもうんと、うんと
努力がいります


失敗すれば、バレーを
やめなければならないという
ぎりぎりの縁に立たされ、


とてつもないプレッシャーを
与えられながらも
彼女はトーシューズを
手放しはしない

いや、例え手放しても
きっと誰かがもう一度
彼女にそれを履かせる
ことになるのでしょう


グローリアが夢を目指して
決して楽に、ではなく
才能がありながらも
困難に何度も何度も
立ち向かいつつ、
ハッピーな展開になったと
思えば、その後すぐに
暗転してしまうような
酷な世界の中で、
純粋に頑張っている


果たして、彼女の夢は
どのような形になって
最後は終わるのか


必死で彼女を
応援してしまいます


ただただ、夢がある、
という物語に留まらず

夢を見るとは
どういうことなのか

芸術に生きるとは
どういうことなのか

幸せとはどういうものか


考えることで
豊かになれる、
そんなことを
沢山沢山考えさせてくれ


夢がどれほど
きらきらと輝いているのかも
教えてくれる


あぁ、やはり是非
小学生に読んで欲しい
出会って欲しい

そう思える一冊です








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2015年08月16日

のどか森の動物会議


さてさて、夏休みになると
思い出す読書感想文
私は好きだったのですがね、
読書感想文
その為に本も一冊買ってもらえたりして。

と、いう訳でしばらく
読書感想文に
どうでしょう?という
児童文学をお勧めする
……かもしれません。
完全に気分ですね。
毎度ながら、いいかげんですが
お付合いして頂けると
嬉しいです

B. ロルンゼン (著), K. グロース (イラスト),
Boy Lornsen (原著)
のどか森の動物会議
のどか森.png



小学校、低学年…よりは
中学年かな?
と思っていたら、小学中級以上と
書かれておりました


とてもとても昔の
お話なのですが
第22回青少年読書感想文
全国コンクールの
課題図書にもなった
名著でございます

お話は、
のどか森にすむ
カラスのヤコブスが
森の近く、かわず村に
住む人々の
会議を盗み聞くこと
からはじまります

かわず村はとても
恵まれた村で、
豊かで平和な、
村のようなのです

この村のさくらんぼは
いちごぐらいに大きく、
いちごはじゃがいも
ぐらいに大きく……

この文句に胸を
高鳴らせる
少年少女は
多いはず、と信じたい笑


そんなかわず村の
村人たちは、
だからすぐ近くの
のどか森など
荒れ放題にほうっており、
お陰で、森は動物たちに
とって、この上もなく
素晴らしい住処と
なっておりました


しかし、ヤコブスが
聞いたのは、
村長によって提案された
のどか森の木を切って
材木として売り払い
皆で百万長者に
なろうではないか、
という計画


森の木を全部切るのは
反対だ!と
一人はんたいする
シュトッフェルを除き

村人は、森はわしらのもんだ!
森の木を切ってなにが
悪い! と大盛り上がり

慌てて、ヤコブスは
森のまとめやく、
根っこのペーターに
知らせに飛んでいきます

さあ、森の木を切ろうとする
村人たちと、
森を守ろうとする
動物達との間で

大変切実な、
そのくせわくわくする
たたかいが始まるのです

そういえば、
とてもとても昔、
と子どもながらに
感じたのは、
「百万長者」という言葉ですね
どうして「億万長者」じゃ
ないの?と
親に聞いた覚えがあります



さてさて、とにかく、
この動物たちによる
復讐劇が、とても
楽しくて、本当に
次は何をするんだろう?
何をするんだろう?
と憧れさせます


頑固で、欲に目が
くらんだ村長率いる
村人たちと、

動物のことを
考えてくれ、と訴える
シュトッフェルと

そして、動物たちと


たたかい、と言いつつ
どこか、悪戯に近いような
攻防は、とにかく
見ていて、楽しい


それは、物語の中の
子ども達も同じで
木を切ろうと躍起に
なっている男達や
動物の復讐劇に
巻き込まれて困ってしまう
女達に対して

子ども達は、まるで
恩恵を受けているかのように
動物の起こす悪戯に
毎回毎回大喜び

そして、幼い読者は
それに、心から
共感できるに違い
ありません


しかし、一方で
読みながら、森を
失った時にどれ程
動物たちが
困ってしまうのかが
ひしひしと伝わってもきて

環境問題、だなんて
難しい言葉を
知らなくても、

目先のお金に
我を忘れて自分勝手に
ふるまおうとする
村長たちの
醜さがよくよく伝わってくる
お話になっています


何度も何度も
時がたってからも
思い出しては、
わくわくとし
そして、様々なことを
考えるきっかけに
なってくれる
児童文学の傑作



古かろうとなんだろうと
名著は名著です
是非是非、知り合いの
小さな読者に
お勧めしてあげて欲しい
と思います






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2015年08月15日

各書名言集(小説pert29)


お盆が終わると思うと
辛くて辛くて辛い。
そんな本日は名言集


春琴抄
春琴抄.png
―真綿の如くふわふわしていた手は
華奢で掌がよく撓い絃を扱うせいか
指先に力があり平手で頬を撲たれると
相当に痛かった―



春琴の美しさと、その
気性の荒さとを如実に
示す一文
どきりとします




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春の雪
春の雪.png
―藤はいつも花ざかりで、
女たちは日ざしを避けて、
藤棚の下に集うた。
いつもよりひとしお念入りに
お化粧をした女たちの白い顔には、
花の藤いろの影が、
優雅な死の影のように落ちた―




美しいものをとびっきり
美しく、そして
不吉に描く用意周到さです




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旅のラゴス
旅のラゴス.png
―かくも厖大な歴史の時間に比べれば、
おれの一生、焦ろうが、怠けようが、
どうせ微々たるものに過ぎないことが
オレには明らかである。
人間はただその一生のうち、
自分に最も適していて最もやりたいことに
可能な限りの時間を充てさえすれば
それでいい筈だ。―



何か、悟りきっている
主人公の、そんな
微々たるものと言いながら
壮大な物語



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何気に名言シリーズは
どこを抜粋しようか
迷ったりいろいろと
面倒くさい
時間がかかるため、
後回しにしていった結果
沢山溜まってしまいました
けれども、楽しいですね
この作業は。


プロの物書き様
素敵すぎる!
と思う今日この頃も
前々からも



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posted by at 11:33| Comment(27) | TrackBack(0) | 名言

2015年08月13日

顔 FACE


さて、本日はこちら

横山秀夫著『顔 FACE
顔.png

組織の一員として、傷つきながらも、
婦警として、誇りと誠実さを持って
生きているヒロイン

平野瑞穂という、
小学生から、婦警に憧れ、
そして、その夢をかなえた
女性が主人公です


とにかく、最初は
あまりにも
彼女の置かれた立場が
辛すぎて、
ページを繰る手が
滞りそうなほど。


「だから女は使えねぇ」
一体、この作品の中で
どれ程飛び出した
セリフであることか

婦警を、マスコット的に
使うことしか
考えない男達

それに対して、
自分の仕事に誇りを
持って、、男と対等に
やりあいたいと
心の奥から叫ぶ女性達


平野は似顔絵婦警でしたが
とある事件をきっかけに
似顔絵婦警を
やめざるをえなくなる

その事件は、平野にとって
あまりに屈辱的で
自己嫌悪をもよおすもので
あったにも関わらず

男は、「しょうもないこと」で
片づけるのみならず
嫁にいくあんたはいいけど
あんたの割をくった
男の上司の方が
出世をたたれて
被害は大きかったね

等、のうのうと、言う

婦警はおもちゃじゃない、
心がある、と言えば

そんな甘ちゃんは
お前だけだ、と
返される


彼女は心の傷を
癒すこともできないまま

否応なく事件へ
対峙しなければならない


そんな、男と女と対等に
活躍したい!
という女性の叫びが
つまった作品ですが


女性が男性ばりに
大活躍する、というよりも
むしろ、女性と男性の
違いが如実に
描かれていて、
こういう、婦警もので
想像したくなる
とてつもなくたくましい
男みたいな女性、は
見当たらない

良くも悪くも
女らしい女達が
警察という組織の中で
戦っている


そうして、事件がまた
不可解なものが多く、
それを、平野が
解いていく

まさに、これは
女だからできた、
というような
そんな方法と発想で。

ミステリーとしても
とても面白く
先が読めないまま
不気味な事件が
何度も何度も起こり


その事件を解明する
かたわらで、
先の、女と男の対立の
ようなものも
見えてくる


女らしい、弱さのような
ものを持ちつつも
正義感がおそらく
人一倍強いのであろう
平野が、
真実を見極めたい一心で
時にズタズタに
傷つけられながらも、
奔走していく


そうして見えてくる
驚きの真実。


ただの人間の内面を
描き出す小説でもなく
ただのミステリーでもなく

二重の意味で非常に重く
質の高い作品です


是非是非、お試しください








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posted by at 08:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 横山秀夫
本日の一冊
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気ままにもう一冊

きみが住む星 (角川文庫)

とうとう旅に出てしまった。 離陸した飛行機から、 群青の成層圏の空が見えたとき、 ぼくはこの星が好きだと思った。 どうしてなのか考えて、気がついた。 この星には、きみが住んでいる。 きみが住む星をぼくは旅する
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